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素直さ

「自分が悪いときは素直に謝りなさい」

「嘘を付かずに素直に言いなさい」

「出来ないときは出来ないと素直に言いなさい」

「言い訳せずに素直に聞きなさい」


素直になれ。

そうやって、
子どものころからずっと教わってきたよね。

そして、
親の立場になれば
今度は自分が目の前の子どもに対して

「素直になれ」

そう教えるようになる。


そう教えられた子どもは、
その言葉を信じ、

まぁときにはそうなれないこともあるけど、

親の言うことを信じて
素直になろうとする。


でも、
ときが経ち

成長するに従い、
段々と「素直さ」を維持することが
難しくなってくる。

子どもには「素直になれ」と教える一方で、

大人になるにつれ、
どんどん素直になれない自分になっていく。


「自分が悪いときは素直に謝りなさい」
と言いながら、

自分は素直にごめんなさいが言えなくなったり。

「嘘を付かずに素直に言いなさい」
と言いながら、

自分のために嘘をついたり。

「出来ないときは出来ないと素直に言いなさい」
と言いながら、

出来ないのに出来ると強がったり。

「言い訳せずに素直に聞きなさい」
と言いながら、

プライドを保つために言い訳ばかりしたり。


なんでだろう。

大人になると、
素直になれなくなっていく。

「ごめんなさい」の一言で済むのに、
その一言を口にすることもできなくなる。


一度振り上げた拳の
下ろし方を忘れてしまい


争い事が起きると
互いに矛を収めることができなくなる。

どこかで
「これはマズイ」と思っても、
自分自身の過ちに気づいても。


無駄に成長したプライドが、
相手に頭を下げるという行為を邪魔する。


「謝ったら負け」

いつからか、
こういう難病に感染してしまう。


頭ではそう分かっていても、

大人になると、
色んなものを抱えるようになると、


子どものころのような素直さには
そう簡単に戻れなくなる。





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