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オリジナル製品の設計開発 / 研修課題

皆さんこんにちは。機構設計エンジニアのOです。
私は未経験で2024年8月に入社し、入社後の3D-CAD技術者育成研修を終え、オリジナル製品の設計開発演習に取り組みました。
今回は、私が研修で作成したオリジナル製品についてご紹介します。
制作期間:実働38日間(9月13日(金)~11月6日(水))


1.製品概要

製品名は「マーブルマシン」といいます。マーブルとはビー玉のことで、ビー玉が転がる機械になります。

完成品

2.製品コンセプト

まずは「何を作るか」の前に、この研修期間に於いて「何をやりたいか」を考えました。受託設計室には3Dプリンタやレーザー加工機等の設備があり、経験豊富な先輩方から知恵をお借り出来る環境があるので、今までやったことが無いことに挑戦しようと思いました。
製品に入れたい要素として「歯車」「チェーン」「モータ」の3つを軸にしました。歯車は元から好きだったので入れたい、チェーンはプロジェット(光造形の3Dプリンタ)で作れると聞いたから、モータは扱えるようになったら作れる製品の幅が広がると思ったからです。
これらの要素を入れた製品は何があるかと考えた結果マーブルマシンに辿り着きました。

3.初期の構成イメージ

部品ユニットは大きく分けて「ボールが転がる」と「ボールを持ち上げる」の2つがあります。ボールを持ち上げる部分はモータを使用し、自動で循環する仕組みにしました。持ち上げる機構を「カム階段」「ホイールリフト」「コンベアチェーン」の3つを考えました。
また、ビー玉は寸法の精度が低い為SUJ2製の精密ボールを使用します。

4. ユニットの構成

・カム階段
カムを交互に配置し、従動節が交互に動きます。8㎜の上下運動で次の傾斜段に乗り継ぎながらボールが登っていきます。このカム機構を支える柱を建て、かさ歯車で動力を伝達させます。
ベアリングはプロジェットで自作しました。

・ホイールリフト
歯車にボールが入る凹みを作り、その凹みが下に来た時ボールが入り、上に行くとボールが外に転がるように傾斜を付けています。また、途中で落ちないようにアクリル板で保護しています。
見た目を華やかにするために遊星歯車を追加しました。

・コンベアチェーン
チェーン、スプロケットはピッチ12.7㎜の規格を参考に作り、一部光造形出力用の形状変更を行い、プロジェットで出力しました。
チェーンの外リンクにコンベア箱を取り付ける穴を2個飛ばしで追加しました。引張コイルばねをテンション用スプロケットに取り付け、常にチェーンを張るようにしました。

・動力伝達軸
モータの回転数を3分の1に落としながらトルクを上げ、それぞれのユニットに動力を伝達します。
モータは単三乾電池2個、電源スイッチで動かします。

・全体図
各ユニットを配置し、それぞれに繋がるレールを付けたらボールが循環する経路の完成です。
その他、土台に内蔵できるボールの収納BOXや安全カバーとしてアクリルBOXを付けました。

5. ボールの移動経路

①    土台に掘った溝にボールが入り、コンベアチェーンの箱が黄色い
   部品を伝って掬い上げる
②     レールを伝ってホイールリフトへ
③     青い歯車は時計回りで、オレンジの歯車は反時計回りで進む
④     ホイールリフトからカム階段へ
⑤     カム階段の周りに付けたレールを伝って下っていく
⑥     螺旋状のレールから土台の溝に進み、①に戻る

6.感想

 研修課題の開発プロセスを通じ、一連の設計工程を学ぶことができました。構想段階で狙っていた動きが上手くいったときの感動や思い通りに動かない難しさを体感し、設計者としての成長を実感できた気がします。
 一方で、強度計算や樹脂製品に関する知識が足りないことを痛感し、部品選定では「多分これで動くはず…」と自信が無いまま購入していました。今回は結果的に動いてくれましたが、実際に組んでみないと分からない部分が多くありました。今後の課題として改善していきたいと思います。
 受託設計室の設備を使わせてもらい、プロセス毎のDRでアドバイスをいただき、企画構想から完成まで充実した研修期間になりました。この研修で学んだことを配属先の現場で活かしながら、エンジニアとして成長していきたいです。
 最後までお読みいただきありがとうございました。


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