一日が終わるとき、物語が始まる
11/4。
4:48起床。
天気は曇り。
*
ぼく「あ」
パートナー「あ?」
ぼ「小栗虫太郎の『黒死館殺人事件』!」
パ「なんか、聞いたことある」
ぼ「日本の三大奇書の一つだよ。残りは、夢野久作の『ドグラ・マグラ』と……あれ、なんだっけ」
店主さん「(中井英夫の)『虚無への供物』ですね」
ぼ「あ、ありがとうございます」
店「同じ棚にありますよ」
ぼ「あ、本当だ」
パ「本当だ」
そんな一幕が、昨日初めて訪れた本屋さんであったのでした。
昨日は、ぼくが以前ぷらぷら散歩していたときに見つけたお店に、パートナーをご案内する日だった。
その一つが、鳥取県米子市にある『小吉文庫 古書とコーヒーのお店』なのでした。
コーヒーが大好きなパートナーもさぞ喜ぶだろうと、やって来たこのお店。ひとまず店内をぷらぷらすると、「これは、いいお店だ」ともう決めつけてしまうのだった。
ぼくが本屋さんを「いいお店」というときは、自分好みの本がめちゃめちゃあるときです。(ああ、なんとわかりやすい。)
ぼくの敬愛する吉田篤弘さんの本が、ずらりとあるではありませんか。それに、奥さんの吉田浩美さんとのユニットであるクラフト・エヴィング商會の本も……。それに、ずっと欲しかった梨木香歩さんの作品集まで……。装丁がずっしりしていて、うっとりしてしまう。
それぞれの棚で個性があり、パートナーとキャッキャッしながら物色に次ぐ物色。
パートナーの好きなヤン・シュヴァンクマイエル(チェコのアーティスト)の作品集もちらほら。ぼくもきっと、パートナーと同じ顔をしている。
あんまりキャッキャッしていたものだから、店主さんに「色々とご存知なんですね」とお声をかけていただく。わーい、褒められた。
ぼくは、吉田篤弘さんの『圏外へ』という本を購入し、あとカフェオレを注文する。パートナーは、ブラックコーヒー。
一応お砂糖はもらっていたけど、どうやら必要なかったみたいだ。カフェオレとはいえ、こんなに飲みやすいコーヒーは初めてだ。
ぼくはカフェオレにうっとりしながら、『圏外へ』をうっとりしながら読み始めたのだった。ああ、やはり吉田篤弘さんの小説はすばらしい……。
一篇読み終えたところで、「帰ろ帰ーろ、おうちに帰ろ」の時間になったので、「また来ようね」とパートナーと約束し、お暇したのでした。
ところで、アパートに帰ると、外廊下の階段のところに、トランプが落ちていた。そして、軽率に拾った。ダイヤのクイーン。なぜ、こんなところに……。
「なにかの前触れかしらん」
こうして、物語の始まりのように一日が終わるのだった。
圏外へ/吉田篤弘(2009年)
拾ったトランプと共に。
*
「僕だけが、鳴いている」
これは、
ぼくと、ドッペルゲンガーのドッペルさんの話。
連載中。