たけのこ@マンガライターが2023年6月に読んで面白かったマンガ!
これと並行して上半期読んで面白かったマンガを選んでいたのですが、やはりひと月ひと月なら選べても、集まるとどうしてもこっちになっちゃうか……みたいな作品も多くて難しいですね。
そんな6月の新刊で好きだったマンガはこちらです!
『いつか死ぬなら絵を売ってから』
新刊ですね。マンガ家さんも絵をかくクリエイターですから、「絵をかくマンガ」っていうのは結構あるんですよね。でも、描いた絵に価値をつけ、高値で売るために動く。そんな部分を描いたマンガは多くないのではないでしょうか。
この考えが正しいか自信ありませんけど、絵の価値って水モノの部分ありますもんね。だからこそ能動的に動くことで吊り上がることもありえるわけです。
『君はスキノサウルス』3巻
そしてこちらは3巻にして完結いたしました。高校の化石部を舞台にして、恐竜の骨と彼女の気持ちをゲットするために頑張る青春恐竜ストーリーでした。
その……、なにとは言いませんけどわたしはちょっと大きすぎるのが苦手、という面はあったのですが、それを差し引いても自由で縛られない絵作りといいますか、壮大な予算のついた映画的ということなのかもしれません。イマジネーションがそのまま描かれているような技術力には感服でした。
多分、今作は途中で終わってしまったかと思いますが、次回作も楽しみにしています。
『幽霊はどこへ?』上下巻
こちら台湾マンガです。
マンガとしては多少つたないと感じる部分もあるもののとにかく絵がキレイです。幽霊が見える男女を中心とした青春幽霊ストーリー。ちょっとこうトレンディドラマ感あるかもしれません。なんにしても上下巻できちっと伏線回収してきれいに終わってるので読みごたえがあります。
後ほど出た『葬送のコンチェルト』も同じく韋離若明の作品。こちらも美麗なイラスト、生き死にを仕事にする人たちのリアルが描かれていて楽しい作品なので是非どうぞ。
『初老の娘と老母と老猫 再同居物語』
親が年をとってきて、介護も心配だし同居でもしますか。
――と親と再同居するお話。この丸っこい絵柄が魅力的です。わたしも世代的に親の介護とかをそろそろ考えて損のない年になってきてしまいましたので、こういうお話を他人事と思えなくなってしまいました。
その分楽しんで読めるんですけど、しんどい部分もありますね。
『クロエマ』
海野つなみ先生の最新作になります。占いものと見せかけて、その実、占いじゃないところが大事みたいなお話ですね(笑
エッセイみたいに何気なく本当にそこにキャラクターたちが生きているかのような感じがあるといいますか、直前にエッセイっぽいマンガを描いていたことも影響しているのではないでしょうか。
大きなお話としてどうなっていくのかはあまり読めないのですが、この二人が同居して同じときを積み重ねていくだけで、その先が気になる感じです。このあたり本当に熟練って感じでしょうか。
『エロ漫画家おねーさんとお疲れリーマン』
タイトルに騙されることなかれ。
いや、このタイトルは別にあってるんですけど(笑
アパートの隣にいたのはエロ漫画家のおねーさんで、まあだいたい思うような感じのちょいエロ含みのラブコメで進むのは確かなんですよ。それは間違っていないのですが、相方がちゃんと「いい年をした男性」であることで、ラッキースケベ感というかエロものという印象よりも、恋愛ものという印象になっている気がします。
絵柄もキャラもカワイイので、あんまりこのタイトルにだまされずに読んでほしい作品です。
『あかね噺』6巻
というわけでの6巻です。『あかね噺』はずーーと面白いのであんまり語りませんが、もっと落語もみんな好きになったらいいと思います。ぜんぜんハードル高くないですよ。あれは漫才の一種ですから。
『みどりの台所』
台所というタイトルに入っているながら、結構ハードめなSFの様相をていしております。肉を食べる植物が世界にはびこった世界。人も動物もいなくなった世界で、主人公たちは大手物流会社の倉庫に住みつく。
肉がない世界で、いろんなものを工夫しながら料理をするっていう、変わり種、終末料理マンガです。
いっけん前向きなのに、料理するたびに、その材料がない現実を突きつけられる、そんなディストピア感があふれていていいんですよね。
『グレイト トレイラーズ』2巻
そしてこちらは2巻出ました『グレイトトレイラーズ』。
ポストアポカリプスもので、なぞの火星人も来襲するし、機械と獣のあいの子みたいなやつらもバンバン出てきて見ごたえたっぷり。
最初こそちょっとわかりづらい部分もあると思ったものの、2巻くらいまでくると、なんとなく見えてくるものも増えまして楽しくなってまいりました。
先生の過去作『018』も先日、電子書籍が出まして、そちらも上下巻で短いですし、勢いにあふれていてオススメです。
『令和のダラさん』2巻
ダラさん2巻も面白かったです。
ダラさんがだんだん令和にそまっていき、関係性も深まり、いろいろなあなあになり、でもなんだかんだやっぱり強力な怪異であるっていうギャップですね。その辺がとっても楽しいです。
というか背景とかもふくめて、普通に怖い怪異のはずなんですけどね。でも姉弟のせいでちっとも威厳がなくなってしまっていいのやらわるいのやら。
というあたりで10作品でした。
番外編であと2つ紹介させてください。
『北京的夏』
先月あたりから松本剛先生の作品をいくつか読み漁っていまして。
バンドで売れたけど次の一手に悩める青年が、北朝鮮をめざし、途中によった中国。そこではロックは弾圧される国なのでした。
そこで出会いがあって、国の体制をもまきこむ青春ストーリーが広がると。原作付きですから、原作の力もあると思いますが、松本剛先生の作品はどれも本当に面白いです。
『マウス―アウシュヴィッツを生きのびた父親の物語』
そして実際にアウシュビッツから生還したお父さんに、当時の様子を聞いてかかれたマンガがこちら。
お父さんと子供との関係性も結構描かれていて、創作というよりも、今、まさに話を聞いているかのような臨場感があります。時系列にそって、話を聞き、それが描かれているのも、その現場感を助長します。
アウシュビッツ当事者のマンガは多くないと思いますし、一家に一冊あっても良い作品だと思います。
といったところで6月はおしまい!
もう7月ももうくれです。マンガ読むことにいたしましょう。