たくさんのありがとう
自然環境リテラシー学 海コース 第1回
6/18~6/19
みなさん、こんにちは。Airiです。今回はたくさんの人の心の温かさに触れた回になりました。タイトル通り、一緒に実習に参加してくれたすべての人にありがとうを伝えたいです。
1日目
今回も私は大学院の都合上、一日目の夕方からの参加でした。到着すると、みんなはテント設営を行なっていました。私はその後の1分間スピーチの時間に初めて海コースのみんなとご対面。この日は途中から大雨だったこともあってか、なんだかみんなのスピーチの内容も反省点が中心で、空もどんより、空気もどんよりしている感じでした。そして、まだまだ慣れない環境、人への緊張感が伝わってきていました。もちろん、自分ができなかったことに対して反省するのは大切なことではありますが、『失敗しないように…』とそのことばかり考えてしまうと私たちの五感というのは萎縮してしまって、本来感じられるものも感じ取れなくなってしまいます。それではせっかくの時間がもったいない!そこで私は、インストラクターとして、この雰囲気を変えていくために声かけをしていこうと思いました!
晩ご飯タイム
この日の晩ご飯はカレーでした!晩ご飯タイムは実は私が大好きな時間なのです!なぜかというと…?みんなと交流できる時間だからです!これまでに実習を経験した友達から聞いていたのか、マシュマロなど楽しめるものを持ってきている子も多くて、色んな受講生に話しかけ、少し距離を縮めることができました。
次の日に向けて
夜ご飯もみんなだいたい食べ終わり、翌日の波や風のチェックをすると、14時過ぎから風が強まる予報が出ていました。そこで、前々回の川コースと同様、朝7時15分出艇に予定を変更しました。川コースでは、パッキングの説明および実施をカヤック置き場でやってしまい、カヤックを運ぶのが重くて大変だった反省点を活かし、今回は先にカヤックを浜まで運び、浜でブリーフィングやパッキングの説明を行うことをみんなに提案しました。実際、翌日は予定時間よりも早く出艇準備が完了し、余裕をもつことができたので、このやり方はよかったのではないかと思います!
サプライズは突然に…!
あとは、1日目の反省と翌日の細かいスケジュール、担当確認をリーダー、インストラクター、コーディネーターでするぞ!そう思っていたときのことでした。突然、背後から『Happy Birthday to you〜』という声が…!
そして、なんとケーキが運ばれてきている!?目の前で起こっていることへの情報処理が追いつきませんでした(笑)実は、前日は私の誕生日。なんとみんなが私のためにサプライズを仕掛けてくれていたのです。こんなにたくさんの人におめでとうと言ってもらったことは初めてで、本当に嬉しかったです!そして、素敵な時間のプレゼントに胸が熱くなるとともに、仲間への感謝でいっぱいでした。卒業しても尚、実習に参加している私に壁を作らず、温かく接してくれるだけでも、いつも本当にありがたいのに、こうやってあたたかく誕生日を祝ってくれることに幸せを噛みしめていました。いきなりで状況がわからないであろう受講生のみんなからも「おめでとうございます!」と温かい言葉をもらい、本当に嬉しかったです。
2日目
朝5:00起床。
受講生たちも朝早いのにも関わらず、話しかけるとスッキリとした顔をして眠れたと言っている子が多くて安心しました。出艇に向けての準備を着々と進め、みんなもテキパキと動いてくれているし、『順調順調…!』とこの時はまだ思っていました…。
フォールディングカヤック組立て事件
今回はカヤックの数が足りなかったため、フォールディングカヤックを組立てる必要がありました。
6時過ぎから組立てを始めましたが、これが思っていたよりも難しい…
どうしてもスターン側のチャックが閉まってくれず、それっぽく完成させた状態で出艇の時間を迎えることになってしまいました。海に出てみようかとも試みましたが、波を受ければ、後ろから簡単に浸水をしてしまう状況。これではやはり安全管理上、認めることはできないとの先生のご判断で、時間を費やして組み立てたもののフォールディングカヤックでの航海を断念しました。このせいでカヤックが足りず、先輩に干潟まで歩いていっていただくことになり、さらに手間取ったせいで、出艇までの準備などをリーダーのみんなに任せっきりになってしまいました。
私が反省すべき点は、
•カヤックの組立てを前日に行わなったこと
•できないならできないで早い段階で組立て方法を知っている先生方に助けを求めなかったこと
•カヤックに乗りたい思いが先走り、安全が十分でない状況で出艇をしようとしてしまったこと
の主に3点だと思っています。
前日の夜のうちに自分たちだけで組立てが上手くできないことがわかっていれば、朝から先生方にも相談ができたかもしれません。また2点目に関しては、私自身はフォールディングカヤックを組立てたことがなく、先輩も一回やったことがあるのみという中で、組立て方がわからず、手探りで試しながらやっていました。上手くできないとわかった時点で先生方に相談していれば、出艇時間までに問題を解決できていたかもしれません。私は『報告•連絡•相談』が大事だといつもみんなには伝えながら、実際に自分がそうなるとできなかったなと反省しています。『できない』ことがあったとき、もちろん自分たちで考えて、どうにかしようとすることは大切ではありますが、自分にできないことや困っている状態を相手に伝えるということも重要だと思いました。
3点目に関しては、「自分はカヤックに慣れているから、どうにかなるかも」という過信があったと思います。自然環境リテラシー学を通して安全管理、リスク管理を学び、それらを伝える役目でもある自らに甘さがあったのは大きな問題であったと思っています。初心忘れるべからず。本当にそうで、慣れてきた頃にこそ事故が起こるのです。今回のことを通して、改めて安全管理、リスク管理の大切さを胸に刻むことができました。
これらの改善策として、今後は
•初めて行うことの場合には、あらかじめ準備をしっかり行い、余裕を持って動く
•できないことをそのままにせず、次どうすべきかを考え、相談する
•常にそれを行った場合のリスクについて考え、行動する
を徹底していきたいと思います。
いざ、出艇!干潟への旅
こんな風に朝から失敗してしまい、モヤモヤしながらのスタートでした。でも、海に出てみると、そこにはこれまでに見たこともないような世界が広がっていました。海にモヤがかかり、空との境界がわからない世界。波もなく、世界が呼吸を止めたかのような朝の静けさの中をカヤックで進んでいくと、まるで空を飛んでいるようで、どこか異世界にでも進んでいっているような感覚を味わうことができました。
レスキュー訓練
浜に上陸し、荷物を下ろした後は、レスキュー訓練と干潟観察の2つのグループに分かれました。私は前半、後半ともにレスキュー訓練を担当しました。特に印象に残っているのが、セルフレスキューでの一幕です。私は受講生の女子2人とレスキュー訓練をしていました。その時、受講生のある子はなかなか成功することができず、何度やっても惜しいところでカヤックが回転し、海へ再び落ちてしまうということを繰り返していました。でも、彼女は絶対に諦めようとせず、こちらが心配になるほどにチャレンジを繰り返してくれていました。時間も迫ってきて、切り上げるか迷っていたのですが、彼女のどうしてもやりきりたいという思いに応える決断をしました。ラストチャンスかなと思っていたその時、ついに彼女はセルフレスキューに成功しました。その時の彼女の表情が忘れられません。決して諦めない姿に胸が熱くなり、みている人に力を与えられる彼女は本当に素敵だなと思いました。その姿に感化され、最初は海に落ちるのを怖がっていたもう1人の女の子も『セルフレスキューやりたいです!』と挑戦を始めてくれたときは、さらに感動しました。
レスキュー後のほっこりタイム
レスキューを終え、しばし自由時間。受講生の女の子たちが、風で波が高くなってきた海に浮かんで遊んでいました。『気持ち〜!波、楽しい〜!』そんな自然の楽しさを感じてくれている姿に、こちらも嬉しくなると共に、レスキューの魔法を感じました。みんな不思議とレスキュー訓練を乗り越えると自然の怖さを理解するとともに、その自然との関わり方を学ぶのです。彼ら、彼女らの顔つきの変化を感じました。
浜へ向かって
予報通り波が高くなってきたこともあり、昼食前に干潟を出発し、元の浜に戻ることになりました。その帰り道の海上でのこと。波が高くなってきて、うねりも出てきていました。私は受講生の子たちは怖がっていないだろうか、酔っていないだろうかとカヤックに乗りながら声をかけていました。しかし、なんと予想に反して返ってきたのは『波がめちゃくちゃ楽しいです!』という1人の受講生の言葉でした。そう答えてくれた彼女の顔はとってもハツラツとしていて、今でも鮮明に思い出すことができるくらい素敵な笑顔でした。カヤックに乗って2日目にして、この波を楽しめるなんて!こうした誰かの変化を見るのが私の喜びであり、実習を頑張ろうという何よりものモチベーションになります。素敵な笑顔をありがとう!
無事に浜へと帰りつき、カヤックを運んだ後は、カヤックや装備の水洗い、昼食を済ませ、テントの撤収作業を行いました。
最後に
今回の回を一言で表すと人の温かさに触れた回だったなと思います。私の失敗に対して、せっかくだからカヤック乗ってとコーディネーターの先輩が私の代わりに干潟まで歩いてくれたこと、晩ご飯の時間にお菓子や手作りの魚の天ぷらをくれた受講生やリーダーさん。イスを運んでいるときにサッと手伝いにきてくれた受講生。挙げ始めたらきりがないくらい、たくさんの人の温かさに触れた今回の実習でした。実習がたとえ同じ内容であっても、メンバーが変われば、一度として同じ回はありません。それはやはり、実習というのは受講生、リーダー、インストラクター、コーディネーター、みんなの力があってこそ、はじめて成り立つものだからです。みんなからもらったたくさんのものをひとつでも多く、みんなに返していけるように次回以降の実習も取り組んでいきたいと思います。
皆さん、本当にありがとうございました!
今回お世話になった実習拠点:マリーナ河芸