第439回 < 2025年もよろしくお願い申し上げます >
2005年にスタートした本コラムも、今年で20年間継続することができました。長年お付き合いいただいている皆様にあらためて御礼申し上げます。2025年が皆様にとって素晴らしい一年になりますことを祈念しております。2025年の干支は「乙巳(きのとみ)」で、植物の成長、拡大を意味する「乙」と、豊穣や金運を司る蛇を表す「巳」が組み合わさっています。この年は、努力を重ねて物事を安定させる縁起の良い年とされているようです。
ここで、昨年の市場を振り返りつつ、2025年について考えてみたいと思います。昨年2024年は、8月初旬に大きな調整局面こそありましたが、1年を通じてみると株式市場はグローバルで大きく上昇しました。一方で、米国10年金利は4%台でのもみあい推移する中、日本の10年金利は上昇基調にあったものの、一部で期待されていたほどの大きな変化は見られず、日米の金利差は依然として開いたままの状況となりました。米ドル円相場は9月に140円をつけたものの、2024年末には157円と7月の円安水準に近づいての引けとなりました。
2024年のプライベート資産市場については、概ね2023年のトレンドを継続したように見えました。IPO市場には回復の兆しが見えましたが、ベンチャー企業の過剰な株価評価調整が続き、VCの資金調達も低調でした。米国では金利水準が高止まりしたため、リファイナンスによる資金調達コストが高く、バイアウト案件について新規取組みはやや低調でしたが、エグジットには回復の兆しが見られました。金利水準上昇に伴いプライベート・クレジットファンドの期待リターンが上昇し、機関投資家資金の流入が続きました。
また、相対的に低金利が継続している日本のバイアウトファンドに対するグローバル投資家の期待が上昇し、国内バイアウトに資金が流入する傾向は継続していました。私たちが活動を行っているプライベート資産のセカンダリー投資の環境においても、2023年のトレンドが継続し、日本の機関投資家の皆様が保有しているバイアウトファンドやベンチャーキャピタルなどのプライベートファンドの持分を売却する動きがありました。
2025年についても、昨年の相場状況から大きな変化は見られないスタートとなっています。しかし、米国においては第二次トランプ政権が発足することによって、地政学リスクは高いまま、関税引き上げなどによる物価上昇が予想されます。一方、高い経済成長の期待できない日本では海外要因による物価上昇はあるものの、金利上昇は緩やかにとどまらざるを得ないと考えられます。結果として、為替は現状の水準から円安方向に動く要素が多いように思われます。市場におけるマネー量は高止まりしており、金融市場に対する流入が持続することから、株式市場については、2023年以降のトレンドを維持して、上昇しやすい傾向にあるものと思われます。
また、前回のコラムでも指摘した、「Public to Private」の流れが当面継続することから、プライベート資産価格の上昇と流動性の増加が想定されます。昨年まで滞っていたPEファンドによるエグジット戦略の多様化、したがってセカンダリー市場の活性化が期待されます。あらためまして、これまでの20年間、本コラムにお付き合いいただき、ありがとうございました。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。