別れた彼女の置き土産【#半分ろうそく #毎週ショートショートnote】
強いストレスのせいか、なかなか眠れない。
時計の針は、いつの間にか午前二時を指していた。
明かりを付けようと天井から伸びたコードを引っ張るが、カチカチと鳴るだけで反応がない。電球が切れてしまっているようだ。
そういえば、先日別れた彼女が置いていったキャンドルがどこかにあった気がする。その場凌ぎになるだろうと、スマホのライトを頼りに部屋の中を探す。
「あったあった」
海外旅行のお土産と言っていたが、少し変わった形をしたキャンドルだった。特に何も考えずにライターで火を付ける。
灯が点り、室内がぼんやりと照らされた。その刹那、俺は息を呑んだ。
自分の手が半透明になっていたのだ。
慌てて息でキャンドルの火を消そうとしても何故か消せない。
すぐに包装されていたパッケージを確認すると、英語で『halfcandle』と書かれていた。
半分ろうそく?
その裏の説明には和訳でこう書かれていた。
『この商品は、半分ろうそくです。点けると消息を絶てます』
たらはかに(田原にか)様の企画に参加させていただきました。
世にも奇妙な物語風に書いてみました。なんとかぴったり410文字で書けたので、個人的には満足です。