【note商店街】気まぐれ写真ギャラリーぽこねん #003「雨あめふれふれ」展
コロン、コロロン。
ここのところつづく雨で、バンブー製のドアベルもなんだか湿気を帯びた音がする。
お客「いやぁ、ふりますねぇ」
店主「ですねぇ」
お客「こう雨ばかりじゃぁ、たまりませんなぁ」
店主「ほんとにまあ、おいしそうで。たまりませんなぁ」
お客「へ? おいしそう?」
店主「いや、雨がふると、緑に水滴がのっかるでしょう。わたし、葉っぱのうえにのったあの、まるっころい水滴がたまらなく好きなんですよ。なんかあの……ぷるっ、とした感じが水まんじゅうみたいで」
そう言って店主は、壁にかかった写真を軽く指さした。
お客「あいかわらずだねぇ、ぽこねんさん。頭の中はたべもののことばっかりかい」
店主「ええ、ほんとうに、おいしそうですよね。こう、ぷるっと」
お客「うん、話きいてないのもいつもどおりか。まぁ、じゃあ、ちょっと見ていくよ。雨、すごいしね」
店主「はーい、ごゆっくり」
* * *
「雨あめふれふれ」展
洗濯物はかわかず PCも不機嫌
くせ毛はここぞとうねる
湿度たっぷりの 雨の日
でも そんな日には
なんてことない 道ばたの景色が
なんだか特別にみえてくる
見慣れた いつもの道で
今日だけ出会える
つやめいた世界
雨の日には 雨がみせる景色を
晴れの日には 晴れがえがく世界を
どうぞ 楽しんで
* * *
お客「あ、ぽこねんさん、ぼく知ってますよ。この前、nuricoさんからりんごのドライフルーツをいただいていたでしょう。しかも、手作りの」
店主「ええっ、なんで知ってるんですか。おかしいなぁ。なぜか、わたしがだれかからおやつをいただくと、みんなにバレてるんですよね……。どこかで見られているのかなぁ。うーん」
お客「まぁまぁ、こまかいことは、いいじゃないですか。ひとつ、味見させてくださいよ」
店主「わかってますよう。飲み物はどうします? 合わせるならシンプルな紅茶なんかおすすめです。ダージリンのストレートとか」
お客「うん、じゃそれでおねがいします」
* * *
ほどなくして、店主が紅茶を入れてもってきた。
受付カウンター裏のおやつ棚からビンをとりだし、中に入っていたりんごのドライフルーツを、木のお皿に出してくれる。
店主「はい、どうぞ。ごゆっくり」
お客「どうも。いただきます」
まずは紅茶をひとくちすすり、ホッ、と息をつく。
りんごのドライフルーツを手にとる。
手作りならではの心地よい厚みが、なんだか優しい。
噛みしめると、りんごの自然な甘みが口のなかにじゅわ、と広がる。
どこかなつかしい、おひさまの味がしたようだった。
(おわり)
* * *
『手作りのりんごドライフルーツ』は、前回のマガジン投稿で、お客さんのnuricoさんからコメント欄にいただいた(架空の)差し入れです。ほどよい歯ごたえ、おいしかったなぁ。nuricoさん、ごちそうさまでした♪
ギャラリーへの架空おやつの差し入れは、コメント欄からお気軽に(^^)気が向いたらこんなふうに、作品のなかに登場するかもしれません〜。
お気に入りのおやつ、教えてください。お待ちしておりますー。
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