【韓活韓国語のすすめ】これが「韓活韓国語」の世界です!
韓国語の前に敢えて「韓活」という言葉を付けました。
韓活とは、
韓国料理を食べる
韓国に関するニュースを見る・本を読む
Kコンテンツを楽しむ
推し活をする・SNSで推し活を共有する
Kファッションを楽しむ・Kコスメを利用する
新大久保・鶴橋などのコリアンタウンを散策する
韓国の知り合い・友人とコミュニケーションする
…
といった韓国・韓国文化に関わる活動全般を指したもの。韓活韓国語は、こうした活動をする人にマッチした学習コンセプトという意味です。
今、韓国語を学びたいと思っている人は、「みんな何かしらの韓活は当然してるんじゃないの?」と思ったかもしれません。そんなことはありません。たった20年ほど前でも、外大に集う学生の大半は語学そのものが好きか得意な人たちであり、文法構造を理解することに萌えても、その国の大衆文化には興味なし、なんて人はざらでした。
ある言語を学ぶことと、その国に絡む何かしらの活動を頻繁に行うこととが、必ずしも結びつかないのが、それまでの外国語学習だったのです。そのため、外国語が好きな人たちが得意とする、言語の文法構造の理解と運用が、外国語学習の典型的なスタイルとなってきました。大学を離れた後も第二外国語(英語以外の外国語)を学びたいだなんて、仕事などで強制的に学ばされるか、そもそもの外国語好き・得意な人たちでないとありえないことだったろうと思います。
ところが、目下の第4次韓流ブームでは、外国語が好き・得意に関わらず、韓国語を学びたいというニーズが発生しました。Kコンテンツや推し活をたしなむ人であるならば、言語を学ぶ前から、ある程度その国の言語にも耳が慣れ親しんでいる状態です。かつてのフランスブームの仏活(?)が、パリに渡航しショッピングを楽しみカフェでまどろむことだったとすれば、今はスマホのYouTubeの画面を開くだけで、子供からシニアまでいとも簡単に韓活(韓国に限りませんが)を行えます。
グローバルなプラットフォームが揃った時代背景もあって、現在の韓国語学習熱は、これまでの日本にかつて到来したことのないような大衆的な学習欲求となっていると考えています。
ところが、現況の韓国語学習法では、先ほどの言語得意人間が考えた言語構造理解・運用コンセプトが続いています。学習に追いついている、ゆっくりでもステップを上がっている実感のある人は、気付かないかもしれませんが、外国語学習が好きでない・得意でない人にとって、言語構造理解・運用コンセプトは絶望的なコンセプトです。こういう人達は、「韓活は大好きだけど、韓国語学習は何か違う」という漠然とした違和感を覚えていることでしょう。
そこで、新たに発生した大衆化した韓国語学習欲求に応えるのが、韓活学習法です。
このコンセプトは、主に次のような考えで成り立っています。
〇「専門的な語学教育」から「大衆的な教養教育」へ
韓国語学習の現状ですが、「趣味」として学ぶ「教養教育」と、学校に所属し膨大な時間とお金というコストをかけて行う「専門的な語学教育」とが現在、ほぼ同じカリキュラムになっています。「大衆的な教養教育」としての韓国語教育の開拓が必要だと思っています。
〇「言語のみ」から「言語+文化・文脈」へ
コミュニケーションは言語だけでなされるものではなく、人間関係やシチュエーションと複雑に絡み合っています。現況の学習コンセプトでは、文化は言語のおまけ(書籍ならコラム扱い)、あるいは言語を習得した後に独自に学ぶ立て付けになっています。ここでは、言語と文化をセットで学ぶことを提案していきたいと思います。そのため、これまでの韓国語学習は「言語学的アプローチ」が中心でしたが、「異文化コミュニケーション・言語人類学的アプローチ」を取り入れたいと考えます。
〇「ネイティブ」ではなく「フィールドワーカー」を目指す
昨今は、既存の文法力に、発音力をプラスして、ネイティブを目指そうとする学習スタイルが見られるようになりました。いいことじゃない? そうですね。言語構造理解・運用コンセプトよりは、一歩大衆化したといえるかもしれません。しかし、ネイティブ並みの発音能力を身につけることは、ある年齢を過ぎると急激に難しくなっていくことを皆さんご存じのはず。年齢的な制約を受ける発音よりも、同じ時間やお金のコストをかけるなら、オトナならではの思考力や分析力を生かした気付きと関連付けの学びを提案したいと思います。
〇「検定試験合格」ではなく「自分が分かりたいことを分かるようにする」が目標
試験合格を目標に頑張ること自体は素晴らしいことで、私も検定が無名だった10年以上前から学生に対して受験を推進してきた側です。しかし昨今は、検定のマイナス面の方が目に付くようになりました。特に気になるのが、「検定対策のための過度にマニュアル化された学習内容」と「学習者の序列化」です。合格級によって序列化されたSNSの学習アカウントは、受験勉強的学習が苦手な人を萎縮させています。検定試験が、韓国の教育問題でもある「受験産業」や「スペック化」に取り込まれているように感じるのです。また、検定試験は一般的な技能の習得度を認定するもの。いわば、試験側があらゆる言語世界の中から、より「一般的」と思われるものを「正道」だとして一方的に切り取っているので、Kコンテンツなどの「専門性」のある言葉は「邪道」だとして除外されています。だから、「韓国語の勉強サボってドラマ観ちゃった」というつぶやきが見られるわけです。でも、これは「サボり」でも何でもありません。そのKコンテンツが分かりたくて勉強しているのですから、むしろ正道です。検定対策のほうが邪道といいたいくらいです。検定試験は自分の到達度を確認するためにうまく利用するものであって、支配されてはいけません。あなたは、自分の目標を見失っていませんか?
〇「単語の暗記」から「語彙のニュアンスの理解」へ
単語のスペルを暗記しようと悪戦苦闘する人を多く見かけます。でも、小テストを受けるのでもない限り、スペルは事前に調べてから書けば済むこと。ITを活用すれば、文章のスペルチェックですら一発で行えるのが現代社会です。(おそらく検定試験対策として)早くたくさん暗記したいがために、単語を1つの訳のみで覚えることがありますが、その覚え方では、小テストや検定試験では役に立っても、使える単語にはおそらくなりません。慌ててたくさん暗記するよりは、1つの単語をじっくりとニュアンスまで理解し、使える単語にしていくことのほうが有効です。
〇「正解がある世界」から「正解がない世界」へ
文法学習は、〇×の世界で構成されています。こうした「正しさ」を追求した結果、窮屈な学習に疲れて脱落してしまう学生を見てきました。さらに、現実世界には、必ずしも正解はない、というより正解がないことのほうが多いものです。なのに外国語学習は「正解」に縛られ、答えが曖昧な事柄は参考書やテストから消されてしまいます。その結果、「全ての事柄には正解がある」と学習者はさらに勘違いすることになります。文法にもスペルにも発音にも単語の使い分けにも、ゆらぎがあるのが現実です。「答えがない世界は怖い」と恐れるのはやめましょう。「答えがない世界で考えること・体験すること」にこそ価値があります。
〇「使える」から「“超”使える」へ
テキストを見て、「これは使える!」「使えない!」という評価をときどき見かけます。カチコチな教科書的例文ではなく、日常感のある例文を指していることが多いようです。しかし、いずれにしても、テキストの言葉は「自己発信に使うための言葉」に限られていることに気付かされます。私という外国人が遭遇しうる言葉に限定されてしまっているのです。もし、学習者が女性で推しが男性だとして、推しの言葉を理解したくて韓国語を学ぶのだとしても、男性の言葉遣いは学べません。学習者が使う言葉ではないからです。「推しを知る」が目的なら、自己発信のための学習から飛び出してこそ、本当に「使える」学習になるのです。
少しはコンセプトをご理解いただけたでしょうか。また後日、一つずつ詳しく説明していきたいと思います。