労働基準法、賃金
労働基準法
第三章 賃金
第二十四条(賃金の支払)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
2.賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(臨時の賃金等)については、この限りでない。
15.
・労働協約、就業規則、労働契約等によってあらかじめ支給条件が明確である場合の退職手当は、労働基準法第11条の賃金であり、同法第24条第2項にいう「臨時の賃金等」に当たる。
・労働協約の定めによって通貨以外のもので賃金を支払うことが許されるのは、その労働協約の適用を受ける労働者に限られる。
16.福島県教祖事件
過払い分の控除に関して、過払いがあった時期と合理的に接着した時期に相殺が行われて、また、あらかじめ労働者にその予告をしちえて、相殺をする金額が多額にならない場合で、労働者の経済生活の安定をおびやかすおそれがない場合であれば、労働基準法第24条第1項の賃金の全額払いの原則に違反しない者と判断。
適正な賃金の額を支払うための手段たる相殺は、その行使の時期、方法、金額等からみて労働者の経済生活の安定との関係上不当と認められないものであれば、法24条1項の禁止するところではないと解するのが相当である。
17.労働者が賃金の支払を受ける前に賃金債権を他に譲渡した場合でも、使用者は当該賃金債権の譲受人に対してではなく、直接労働者に対し賃金を支払わなければならないとするのが、最高裁判所の判例である。
第十一条
この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。
第二十五条(非常時払)
使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
第二十六条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
☆1日の所定労働時間の一部のみ使用者の責に帰すべき事由による休業がなされた場合における休業手当の額は、現実に就労した時間に対して支払われる賃金の額が平均賃金の100分の60に相当する金額に満たないときは、少なくともその差額に相当する額である。
18.
・使用者は、賃金を毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならないが、その支払い期日を毎月第4金曜日と定めたとしても、一定の期日を指定したことにはならない。
・休業手当は、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合に支払うべきものであり、使用者の帰責事由による休業期間中に就業規則等により所定定休日と定められた日があるときは、使用者は、当該所定定休日は休業手当を支払う必要はない。
第二十七条(出来高払制の保障給)
出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
19.労働基準法第27条に定める出来高払制の保障給は、労働時間に応じた一定額のものでなければならず、労働者の実労働時間の長短と関係なく1か月について一定額を保障するものは、本条の保障給ではない。
第十二条
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前三箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。
一 賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十
二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額
②前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。
③前二項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。
一 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
二 産前産後の女性が第六十五条の規定によって休業した期間
三 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
四 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業をした期間
五 試みの使用期間
④第一項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び三箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。
⑤賃金が通貨以外のもので支払われる場合、第一項の賃金の総額に算入すべきものの範囲及び評価に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
⑥雇入後三箇月に満たない者については、第一項の期間は、雇入後の期間とする。
⑦日々雇入れられる者については、その従事する事業又は職業について、厚生労働大臣の定める金額を平均賃金とする。
⑧第一項乃至第六項によって算定し得ない場合の平均賃金は、厚生労働大臣の定めるところによる。
第九十一条(制裁規定の制限)
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
第二十八条(最低賃金)
賃金の最低基準に関しては、最低賃金法の定めるところによる。
20.
1.使用者は、労働者が出産、疾病、災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であっても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。
2.使用者の責に帰すべき事由により休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。
3.出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。
21.
1.労働基準法で平均賃金とは、原則として、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。
2.上記1の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。
3.上記2の通貨以外のもので支払われた賃金で、賃金の総額に算入すべきものは、労働基準法第24条第1項ただし書の規定による法令又は労働協約の別段の定めに基づいて支払われる通貨以外のものとする。
労働基準法施行規則
第二条労働基準法第十二条第五項の規定により、賃金の総額に算入すべきものは、法第二十四条第一項ただし書きの規定による法令又は労働協約の別段の定めに基いて支払われる通貨以外のものとする。
前項の通貨以外のものの評価額は、法令に別段の定がある場合の外、労働協約に定めなければならない。