「君は、ちゃんと現実にいるよね?」
11/6。
5:13起床。
天気は曇り。
*
最初に、1時半に起きた。
次に、3時に起きた。
その次は、また1時に起きた。
あれ? と思っていると、それは夢だった。
そして最後に、5時に起きた。
ああ、頭がおかしくなりそうだ。
(もともと「おかしい」とか、そういうのはいらないよ。)
一度時間が巻き戻った(ような感覚に襲われた)ので、今がいつなのか、ここがどこなのか、わからなくなる。
タイムスリップって、こんな感じなのかな……。そんな、わくわくするようなもんじゃないけど。(そもそも、タイムスリップってわくわくするもの?)
ぼくは、ちゃんと現実にいるよね? それすらも、怪しんでしまう。だって、夢の中にいるときは、「これが夢だ」って気付くことは少ないから。
でも、さすがに夢の中で何かを書いたことはないから……これは現実だ。たぶん。おそらく。これが、初めて夢の中で書いた何かかもしれないけど。
もしそうなら、誰が証人になってくれるんだ……。君は、ちゃんと現実にいるよね?
ああ、でも。すすっている白湯があっという間に冷めていくこれは。たしかに現実だ。ぼくの夢はとんちんかんだから、たとえ白湯が登場しても、ずっと煮えたぎっているだろうから。
……なんて、ぼくはまだ、手の平で踊らされている?
何に?
夢に?
すなわち、自分自身に?
ぼくは、ぼくに騙されている。
なんてこった。
最も騙されたくない人間に、騙されているなんて。
「夢の中くらい、いい思いをさせてくれないかな」
ぼくは、誰にともなくいう。
もちろん、返事はない。
その代わり、誰かがけらけら嘲笑うのが聞こえる。
嘲笑っているのも、ぼく?
「黙れよ」
そういってみても、静かになる気配はない。
ぼくが、ぼくにいっているのに。
ぼくは諦めて、すっかり冷めてしまった白湯をすする。現在、5時56分。大丈夫、大丈夫。ここは、ちゃんと現実だ。
「本当にそう思ってんの?」
「うるせえ」
どこの馬の骨だかわからない……いや自分自身なんだけど、とにかく、そんな奴のからかいなんて、無視だ無視。
だって、ぼくは現実に「いると思う?」
……あれ?
今、喋っているのはどっちだ?
これは、現実にいるぼく?
それとも、夢の中から嘲笑っているぼく?
ねえ、
君は、ちゃんと現実にいるよね?
*
「僕だけが、鳴いている」
これは、
ぼくと、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。
連載中。