チームの心理的安全性を高める「インプロ」
人材育成や組織デザインの手法は様々にありますが、「インプロ」がおすすめです。
「インプロ」とは「インプロヴィゼーション(improvisation)」の略で、「台本の無い即興劇」を意味します。アイディア発想力や組織のクリエイティビティを鍛えるためには良い手法なんじゃないかと思います。
ピクサー社やスターバックス社、マイクロソフト社など、クリエイティビティを組織の重要な資源と考える多くの企業で活発に取り組まれています。
先日、イベント「UX dub」でインプロワークショップを行ってみて、インプロの面白みを実感しました。
明日、社内の知見共有の場「全体共有会」でもインプロワークショップをやってみます。明日に備えて振り返りがてらワークで体験した一部をご紹介します。是非、ご自身の組織でも試してみてください。
(もしこのnoteで「インプロやってみたい」なんて声をいただいたら、またインプロワークショップをやってみようかな…なんて)
※この記事は以前ajike switchに掲載したものを再編集しています。
このnoteに書くこと
・インプロとは
・「共通点探しゲーム」
・「バースデーライン」
・「ワンワードゲーム」
・インプロを体験してわかった2つのこと
①チームでは、「心理的安全性」の確保が重要であるということ
②他者とのコミュニケーションの中で生まれるアイディアがあるということ
インプロとは
「インプロ」とは「インプロヴィゼーション(improvisation)」の略で、「台本の無い即興劇」を意味します。その名の通り台本が無く、演者によって即興的に演じられるものです。インプロは、劇の完成度ではなく、その場で全身を使って演じる「瞬発力」や「柔軟性」を重視するものです。
イベントでは、アイディア発想力と組織のクリエイティビティの向上という2つの効果に注目してワークショップを行いました。
ゲストには専修大学ネットワーク情報学部教授の上平崇仁先生と、インプロファシリテーターとしてお笑いコンビ「オシエルズ」、日本即興コメディ協会副代表の野村真之介さんをお呼びしました。以下は上平先生の資料です。
ワークショップの形式は、野村さんから出されたお題を複数人のグループで実践していくものです。野村さんのファシリテーション自体も即興で、インプロには膨大な種類の手法があり、その場の状況を汲み取ってお題を出されるようです。実際に体験した一部のワークをご紹介します。
「共通点探しゲーム」
最初のアイスブレイクでは、「共通点探しゲーム」。周りの人とペアになり、お互いの共通点を3つ以上探します。例えば、メガネ、人、ボーダーといったように。
「バースデーライン」
続いて、参加者全員で円になり誕生日順に並ぶ「バースデーライン」。互いにコミュニケーションをとりながら1月〜12月まで誕生日順になる。このワークを通じて、大体の参加者と触れ合うことになります。
「ワンワードゲーム」
5,6名のグループになり、1人一言づつ文節を言い、物語をつくっていく「ワンワードゲーム」。最初の発言者は「むかしむかし・・」と発し、それに続いて1人づつ「あるところに」といった文節を言います。
昔話の「桃太郎」の例でいうと
むかしむかし→あるところに→おばあさんと→おじいさんが・・
などと続いていきます。
「ワンワードゲーム」は、「桃太郎」のように既存の物語ではなく、グループで即興で物語をつくっていきます。ただし、このゲームは「考えて発言する」のではなく、「頭に思い浮かんだもの」を口に出すこと。そうすると、担当を振られた自分が苦しくなったり「わからない」、「終わりだな」と感じることがあります。「わからない」と感じた場合は、「もう1回」、「終わりだな」と感じたら「終わり」と言うことでその物語は終了し、また「むかしむかし・・」から新たな物語が始まります。
ポイントは、
・たくさん「もう1回」を言うこと。
・短くてくだらない話をたくさんつくること。
体験してみるとわかるものですが、なかなか「頭に思い浮かんだもの」をそのまま発することは難しいものです。
その理由は、頭の中に「検閲」があるからだとか。言ってはいけない3つの言葉にはブレーキをかけてしまうようです。
その3つの言葉とは、以下の3つ。
・頭がおかしいと思われること
・下ネタ
・普通なこと
特に「普通なこと」については、納得しました。というのも、「普通のこと」を言うと、「アイディアのない人と思われるんじゃないか」といった不安が頭を過ぎってしまい、普通のことこそ言いづらくなってしまうと。「頭がおかしいと思われること」、「下ネタ」については会議のようなオフィシャルな場では無論、言いにくいことです。「普通なこと」はアイディアを求められるような場面では、思わず躊躇してしまうかもしれないですね。
インプロを体験してわかった2つのこと
①チームでは、「心理的安全性」の確保が重要であるということ
「心理的安全性」の確保とは、チームにおいて躊躇することなく自分自身の考えや感情を発することができる環境であることを意味します。「心理的安全性」は、Googleがチームを成功へと導く要素として最も重要であると発表したことが話題になりました。
インプロの場では、無責任な発言が許容されているため、自由に発想し発言することができます。様々なワークを積み重ね自由な発言ができる状態をつくっていくことで、互いに失敗を恐れずに発言できることを体感しました。
②他者とのコミュニケーションの中で生まれるアイディアがあるということ
チームでの発言は、発言者の考えを表明するためにあると考えられがちですが、一個人の発言が他者の発想を促進するという機能もあります。先程、発言する際に頭の中でブレーキをかけてしまう言葉についてふれました。自分にとっては「普通なこと」や「些細なこと」であっても、その発言が他者を刺激し、思いもよらないアイディアや発見につながる可能性を持っているのです。
「ワンワードゲーム」といったワークは、他者とのコミュニケーションを重ねることによって生み出されていくことを実感しました。また、他者と身体を用いて即興でコミュニケーションをすることは、普段の順序立てた発想とは異なり、予想できない「不確実性」に出会えるものでした。
かなり簡単にですが、インプロワークショップの一部をご紹介しました。イベントの参加者の中には、実際に社内で試してみたという方もいらっしゃいました〜!
私たちはUXデザインを中心にプロジェクトに関わることが多いですが、CEOの梅本はUSEN Media社のCXOになったりと、組織開発(デザインチームのインストールなど)のサポートも行っています。
また、イベント「UX dub」では、インプロワークショップのような知見共有できる場をつくっていきます。イベント情報はPeatix UX dubグループやFacebookでお知らせしますので〜!
・Peatix UX dubグループ
・ajike Facebook
こどものワークショップ開催費にします👦