平成と情熱の漫画に
一区切りであることは間違いないので、本棚にある漫画を見直してみた。
途中から電子書籍にしてしまったし、スペースの関係で買ったり売ったりを幾度となく繰り返し、どうしても残しておきたいと思ったものだけが、凝縮されたのが今の本棚だ。おそらくこれ以上増えも減りもしないであろう平成の結晶と言ってもいい。
そんなわけで、長くなりそうだけれど、そこから20個だけ紹介してみようと思う。読みづらいものや、一般受けしにくいものがあるのも確かだけれど、どれも私の人生に大変『刺さった』漫画たちだ。もし、機会があったら一度手にとってもらえたら大変嬉しい。
では行きましょう。長いよ(笑
1 『昭和元禄落語心中』雲田はるこ
最初はこれ。ドラマもアニメもやってました。でも漫画が一番好きです。落語ってそのグルーブ感こそがキモだと思うんですけど、そこが音声が入ってくると、どうしてもそれに縛られてしまうな、と。漫画はそのあたりの、ぐいぐい引っ張られるその求心力のとりこでした。落語に興味のある人も、ない人も一度は読んでみてほしい一作。
2 『西洋骨董洋菓子店』よしながふみ
敬愛するよしながふみさんの作品から。現在放送中の「きのう何食べた」も好調のようでまことに結構。西洋骨董洋菓子店も昔「アンティーク」としてドラマになってましたね。今ではまったくときめかない「月9枠」(笑
BLというものを知ったのはここから。でも普通の人が読んでも軽くて楽しい一般向けコメディです。非常に楽しい。
3 『子供はわかってあげない』田島列島
これは昔noteも書きました。
伊藤理沙さんのようながらっぱちの絵柄で、描かれるボーイミーツガールのお話。甘酸っぱい。上下巻であっさりとしっとりと読むことができて、とても読後感が良いです。図書館にでも置いてほしい。
4 『東京トイボックス』うめ
ゲームクリエイターたちの戦いを描いた漫画。
魂のぶつかり合い。魅力的なキャラクター。ささるセリフ回し。とちょっとまだ絵はあらいものの、ステキな作品です。この後、「大」東京トイボックスとつづいて、今その続編やってるみたいですね。
作中、時代に合わせてSNSとかも更新されてきた、リアルタイム感も魅力。
5 『西原理恵子の人生画力対決』西原理恵子
西原理恵子が実際に他の漫画家と会って、記憶だけを頼りにキャラクターなどで「画力対決」する話。漫画家だからといって絵がうまいとは限らない(笑 実際にリアルタイムで画力対決するイベントなんかも何度も開かれてまして、私も行きました!
一巻だけみてもカイジの福本さんや、藤子不二雄A先生、ちばてつや先生など、ビックネームに突っ込みまくる西原さんにしかできない芸当。平成の黒歴史。最高。
6 『同級生』『卒業生』中村明日美子
BLの金字塔。私、BLには詳しくないから当社比だけど、これより好きなBLは今のところない。最高。
無理があるようで、無理が無い。心理描写がきちんと描けているおかげで、入り込みやすいんだと思う。明日美子さんは他にもいい作品沢山あるけど、ひとつ選ぶならこれ。ただの傑作。
7 『ソラニン』浅野いにお
みんな大好きいにお先生。結婚おめでとうございます。
プンプンとかは苦手だったけど、ソラニンはもう世代とか時代とか内容とかが共感しまくりで刺さりまくった、そんな作品。社会人1年目の社員に読ませたら仕事やめかねない。映画もアジカンの曲も良かったね。
8 『午前3時の無法地帯』ねむようこ
ねむさんの作品をひとつは入れたかったので。
最近も続きで買っている人では一番好きかもしれません、ねむさん。絵がかわいくてとても見やすい。しゃれている。期待して、その期待にこたえてくれる、非常にありがたい漫画家さん。好きです。
9 『DON’T TRUST OVER 30』TAGRO
TAGROさんは、『変ゼミ』が多分一番有名だし、あれも好きだけど、今作の方が、生々しくって刺さる作品が多くて、とにかく刺さる。
20代で読むのと30代で読むのは感想違うかな、と思って、さっき読み直してみたけど、意外と変わらなかった(笑 変ゼミにつながるような下世話な話も出てくるのですけど、ブコフで見かけたら一読の価値あると思います。
10 『娚の一生』西炯子
映画の配役は好きだったな。中身はあんまり覚えていない(笑
どうでもいいんですけどこの「娚(おとこ)」っていう字、変換でなかなかでないんですけど。ついでに言うと、『西炯子(にしけいこ)』の「けいこ」もなかなか出ないんですよね(だからなに)。いい作品です(笑
11 『となりの801ちゃん』小島アジコ
オタクとして平成を一緒に走ってきた感のある、非常にリアルタイム感の強い作品。時代に合わせて、アニメとかの話題が進んでいくし、その時のネタとか、記憶の彼方に放り込みたいものも沢山あって、思い出したくない過去も含めて当時を思い出すのに最適。
12 『ドントクライ、ガール』ヤマシタトモコ
ヤマシタトモコさんってただの天才やん……と思った作品。あ、これも下ネタ多量だね。
一応ボーイミーツガールもの、といっても過言ではない。とても面白いギャグ?漫画。「どんな人が相手でも好きになれば関係ないんだ」という力強いメッセージが含まれている……なんていうことはきっとない。
13 『よしふみとからあげ』関口かんこ
あなたの家に、急にしゃべるウーパールーパーが来たらどうしますか?
写真を見ればわかるけれど、ちっともかわいい系ではない。でもほしくなっちゃうんだからかわいいとキモイの線引きって難しい。とても楽しいです。正直からあげ(ウーパールーパーの名前)のイラスト、アイコンにしたかった。
14 『おもいでエマノン』鶴田 謙二×梶尾 真治
体は入れ替わっても、子々孫々と記憶だけが受け継がれていく存在。それがエマノン。永遠に続く時の流れのなかで、あなたなら何を思いますか?
鶴田さんの絵も、梶尾さんの内容も好き。漫画のロマンチックSFの最高峰ではなかろうか。いや単に好きなだけなのだが。
15 『攻殻機動隊』士郎正宗
初出、危うく昭和かと思ったら1991年で平成3年でした。
非常に読みづらい(笑 欄外にこまかーーーい文字がいっぱい書いてあるんですけど、それを読まないと理解できない、という辞書でも読んでる気分に浸れる作品。正直、軽い気持ちの人はアニメからで十分だと思います(笑
16 『パッピーエンド』ジョージ朝倉
朝倉さんの作品はモノによって色々なんですけど、これは読んですぐにびりびりに破いて窓から放り出したくなった、そんな作品。
むかついたとか、そういうわかりやすい感情じゃなくて、今でも自分としてもその感情について説明ができない。でもそういう衝動を抱かざる得なかったそんな生々しい作品。「生々しい」というキーワードは私が好きなキーワードのようだ。
17 『ぼくらのフンカ祭』真造圭伍
「センスのかたまりで言うことがない」みたいな帯は、別の作品だったかね。
「トーキョーエイリアンブラザーズ」はドラマになりましたね。でも一番古いこれが一番好きです。心を動かされる。どうにもならないうっぷんを抱えた若者たちの叫び。
18 『恐怖の口が目女』祟山祟
すいません、これだけ電子書籍なんです。
これも昔note書きました。とにかく衝撃的で、B級ギャグホラー漫画かと思いながら読み進めると、ハリウッド映画もびっくりのスケールの大きい展開が待ち受けるカタルシス。つまり紹介したいだけのただの回し者です(笑
面白いよ!(笑
19 『百万畳ラビリンス』たかみち
これ面白いんですけど、上下巻で終わってしまったがゆえか、あまり話題にもならず。
いや、上下巻終わりは良かったんですよ。でも上下巻じゃアニメにはできないし、じゃあ映画にしようか!というほど話題になるわけでもなく。悔しい感じありますね。ロールプレイングゲームを見ているような、何もわからない世界が少しずつ明らかになっていく感じとかが、とてもユーザー目線で楽しいです。
20 『ファイブスター物語』永野護
始まったの昭和でしょう、と思って調べたらやっぱり1986年(昭和61年)からだった。
平成の締めくくりはこの作品にいたしました。単行本最新刊が14巻?かな。2年に1冊くらいで出ているペースと思えばえらいえらい(笑
そんな、一見さんお断りな漫画ですが、一度はまってみれば抜けられない『沼』以外の何者でもないですし、私が『沼』にはまった一人であることは間違いありません(笑
まとめ
ああ、長かった(笑
私が今まで書いたものの中で一番長いよ、今日のnote(笑
とりあえず、また令和でもいい漫画との出会いは沢山あるでしょうから、楽しみなものです。ちなみに他にも、本棚にあって、紹介したかったけれど、涙を呑んで割愛したのはこんなところです。
スラムダンク、天使なんかじゃない、プラネテス、レベルE、センネン画報、サプリ、巨娘、鉄コン筋クリート、ヘルタースケルター、ニュクスの角灯、お慕い申しあげます、おもたせしました、恋愛ラボ、バーナード嬢曰く、限界集落(ギリギリ)温泉、かげきしょうじょ
良かったら令和の賑わいに、ひとつどうぞ手にとってみてください。
『漫画って本当にいいものですね』
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