開発ストーリー#10 アイデンティティを表現するロゴデザイン
壁を傷つけずに、好きな高さに美しい空中棚を取り付けられる「AIR SHELF(エアシェルフ)」。 このnoteでは、AIR SHELFができるまでのブランドストーリーを具体的に発信していきます。
みなさん、こんにちは。
AIR SHELFのブランドマネージャーを担当している大川と申します。
前回までは、ユーザーとブランドの大事な接点である「ブランド名」の作成過程についてご紹介させていただきました。
数百の案を出した上で、最終非常にシンプルな「AIR SHELF」という名前に落ち着きました。個人的にはシェルフのクリアなイメージが伝わりやすかったり、覚えやすいといった点で、とても気に入っている名前です。
ブランド名が決まった後にすること、それがロゴ制作です。ブランド名と共にユーザーが接する大事な要素のひとつです。WEBやSNSで家具を探したり購入したりする際にも常に目に入る情報ではないでしょうか?
AIR SHELFは新規ブランドなので、最初はユーザーとの数少ない接点の中で、ブランド名やロゴ、商品をしっかり覚えていただく必要があります。
アートディレクターとの出会い
ロゴなどのデザインの制作にはクリエイティブな発想が必要になるので、ブランドに共感いただけるアートディレクターの方に参画いただくことになりました。プロジェクト関係者のご紹介でご縁をいただいたのが、summitの齋藤智仁さんです。
齋藤さんにお願いする際に、「こんなデザイナーと取り組みたい」と思う基準はいくつかありました。
ブランド / プロダクトに共感いただけるか
対話しながらデザインを作り上げていけるか
そのデザイナーの制作物を自分たちが素直にいいと思うか
1.は言わずもがなですが、2.に関してはブリーフィングだけを行いアウトプットを受け取るという関係性ではなく、表現したい世界観を徐々に対話しながら一緒につくっていけるか、そして、その工程を一緒に楽しんでくれる方かを基準にしていました。
幸い斎藤さんも「ぜひ、その進め方の方がいい」と仰ってくださり、協業を始める前に東京の試作展示会に他県からわざわざお越しいただき、プロダクトを見ながらブランドの価値について対話する機会を作っていただきました。最初にプロダクトを見ながらじっくり話し合う機会を作れたことで、その後のデザイン制作は非常にスムーズに進められたと思っています。
3.に関しては、平安伸銅工業がコラボ先としてTakramさんとの協業を決めた時と同じです。肩書きや実績ではなく、その人のアウトプットを「素直にいいと思うか」を決め手にしていました。
斎藤さんのデザインを見ていただけると分かると思うのですが、ウィットと柔らかさがありながらもシンプルなデザインをされています。
AIR SHELFはプロダクトもその名前も、シンプルで整然としているため、ユーザーからすると少し冷たい印象を感じてしまうかもしれません。ブランドとユーザーを繋ぐために、冷たすぎることもなく、フランクすぎもしない絶妙な距離感をもったデザインが必要だと思っていました。
その目的に対して、斎藤さんのこれまでのお仕事はとても相性が良いと感じ、コラボレーションを打診させていただきました。
ロゴのデザイン要件の可視化
デザイン制作に入り、はじめに取り組んだのがロゴ制作です。まず、ロゴ案を斎藤さんに複数作成いただいた後に案を絞ってブラッシュアップする形で進めていきました。
デザインのインスピレーションを斎藤さんに持っていただくために、ブランド側から共有したものは以下の通りです。
商品コンセプト
ユーザーイメージ(どういった人に届けたいのか?)
デザイン要件
参考ブランド
1.と2.は、前回のnoteでもご紹介したブランドDNAを基にご説明しました。
3.デザイン要件は、以下のみ指定させていただきました。この要件がロゴデザインの目的になるので、感性的な表現も含みますが、斎藤さんを含めたメンバー全員で咀嚼していきました。
黒ベタで成り立つ
製品に刻印できる
「余白」「間」が大切
棚であることがわかる、伝わるとbetter
製品を連想できる機能性
ただ、デザインのニュアンスは言葉だけでは伝えきれないので、参考ブランドのロゴを参照しながら、「このロゴよりも可読性は高く」「このロゴのデザイン構造はAIR SHELFに近いかも」などと、ディティールを目線合わせしました。
その上で斎藤さんが上げてくださった複数デザインを協議しながら進めていきました。
模索したロゴ案たち
初回提案でお出しいただいたロゴ案たちです。(以下は、一部)
メンバー全員、「どれも良い!」と感じて選ぶのが大変でした。
そこからSNSで使用されたイメージ、WEBサイトで使われたイメージ、パッケージに印字した際のイメージなどを実際に確認しながら、あらかじめ決めていたロゴデザインの目的を達成するためにどの案が適切かを検討していきました。
そしてできあがったのがAIR SHELFのロゴデザインです。
ブランドを記憶いただくために、アイコンではなくブランド名をロゴにすることにしました。文字の角にさりげなくR(=丸み)をつけることで、冷たすぎない印象に仕上げていただいています。
「H」の文字はShelf(棚)を連想できるように横棒を少し延長し、縦棒との接点にすき間を設けています。これによって、ブランド名を記憶できる読みやすさを維持しながらも、プロダクトの機能も連想できるデザインにしています。
ブランド名とブランドロゴが決まれば、ここからはいよいよパッケージやリーフレットの作成に移ります。いずれも、様々な工夫を凝らしているので、その制作過程もご紹介できればと思います。