北欧旅行記⑦おまけの読書編
【北欧旅シリーズリンク集】
①準備編
②出発編
③デンマーク編
④フィンランド編
⑤スウェーデン編
⑥帰国編
⑦おまけの読書編(この記事)
旅行…めんどうな準備は、ありがたいことに夫が喜んでやってくれるので、私の準備と言えば荷造りくらいのものである。
その荷造りの中でも一番悩むのが、旅のお供に何の本を持っていくのか?ということ。
準備編の持ち物のところでも書いたけど、「本を片手に自由に世界を旅しながら、思うままに絵や文章を書いて暮らしたい」というからには、数冊の本は必須アイテムなのだ。
今回の北欧旅は4ヶ所の図書館と、数え切れないほどの書店に行けたので、本好きとしては大満足!だったのだけど、合間や移動時間にたくさん読書もできたのでご紹介。
(興味ある人がどれだけいるのかは…さておき)
「それ好きならこれ良いよ〜」とか、何かオススメの本とかあったらぜひ教えて欲しいです。
◯本と旅の思い出
旅の情景とその時読んでいた本は、まるで昔の記憶を思い起こさせる香りのような効果があるなぁと思っている。
忘れられないのが、ハワイの空港の待ち時間に読んだ「きりこについて(作・西加奈子)」という本。
ハワイの気候の温かさやなんともゆったりした時間の流れと、西さんの「はっきりとしてるけどもキツイわけではない、むしろあたたかみを感じる文体」や「リアルな苦しさはあるけど、愛情に包まれたお話」が絶妙にマッチして、旅の良い思い出とともに、心の本だなにしまえる好きな本が1冊増えたわと、とても満足したのを覚えている。
未だに私の中でハワイときりこについては、切っても切れないものになってる。きりこについての表紙を見ると、ハワイの情景や空気感、その時の感情までもが記憶に浮かび上がってくるのだ。
他人からしたら「ハワイときりこについて」は、「メロンと生ハム」くらい「えっ?なにそれ」という組み合わせかもしれないけれど、「自分なりの組み合わせを見つけること」に楽しみがあると思う。
その味を知れば「いや、これとこれ、意外なことに結構いけるんだよ!」と人に言いたくなるもんである。
まぁ、生ハムメロンはやったことないけど、他の人の「おすすめの本と旅先の組み合わせ」は聞いてみたくてたまらない。
さて。旅先でどこを観光するかは、特に希望があれば夫に伝えてスケジュールに組み込んでもらうこともあるけれど、基本的には強いこだわりはないのでいつもお任せコースである。(夫の方がいろいろ詳しいし、おおむね定番をおさえたコースにしてくれるので信頼して丸投げしている。)
だから、私が1番悩むのはこの本のこと。やっぱりいい本を連れていけば、旅の満足度が数段上がるような気がするから。
そこで今回も、北欧旅行に何を持っていくかを悩みに悩んで、5冊選んでみた。一応過去の経験から「5冊くらいがちょうどいいかな」と適当に見積もったので妥当な数なのかは謎。
時間貧乏性なので、本は何かの待ち時間か移動時間などのスキマで読み、わざわざカフェやホテルで読書タイムを設けることはしない。
本当は現地のおしゃれなカフェや公園、小高い丘のうえや海岸などで読書するっていうのをやってみたくはあるけど、どうしても「もったいない」が勝ってしまうのだよ…。(ていうか、そもそもこの旅程でそんな余裕はない。)今回は移動も多いので、5冊いけるかな?
◯お供の本
●「習慣を変えれば人生が変わる」マーク・レクラウ
ルーティンに凝っていた時期だったのでこの本が気になった。この手の本はゴマンとあるけど、なぜか惹かれたので直感に従ってみる。
●「アンネの日記」アンネ・フランク
最近、私は日記とエッセイしか書けない!ということを改めで実感したので、それであれば日記を極めようじゃないかと思って、いろんな日記作品を読んでいる。まぁ、単純に日記形式の読み物が好きっていうのもあるけれど。日記の名作と言えば「アンネの日記」だ。内容も結末もだいたいは知っているが、きちんと読んでみたことがなかったからこれを機に。
●「月と六ペンス」サマセット・モーム
以前Xでちらっとつぶやいたのだけど、
この本の「芸術に取りつかれた天才画家の情熱と狂気・・・」的なあらすじ文が、まさに自分がイメージしてる芸術家像とぴったりで読んでみたくなった。この主人公とは真逆のタイプの、禁欲的で職人肌な芸術家のお話をちょっと書き始めているので、参考にもなればと思って。今回唯一の小説。
●「ちょっとそこまで旅してみよう」益田ミリ
益田ミリさん大好きなのでほぼ著書は読んでいるのだけど、この本はいつか大切に読もうと思ってとっておいた。「今こそこれを使うべき時…」的な、満を持しての積読崩し。益田ミリさんの旅本、おすすめです。「美しいものを見に行くツアーひとり参加」はもう何度も読んでいる。
●「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」ブレイディみかこ
ふと目に入った、この有名すぎる本。
まだ読んでいなかったのだけど、改めて見たら本屋大賞ノンフィクション本大賞なんですね~。実際に経験されたころを書いている作品ということで修行の一環(?)としても良いと思って選択。
もし気に入ったら、続編がすでに出ているので読めるというのもうれしい。本以外のものも大体そうなのだけど、爆発的流行の渦中にある時は興味がわかず、一通り波が過ぎてから気になってくる派。ただのあまのじゃく…?
以上です。
日常生活でも常に「手持ちの読むものがなくなる心配」をしてる活字中毒なのだけど、いざとなったら最終手段としてkindleがあるのでOK。いい時代。
銀色夏生さんの感性が好きで、エッセイ?日記?系の作品が特にお気に入りなのだけど、「つれづれノート」が、2017年くらいのものからアンリミテッドに入っているのを発見してしまって…こちらも読みたくてたまらないなぁ…と思っていたら、地下鉄を待つ間などのスキマ時間にやっぱり読んでしまった。
文庫本を持ち歩いてなかったり、本を取り出すまでもないかなぁというタイミングでは、やっぱりスマホ読書がちょうどいい。
旅することと同じくらい、旅の中の読書が楽しみで本当に幸せ。
ちなみに…今回惜しくも選考漏れになった作品も載せておく。
●「わたしの旅になにをする。」宮田珠己
あんまり興味のない地域の話だったけど、この人の文章が面白くて旅に出る前に半分くらい読んでしまった。あはは。
●「遠い太鼓」村上春樹
こちらも「旅に持っていく本」で検索して知ったんだっけな。村上春樹好きだし、旅の本ってことで気になってパラ見してみたのだけど、なんか今はあまり惹かれなかった。本との出会いって、ふさわしい時期があると思うのだけど、ただタイミングが今じゃなかったのかなと。いつかまたどこかで。
●「アルケミスト」パウロ・コエーリョ
好きな本ベスト3に入るこちら。…入れたかったのだけど、さすがに多くて読み切れないかなと思って外した。帰ってきたら読もうと思う。
(が、習慣をかえれば人生が変わるの中で、アルケミストについてや、セリフが出てきた!何という偶然。)
「ある日、あなたは目を覚ますと、ずっとしたかったことをする時間がもうなくなっていることに気づくだろう。だから今すぐにそれをすべきだ。」ってセリフなんたけど、まさに今の自分なピッタリの言葉。
「いつか旅して書く暮らしがしたいな」じゃなくて、今やる。背中を押してもらっている気がしてならない。
◯本の感想とか印象的な言葉とか
「アンネの日記」
アンネが日記を書き始めた理由は、「私は心の底を洗いざらいさらけ出したいのに、私にはそれができる本当の友達がいないから。」だそうだ。そして、書くのが好きで楽しくてたまらなくて、こんなにたくさんの日記を書き残している。(こんな分厚い文庫本見たことないってくらい)
自分の歳の半分もない女の子の言葉とは思えないくらい共感してしまった。
アンネにはたくさん勇気をもらった。こんなにも赤裸々に心の中を本当にさらけ出したものが、世界中で何十年も読み続けられてるなんて。「さらけ出す」のお手本を見せてもらった。
もう怖いものなんかないんじゃないか。という思いと、いや…もっともっと怖い経験をして亡くなっているんだよな。という複雑な気持ち。
寝静まる飛行機の隅で、読書灯のあかりを頼りに読んだのだけど、隠れ家にいたアンネもこうして日記を書いたのかな。
「ちょっとそこまで旅してみよう」
今回の旅に関するところは観光するうえでとても参考になった。ガイドブックとはまた違った意味で。
私の旅行記も、こうやって誰かに読んでもらえたらいいなあと思う。益田ミリさんのエッセイは軽やかなのに、ちょうどいい具合に没入できて一緒に旅している感覚が楽しめて、改めて好きだなと感じた。
「ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー」
一章を読み終えた時点で「あ、続編も読もう」と思い、二章で完璧に熱中してしまった。文章の書き方もスっと入ってくるのに多様で巧みですごいなぁと思う。つい「この人、めっちゃ頭いいんだろうな…」という、頭の悪い感想が一番に出てくるくらい。笑
フレイデイみかこさん、他の作品もチェックしてみよう。(普段もこんな感じで、同じ作家さんの本を開拓している)
普段格差とか差別とか全く意識せず生きていたせいで、読む前は内容について「あんまり興味無いかもな」と思っていたのだけど、そんな「無知」だった私にこの親子が色々教えてくれた。「無知ならば知ればいいんだ」という、はじめの一歩から。国際社会のリアルが知れたという意味でも良かった。
「月と六ペンス」
作家である語り手と画家の主人公の会話で、共感するものが多くあった。きっと世界中の創作や芸術に取り憑かれてる人たちから支持されて読み継がれてきた名作なんだろう。
逆にこの感じ、全くわからない人にはわからなくて「まぁ小説の主人公の考えることだから、ぶっ飛んでても共感できなくてもある程度は仕方ないか」と思われていそう。
私はまぎれもなく「いや、本当に切実にわかるわ…この人生を1つのことに支配されてしまう感じ」と思ってる側の人間だ。そのことの良し悪しは別にして。以下、共感した文章。
作家の喜びは、書くという行為そのものにあり、書くことで心の重荷をおろすことにある。ほかには、なにも期待してはいけない。称賛も批判も、成功も不成功も、気にしてはならない。
私はあくまでも自分の楽しみのために物語を書く。他の目的を持って小説を書こうとするものがいれば、それは大バカものだ。
描かなくてはいけないんだ
描かずにはいられないんだ。川に落ちれば、泳ぎのうまい下手は関係ない。岸に上がるか溺れるか、ふたつにひとつだ。
「つれづれノート」
生活そのものが自己表現であり、作品。
ストックホルムの図書館でも、色んな本との出会いがあったので少しずつ読んでいこうと思う。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。またどっかに行ったら旅行記書くよ!
多分今年は年末に韓国行って、来年はスイスかカナダかな〜