チームの一員として組織の変革に伴走するー三井住友銀行さまとのデザインシステム活用推進の取り組み
顧客目線で事業課題を解決し、ユーザー体験の向上やサービス価値の創造・向上を目指す株式会社アジケ(以下、アジケ)では、企業のパートナーとして中長期的な関係性を築き、プロジェクトに取り組んでいます。
今回は2019年からデザインパートナーとして伴走している、株式会社三井住友銀行(以下、SMBC)との継続プロジェクトについてご紹介します。
SMBCインハウスデザインチームが注力している「デザインシステム」の設計・構築が2020年にリリースされ、次段階として社内への浸透・システムの積極活用を目指すプロジェクトに取り組みました。
※本プロジェクトの背景については、SMBCさんのnoteでも紹介されていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
リリースした「デザインシステム」、メンバーが感じていた次の課題とは
アジケ神田:「お客さまに対して、SMBCのどのサービスを利用いただいても一貫した体験をご提供できるようにする」——その実現を目指し、2020年ごろからデザインシステムの設計・運用に取り組ませていただき、細かなアップデートを行う中で、チームメンバー全員が次の課題である「社内への浸透・積極活用の推進」を視野に入れていましたよね。
アジケ藤戸:今回の浸透施策プロジェクトも、いつも通り週1回の定例会を重ねていく中で、自然と「次はこうしましょう」という話になったと記憶しています。
SMBC金澤さん:そうですね。そもそもデザインシステム自体が、一度形にしたところからいかに広く、正しく活用してもらえるかが重要なものです。当然、私たちもそれを前提に取り組んでいました。
実際、この1年でデザインシステムの社内における認知度は少しずつ高まってきたものの、私たちが意図した通りに使われないことがあったり、正しい使い方を伝えるためのコミュニケーションに時間がかかったりと、活用に関して具体的な課題にぶつかることが増えていたんです。
アジケ神田:そうしたお話も踏まえ、バージョンのアップデートがひと段落したタイミングで、アジケからも「次は使ってもらうためのアクションをしましょう」と提案させていただきました。
SMBC金澤さん:アジケさんにはそのまま今回も、設計・構築フェーズから継続で、全体のプロジェクトマネジメントとデザインをお願いすることにしました。
社外メンバーも「同じチームの先輩」。長期的な関係づくりが距離感を近づけた
アジケ神田:SMBCインハウスデザインチームのみなさんとは、もう長いお付き合いですね。
SMBC金澤さん:SMBC側のメンバーは入れ替わったり、新たに加わったりしているので、もう神田さんや藤戸さんの方が関わり自体は長くなっていますよ(笑)
アジケ神田:岡崎さんと森川さんはデザインシステムの設計・構築フェーズ後に入社されていますが、この外部の会社を交えた協業チームについて、当初はどのような印象を持たれましたか?
SMBC岡崎さん:「外部の会社」という感じではなく、物理的にも心理的にも距離が近いので驚きました。私がこれまで経験してきたチームでは、外部の会社はあくまで外部で、委託する業務内容や領域がはっきりわかれていることがほとんどでしたから。
実際に私たちよりもお二人の方が長くこのプロジェクトに携わっているので、感覚としては何というか……“同じチームの先輩”みたいですよね。
SMBC森川さん:私も岡崎さんと同じ感覚です。中と外の隔たりがなく、デザインシステムのプロジェクト以外でも、チームメンバーとしてお世話になっています。
SMBC金澤さん:アジケさんは他の企業とも、この距離感で仕事をしているんですか?
アジケ神田:他のお客さまとも中長期的な関係性を築き、パートナーとして伴走するスタンスで取り組んでいます。ただその中でもSMBCさんとの関係性は若干特殊かもしれません。というのも、このプロジェクトチームは全員がデザイナーじゃないですか。
SMBC金澤さん:ああ、確かにそうですね。
アジケ神田:通常は、社内にデザインを担う部署や人がいないからアジケにお声がけいただくのですが、SMBCさんの場合は違います。
プロジェクトそのものも、明確なゴールや成果物が決まっていない段階から伴走させてもらっているので、私たちにとっても貴重な機会になっています。
どこから着手する? ゴールや成果物を明確にするところからプロジェクトをスタート
アジケ神田:今回の浸透施策プロジェクトは特に、難易度が非常に高い取り組みだと感じていました。
SMBCさんのような一大組織に、このデザインシステムについてどう伝え、活用してもらえるようにするか——だからこそ、はじめはどんな状態をもって成功とするのか、伝える対象とその順序などを整理していきました。
SMBC岡崎さん:プロジェクト全体の情報整理や進行をアジケさんにリードしてもらいながら、他部署からデザインシステムについての問い合わせや相談を受ける中でSMBC側が感じている課題や、その解消方法について共有し、とにかくお互いが目線を合わせる作業を丁寧にしましたね。
アジケ藤戸:私たちもSMBCさんの組織内部のことまでは詳しくわからないので、課題をクリアするために誰とどのようなコミュニケーションを取る必要があるのか、どのような進め方が効率的か、一つひとつ定例会ですり合わせながらプロジェクトの着地点を探っていきました。
SMBC金澤さん:まさに今回アジケさんに期待していたことの一つが、その「着地点」を明確にし、プロジェクトを具体化して着実に前に進めることでした。
「デザインシステムを社内で活用してもらえるようにする」というプロジェクトは重要度こそ高いものの、抽象的なうえにすぐに直接的な売上や数値的な成果につながるものではありません。
そのため内部のメンバーだけで取り組もうとしても、どうしても緊急度や優先度が高いタスクに埋もれてしまいがちなんです。
アジケ神田:それはSMBCさんに限らず、多くの企業やチームが直面している問題だと思います。だからこそ、プロジェクトマネジメントの部分をアジケのような外部の存在が担う意味があると考えています。
SMBC岡崎さん:私もそれを実感しています。社内への浸透施策についてチームで議論をはじめた当初は、理想とするゴールも成果物もクリアになっていない状態でした。
でもプロジェクトが進む中でだんだんと輪郭がはっきりしていき、「次は何をやるべきか」が具体的なスケジュールと共に落とし込まれていきました。それをアジケさんにリードしてもらえたのは非常に大きかったです。
社内だけで完結せず、チーム内に外部の視点があることに意味がある
アジケ神田:改めてになりますが、アジケがプロジェクトに伴走することによって、みなさんにどのようなメリットを感じていただけているか、お伺いしてもいいですか?
SMBC森川さん:私がアジケさんとご一緒していていつも感じているのは、議論中の発散のしやすさです。そのときの議題から多少離れてしまったり、自分の中でまとまっていないことであっても、気になることや気づいたことを共有しておきたいときがあるんですよね。
そうした情報をスルーせずに客観的な視点から整理し、まとめてくれるという信頼があるので、言いたいことを飲み込まずに安心して発言できています。
SMBC岡崎さん:決して一般論を押し付けるようなことはせず、私たちが実際に感じている課題に寄り添ってくれるので、アジケさんの仕事の仕方は「伴走」という言葉がしっくりきますね。
SMBC金澤さん:私たちは新しいメンバーの採用も積極的に進めていますが、やはりパートナーとして、社外からアジケさんに関わってもらうことのメリットは大きいと思っています。
私たちの他にも多くの企業と協業されている経験から、社内のメンバーだけではカバーしきれない領域の新たな知見を提供いただくこともできますし、チーム内に外部のメンバーが加わることで、ある意味での緊張感が生まれ、お互いに切磋琢磨できる環境になると感じます。
アジケ藤戸:ありがとうございます。最後に、今後アジケに期待することがありましたら、ぜひこの機会に聞かせてください。
SMBC岡崎さん:デザインシステムに関しては、まだまだ大きな課題がたくさんあるので引き続き一緒に取り組んでいきたいですね。
SMBC森川さん:私たちインハウスデザインチームに加え、当行の企画担当者と一緒にプロジェクトを進めていく中で、デザイナー以外のメンバーなど、多くの人を巻き込んでいくのにご協力いただけたらうれしいです。
アジケ神田:SMBCさんのデザインシステムに関する一連の取り組みは、日本国内の企業の中でもかなり最先端であり、今後さまざまな企業のモデルケースになるのではないかと思っています。私たちも引き続き、デザインパートナーとして伴走させてください。
顧客目線に立った事業課題の解決を——座談会を終えて
今回はSMBCインハウスデザインチームのみなさんが注力している継続的な取り組みのうち、「デザインシステムの社内への浸透・積極活用」のための施策に関するプロジェクトについてメンバーと共に振り返りました。
アジケでは本プロジェクトのように、デザインパートナーとしてチームでお客さまに伴走し、顧客目線で事業課題を解決し、ユーザー体験の向上やサービス価値の創造・向上に貢献を目指しています。
💡本プロジェクトの背景については、SMBCさんのnoteでも紹介されていますので、ぜひ合わせてご覧ください。
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