見出し画像

デザインに結びつける心理学7選

その心というのは不思議なもので、その人個人に特有の考え方がある一方で、みんなが同じような考え方をする部分もあります。いわゆる認知バイアスと呼ばれるものはこうしたみんなに共通する心の働きの1つになります。そんなみんなの感じ方に合わせたデザインができれば良さそうです。

以前『行動を変えるデザイン』という本を紹介しましたが、こちらでは、 人の心の働きをデザインに結びつけていくための方法論をメインに書かれていました。 今回ご紹介するのは『インターフェースデザインの心理学』 では、 より具体的に心の働きとそれに適したデザインの指針が示されています。 副題に100の指針とあるように、 100の指針が示されているのですが、 ここでは私の独断と偏見で 選んだ7個の指針ご紹介します。

周辺視野の役割

人の目は目線の中心はくっきりと見えますが、 中心より外側の部分はぼんやりとしか見えません。 そのため文章などを読むときは絶えず目を動かしながら 文字を追いかける必要があります。

外側のぼんやりと見える視野のことを周辺視野と呼びます。 周辺視野はぼんやりとしか見えませんが、より広い範囲を見ることができます。 また、実は感情などに影響与えやすいのはこちらの周辺視野の方なのです。 人間がサバイバル生活をしていた時代、周辺視野は外敵の存在をいち早く発見することに役立っていました。「何か動いた怖い」と言うような直感的な感情の処理により直結しているのが周辺視野と言うことです。

そのため、 ロゴやイメージカラーなど、 ブランドに対するイメージを伝えるものは、この周辺視野に入るように配置するのがベストです。 多くの場合ページのヘッダー部分にロゴが配置されていますが、これにはちゃんとした意味があるのですね。

人は同時に複数の特徴を処理できない

人はマルチタスクが苦手と言う話はよく聞きますが、知覚する情報についても複数の情報を一度に処理することはできません。 カラフルなサイトを見たときに、様々な色が一度に目に飛び込んでくるように感じます。ところが、これらの色を同時に知覚できているかと言うとそうではなさそうです。

様々な色があると、同時に処理できないので、知覚するのに時間がかかってしまいます。つまりユーザにとって負担を強いるようなデザインになってしまいます。逆に、色が少ない場合は違いをすぐに認知することができます。

そのためベースカラーとアクセントカラーのように少数の色を使ってデザインすることで、ユーザーが重要な箇所をすぐに視認できるようになります。

読みやすさと好かれやすさのトレードオフ

文章が表示される1行の長さによって読む速さとその文章に対する印象が変わってきます。 1行が長いほどより早く読むことができます。一方で1行が短いほどよりその文章が好かれやすくなります。

note では左右の余白を多めに取って、1行を短くするようなデザインになっています。 好きになってもらいやすいようなデザインですね。

ブログなどでよく使われますが
文章に適度に改行を入れることで
行をより短くできます。

好かれる文章を書くのであれば、 このように改行を多用するのが良さそうです。 ただし同じ時間で読める文章量は減ってしまうので、 伝える情報量を上手くコントロールする必要があります。

人は思い出すのが苦手

「りんご」という漢字を思い出すよりも、「林檎」という漢字を見て、これが「りんご」だと思う方が簡単ですよね。 人は思い出す事は苦手で、 認識する方が得意です。

検索ボックスにキーワードを入力するとき、調べようとしたキーワードをゼロから思い出すよりも、候補が表示されていると「ああ、これだ」となりやすい訳です。

そのため、「検索すれば見つかるからいいや」ではなく、ユーザが求めていそうな情報をサービス側から提示するデザインが重要となります。

人はしょっちゅう別のことを考える

人は何か1つの作業をしていても常に別のことを考えてしまう癖があります。そのため、途中で作業を中断して別の作業を始めることを前提としてデザインする必要があります。

例えば、文章中の見出し等は、 文章に戻ってきたときにどんな内容だったかを思い出すきっかけになります。 このように中断された作業のチェックポイントを用意しておくことが重要です。

また、移ろいやすい注意を逆に利用することもできます。 例えば、サイドバーなどで文章の横にメニューを表示しているサイトは多くあります。これは、ふと文章から目が離れたときに「そうそう、こういうことも気になっていたんだよ」 と別のトピックに移ってくれる効果が期待できます。

集中力の寿命は7〜10分

人の集中力はあまり長く続かないということが知られています。 具体的には集中した状態は7〜10分程度しか連続してもたないようです。

人が1分で読める文字の数を400文字程度とすると、2800〜4000文字程度しか一度に連続して読めないと言う計算になります。noteや ブログを書くときはこの辺の文字数を意識して書いた方が良さそうですね。

それよりも長い時間、 集中させたい場合には適度に休憩や話題を変えるなどの工夫を入れる必要がありそうです。

何もしないで待つのは嫌

空港ではよく長い距離を歩くことになりますが、歩かずに同じ時間待って荷物を受け取るよりも、 同じ時間歩いて荷物を受け取った方が好ましく感じるようです。 人は何もしないで待つぐらいなら、 何か作業をしていた方が良いと感じるのです。

YouTubeの動画投稿フォームもこれを利用したデザインがされています。 動画はそれなりのファイルサイズがあるのでアップロードまでに数分程度の時間がかかります。 YouTubeでは動画のアップロードを開始すると、すぐにタイトルや概要などの情報を入力する欄が表示されます。 動画のアップロードはその裏で動いていて、投稿者は待ち時間の間に情報を入力することができます。

Chrome でネットにつながらない時に、恐竜のゲームで遊べるなども同じようなデザインの工夫と言えます。

まとめ

インターフェースデザインの心理学』で紹介されている100の指針の中から、 個人的に面白いと思った7つについて紹介しました。 ここで紹介したもの以外にも実にたくさんの指針が示されていますので、興味を持たれた方はぜひご一読してみてください。


この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?