小説家チャレンジ35日目〜自閉症と生きる〜
JJよ。
昨日はひさびさの「JJ劇場」でした。
2月にはいって、カナダでは飲食店のテイクアウト期間がおわり、やっと営業が再開。
何ヶ月かぶりに、家族で外食しようと夫がチャイナタウンにつれていってくれた。カナダにきてから20年いじょう通っている、なじみの点心の店に行く。
JJと外出するときは、覚悟をきめてから行く。
自閉症と言語発達障害のあるJJにとって、学校と家いがいの公共の場所にいくのは、かなりプレッシャー。いつ、何のタイミングで感情がバクハツしてもおかしくない。
JJはけさ朝5時から起きているので、お昼どきは疲れがではじめる。あまり朝ごはんも食べていない。疲れて空腹のJJは要注意だが、車は道路をはさんだレストランの反対側に停め、ランチを食べれば何とかなりそうだ。
コロナの影響でガラガラの店内。携帯で動画を見ながら、JJは宇宙語を発しつつ、コップの水にお箸をいれたり、水槽を見に行ったりきげんよくしていてくれた。
おいしい点心をいただきながら、なんどもおこわをJJの口元に持っていくが、ずっと小魚のフライをお箸でもちあげるのに夢中で、けっきょく何も食べない。
大騒ぎにならず、ぶじランチを終えられたのは奇跡で、ホッとして地下パーキングにもどる途中、夫が近くにあるJJの大好きなスポットに行ってみよう、と言い出した。
ここから歩いてたった2ブロックの場所に、巨大オブジェを置いた広場があり、そこがJJお気に入りの場所なのだが、去年の夏いらいずっと行っていない。
ふつうに歩けば3分、すぐそこなのだが、わたしはこの目と鼻の先の距離、JJはもたないと思った。
わたしは家族で外出しても、JJのキャパ内ですむようにサッサと引き揚げたがるのだが、夫はJJの可能性を信じて、いつもより長めにモールを歩いたり、少しチャレンジさせる。JJの体力がついてきたのか、それが最近うまくいっていた。
車道に飛びだしそうになるJJを、なんとか誘導して広場にたどりつく。
JJはひさしぶりに見る巨大なオブジェが、心底気にいったようで、空洞になっている作品の中に入ってみたり、はなれて外から見上げたり、あきる様子がなかった。
しばらく遊ばせて帰ろうとすると、JJは頑としてその場を動かず、グミでなだめたり、言い聞かせても全く帰ろうとしない。
仕方なく抱きあげようとすると、体を張って抵抗し、叫びだして地面に寝転がってしまう。
公共の場で、ひさしぶりにJJの自閉症モードが全開になってしまった。もう20kgもある元気な男の子が、全力で泣き叫び、地面をころがり回って抵抗するので、もう私の手には負えない。
JJを誘導しようと、タラちゃんと帰るフリをして道路の反対側にわたっていた夫が戻ってきて、暴れ回るJJを、有無を言わさず担ぎ上げて、2ブロック歩いてくれた。
やっと地下駐車場につくと、家族全員死ぬほど消耗していた。この大惨事について誰を責めても仕方ないので、帰りはみんな無言で、JJの泣き叫ぶ声だけが車内に響きわたる。
空腹と疲れ、緊張がJJ最大のトリガーで、たいていこの3つの要因が、大惨事の引き金になる。
「つかれた」「お腹すいた」「帰りたい」が言えないJJは、こちらのペースに限界までついてきてくれるが、キャパオーバーになった瞬間、いきなり感情がバクハツする。
興奮して泣きつかれて、JJは車の中でねむってしまい、夕方までグッスリ。わたしも朝5時からJJにつきあっているので、限界がきて4時間ベッドで休んだ。
昼ねしたので、JJは夜中まで眠れず、やっと寝てくれたと思ったら、朝は6時に起こされる。
身支度させて7時にデイケアに送り、脚やせエクササイズと腹筋、腕立てしたのち、タラちゃんを送りがてら3km歩く。
帰宅して、イラク風にナスのソテーと目玉焼きで夫と朝食、noteに執筆。
すでにお昼で頭がボーっとしている。
暮らしはまだまだきびしい。
明けがたに、尽きない後悔と恨みと、自己憐憫がおとずれる。
でも、わたしは希望を捨てず、家族のため自分のために体を鍛え、家庭を支える。きょうやるべきことをひとつ一つこなす。
今できることをする。
まだやれることはある。