アウトプット演習・労働基準法・労働基準法の基本理念等

・選択式は判例が多い。令和6年は労働時間に関する判例、三尾重工長崎造船所事件、賃金の全額払の原則に関する判例、シンガーソーイング・メシーン事件が出題。
・択一式は、基本事項が多いが細かい知識等を問う問題も。稀に通達等の細部からの出題も。基本理念等、労働契約等、賃金、労働時間等の出題頻度が高い。

法改正
・無期転換ルール及び労働契約関係の明確化
労働契約の締結に際し、法15条1項の規定により明示すべき労働条件に、通算契約期間又は有期労働契約の更新回数の上限並びに就業場所・業務の変更の範囲が追加された。無期転換申込み権が発生する契約更新時において、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件も明示しなければならないこととされた(令和6年4月1日施行)

労働基準法第十五条(労働条件の明示)
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
2.前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
3.前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。

3つのルール
①向き労働契約への転換・・・有期労働契約が繰り返し更新されて通算5年を超えたときは、労働者の申込みにより、期間の定めのない労働契約、無期労働契約に転換できるルール。
②雇止め法理の法定化
最高裁判例で確率した、雇止め法理が、そのままの内容で法律に規定。一定の場合に、使用者による雇止めが認められないことになるルール。
使用者は、有期労働契約の締結後、当該有期労働契約の変更又は更新に際して、通算契約期間又は有期労働契約の更新回数について、上限を定め、又はこれを引き下げようとするときは、あらかじめ、その理由書を労働者に説明しなければならない。
使用者は、法15条1項の規定により、労働者に対し無期転換後の労働条件を明示する場合は、当該労働条件に関する定めをするにあたって労働契約法第3条2項均衡考慮の原則の趣旨を踏まえて就業の実態に応じて均衡を考慮した事項について、当該労働者に説明するよう努めなければならない。
③不合理な労働条件の禁止
有期労働解約と無期契約労働者との間で、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の相違を設けることを禁止するルール。

令和6年4月から、全ての労働契約の締結と有期労働契約の更新のタイミングごとに、雇入れ直後の就業場所・業務の内容に加え、これらの変更の範囲についても明示が必要になった。
有期労働契約の締結時と更新時は、更新上限の有無と内容。
無期転換ルールに基づく無期転換申込み権発生する契約の更新時は、無期転換申込機会と無期転換後の労働条件。

専門業務型裁量労働制に係る労使協定事項について、本人同意を得ることや、同意をしなかった場合に不利益な取り扱いをしないこと、同意の撤回の手続が追加された。専門業務型裁量労働制の対象業務に、銀行又は証券会社において、顧客に対し、合併、買収等に関する考案及び助言をする業務(M&Aの業務)が追加された。

企画業務型裁量労働制に係る労使委員会の決議事項について、対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度を変更する場合に、使用者が労使委員会に変更内容について説明を行うことや、本人同意の撤回の手続が追加された。企画業務型裁量労働制においては、本人の同意を得ることや、同意をしなかった場合に不利益な取り扱いをしないことについては、これまでも決議事項とされていた。また、これまで6ヶ月以内ごとに行うこととされていた労働基準監督署長への定期報告の頻度を、初回は6ヶ月以内に、その後は1年以内ごとに1回とすることとされた。

労使委員会の労働者側委員の氏名は、使用者の意向に基づくものであってはならないものとされ、労働者側委員が労使委員会の決議等に関する事務を円滑に遂行することができるよう、使用者は必要な配慮を行わなければならないものとされた。また、企画業務型裁量労働制においては、労使委員会の運営規定に「対象労働者に適用される評価制度及びこれに対応する賃金制度の内容の使用者からの説明に関する事項」「制度の趣旨に沿った適正な運用の確保に関する事項」「開催頻度を6ヶ月以内ごとに1回とすること」を定めることとされた。

使用者が労働者を採用するときは、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければならない。つまり、労働条件通知書を交付しなければならない。労働条件通知書は書面によるが、一定の場合にはFAXやSNS等による通知も可能に(平成31年4月1日から施行)。通知が必要な項目は次の通り。

必ず明示しなければならないこと。
・労働期間に関すること。
・期間の定めがある契約を更新する場合の基準
・就業の場所、従業する業務に関すること
・始業・終業時刻、休憩、休日
・賃金の決定方法、支払い時期
・退職に関すること、解雇の事由
・昇給に関すること。

定めをした場合に明示しなければならないこと
・退職手当に関すること
・賞与
・食費、作業用品などの負担
・安全衛生
・職業訓練
・災害補償
・表彰や制裁
・求職

1.労働基準法の基本理念等
・労働基準法は、労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならないとしている。

・労働基準法第1条は、労働保護法たる労働基準法の基本理念を宣明したものであって、本法各条の解釈にあたり基本観念として常に考慮されなければならない。

労働基準法
第一条(労働条件の原則)
労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
2.この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

第二条(労働条件の決定)
労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。
2.労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

・労働基準法第2条は、労働条件の決定及びこれに伴う両当事者の義務に関する一般的原則を宣言する規定であるにとどまり、監督期間(労働基準監督署等)はこの一般的原則を具体的に適用すべき責務を負う機関ではないので、労働協約、就業規則又は労働契約の履行に関する争いについては、それが労働基準法各本条の規定に抵触するものでない限り、監督権行使に類する積極的な措置をすべきものではなく、当事者間の交渉により、又はあっせん、調停、仲裁等の紛争処理機関、民事裁判所等において処理されるべきものである。

・最高裁判所の判例によれば、「労働基準法3条は、労働者の労働条件について信条による差別取扱を禁じているが、特定の信条を有することを解雇の理由として定めることも、労働条件に関する差別取扱として、同条に違反するものと解される。労働基準法3条は労働者の信条によって賃金その他の労働条件につき差別することを禁じているが、これは、雇入れ後における労働条件についての制限であって、雇入れそのものを制約する規定ではない。」としている。

第三条(均等待遇)
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。

2.労働基準法の基本理念等
・労働基準法第4条は、賃金について、女性であることを理由として、男性と差別的取扱をすることを禁止しているが、賃金以外の労働条件についてはこれを禁止していない。

第四条(男女同一賃金の原則)
使用者は労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

第五条(強制労働の禁止)
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

3.労働基準法の基本理念等
・労働者が、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律に基づく裁判員としての職務を行うことは、労働基準法第7条の「公の職務」に該当する。

第六条(中間搾取の排除)
何人も、法律に基づいて許される場合の外、業として他人の就業に介入して利益を得てはならない。

第七条(公民権行使の保障)
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。

5.労働基準法の基本理念等
労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。
労働基準法で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。
使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。
使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によって、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

6.労働基準法の基本理念等
労働基準法は、同居の親族のみを使用する事業及び家事使用人については、適用しない。
労働基準法で労働者とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。
労働基準法で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

・事業主とは、個人企業の場合は事業主個人をいい、法人企業の場合はその法人をいう。





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