自己紹介③ 新入社員編
本日は新入社員時代のお話を。
私は2019年4月に満を持して、輸出入をメインとする貿易商社に入社した。1950年代に設立され、社員は約40名ほどの中小企業だ。私の入社動機は、グローバルな展開を見越していることと、祖父の強大な人脈を使い倒し、規模の大きな仕事をするためで、決して社長や上司の人柄に魅力を感じて入社したわけではなかった。しかし、これが間違いであった。
入社して間もなく、私は中期経営計画の発表会議に参加した。中期経営計画とは、5~10年を念頭に設定された経営ビジョンを実現するために、中期(3~5年)ですべきことを明確にしたものである。 売上や利益目標、ROEなどの定量的な数値を用いて、現状の課題と今後の行動を明確化するのが目的だ。私にとってはこれが初めての会議であったが、悪い意味で度肝を抜かれた。
まず、各部門ごとに20分程度の発表時間が与えられていたのだが、すべての部門が制限時間通りのプレゼンを行えていなかった。大幅に時間を持て余す部門と大幅に時間をオーバーする部門。私の眼は点となり、唖然とした。そしてその中身は実にお粗末なもので、定量的な数字を用いず、現状の課題と今後の行動計画さえも作っていない部門もあった。また、スクリーンに映し出される資料は私が1時間もあれば作れる程度のものだった。準備不足の極みである。上司とされる人たちは私の質問にさえも答えることができず、それについては後日回答するとのこと。国会かと思った。
入社して一週間ほどであったが、私は退職を決めた。社にとっての重要会議に準備不足を極める人が上司とされる環境にゾッとしたからだ。しかし、試用期間である半年間はスネをかじって固定給をもらい、その間に独立の準備をすることも同時に決めた。
勤務は平日の9~17時で、勤務時間内は仕事という名の雑用に精を出した。雑用仕事にビジネスチャンスが数多く眠っていると思い、些細な雑用も真摯に取り組んだ。勤務時間外は勉強と人脈の形成に励んだ。
社内での雑用仕事以外に上司の営業同行も仕事のひとつだった。客先オフィスでの立ち振る舞い、フロントトーク、話の間の取り方、トナリティなど盗めるところはすべて盗み、また不得手なところは反面教師とした。
このように勤務時間内にも最大限学びを得ようとしたが、この半年間は実に苦痛だった。この時、職種で選ぶことよりも人で選ぶことの大切さを身に染みて実感した。就職活動中に耳にタコができるほど聞いた言葉ではあったが、人はやはり体験して初めて勉強する。これはこの先の人生の指針になるだろう。
そして、2019年9月末日に私はこの会社を退職した。
結局海外に行くこともなく祖父の顔には泥を塗ってしまったが、全く後悔はしていない。この半年間は新たな気づきと今後の自分の軸を教えてくれた。
退職後~現在までの話はまた明日。
まとめると、コアラは主食であるユーカリにふくまれる猛毒の解毒のせいで一日中寝ているらしい。