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社福経営者向け|今後のことを考えて「国庫補助金等特別積立金」のことをしっかり認識しておく必要がありませんか?

すべて私見です。

社福経営者向け|今後(まずは地方の保育所・こども園など児童福祉施設から)全国的に大きな問題になると危惧していること:「国庫補助金等特別積立金」の取扱1|村木宏成/Hironari Muraki (note.com)

こちらのnoteでは、国庫補助金等特別積立金の財産処分の通知について、シュリンクしていく人口などの現状に則してないのではないか。今後事業の撤退や廃止をしたときに多額の国庫納付(返納)が発生するのではないか、またそれによって事業継続が困難となる法人がでてくるのではないか、という懸念とともに、理由や事情を考慮するべきではないか、ということを書きました。


そもそも「国庫補助金等特別積立金」とは

ご存知の方も多いと思いますし、会計の専門家でもありませんので、ざっくり説明しますと、例えば施設整備のために補助金をもらって建てた施設は、固定資産として計上し、法定耐用年数にて減価償却していきます。その施設整備の建設費のなかの補助金分を「国庫補助金等特別積立金」として計上して、その分を同じように毎年取り崩していきます

国庫補助金等特別積立金 | 小林会計事務所 税理士小林広樹 (kobayashi48.jp)
こちらのサイトでとてもわかりやすく解説されています。

社会福祉法人会計基準では、「国庫補助金等特別積立金」の勘定科目は、貸借対照表の「純資産」

社会福祉法人会計基準では、国庫補助金等特別積立金は純資産に計上されている。
なぜこの科目に計上されているかは、専門家ではないので分からないが、いただいた補助金を目的物の耐用年数に応じて按分する必要があるのと、事業が存続している限りは、返済の義務が生じないということもあるのではないかと、素人ながら思っています。

上にも書いたとおり、毎年この国庫補助金等特別積立金はそれぞれ使われた目的物での法定耐用年数に応じて償却されており、それが国庫補助金等特別積立金取崩額として計上されている。

純資産で計上されている国庫補助金等特別積立金だが、事業からの撤退・廃止をしようとすると、場合によって返納義務が生じることになる

経営者の皆さんとお話していると、「うちは借金がないから」という話をよく耳にします。それは金融機関や福祉医療機構(WAM)からの借り入れがないという意味で使われます。

しかし、補助金をいただいて、その対象となる社会福祉事業をやっていたとします。そしてそれがまだ法定耐用年数内であれば(償却・取崩しが終わってなければ)、もしその事業を廃止しようとすると、国庫補助金等特別積立金の残存年数分を納付しなければならなくなるかもしれません。

10年以上経過していれば、指定された事業への転用はOKという見直しはされたが・・・

平成20年に見直しが行われ、10年以上経過して厚生労働行政関連事業への転用をするのであれば、国庫納付の条件を付さないという緩和も行われました。また転用する事業も多岐にわたっており、厚労省関係の様々な事業が転用してもいい事業となっています。

ただしこれからの人口減少の時代に、転用を図ろうと思っても、例えば保育所から介護施設へ、というのはノウハウや職員の専門性の問題もあってなかなか難しい。

補助金の財産処分の説明は下記資料を参照してください。こちらは令和元年の資料で古いですが、図で解説してくれており、見やすいです。
国庫補助金の取扱について

さらに厚労省とこども家庭庁のそれぞれの財産処分に関する通知も下記に載せていいます。最後の方に転用の対象事業が一覧となっています(こちらのほうが最新に近いです)。

厚生労働省所管一般会計補助金等に係る財産処分について

厚生労働省所管一般会計補助金等に係る財産処分について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

こども家庭庁所管一般会計補助金等に係る財産処分について

厚労省近畿厚生局ホームページより

「国庫補助金等特別積立金」は納付義務が生じるものに変化する可能性があることをちゃんと認識しておく

上記を見ていただくと分かると思うが、今の通知ではニーズがない、職員がいない、続けたくても続けられない、など財産処分に至ったやむを得ない事情や理由は考慮されないものになっている。
(冒頭にリンクはその問題を指摘したものだ)

その補助金をもらっている建物等を取壊しや廃棄の財産処分をすることがあれば、そういった理由は考慮されずに、国庫納付(返納)の対象となることをしっかり私たちはしっかり認識しておかなければなりません。

将棋の駒のように、それまで「純資産」となっているものが、ある日突然(ではないが)「返還金」に変わる可能性があることを、これからの時代は私たちはちゃんと認識しておきましょう。

以下のリンクも読んでみてください。全部社会福祉法人の経営者向けです。

令和6年の介護報酬改定への意見はこちらです
社福経営者向け|令和6年の介護報酬改定への意見1:適正利潤、再生産コストの議論がない|村木宏成/Hironari Muraki (note.com)

社福経営者向け|令和6年介護報酬改定への意見2:食費、居住費の自由化、弾力化または自動スライド化の議論を|村木宏成/Hironari Muraki (note.com)

生産性向上の議論で感じていることです。
社福経営者向け|生産性向上のための様々なICT機器がすべて独立して存在している問題について【2024報酬改定の所感】|村木宏成/Hironari Muraki (note.com)

政策金利の上昇と財政当局への影響と社会福祉法人経営をつなげて考える
社福経営者向け|政策金利が上がっていく今、法人経営と財政当局への影響について考えてみる|村木宏成/Hironari Muraki (note.com)


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