#69 光の前にある「4つの式」
米国ボストン市にあるマサチューセッツ工科大学(MIT)を訪れた時に売店で購入したシャツを部屋に飾って、普段眺めています。理科系の方には、これのオモシロさが伝わるのではないでしょうか?
ロゴマークは必要?
初めてMITを訪れた時、お土産物を買おうと思った時、MITと大きな文字で書かれたトレーナーと、ロゴマークがついた小物をいくつか買って帰国しました。その時、トレーナーの横に、この写真のTシャツがあるのに気付いたのですが、”どこで買ったものかがパッと見てわかるもの”がなかったので買わずにいました。しかし、帰国してから、大いに後悔しました。よくよく考えてみたら、このTシャツの方が「MITらしさ」にあふれています。
保守系の総本山の隣で進歩的?
MITから地下鉄ですぐ近くに、これまたアメリカの伝統校ハーバード大学があります。理系のエリートと文系のエリートが隣り合っているのは、アメリカ建国にゆかりのある土地柄からすれば当然かもしれません。西欧の大学の最初にできたのは神学でしょうから、キリスト教精神にあふれた保守的なエリートが多いと思われます。MITはノーベル賞受賞者を多く輩出し、理科系の”進歩的”な考え方を持つ人もいるでしょうから、ちょっと異色かもしれません。
「光の方程式」が「光」より先にありき?
混沌した世界に、最初に光ありきと聖書に書かれているようですが、光(可視光)は電磁波のある波長範囲のもので、電界と磁界が相互作用し、物理での関係式を満たしています。マクスウェルの方程式の4つの式は、微分や積分の形式で書かれています。あのTシャツ、「4つの積分方程式があってから、光があった。」と書いてあります。こんなことを書いて隣のハーバード大学の聖職者の方々から怒られのないかと、こちらがヒヤヒヤしてきます。そうっ、これが「MITらしさ」だと帰国してから気付いて、地団駄(じだんだ)を踏んだのでした。
2度目に手にした「光の方程式」
国際会議がボストンで開催されたときに、2度目のMIT訪問の機会がありました。迷わず、マクスウェルの方程式が書かれたグッズをいくつか買いました。それからしばらくは、光ファイバの中の光の伝搬に関する講義の時に、このMITのシャツを着て講義を何回かしたりしていました。学生さんからは、「???」と暖かい(冷たい?)視線を集めました。(試験のときには当然きて行けません。)
「らしさ」とは?
ロゴマークやデザインに凝れば、「○○らしさ」が簡単に伝わりそうですが、ホンモノを伝えるには「ひとひねり」した「クスッ」と思える機智(きち)に富んだものがいい気がします。(でもこれが、一番難しいのですが。)
さて、次にこのTシャツを着る講義は、、、 早く対面授業が再開するのが待ち遠しい今日この頃です。