I,MY,ME,MOTHER(M(OTHER)/ササノマリイ)
「君と出会えたから、僕はもう一度生まれたんだよ」
なんていったら、君は笑うかな。
*
『MOTHER』
母の日にちなんで……というわけでは、もちろんなく。「母親」を意味する『MOTHER』は、ここでは、あのファミコンソフトを指します。はい。
ちなみに、僕は未プレイだ。プレイしたいとは長年思っているんだけど、何せ30年前のゲームなので、ソフトどころかファミコン本体も持っておらず、未だ叶わぬ夢となっている。なので、ストーリーどころか、あらすじすら知らない状態だ。(Wikipediaはあるけど、あんまり見たくない。)
名作と名高いとはいえ、自分が生まれる前に発売されたゲームに、何でこんなに執着しているんだろう。それには、一応理由がある。
『M(OTHER)』
ミュージシャン・ササノマリイが、ゲーム『MOTHER』に捧げた曲。
『M(OTHER)』をYouTubeで初めて視聴したとき、こんなコメントを見つけた。
◆ああ ジョージ!
あなたの つま マリアです。
◆あなたのまつ てんごくに
わたしも いまから むかいます....
『MOTHER』より引用
これは、『MOTHER』に登場するクイーンマリーというキャラクターのセリフ(らしい)。
僕はそれを見たとき、『M(OTHER)』という曲の全てが、このセリフに集約されている気がした。
忘れたい今日を壊して
夢でもいい 君と笑いたい
――『M(OTHER)』より引用
『M(OTHER)』を聴くと、こんな不安にかられることがある。
「大切な人と、二度と会えなくなる。
その日が、実は今日なんじゃないか。」
君がドアを閉めた瞬間。
僕が内鍵を閉めた瞬間。
その瞬間、僕と君の間には、地球と冥王星ぐらいの隔たりができるんだ。大げさだって、思うかな。
でも、君がうちに帰ってくるまで、僕は君の、君は僕の顔を見られないんだ。それって、もしかしたら、すごく恐ろしいことなんじゃないのかな。
ねえ、
君が初めてなんだよ。
自分のことしか考えられなかった僕が、自分以外のことを想うなんて。
きっと僕は、君と出会った瞬間に、もう一度この世に生まれたんだ。
守りたい今日を溶かして
心から 君と笑いたい
――『M(OTHER)』より引用
クイーンマリーのセリフを見たとき、彼女のことを何も知らない僕は、ただ「ちゃんと天国に逝けるといいね」と思った。天国も地獄も信じていない僕だけど、彼女のためなら祈ることができる気がした。
*
「君と出会えたから、僕はもう一度生まれたんだよ」
僕を産んだのは母親だけど、
僕は独りで倦んでいたけど、
君がもう一度生んでくれた。
僕の、MOTHER。
いつも、ありがとう。
M(OTHER)/ササノマリイ(2016年)