令和5年社労士試験問題を解いてみた
第56回
選択式試験問題 13/40(合格点26点以上、各科目3点以上)
労働基準法及び労働安全衛生法
A 10 〇
B 12 9
C 13 〇
D 18 〇
E 1 17 3/5
1.年少者の労働に関し、最低年齢を設けている労働基準法第56条第1項は、「使用者は、児童が満15歳に達した日以後の最初の3月31日が終了するまで、これを使用してはならない。」と定めている。
2最高裁判所は、労働者が始業時刻前及び終業時刻後の作業服及び保護具等の着脱等並びに始業時刻前の副資材等の受出し及び散水に要した時間が労働基準法上の労働時間に該当するかが問題となった事件において、次のように判事した。
「労働基準法32条の労働時間(労働基準法上の労働時間)とは、労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間をいい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができるか否かにより客観的に定まるものであって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めのいかんにより決定されるべきものではないと解するのが相当である。そして、労働者が、就業を命じられた業務の準備行為等を事業所内において行うことを使用者から義務付けられ、又はこれを余儀なくされたときは、当該行為を所定労働時間外において行うものとされている場合であっても、当該行為は、特段の事情のない限り、使用者の指揮命令下に置かれたものと評価することができ、当該行為に要した時間は、それが社会通念上必要と認められるものである限り、労働基準法上の労働時間に該当すると解される。」
労働基準法32条
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
②使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
3.最高裁判所は、賃金に当たる退職金債権放棄の効力が問題となった事件において、次のように判示した。
本件事実関係によれば、本件退職金の「支払については、同法(労働基準法)24条1項本文の定めるいわゆる全額払の原則が適用されるものと解するのが相当である。しかし、右全額払の原則の趣旨とするところは、使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護をはかろうとするものというべきであるから、本件のように、労働者たる上告人が退職に際しみずから賃金に該当する本件退職金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、右全額払の原則が右意思表示の効力を否定する趣旨のものであるとまで解することはできない。もっとも、右全額払の原則の趣旨とするところなどに鑑みれば、右意思表示の効力を肯定するには、それが上告人の自由な意思に基づくものであることが明確でなければならないものと解すべきである。」
労働基準法24条(賃金の支払)
賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。
2.賃金は、毎月一回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。ただし、臨時に支払われる賃金、賞与その他これに準ずるもので厚生労働省令で定める賃金(臨時の賃金等)については、この限りでない。
4.労働安全衛生法第45条により定期自主検査を行わなければならない機械等には、同法第37条第1項に定める特定機械等のほかフォークリフトが含まれる。
労働安全衛生法
第5章 機械等並びに危険物及び有害物に関する規制
第1節 機械等に関する規制
第37条(製造の許可)
特に危険な作業を必要とする機械等として別表第1に掲げるもので、政令で定めるもの(特定機械等)を製造しようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、都道府県労働局長の許可を受けなければならない。
2.都道府県労働局長は、前項の許可の申請があった場合には、その申請を審査し、申請に係る特定機械等の構造等が厚生労働大臣の定める基準に適合していると認めるときでなければ、同項の許可をしてはならない。
厚労省労働基準局安全衛生部の「特定機械等の製造許可、製造時検査等に係る現行制度等」
・検査等制度(ボイラー、第一種圧力容器)
①書面等審査
②製造許可
③製造時検査(溶接・構造検査)③使用検査(輸入したもの等)
④落成検査
⑤検査証交付
⑥性能検査
・検査制度(クレーン、デリック、エレベータ・建設用リフト)
①書面等審査
②製造許可
(設置)
④落成検査
⑤検査証交付
⑥性能検査
・検査等制度(移動式クレーン、ゴンドラ)
①書面等審査
②製造許可
③製造検査③使用検査
⑤検査証交付
⑥性能検査
第45条(定期自主検査)
事業者は、ボイラーその他の機械等で、政令で定めるものについて、厚生労働省令で定めるところにより、定期に自主検査を行い、及びその結果を記録しておかなければならない。
2.事業者は、前項の機械等で政令で定めるものについて同項の規定による自主検査のうち厚生労働省令で定める自主検査(特定自主検査)を行うときは、その使用する労働者で厚生労働省令で定める資格を有するもの又は第54条の3第1項に規定する登録を受け、他人の求めに応じて当該機械等について特定自主検査を行う者(検査業者)に実施させなければならない。
5.事業者は、労働者が労働災害その他就業中又は事業所内若しくはその付属建設物内における負傷、窒息又は急性中毒により死亡し、又は休業(休業の日数が4日以上の場合に限る)したときは、遅滞なく、所轄労働基準監督署長に報告しなければならない。
労働者災害補償保険法
A 7 5
B 5 2
C 17 〇
D 10 〇
E 12 20 2/5
1.労災保険法施行規則第14条第1項は、「障害補償給付を支給すべき身体障害の障害等級は、別表第1に定めるところによる。」と規定し、同条第2項は、「別表第1に掲げる身体障害が2以上ある場合には、重い方の身体障害の該当する障害等級による。」と規定するが、同条第3項柱書きは、「第8級以上以上に該当する身体障害が2以上あるとき」は「前2項の規定による障害等級」を「2級」繰り上げた等級、「第5級以上に該当する身体障害が2以上あるとき」は「前2項の規定による障害等級」を「3級」繰り上げた等級によるとする。
2.年金たる保険給付の支給は、支給すべき事由が生じた翌月から始め、支給を受ける権利が消滅した月で終わるものとする。また、保険給付を受ける権利を有する者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき保険給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の保険給付の支給を請求することができる。
3.最高裁判所は、遺族補償年金に関して次のように判示した。
「労災保険法に基づく保険給付は、その制度の趣旨目的に従い、特定の損害について必要額を填補するために支給されるものであり、遺族補償年金は、労働者の死亡による遺族の被扶養利益の喪失」を補填することを目的とするものであって、その填補の対象とする損害は、被害者の死亡による逸失利益等の消極損害と同性質であり、かつ、相互補完性があるものと解される。
したがって、被害者が不法行為によって死亡した場合において、その損害賠償請求権を取得した相続人が遺族補償年金の支給を受け、又は支給を受けることが確定したときは、損害賠償額を算定するに当たり、上記の遺族補償年金につき、その填補の対象となる被扶養利益の逸失による損害と同性質であり、かつ、相互補完性を有する逸失利益等の消極損害の元本との間で、損益相殺的な調整を行うべきものと解するのが相当である。
雇用保険法
A 1 2
B 2 〇
C 4 3
D 2 4
E 2 3 1/5
1.被保険者が、一般被保険者又は高年齢被保険者であるとき、厚生労働省令で定めるところにより出生時育児休業をし、当該被保険者が雇用保険法第61条の8に規定する出生時育児休業給付金の支給を受けたことがある場合において、当該被保険者が同一の子について3回以上の出生時育児休業をしたとき、2回目までの出生時育児休業について出生時育児休業給付金が支給される。また、同一の子について当該被保険者がした出生時育児休業ごとに、当該出生時育児休業を開始した日から当該出生時育児休業を終了した日までの日数を合算して得た日数が28日に達した日後の出生時育児休業については、出生時育児休業給付金が支給されない。
2.被保険者が雇用されていた適用事業所が、激甚災害法第2条の規定による激甚災害の被害を受けたことにより、やむを得ず、事業を休止し、若しくは廃止した事によって離職を余儀なくされた者又は同法第25条第3項の規定により離職したものとみなされた者であって、職業に就くことが特に困難な地域として厚生労働大臣が指定する地域内に居住する者が、基本手当の所定給付日数を超えて受給することができる個別延長給付の日数は、雇用保険法第24条の2により120日を限度とする。
3.令和4年3月31日以降に就労していなかった者が令和6年4月1日に65歳に達し、同年7月1日にX社に就職して1週当たり18時間勤務することとなったのち、同年10月1日に季節的事業を営むY社に就職して1週当たり12時間勤務し二つの雇用関係を有するに至り、雇用保険法第37条の5第1項い基づく特例高年齢被保険者となることの申出をしていない場合、同年12月1日時点において当該者は雇用保険法の適用除外となる。
厚生労働省「雇用保険マルチジョブホルダー制度について~令和4年1月1日から65歳以上の労働者を対象に雇用保険マルチジョブホルダー制度を開始します」
従来の雇用保険制度は、主たる事業所での労働条件が1週間の所定労働時間20時間以上かつ31日以上の雇用見込等の適用要件を満たす場合に適用される。
これに対し、雇用保険マルチジョブホルダー制度は、複数の事業所で勤務する65歳以上の労働者が、そのうちの2つの事業所での勤務を合計して以下の要件を満たす場合に、本人からハローワークに申出を行うことで、申出を行った日から特例的に雇用保険の被保険者(マルチ高年齢被保険者)となることができる制度;
【適用条件】
・複数の事業所に雇用される65歳以上の労働者であること。
・2つの事業所(1つの事業所における1週間の所定労働時間が5時間以上20時間未満)の労働時間を合計して1週間の所定労働時間が20時間以上であること。
・2つの事業所のそれぞれの雇用見込が31日以上であること
労務管理その他の労働に関する一般常識
A 14 〇
B 2 3
C 9 11
D 11 9
E 6 8 1/5
1.自動車運転者は、他の産業の労働者に比べて長時間労働の実態にあることから、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」において、全ての産業に適用される労働基準法では規制が厳しい拘束時間、休息時間及び運転時間等の基準を設け、労働条件の改善を図ってきた。こうした中、過労死等の防止の観点から、労働政策審議会において改善基準告示の見直しの検討を行い、2022年12月にその改正を行った。
2.総務省統計局「労働力調査」によると、2022年の女性の雇用者数は2,765万人で、雇用者総数に占める女性の割合は45.8%である。
3.最高裁判所は、労働協約上の基準が一部の点において未組織の同種労働者の労働条件よりも不利益である場合における労働協約の一般的拘束力が問題となった事件において、次のように判示した。
「労働協約には、労働組合法17条により、一の工場事業場の4分の3以上の数の労働者が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、当該工場事業場に使用されている他の同種労働者に対しても右労働協約の規範的効力がこれに及ばないとするのは相当でない。
しかしながら他面、未組織労働者は、労働組合の意思決定に関与する立場になく、また逆に、労働組合は、未組織労働者の労働条件を改善し、その他の利益を擁護するために活動する立場にないことからすると、労働協約によって特定の未組織労働者にもたらされる不利益の程度・内容、労働協約が締結されるに至った経緯、当該労働者が労働組合の組合員資格を認められているかどうか等に照らし、当該労働協約を特定の未組織労働者に適用することが著しく不合理であると認められる特段の事情があるときは、労働協約の規範的効力を当該労働者に及ぼすことはできないと解するのが相当である。」
4.男女雇用機会均等法第9条第4項本文は、「妊娠中の女性労働者及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とする。」と定めている。
社会保険に関する一般常識
A 6 8
B 3 2
C 17 18
D 12 〇
E 20 19 1/5
1.厚生労働省から令和5年7月に公表された2022年国民性買う基礎調査の概要によると、公的年金・恩給を受給している高齢者世帯における公的年金・恩給の総所得に占める割合別世帯数の校正割合についてみると、公的年金・恩給の総所得に占める割合が100%の世帯が44%となっている。なお、国民生活基礎調査において、「高齢者世帯」とは、65歳以上の者のみで構成するか、又はこれに18歳未満の未婚の者が加わった世帯をいう。
2.厚生労働省から令和5年8月に公表された「令和3年度介護保険事業状況報告」によると、令和3年度末において、第1号被保険者のうち要介護又は要支援の認定者は677万人であり、第1号被保険者に占める認定者の割合は全国平均で18.9%となっている。
3.国民健康保険法第1条では、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保険及び国民保健に寄与することを目的とする」と規定している。
4.高齢者医療確保法第1条では、「この法律は、国民の高齢期における適切な医療の確保を図るため、医療費の適正化を推進するための計画の作成及び保険者による健康診査等の実施に関する措置を講ずるとともに、高齢者の医療について、国民の共同連帯の理念等に基づき、前期高齢者に係る保険者間の費用負担の調整、後期高齢者に対する適切な医療の給付等を行うために必要な制度を設け、もって国民保健の向上及び高齢者の福祉の増進を図ることを目的とする。」と規定している。
高齢者医療確保法
第2条(基本的理念)
国民は、自助と連帯の精神に基づき、自ら加齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して常に健康の保持増進に努めるとともに、高齢者の医療に要する費用を公平に負担するものとする。
2.国民は、年齢、心身の状況等に応じ、職域若しくは地域又は家庭において、高齢期における健康の保持を図るための適切な保健サービスを受ける機会を与えられるものとする。
健康保険法
A 2 5
B 15 10
C 16 15
D 3 〇
E 8 4 1/5
1.保険外併用療養費の支給対象となる治験は、患者に対する情報提供を前提として、患者の自由な選択と同意がなされたものに限られたものとし、したがって、治験の内容を患者等に説明することが医療上好ましくないと認められる等の場合にあっては、保険外併用療養費の支給対象としない。
2.任意継続被保険者がその資格を喪失した後、出産育児一時金の支給を受けることができるのは、任意継続被保険者の資格を取得した日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者または共済組合の組合員である被保険者を除く)であった者であって、実際の出産日が被保険者の資格を喪失した日後6カ月以内の期間でなければならない。
・任意継続被保険者である間は、在職中の被保険者が受けられる保険給付と同様の給付を原則として受けることができるが、傷病手当金・出産手当金は、任意継続被保険者には支給されない。ただし、資格喪失の保険給付の一定条件に該当すれば、保険給付が行われる。
1.保険給付を受けている人が資格喪失の場合(継続給付)
資格を喪失する日の前日までに継続して1年以上被保険者であった人は、資格を喪失した際に現に受けていた傷病手当金及び出産手当金を引き続き受けることができる。傷病手当金は1年6カ月間、出産手当金は出産前後合わせて原則98日間の範囲内で、支給を受けることができるようになっているが、この期間から被保険者である間にすでに支給を受けた残りの期間について受けることができる。
2.資格を喪失した後に保険給付を受ける事由が生じた場合
これには、死亡に関する給付(資格を喪失する日の前日まで継続して1年以上被保険者であった人が資格を喪失して3カ月以内に死亡)と出産育児一時金(資格を喪失する日の前日まで継続して1年以上被保険者であった人が資格喪失の日後、6カ月以内に出産したときは、被保険者として受けられる出産育児一時金が支給される。)の給付の2種類がある。
3.健康保険法第111条の規定によると、被保険者の被扶養者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、被保険者に対し、その指定訪問看護に要した費用について、家族訪問看護療養費を支給する。家族訪問療養費の額は、当該指定訪問看護につき厚生労働大臣の定めの例により算定した費用の額に家族療養費の給付割を乗じて得た額(家族療養費の支給について家族療養費の額の特例が適用されるべきときは、当該規定が適用されたものとした場合の額)とする。
・訪問看護療養費とは、居宅で療養している人が、かかりつけの医師の指示に基づいて訪問看護ステーションの訪問看護師から療養上の世話や必要な診療の補助を受けた場合、その費用が、訪問看護療養費として現物支給されるもの。訪問看護療養費の額は、厚生労働大臣が定める基準に従って算出した額から、患者が負担する基本利用料を控除した額。訪問看護の基本利用料は、被保険者、被扶養者ともに3割。訪問看護療養費の基本利用料は、高額療養費の対象となる。訪問看護療養費は、保険者が被保険者に代わって、指定訪問看護事業者にその費用を直接支払うこととなっており、患者は基本利用料を直接支払う。また、患者は交通費、おむつ代などの実費や特別サービスを希望して受けた場合の特別料金を支払う。指定訪問看護事業者は、基本利用料とその他の料金について区別して記載した領収書を発行する。
厚生年金保険法
A 18 17
B 2 〇
C 12 〇
D 16 14
E 7 9 2/5
1.厚生年金保険法第80条第2項の規定によると、国庫は、毎年度、予算の範囲内で、厚生年金保険事業の事務(基礎年金拠出金の負担に関する事務を含む)の執行に要する費用を負担するものとされている。
2.実施機関は、被保険者が賞与を受けた月において、その月に当該被保険者が受けた賞与額に基づき、これに1,000円未満の端数を生じたときはこれを切り捨てて、その月における標準賞与額を決定するが、当該標準賞与額が150万円(標準報酬月額の等級区分の改定が行われたときは政令で定める額)を超えるときは、これを150万円とする。
3.保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができない。ただし、脱退一時金を受ける権利を国税滞納処分により差し押える場合は、この限りでない。
4.厚生年金保険法あぢ58条第1項第2号の規定により、厚生年金保険の被保険者であった者が、被保険者の資格を喪失した後に、被保険者であった間に初診日がある傷病により当該諸信義から起算して5年を経過する日前に死亡したときは、死亡した者によって生計を維持していた一定の遺族に遺族厚生年金が支給される。ただし、死亡した者が遺族厚生年金に係る保険料納付要件を満たしていない場合は、この限りでない。
5.甲66歳は35歳のときに障害等級3級に該当する程度の障害の状態にあると認定され、障害等級3級の障害厚生年金の受給を開始した。その後も障害の程度に変化はなく、また、障害基礎年金と障害厚生年金の合計額が障害等級3級の障害厚生年金の年金額を下回るため、65歳以降も障害厚生年金を受給している。一方、乙66歳は35歳のときに障害等級2級に該当する程度の障害の状態にあると認定され、障害等級2級の障害基礎年金と障害厚生年金の受給を開始した。しかし、40歳時点で障害の程度が軽減し、障害等級3級の障害厚生年金を受給することになった。その後、障害の程度に変化はないが、65歳以降は老齢基礎年金と老齢厚生年金を受給している。今後、甲と乙の障害の程度が増進した場合、障害年金の額の改定請求は、乙のみが行うことができる。
・3級の障害厚生年金を受けている人(過去に支給事由を同じくする障害基礎年金の受給権を有していた人を除く)が65歳以上になったときは、年金額の改定請求はできない。
国民年金法
A 6 3
B 9 〇
C 5 12
D 2 〇
E 15 16 2/5
1.国民年金法において、被保険者の委託を受けて、保険料の納付に関する事務(納付事務)を行うことができる者として、国民年金基金又は国民年金基金連合会、厚生労働大臣に対し、納付事務を行う旨の申出をした市町村(特別区を含む)、納付事務を適正かつ確実に実施することができると認められ、かつ、政令で定める要件に該当する者として厚生労働大臣が指定するものに該当するコンビニエンスストア等があり、これらを納付受託者という。
2.遺族基礎年金が支給される子については、国民年金法第37条の2第1項第2号によると、「十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか又は二十歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと」と規定されている。
3.遺族基礎年金を受給できる者がいない時には、被保険者又は被保険者であった者が国民年金法第52条の2に規定された支給要件を満たせば、死亡した者と死亡の当時生計を同じくする遺族に死亡一時金が支給されるが、この場合の遺族とは、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であり、死亡一時金を受けるべき者の順位は、この順序による。
国民年金法
第3款 死亡一時金
第52条の2(支給要件)
死亡一時金は、死亡日の前日において死亡日の属する月の前月までの第1号被保険者としての被保険者期間に係る保険料納付済期間の月数、保険料四分の一免除期間の月数の四分の三に相当する月数、保険料半額免除期間の月数の二分の一に相当する月数及び保険料四分の三免除期間の月数の四分の一に相当する月数を合算した月数が36月以上である者が死亡した場合において、その者に遺族があるときに、その遺族に支給する。ただし、老齢基礎年金又は障害基礎年金の支給を受けたことがある者が死亡したときは、この限りでない。
第52条の3(遺族の範囲及び順位等)
死亡一時金を受けることができる遺族は、死亡した者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものとする。ただし、前条だい3項の規定に該当する場合において支給する死亡一時金を受けることができる遺族は、死亡した者の配偶者であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものとする。
第56回
択一式試験問題 25/70(合格点44点以上、各科目4点以上)
労働基準法及び労働安全衛生法
1.D 〇
2.C 〇
3.C E
4.A 〇
5.C 〇
6.A D
7.A 〇
8.A B
9.C D
10.E C 5/10
1.在籍型出向(出向元及び出向先双方と出向労働者との間に労働契約関係がある形態)の出向労働者については、出向元、出向先及び出向労働者三者間の取決めによって定められた権限と責任に応じて出向元の使用者又は出向先の使用者が、出向労働者について労働基準法等における使用者としての責任を負う。
2.
・労働基準法において一の事業であるか否かは主として場所的概念によって決定するが、例えば工場内の診療所、食堂等の如く同一場所にあっても、著しく労働の態様を異にする部門が存する場合に、その部門が主たる部門との関連において従事労働者、労務管理等が明確に区別され、かつ、主たる部門と切り離して適用を定めることによって労働基準法がより適切に運用できる場合には、その部門を一の独立の事業とするとされている。
・労働契約とは、本質的には民法第623条に規定する雇用契約や労働契約法第6条に規定する労働契約と基本的に異なるものではないが、民法上の雇用契約にのみ限定して解されるべきものではなく、委任契約、請負契約等、労務の提供を内容とする契約も労働契約として把握される可能性をもっている。
3.
・使用者は、労働基準法第14条第2項に基づき厚生労働大臣が定めた基準により、有期労働契約(当該契約を3回以上更新し、又は雇入れの日から起算して1年を超えて継続勤務している者に係るものに限り、あらかじめ当該契約を更新しない旨明示されているものを除く。)を更新しないこととしようとする場合には、少なくとも当該契約期間が満了する日の30日前までに、その予告をしなければならない。
労働基準法
第14条(契約期間等)
・労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、三年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあっては、五年)を超える期間について締結してはならない。
一 専門的な知識、技術又は経験(専門的知識等)であって高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る)との間に締結される労働契約
二 満六十歳以上の労働者との間に締結される労働契約
・使用者は、労働基準法第15条第1項の規定により、労働者に対して労働契約の締結と有期労働契約(期間の定めのある労働契約)の更新のタイミングごとに、「就業の場所及び従事すべき業務に関する事項」に加え、「就業の場所及び従事すべき業務の変更の範囲」についても明示しなければならない。
第十五条(労働条件の明示)
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。
②前項の規定によって明示された労働条件が事実を相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。
③前項の場合、就業のために住居を変更した労働者が、契約解除の日から十四日以内に帰郷する場合においては、使用者は、必要な旅費を負担しなければならない。
・使用者が労働者に対して損害賠償の金額をあらかじめ約定せず、現実に生じた損害について賠償を請求することは、労働基準法第16条が禁止するところではないから、労働契約の締結に当たり、債務不履行によって使用者が損害を被った場合はその実損害額に応じて損害を賠償する旨の約定をしても、労働基準法第16条に抵触するものではない。
第十六条(賠償予定の禁止)
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
・使用者は、労働者の貯蓄金をその委託を受けて管理する場合において、貯蓄金の管理が労働者の預金の受入であるときは、利子をつけなければならない。
・使用者は、労働者の同意を得た場合には、賃金の支払方法として、労働基準法施行規則第7条の2第1項第3号に掲げる要件を満たすものとして厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)のうち労働者が指定するものの第二種資金移動業に係る口座への資金移動によることができる(いわゆる賃金のデジタル払い)。賃金は通貨払が原則(労働基準法第24条)ただし、労働者が同意した場合には、その例外として、銀行口座と、証券総合口座への賃金支払いが認められている。さらに、下記の全ての要件を満たすものとして、厚生労働大臣が指定する資金移動具容赦の口座への資金移動によることができるようになった。
1.口座残高上限額を100万円いかに設定又は100万円を超えた場合でも速やかに100万円いかにするための措置を講じていること。(口座残高100万円超の場合に資金を滞留させない生成整備が資金決済法に基づき資金移動業者に求められていることや、資金保全スキームにおいて速やかに労働者に保証できる額は最大100万円と想定していることを踏まえ、破綻時にも口座残高が全額保証されることを担保するための要件)
2.破産等により資金移動業者の債務の履行が困難となったときに、労働者に対して負担する債務を速やかに労働者に保証する仕組みを有していること。
3.労働者に対して負担する債務について、当該労働者の意に反する不正な為替取引その他の当該労働者の責めに帰すことができない理由により当該労働者に損失が生じたときに、当該損失を補償する仕組みを有していること。
4.最後に口座残高が変動した日から少なくとも10年は口座残高が有効であること。
5.現金自動支払機ATMを利用すること等により口座への資金移動に係る額(1円単位)の受取ができ、かつ、少なくとも毎月1回は手数料を負担することなく受取ができること。また、口座への資金移動が1円単位でできること。
6.資金の支払に関する業務の実施状況及び財務状況を適時に厚生労働大臣に報告できる体制を有すること。
7.1~6のほか、賃金の支払に関する業務を適正かつ確実に行うことができる技術的能力を有し、かつ、十分な社会的信用を有すること。
厚生労働大臣の指定を受けようとする資金移動業者は、1~7の要件を満たすことを示す申請書を厚生労働大臣に提出しなければならない。厚生労働大臣は、指定を受けた資金移動業者が要件を満たさなくなった場合には、指定を取り消すことができる。
5.高度プロフェッショナル制度の導入の流れ
1.労使委員会を設置する(労働者代表委員が半数を占め、委員会の議事録が作成され、保存されるとともに、労働者に周知が図られている。)
2.労使委員会で決議をする。(決議すべき事項が全て定められている。委員の5分の4以上の多数による決議がなされている。)
3.決議を労働基準監督署長に届け出る。届け出先は、事業場の所在地を管轄する所轄の労働基準監督署長。
4.対象労働者の同意を書面で得る。労働時間等の規定が適用されないこととなる、同意の対象となる期間、同意の対象となる期間中に支払われると見込まれる賃金の額を明らかにした書面に労働者の署名を受けることにより、労働者の同意を得ている。
5.対象労働者を対象業務に就かせる。(年間104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与える、選択的措置及び健康・福祉確保措置を実施する、苦情処理措置を実施する、同意をしなかった労働者や撤回した労働者に不利益な取り扱いをしないこと等を運営の過程で確認。これらの措置を実施していない場合は、高度プロフェッショナル制度が無効となり、一般労働者として労働時間規制を受けることになるため、長時間労働が認められる場合は、労働基準法第32条等の違反となる場合もある。)
高度プロフェッショナル制度の対象となる範囲
・使用者から確実に支払われると見込まれる1年間当たりの賃金の額が少なくとも1,075万円以上
・使用者との間の合意に基づき職務が明確に定められていること。業務の内容、責任の程度、求められる成果の内容を明らかにした書面に労働者の署名を受けることにより、職務の範囲について労働者の合意を得なければならない。
※対象労働者は、対象業務に常態として従事していることが原則で、対象業務以外の業務にも常態として従事している者は、対象労働者とはならない。
対象業務の範囲
1.金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務
2.資産運用(指図を含む)の業務又は有価証券の売買その他の取引の業務のうち、投資判断に基づく資産運用の業務、投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務又は投資判断に基づき自己の計算において行う有価証券の売買その他の取引の業務
3.有価証券市場における相場党の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務
4.顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務
5.新たな技術、商品又は役務の研究開発の業務
※使用者から、具体的な指示を行うものは対象業務に含まれない。
・変形労働時間制は、業務の繁閑に応じて所定労働時間をあらかじめ計画的に配分することができる制度。1箇月単位の変形労働時間制とは、「労使協定または就業規則その他これに準ずるもの」により1箇月以内の一定の期間を平均して1週間の労働時間が44時間を超えない定めをした場合においては、当該変形期間内の特定された日または週について1日および1週間の所定労働時間(1日8時間1週44時間)の規制に関わらず、これを超えて労働させることができる制度。
具体的には次の要件を具備する必要がある。
1.労使協定又は就業規則その他これに準ずるものにより、1箇月以内の一定期間を平均し、一週間の労働時間が44時間を超えない定めをすること。
※規模1人未満の事業場の場合は、就業規則を作成して定めるかこれに準ずるものに定めるか、労使協定に定めるかの3つのうちのいずれかによって、1箇月単位の変形労働時間制を実施することができる。
2.労働時間を特定し、周知すること。
労使協定または就業規則その他これに準ずるものにより、変形期間における各日、各週の労働時間を具体的に定めておく必要がある。長さのほか、始業および終業の時刻も具体的に定め、かつ、これを労働者に周知することが必要。就業規則や労使協定は、常時各作業場の見やすい場所へ掲示しまたは備え付ける、書面を労働者に交付する、磁気ディスク等に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置する等の方法で労働者に周
知させなければならない。
変形期間中の総労働時間数=44時間×変形季刊の暦日数÷7日間
これにより計算した1箇月の労働時間の総枠
31日・・・194.8時間
30日・・・188.5時間
29日・・・182.2時間
28日・・・176時間
労働時間制度の概況
変形労働時間制(適用労働者の割合39・4%)
交替制勤務の場合や、季節等によって業務に繁閑の差がある場合
1箇月単位と1年単位の変形労働時間制は、対象業務の制限なし。1週間単位非定型的変形労働時間制は、常時使用する労働者が30人未満の小売業、旅館、料理店及び飲食店のみが対象。1週40時間以内の範囲で、1日10時間を上限として、その枠内で働く。1年単位変形労働時間制と1週単位非定型的変形労働時間制は、労使協定による手続のみで、労使協定は労基署へ届出が必要。1箇月単位変形労働時間制は、労使協定又は就業規則等による。
1年単位変形労働時間制は、労使協定で定める各日の労働時間は10時間を超えてはならず、各週で52時間を超えてはならない。また、対象期間が3箇月を超える場合の所定労働日数の限度は原則として1年あたり280日、さらに労使協定で定める労働日は連続6日が限度。
フレックスタイム制
協定した労働時間の範囲内で、始業・終業時刻を労働者にゆだねる場合(9・5%)
3箇月以内の一定期間(清算期間)・総労働時間を定め、その枠内で働く。
就業規則にフレックスタイム制を導入する旨を規定し、労使協定により対象とする労働者の範囲、清算期間、清算期間中の総労働時間を規定する。清算期間が1箇月を超える場合は労使協定を労基署へ届出が必要。
事業場外みなし労働時間制
労働時間の全部または一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定しがたいとき(6.7%)
労使協定の締結は義務付けられていないが、労使協定があるときは、その協定で定める時間を「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」とする。(協定したみなし労働時間が1日8時間を超える場合は労働基準監督署へ届出が必要。)
法定労働時間を超過するみなし労働時間を設定する場合、通常の労働時間制の場合と同様、36協定の締結及び届出が必要かつ、時間外割増賃金の支払が必要。
専門業務型裁量労働制
新商品や新技術の研究開発、情報処理システムの設計、コピーライター、新聞記者など(1.2%)
労使協定で定めた時間を労働したものとみなす。労使協定において、以下の事項を定め、労基署へ提出。
1.その事業場で対象とする業務
2.みなし労働時間
3.対象労働差の健康・福祉確保措置
4.対象労働派の苦情処理措置
企画業務型裁量労働制
事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務に従事する場合(0.3%)
労使委員会での決議で定めた時間を労働したものとみなす。労使委員会において、以下の事項を決議(4/5以上の多数決)し、労基署へ提出。
1.その事業場で対象とする業務
2.対象労働者の範囲
3.みなし労働時間
4.対象労働者の健康・福祉確保措置(6箇月に1回労基署に定期報告)
5.対象労働者の苦情処理措置
6.本人同意を得ること及び不同意の労働者に対する不利益取扱いの禁止等
高度プロフェッショナル制度
金融商品の開発、ファンドマネージャー、トレーダー、ディーラー、証券アナリスト、コンサルタント、新たな技術、商品又は役務の研究開発(0.0%)
対象労働者については、労働基準法に定められた労働時間、休憩、休日及び深夜の割増賃金に関する規定は適用除外となる。
労使委員会において、以下の事項を決議(4/5以上の多数決)し、労基署へ提出。
1.その事業場で対象とする業務
2.対象労働者の範囲
3.使用者が健康管理時間の把握を実施すること及びその把握方法
4.対象労働者の休日の確保
5.対象労働者の選択的措置
6.対象労働者の健康・福祉確保措置
7.対象労働者の同意の撤回に関する手続
7.対象労働者の苦情処理措置
8.不同意の労働者に対する不利益取扱いの禁止等
管理監督者
労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者(6.0%)
上記以外の労働時間制
1日8時間、週40時間の法定労働時間
6.年次有給休暇
・使用者の時季指定による年5日以上の年次有給休暇の取得について、労働者が半日単位で年次有給休暇を取得した日数分については、本条第8項の「日数」に含まれ、当該日数分について使用者は時季指定を要しないが、労働者が時間単位で取得した分については、本条8項の「日数」には含まないとされている。
・業種、業態にかかわらず、また、正社員、パートタイム労働者などの区分なく、一定の要件を満たしたすべての労働者に対して、年次有給休暇を与えなければならない。
通常の労働者の年次有給休暇の付与日数
半年・・・10日
1.5年・・・11日
2.5年・・・12日
3.5年・・・14日
4.5年・・・16日
5.5年・・・18日
6.5年以上・・・20日
週所定労働日数が4日以下かつ週所定労働時間が30時間未満の労働者の付与日数
4日(1年間の所定労働日数169~216日)
7日、8日、9日、10日、12日、13日、15日
3日(121=168日)
5日、6日、6日、8日、9日、10日、11日
2日(73~120日)
3日、4日、4日、5日、6日、6日、7日
1日(48~72日)
1日、2日、2日、2日、3日、3日、3日
・年次有給休暇を取得する日は、労働者が指定することによって決まり、使用者は指定された日に年次有給休暇を与えなければならない。ただし、労働者の指定した日に年次有給休暇を与えると、事業の正常な運営が妨げられる場合は、使用者に休暇日を変更する権利(時季変更権)が認められている。
※時季変更権の行使が認められるのは、例えば同じ日に多くの労働者が同時に休暇指定した場合などが考えられる。単に「業務多忙だから」という理由では、時季変更権は認められない。
・年次有給休暇は、原則として、労働者が請求する時期に与えるが、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、年次有給休暇の日数のうち、年5日について、使用者が時季を指定して取得させることが必要。年次有給休暇を5日以上取得済みの労働者に対しては、使用者による時季指定は不要。時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取し、その意見を尊重するよう努めなければならない。使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければならない。
・年次有給休暇の付与日数のうち、5日を超える部分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる。
・年次有給休暇は、1日単位で与えることが原則だが、労使協定を結べば、1時間単位で与えることができる(上限は1年で5日分まで)。
・年次有給休暇の事項は2年。
7.就業規則等
・事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、「起床、就寝、外出及び外泊に関する事項」、「行事に関する事項」、「食事に関する事項」、「安全及び衛生に関する事項」及び「建設物及び設備の管理に関する事項」について寄宿舎規則を作成し、行政官庁に届け出なければならないが、これはいわゆる必要的記載事項であるから、そのいずれか一つを欠いても届出は受理されない。
・同一事業場において、労働基準法第3条に反しない限りにおいて、一部の労働者についてのみ適用される別個の就業規則を作成することは差し支えないが、別個の就業規則を定めた場合には、当該2以上の就業規則を合したものが同法第89条の就業規則となるのであって、それぞれ単独に同条の就業規則となるものではないとされている。
・育児介護休業法による育児休業も、労働基準法第89条第1項の休暇に含まれるものであり、育児休業の対象となる労働者の範囲等の付与要件、育児休業取得に必要な手続、休業期間については、就業規則に記載する必要があるとされている。
・労働基準法第41条第3号の「監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの」は、同法の労働時間に関する規定が適用されないが、就業規則には始業及び終業の時刻を定めなければならないとされている。
8.安全衛生管理
・統括安全衛生管理者は、林業・鉱業・建設業・運送業・清掃業では常時100人以上使用する事業場規模、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・什器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・什器等小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業では300人以上、その他の業種では1,000人以上の事業場で必要。常時使用する労働者には、正社員のほか、パートタイマー、アルバイト、派遣労働差、名称の如何にかかわらず、常態としてその事業場で使用される労働者が含まれる。
・統括安全管理者は、当該事業場において、その事業の実施を実質的に統括管理する権限及び責任を有する者(工場長、作業所長等名称は問わない)。
・統括安全管理者の職務は、安全管理者、衛生管理者等を指揮するとともに、次の業務を統括管理すること。
1.労働者の又は健康障害を防止するための措置に関すること。
2.労働者の安全又は衛生のための教育の実施に関すること。
3.健康診査等の実施その他健康の保持増進のための措置(健診結果に基づく事後措置、作業環境の維持管理、作業の管理及び健康教育、健康相談等)に関すること。
4.労働災害の原因の調査及び再発防止対策に関すること。
5.安全衛生に関する方針の表明に関すること。
6.危険性又は有害性等の調査及びその結果に基づき講ずる措置に関すること。
7.安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善に関すること。
8.その他の労働災害を防止するため必要な業務
・安全管理者の選任基準は、林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・什器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・什器小売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業・・・50人以上
・選任の安全管理者が必要な事業と規模は、下記の通り。
建設業、有機化学工業製品製造業、石油製品製造業・・・300人以上
無機化学工業製品製造業、化学肥料製造業、道路貨物運送業、港湾運送業・・・500人以上
紙・パルプ製造業、鉄鋼業、造船業・・・1000人以上
選任基準に該当する業種のうち、上段の業種を除く事業場(過去3年間の労働災害による休業1日以上の死傷者数の合計が100人を超える事業場に限る)・・・2000人以上
・安全管理者選任資格要件
①理科系等の大学・高等専門学校卒で産業安全の実務に従事した経験が2年、高等学校卒で4年、理科系統以外の大学・高等専門学校卒で4年、高等学校卒業卒で6年、その他で7年、かつ、安全管理者選任時研修を修了した者。
②労働安全コンサルタント
③平成18年10月1日時点において安全管理者としての経験が2年以上ある者(経過措置)
・衛生管理者は、全ての業種で選任が必要。ただし、50人未満の事業場の規模は選任の義務なし。50~200人で1人、201~500人で2人、501~1000人で3人、1001人~200人で4人、2001~3000人で5人、3000人以上で6人必要。
・安全衛生推進者は、林業、鉱業、建設業、運送業、清掃業、製造業、電気業、ガス業、熱供給業、水道業、通信業、各種商品卸売業、家具・建具・什器等卸売業、各種商品小売業、家具・建具・什器等卸売業、燃料小売業、旅館業、ゴルフ場業、自動車整備業及び機械修理業で10人以上50人未満の規模で選任が必要。衛生推進者は、その他の業種で10人以上50人未満の規模で必要。
第14条(作業主任者)
事業者は、高圧室内作業その他の労働災害を防止するための管理を必要とする作業で、政令で定めるものについては、都道府県労働局長の免許を受けた者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行う技能講習を修了した者のうちから、厚生労働省令で定めるところにより、当該作業の区分に応じて、作業主任者を選任し、その者に当該作業に従事する労働者の始期その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。
9.長時間労働者に対する医師による面接指導
・労働安全衛生法第66条の8第1項において、事業者が医師による面接指導を行わなければならないとされている労働者の要件は、休憩時間を除き1週間当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が一月当たり80時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められる者(所定事由に該当する労働者であって面接指導を受ける必要がないと医師が認めたものを除く)である。
・労働安全衛生法第66条の8の2において、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務に従事する者に対して事業者が医師による面接指導を行わなければならないとされている労働時間に関する要件は、休憩時間を除き1週間あたり40時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が1月当たり100時間を超える者とされている。
・事業者は、労働安全衛生法の規定による医師による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により労働時間の状況を把握しなければならないとされているが、この労働者には、労働基準法第41条第2号に規定する監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者も含まれる。
・派遣労働者に対する医師による面接指導については、派遣元事業者に実施義務が課せられている。
10.労働安全衛生法第88条の計画の届出
労働安全衛生法
第10章 監督等
第88条(計画の届出等)
事業者は、機械等で、若しくは有害な作業を必要とするもの、危険な場所において使用するもの又は危険若しくは健康障害を防止するため使用するもののうち、厚生労働省令で定めるものを設置し、若しくは移転し、又はこれらの主要構造部分を変更しようとするときは、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。ただし、第28条の2第1項に規定する措置その他の厚生労働省令で定める措置を講じているものとして、厚生労働省令で定めるところにより労働基準監督署長が認定した事業者については、この限りでない。
2.事業者は、建設業に属する事業の仕事のうち重大な労働災害を生ずるおそれがある特に大規模な仕事で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の30日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働大臣に届け出なければならない。
3.事業者は、建設業その他政令で定める業種に属する事業の仕事(建設業に属する事業にあっては前項の厚生労働省令で定める仕事を除く)で、厚生労働省令で定めるものを開始しようとするときは、その計画を当該仕事の開始の日の14日前までに、厚生労働省令で定めるところにより、労働基準監督署長に届け出なければならない。
労働者災害補償保険法
1.C A
2.A D
3.A C
4.C D
5.C 〇
6.C (Dも正解) 〇
7.B 〇
8.A E
9.B 〇
10.B D 4/10
1.通勤災害とは、労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡であり、これに対しては、業務災害の場合と同様に労災保険から必要な給付がなされる。保護の対象となる通勤とは、労働者が「就業に関し、住居と就業の場所との間を、合理的な経路及び方法により往復すること」をいい、「業務の性質を有するものを除く」ものである。
労働者が、往復の経路を逸脱し、又は往復を中断した場合には、逸脱又は中断の間及びその後の往復は通勤とされないが、逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であった厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、逸脱又は中断の間を除き通勤とされる(法第7条第3項)。上記のものとして、具体的に省令に定められているものは以下のとおり。
1.日用品の購入その他これに準ずる行為
2.職業能力開発促進法に規定する公共職業能力開発施設において行われる職業訓練、学校教育法に規定する学校のおいて行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発に資するものを受ける行為
3.選挙権の行使その他これに準ずる行為
4.病院又は診療所において診察又は治療を受けることその他これに準ずる行為
・通勤災害により被災した労働者の休業給付、障害給付、遺族給付等の給付額の基礎となる給付基礎日額については原則として労働基準法第12条の平均賃金に相当する額とされている(法第8条第1項)。労働基準法第12条の平均賃金とは原則として「これを算定すべき事由の発生した日以前3ヶ月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額」である。
労働者災害補償保険法
第三章 保険給付
第七条 この法律による保険給付は、次に掲げる保険給付とする。
一 労働者の業務上の負傷、疾病、障害又は死亡(業務災害)に関する保険給付
二 複数事業労働者(これに類する者として厚生労働省令で定めるものを含む)の二以上の事業の業務を要因とする負傷、疾病、障害又は死亡(複数業務要因災害)に関する保険給付
三 労働者の通勤による負傷、疾病、障害又は死亡(通勤災害)に関する保険給付
四 二次健康診断等給付
②前項第三号の通勤とは、労働者が、就業に関し、次に掲げる移動を、合理的な経路及び方法により行うことをいい、業務の性質を有するものを除くものとする。
一 住居と就業の場所との間の往復
二 厚生労働省令で定める就業の場所から他の就業の場所への移動
三 第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(厚生労働省令で定める要件に該当するものに限る。)
四 労働者が、前項各号に掲げる移動の経路を逸脱し、又は同項各号に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱又は中断の間その後の同項各号に掲げる移動は、第一項第三号の移動としない。ただし、当該逸脱又は中断が、日常生活上必要な行為であって厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、この限りでない。
第8条
給付基礎日額は、労働基準法第十二条の平均賃金に相当する額とする。この場合において、同条第一項の平均賃金を算定すべき事由の発生した日は、前条第一項第一号から第三号までに規定する負傷若しくは死亡の原因である事故が発生した日又は診断によって同項第一号から第三号までに規定する疾病の発生が確定した日(算定事由発生日)とする。
労働基準法第12条
この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。ただし、その金額は、次の各号の一によって計算した金額を下ってはならない。
一 賃金が、労働した日若しくは時間によって算定され、又は出来高払制その他の請負制によって定められた場合においては、賃金の総額をその期間中に労働した日数で除した金額の百分の六十
二 賃金の一部が、月、週その他一定の期間によって定められた場合においては、その部分の総額をその期間の総日数で除した金額と前号の金額の合算額
2.前項の期間は、賃金締切日がある場合においては、直前の賃金締切日から起算する。
3.前二項に規定する期間中に、次の各号のいずれかに該当する期間がある場合においては、その日数及びその期間中の賃金は、前二項の期間及び賃金の総額から控除する。
一 業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
二 産前産後の女性が第65条の規定によって休業した期間
三 使用者の責めに帰すべき事由によって休業した期間
四 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業に規定する介護をした期間
五 試みの使用期間
4.第1項の賃金の総額には、臨時に支払われた賃金及び3箇月を超える期間ごとに支払われる賃金並びに通貨以外のもので支払われた賃金で一定の範囲に属しないものは算入しない。
第65条(産前産後)
使用者は、6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合においては、その者を就業させてはならない。
2.使用者は、産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後6週間を経過した女性が請求した場合において、その者について医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない。
3.使用者は、妊娠中の女性が請求した場合においては、他の軽易な業務に転換させなければならない。
2.通勤災害
3.令和5年9月1日付厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長宛通知
「心理的負荷による精神障害の認定基準」
改正の背景:精神障害・自殺事案については2011年に作成された「心理的負荷による精神障害の認定基準について」に基づき労災認定を行ってきた。このたび、近年の社会情勢の変化や労災請求件数の増加に鑑み、最新の医学的知見を踏まえて「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」において検討を行い、認定基準の改正を行った。
・顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた(カスタマーハラスメント)
・感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した。
・悪化前おおむね6ヶ月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときは、悪化した部分について業務起因性を認める。
・特に困難なものを除き、医学意見の収集は専門家一名の意見で決定できるように。
・対象疾病は、疾病及び関連保健問題の国際統計分類第10回改訂版第Ⅴ章「精神及び行動の障害」に分類される精神障害であって、器質性のもの及び有害物質に起因するものを除く。心身症は、本認定基準における精神障害に含まれない。
4.
・休業補償給付が支給される三要件のうち「労働することができない」に関して、業務災害に被災した複数事業労働者が、現に一の事業場において労働者として就労しているものの、他方の事業場において当該業務災害に係る通院のため、所定労働時間の全部又は一部について労働することができない場合には、「労働することができない」に該当すると認められることがある。
・休業補償給付が支給される三要件のうち「賃金を受けない日」に関して、被災した複数事業労働者については、複数の就業先のうち、一部の事業場において、年次有給休暇等により当該事業場における平均賃金相当額(複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した平均賃金に相当する額をいう)の60%以上の賃金を受けることにより「賃金を受けない日」に該当しない状態でありながら、他の事業場において、当該業務災害による傷病等により無休での休業をしているため、「賃金を受けない日」に該当する状態があり得る。
・複数事業労働者にうちては、その疾病が業務災害による遅発性疾病である場合で、その診断が確定した日のおいて、災害発生事業がを離職している場合の当該事業場における平均賃金相当額の算定については、災害発生事業場を離職した日を基準に、その日(賃金の締切日がある場合は直前の賃金締切日をいう)以前3箇月間に災害発生事業場において支払われた賃金により算定し、当該金額を基礎として、診断によって当該疾病発生が確定した日までの賃金水準の上昇又は変動を考慮して算定する。
・複数の事業に使用されていない者に係る、遅発性疾病等の、診断が確定した日において既にその疾病の発生のおそれのある作業に従事した事業場を離職している場合の平均賃金の算定については、当該労働者がその疾病の発生のおそれのある作業に従事した最後の事業場を離職した日(直前の締切日がある場合は直前の賃金締切日)以前3箇月間に支払われた賃金により算定した金額を基礎とし、診断によって疾病発生が確定した日までの賃金水準の上昇又は変動を考慮して算定し、また、当該労働者の離職時の賃金が不明であるときには、算定事由発生日における同種労働者の一日平均の賃金額等に基づいて算定しているところであるが、複数事業労働者については、平均賃金相当額を算定すべき事業所は複数存在することから、その取扱いについては以下による。
・複数事業労働者に係る平均賃金額の算定において、雇用保険法等の一部を改正する法律(令和2年法律第14号)の施行日後に発生した業務災害たる傷病等については、当該傷病等の原因が生じた時点が改正法の施行日前であっても、当該傷病等が発生した時点において事業主が同一人でない2以上の事業に使用されていた場合は、給付基礎日額相当額を合算する必要がある。
5.・遺族補償年金(年齢等の一定の要件を満たす遺族の人数に応じ、1年につき平均給与額の153~245日分の年金が支給)の受給資格者となるのは、労働者の死亡当時その者の収入によって生計を維持していた配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹。妻以外の遺族については、労働者の死亡の当時に一定の高齢又は年少であるか、あるいは一定の障害の状態にあることが必要。
夫:60歳以上又は障害の状態にある方
子:18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるかまたは障害の状態にある方
父母:60歳以上又は障害の状態にある方
孫:18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は障害の状態にある方
祖父母:60歳以上又は障害の状態にある方
兄弟姉妹:18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか60歳以上または障害の状態にある方
夫:55歳以上60歳未満
父母:55歳以上60歳未満
祖父母:55歳以上60歳未満
兄弟姉妹:55歳以上60歳未満
最先順位者に支給される。
・遺族補償年金、遺族特別年金(災害発生前1年間に期末手当等の特別給を受けていた場合、1年につき以下の額が支給される。
遺族補償年金の年額×特別給支給率(上限は20/100)共に、給付(算定)基礎日額の153日分(遺族一人の場合)その遺族が55歳以上の妻又は一定の障害状態にある妻の場合は給付基礎日額の175日分
2人遺族だと201日分、3人だと223日分、4人以上だと245日分。
遺族特別支給金は300万円。
受給権者が2人以上いるときは、その額を等分した額がそれぞれの受給権者が受ける額となる。
・遺族補償年金を受給する事となった遺族は、一回に限り、前払を受けることができる。若年停止により年金の支給が停止されている方も、前払を受けられる。
・前払一時金の額は、給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1000日分の中から希望する額を選択できる。前払一時金が支給されると遺族補償年金は、各月分の額(1年たってからの分は年5分の単利で割引いた額)の合計額が、前払一時金の額に達するまでの間支給停止される。
・遺族補償一時金は、労働者が業務上の事由により死亡した場合で、労働者の死亡の当時、遺族補償年金の受給資格者がいないときには給付基礎日額の1000日分が支給される。また、遺族補償遠近の受給権者が最後順位者まですべて失権した場合に、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金の額及び遺族補償年金前払い一時金の額の合計額が給付基礎日額の1000日分にたっしていないときには、その合計額と給付基礎日額の1000人分との差額が支給される。
・遺族補償一時金の受給権者が2人以上いるときは、その人数で除した額がそれぞれの受給権者の受給額となる。
・遺族補償一時金の受給権者は、次の者のうち最先順位にあるもの。
1.配偶者
2.労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子・父母・孫・祖父母
3.その他の子・父母・孫・祖父母
4.兄弟姉妹
・受給権者が次の1~6にあてはまることとなった場合は、遺族補償年金と遺族特別給付金を受ける権利を失う。これらの年金の支払は、権利を失った月の分までで終了する。
1.亡くなった場合
2.婚姻(事実婚を含む)
3.直系血族又は直系婚族以外の者の養子となった場合
4.離縁によって亡くなった者との親族関係が終了
5.職員の子、孫、兄弟姉妹である受給権者が、18歳に達した日以後の最初の3月31日を経過したとき
6.障がい者であることにより受給権者となっている方が障害者でなくなったとき。
・受給権者が権利を失った場合、同順位の受給権者がいればその方が引き続き年金を受給。同順位の方がいなければ、次の順位の受給資格者が新たな受給権者となり、遺族補償年金と遺族特別給付金を受けることとなる。
6.労災保険の海外派遣特別加入制度
・労災保険は、本来、国内にある事業場に適用され、そこで就労する労働者が給付の対象となる制度で、海外の事業場で就労する方は対象とならない。通常、派遣先の国の労災補償制度の対象となる。ただ、外国の制度の適用範囲や給付内容が必ずしも十分でない場合もあることから、海外派遣者についても労災保険の給付が受けられる制度を設けている。
・海外派遣者として特別加入することができるのは、次のいずれかに該当する場合。
1.日本国内の事業主から、海外で行われる事業に労働者として派遣される人
2.日本国内の事業主から、海外にある中小規模の事業に事業主等として派遣される人
3.独立行政書士法人国際協力機構など開発途上地域に対する技術協力の実施の事業を行う団体から派遣されて、開発途上地域で行われている事業に従事する人
・新たに海外に派遣される人に限らず、すでに海外の事業に派遣されている人でも特別加入することができるが、現地採用の人は国内の事業からの派遣でないため、特別加入することはできない。
・派遣元の団体または事業主が、日本国内において実施している事業(有期事業を除く)について、労災保険の保険関係が成立していることが必要。派遣先の事業は、有期事業も含まれる。
・海外派遣者は、派遣元の団体又は事業主が、海外派遣者を特別加入させることについて政府の承認を申請し、政府の承認があった場合に特別加入することができる。
・海外派遣者と派遣元の事業との雇用関係が、転勤、在籍出向、移籍出向等のいずれの形態で処理されていても、派遣元の事業主の命令で海外の事業に従事し、その事業との間に現実の労働関係をもつ限りは、特別加入の資格に影響を及ぼすものではない。
・海外出張者として特段の加入手続きを経ることなく当然に労災保険の保護を与えられるのか、海外派遣者として特別加入しなければ保護が与えられないのかは、単に労働の提供の場が海外にあるにすぎず国内の事業場に所属し、当該事業場の使用者の指揮に従って勤務することになるのかという点からその勤務の実態を総合的に勘案して判定されるべきものである。
7.労災保険給付
・労働者が、重大な過失により、負傷、疾病、障害若しくは死亡又はこれらの原因となった事故を生じさせたときは、政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。
・労働者が、懲役、禁錮若しくは拘留の刑の執行のため刑事施設に拘置されている場合には、休業補償給付は行わない。
8.労働保険の保険料の徴収等
労働保険の保険料の徴収等に関する法律
第8条(請負事業の一括)
厚生労働省令で定める事業が数次の請負によって行われる場合には、この法律の規定の適用については、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする。
2.前項に規定する場合において、元請負人及び下請負人が、当該下請負人の請負に係る事業に関して同項の規定の適用を受けることにつき申請をし、厚生労働大臣の認可があったときは、当該請負に係る事業については、当該下請負人を元請負人とみなして同項の規定を適用する。
・労働保険徴収法第8条に規定する請負事業の一括について、労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業であって、数次の請負によって行われる場合、雇用保険に係る保険関係については、元請事業に一括することなく事業としての適用単位が認められ、それぞれの事業ごとに労働保険徴収法が適用される。
・労働保険徴収法第8条に規定する請負事業の一括について、下請負に係る事業については下請負人が事業主であり、元請負人と下請負人の使用する労働者の間には労働関係がないが、同条第2項に規定する場合を除き、元請負人は当該請負に係る事業について下請負をさせた部分を含め、そのすべての労働者について事業主として保険料の納付等の義務を負う。
・労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、保険関係が成立した日の翌日から起算して10日以内に「下請負人を事業主とする認可申請書」を所轄都道府県労働局長に提出しなければならない。
・労働保険徴収法第8条第2項に定める下請負事業の分離に係る認可を受けようとする元請負人及び下請負人は、天災その他不可抗力のやむを得ない理由により、同法施行規則第8条第1項に定める期限内に「下請負人を事業主とする認可申請書」を提出することができなかったときは、期限後であっても当該申請書を提出することができる。
労働保険徴収法施行規則
第6条(有期事業の一括)
法第7条第3号の厚生労働省令で定める規模以下の事業は、次の各号に該当する事業とする。
一 当該事業について法第15条第2項第1号又は第2号の労働保険料を算定することとした場合における当該労働保険料の額に相当する額が百六十万円未満であること。
二 立木の伐採の事業にあっては、素材の見込生産量が千立方メートル未満であり、立木の伐採の事業以外の事業にあっては、請負金額が一億八千万円未満であること。
労働保険徴収法
第7条(有期事業の一括)
二以上の事業が次の要件に該当する場合には、この法律の適用については、その全部を一の事業とみなす。
一 事業主が同一人であること。
二 それぞれの事業が、事業の期間が予定される事業(有期事業)であること。
三 それぞれの事業の規模が、厚生労働省令で定める規模以下であること。
四 それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行われること。
五 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件に該当すること。
9.労働保険の保険料の徴収等
・労働保険料の口座振替による納付制度は、一括有期事業の事業主も、単独有期事業の事業主も対象となる。
労働保険徴収法
第21条の2(口座振替による納付等)
政府は、事業主から預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による印紙保険料以外の労働保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。
・労働保険料を口座振替によって納付することを希望する事業主は、労働保険徴収法施行規則第38条の2に定める事項を記載した書面を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することによって申出を行わなければならない。
・労働保険料を口座振替によって納付する事業主は、概算保険料申告書及び確定保険料申告書を、日本銀行、年金事務所又は所轄公共職業安定所長を経由して所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出することはできない。
・口座振替による納付制度を利用する事業主から納付に際し添えることとされている申告書の提出を受けた所轄都道府県労働局歳入徴収官は、労働保険料の納付に必要な納付書を労働保険徴収法第21条の2第1項の金融機関へ送付するものとされている。
10.
・事業主は、あらかじめ代理人を選任し、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出ている場合、労働保険徴収法施行規則によって事業主が行わなければならない労働保険料の納付に係る事項を、その代理人に行わせることができる。
・所轄都道府県労働局長、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長は、保険関係が成立し、若しくは成立していた事業の事業主又は労働保険事務組合若しくは労働保険事務組合であった団体に対して、労働保険徴収法の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずる場合、文書によって行わなければならない。
・前保険年度より保険関係が引き続く継続事業における年度当初の確定精算に伴う精算返還金に係る時効の起算日は6月1日となるが、確定保険料申告書が法定納期限内に提出された場合、時効の起算日はその提出された日の翌日となる。
・事業主が概算保険料の申告書を提出していない場合、政府が労働保険徴収法第15条第3項の規定に基づき認定決定した概算保険料について通知を行ったとき、当該通知によって未納の当該労働保険料について時効の更新の効力を生ずる。
・労働保険とは、労働者災害補償保険(労災保険)と雇用保険を総称した言葉であり、保険給付は両保険制度で別個に行われるが、保険料の徴収については、両保険は労働保険として一体のものとして取り扱される。
・事業主は、労働者を一人でも雇っていれば、労働保険に加入し、労働保険料を納付する必要がある。法人の役員、同居の親族等は、原則として対象とならない。
・労働保険料は、年度当初に概算で申告・納付し、翌年度の当初に確定申告の上精算することになっている。事業主は、前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付する必要がある。これを年度更新といい、原則として例年6月1日から7月10日までの間に、労働基準監督署長、都道府県労働局及び金融機関で手続きを行う。
・労働保険料の算出方法は、全ての労働者に支払った賃金の額×保険料率。
・労働保険の事務処理を代行する労働保険事務組合や社会保険労務士の制度がある。
雇用保険法
1.A 〇
2.E B
3.A D
4.D C
5.C E
6.B A
7.E 〇
8.B C
9.A D
10.D 〇 3/10
1.雇用保険の被保険者
・適用事業の事業主に雇用されつつ自営業を営む者は当該適用事業の事業主の下での就業条件が被保険者となるべき要件を満たす限り被保険者となる。
・労働者が長期欠勤して賃金の支払を受けていない場合であっても、被保険者となるべき他の要件を満たす雇用関係が存続する限り被保険者となる。
・中小企業等協同組合法に基づく企業組合の組合員は、組合との間に同法に基づく組合関係があることとは別に、当該組合との間に使用従属関係があり当該使用従属関係に基づく労働の提供に対し、その対象として賃金が支払われている場合、被保険者となるべき他の要件を満たす限り被保険者となる。
・学校教育法に規定する大学の夜間学部に在籍する者は、被保険者となるべき他の要件を満たす限り被保険者となる。
・雇用保険制度は、労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能をもった制度。
・事業主は、雇用保険法に基づき、適用基準を満たす労働はについて、事業主や労働者の意思に関係なく、被保険者となった旨を公共職業安定所に届け出なければならない。この被保険者資格取得の届出が適正になされていないと、労働者が失業した場合などに支給される給付について、不利益を被る事態を生じることがある。厚生労働省は、このような事態を防止するため、雇用保険の被保険者資格取得の届出が適正になされているか否かの確認を労働者自ら公共職業安定所に照会できる仕組みを設けている。
・労働者を一人でも雇っていれば、雇用保険の加入手続きが必要。雇用保険においては、労働者を雇用する事業は、その業種、規模等を問わず、すべて適用事業であり、当然に雇用保険の適用を受け、また、適用事業に雇用される労働者は雇用保険の被保険者となる。(事業主は、労働保険料の納付、雇用保険法の規定による各種の届出等の義務を負うことになる。)
・次の1及び2のいずれにも該当するときは、雇用保険の被保険者となる。事業主は必ず、雇用保険被保険者資格取得届を事業所の所在地を管轄する公共職業安定所に、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに提出する。
1.31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者であること。具体的には、次のいずれかに該当する場合。
・期間の定めがなく雇用される場合
・雇用期間が31日以上である場合
・雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない場合
・雇用契約に更新規定はないが同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある場合(当初の雇入れ時にひあ31日以上雇用されることが見込まれない場合であってもその後、31日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から雇用保険が適用される。)
2.1週間の所定労働時間が20時間以上
2.失業等給付の受給資格
・離職をした日以前の2年間に、被保険者期間が通算して12箇月以上必要(特定受給資格者または特定理由離職者は、離職の日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6ヶ月以上あること)
・令和2年8月1日から、離職日から1箇月ごとに区切っていった期間に、賃金支払いの基礎となる日が11日以上ある月、または賃金支払いの基礎となった労働時間数が80時間以上ある月を1箇月として計算することになった。(満1箇月ある月が該当。満1箇月に満たない月は、上記の条件に該当しても1箇月として計算しない。)
・離職日から1箇月ごとに区切った期間に賃金が支払われた日数が11日以上ある月を1箇月とする。このように区切ることにより1箇月未満の期間が生ずる場合、その1箇月未満の期間の日数が15日以上あり、かつその期間内に賃金が支払われた日数が11日以上あるときは、その期間を2分の1箇月として計算する。
3.傷病手当金
雇用保険法第3款 傷病手当
第37条
傷病手当は、受給権者が、離職後公共職業安定所に出頭し、求職の申込みをした後において、疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に、第20条第1項及び第2項の規定による期間内の当該疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができない日について、第4項の規定による日数に相当する日数分を限度として支給する。
・受給資格者が離職後最初に公共職業安定所に求職の申込みをした日以後において、雇用保険法第37条第1項に基づく疾病又は負傷のために基本手当の支給を受けることができないことについての認定(傷病の認定)を受けた場合、失業している日(疾病又は負傷のため職業に就くことができない日を含む)が通算して7日に満たない場合は、傷病手当を支給しない。
・傷病手当を支給する日数は、傷病の認定を受けた受給資格者の所定給付日数から当該受給資格に基づき、既に基本手当を支給した日数を差し引いた日数に相当する日数分を限度とする。
・基本手当の支給を受ける口座振込受給資格者が当該受給期間中に疾病又は負傷により職業に就くことができなくなった場合、天災その他認定を受けなかったことについてやむを得ない理由がない限り、当該受給資格者は、職業に就くことができない理由がやんだ後における最初の支給日の直前の失業の認定日までに傷病の認定を受けなければならない。
・傷病手当の日額は、雇用保険法第16条に規定する基本手当の日額に相当する額である。
4.雇用保険の資格喪失
・事業主は、その雇用する労働者が離職した場合、当該労働者が離職の日において59歳未満であり、雇用保険被保険者離職票の交付を希望しないときは、事業所の所在地を管轄する公共職業安定所長に対して雇用保険被保険者離職証明書を添えずに雇用保険被保険者資格喪失届を提出することができる。
・基本手当の支給を受けようとする者(未支給給付請求者を除く)が離職票に記載された離職の理由に関し異議がある場合、管轄公共職業安定所に対し離職票及び離職の理由を証明することができる書類を提出しなければならない。
・基本手当の支給を受けようとする者であって就職状態にあるものが管轄公共職業安定所に対して離職票を提出した場合、当該就職状態が継続することにより基本手当の受給資格が認められなかったことについて不服があるときは、雇用保険審査官に対して審査請求をすることができる。
・公共職業安定所長は、離職票を提出した者が雇用保険法第13条第1項所定の被保険者期間の要件を満たさないと認めたときは、離職票にその旨を記載して返付しなければならない。
・基本手当の給付日数(所定給付日数)
定年、自己都合退職、懲戒解雇、契約期間満床
65歳未満・・・10年未満で90日、10年以上20年未満で120日、20年以上で150日
特定受給資格者(離職理由が倒産、解雇等で再就職の準備をする時間的余裕なく退職を余儀なくされた人)、一部の特定理由離職者(特定受給資格者以外で期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由で離職した人、2か月又は3箇月の給付制限なし)(1年未満、1年以上5年未満、5年以上10年未満、10年以上20年未満、20年以上)
30歳未満・・・90日、90日、120日、180日、なし
30歳以上35歳未満・・・90日、120日、180日、210日、240日
35歳以上45歳未満・・・90日、150日、180日、240日、270日
45歳以上60歳未満・・・90日、180日、240日、270日、330日
60歳以上65歳未満・・・90日、150日、180日、210日、240日
障がい者等の就職困難者
45歳未満・・・1年未満150日、1年以上300日
45歳以上65歳未満・・・1年未満150日、1年以上360日
・高年齢被保険者とは、65歳以上で退職した人、高年齢被保険者には、一時金で1年未満で30日分、1年以上で50日分
・短期雇用特例被保険者とは、季節的業務に就いていた人で、特例一時金の額は540日分(暫定措置)
・給付される金額を基本手当といい、基本手当の日額は、原則として、離職の直前6ヶ月間に支払われた賃金の合計金額を180で割った金額のおよそ80~45%。基本手当の日額は、毎月勤労統計の結果に基づき、毎年8月1日に改定される。
・基本手当の日額の年齢層ごとの上限額
30歳未満又は65歳以上で7,065円
30歳以上45歳未満で7,845円
45歳以上60歳未満で8,635円
60歳以上65歳未満で7,420円
下限額は全年代で2,295円
・支給の開始は、離職票を提出し、求職の申込みをしてから7日間の失業している日(待機)が経過した後(解雇、定年等により退職)か、+2か月または3箇月(給付制限)が経過した後
・受給期間は、離職の日の翌日から1年間。1年の間に所定給付日数を限度として支給。受給期間を過ぎると給付日数が残っていても支給されない。
・基本手当を受けるには、原則として4週間に1回の認定日に、失業の認定を受ける必要がある。
・高年齢被保険者であった人に支給される高年齢求職者給付金の受給期間は、離職の日の翌日から1年を経過する日、短期雇用特例被保険者であった人に支給される特例一時金の受給期限は、離職の日の翌日から6カ月を経過した日。
・雇用保険の受給手続きを取った人が、次の1~8の要件をすべて満たして早期に再就職した場合には、再就職手当が支給される。
1.就職日の前日までの認定を受けたうえで、支給残日数が3分の1以上残っていること。
2.1年を超えて引き続き雇用されると認められること。
3.採用の内定が「受給資格決定日」以後であること。
4.待機が経過した後、職業に就いたこと。
5.給付制限がある場合、待機終了後の1箇月間はハローワークの紹介または厚生労働大臣が許可した職業紹介事業者の紹介により就職に就いたこと(オンライン自主応募は、ハローワークの紹介に該当しない)
6.離職前の事業主または関連事業主に雇用されたものではないこと。
7.過去3年以内の就職について、再就職手当、常用就職支度手当の支給を受けていないこと。
8.雇用保険の被保険者資格を取得していること。ただし、マルチ高年齢被保険者となる場合を除く。
支給される金額は、支給残日数×70%(支給残日数が2/3以上)60%(支給残日数が1/3以上)×基本手当日額
・再就職手当の支給を受けた人が引き続きその再就職先に雇用保険の被保険者として六箇月以上雇用され、かつ再就職先での六箇月間の賃金が雇用保険の給付を受ける前の賃金に比べて低下している場合、就業促進定着手当が支給される。
受給期間内に所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上を残して再就職手当の支給対象とならない常用雇用等以外の形態(1年を超える見込みのない雇用)で就業した場合には、その就業日ごとに基本手当日額の30%(1円未満切り捨て)の就業手当が支給される。
・離職後1年の基本手当の受給期間内に、下記の理由で働くことができない状態が30日以上続いた場合は、受給期間を延長できる。教育訓練給付制度対象口座の受講を希望している人は、訓練を受けられる期間を延長もできる。
1.妊娠、出産、育児(3歳未満に限る)など
2.病気やけが(健康保険の傷病手当、労災保険の休業補償を受給中の場合、不妊治療を含む)
3.親族等の介護のため働くことができない(6親等以内の血族、配偶者及び3親等内の婚族)
4.事業主の命により海外勤務する配偶者に同行
5.青年海外協力隊等公的機関が行う海外技術指導による海外派遣
6.60歳以上の定年等により離職し、しばらくの間休養する。
7.事業を開始し、当該事業に専念する。
・雇用保険で、職業安定所が行った「被保険者となったことの確認」や「失業等給付に関する処分」に不服がある場合は、都道府県労働局に配置された雇用保険審査官に対して審査請求。
・雇用保険審査官に対してした審査請求の棄却の決定または3箇月を経過しても決定がない場合は、労働保険審査会への再審査請求(
決定書が到達した日の翌日から2か月以内)あるいは地方裁判所に原処分の取消し訴訟を決定があったことを知った日の翌日から6ヶ月以内にできる。
決定又は裁決したことを知った日の如何に関わらず、決定又は裁決があった日から1年を経過すると取消し訴訟は提起できなくなる。
5.雇用保険の不正受給
・雇用調整助成金の不正受給の場合、不正発生日を含む判定基礎期間以降の金額、不正受給額の2割相当額(違約金)、年3分の延滞金の合計額の返還請求。不正受給日から5年間、雇用関係助成金は受給できない。
・雇用調整助成金は、経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るための休業、教育訓練、出向に要した費用を助成する制度。
景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由により、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的な雇用調整(休業、教育訓練または出向)を実施することによって、従業員の雇用を維持した場合に助成される。
6.高年齢雇用継続給付
・支給対象月における高年齢雇用継続基本給付金の額として算定された額が、雇用保険法第17条第4項第1号に掲げる賃金日額の最低限度額の100分の80に相当する額を超えないとき、当該支給対象月について高年齢雇用継続基本給付金は支給されない。
・高年齢雇用継続給付には、基本手当を受給していない人を対象、原則として60歳時点の賃金と比較して、60歳以後の賃金が60歳時点の75%未満となっている60歳以上65歳未満の一般被保険者で被保険者であった期間が5年以上ある人が対象の高年齢雇用継続基本給付金と、基本手当を受給し基本手当の支給残日数が100日以上あり、60歳以後に1年を超えて引き続き雇用されることが確実であると認められる安定した職業に再就職して再就職後の各月に支払われる賃金が基本手当の基準となった賃金日額を30倍した額の75%未満となった人を対象とする高年齢再就職給付金の2種類がある。
・雇用保険の失業等給付の就職促進給付のうち、「就業促進手当」として「再就職手当」、「就業促進定着手当」、「就業手当」がある。
7.雇用調整助成金
・雇用調整助成金を受給するためには、次の要件のいずれも満たすことが必要。
1.雇用保険の適用事業主であること。
2.売上高又は生産量などの事業活動を示す指標について、その最近3箇月間の月平均値が前年同期に比べて10%以上減少していること。
3.雇用保険被保険者数及び受け入れている派遣労働者数による雇用量を示す指標について、その最近3箇月間の月平均値が前年同期に比べて、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上、中小企業以外の場合は5%を超えてかつ6人以上増加していないこと。
4.実施する雇用調整が一定の基準を満たすものであること。
・休業の場合・・・労使間の協定により、所定労働日の全一日にわたって実施されるものであること。
※事業所の従業員について1時間以上実施されるものであっても可。
・教育訓練の場合・・・休業の場合の基準のほか、教育訓練の内容が、職業に関する知識・技能・技術の習得や向上を目的とするものであること。
※受講者本人のレポート等の提出が必要
・出向の場合・・・対象期間内に開始され、3箇月以上1年以内に出向元事業所に復帰するものであること。
・過去に雇用調整助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して一年を超えていること。ただし、令和6年4月1日以降に対象期間の初日がある事業主の場合、前回の対象期間の満了の日の翌日から起算して1年間ではなく、前回の対象期間内の最後の判定基礎期間末日もしくは支給対象期末日いずれか遅い日の翌日から起算して一年を超えていること。
8.労働保険の保険料の徴収等
・保険関係が成立している事業の事業主は、事業主の氏名又は名称及び住所に変更があったときは、変更を生じた日の翌日から起算して10日以内に、労働保険徴収法施行規則第5条第2項に規定する事項を記載した届書を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって行わなければならない。
労働保険徴収法
第2章 保険関係の成立及び消滅
第3条(保険関係の成立)
労災保険法第3条第1項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係が成立する。
第4条
雇用保険法第5条第1項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。
第4条の2(保険関係の成立の届出等)
前二条の規定により保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から10日以内に、その成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない。
2.保険関係が成立している事業の事業主は、前項に規定する事項のうち厚生労働省令で定める事項に変更があったときは、厚生労働省令で定める期間内にその旨を政府時に届け出なければならない。
9.労働保険の保険料の徴収等
・雇用保険印紙保険料は、雇用する日雇労働被保険者に賃金を払うつど、日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙を貼付し、あらかじめ届出済みの印影をもって消印することによって納付する。
したがって、事業主が日雇労働被保険者を雇入れようとするときは、あらかじめ雇用保険印紙を購入しなければならない。雇用保険印紙を購入するには、職業安定所に雇用保険印紙購入通帳交付申請書を提出し、通帳の交付を受けて、その通帳により郵便局から必要な枚数を購入しなければならない。
雇用保険印紙の種類・・・
第1級・・・11,300円以上(賃金日額)176円U(印紙保険料)
第2級・・・8,200円以上11,300円未満、146円
第3級・・・8,200円未満、96円
10.労働保険の保険料の徴収等
・前保険年度より保険関係が引き続く継続事業の事業主は、前保険年度の3月31日に賃金締切日があり、当該保険年度の4月20日に当該賃金を払う場合、当該賃金は前保険年度の確定保険料として申告すべき一般保険料の額を算定する際の賃金総額に含まれる。
・労働保険の保険料は、年度当初に概算で申告・納付し、翌年度の当初に確定申告の上精算することになっており、事業主は前年度の確定保険料と当年度の概算保険料を併せて申告・納付する。これを年度更新という。原則として、例年6月1日(6月1日が土曜日のときは、6月3日、日曜日にあたるときは6月2日)から7月10日(7月10日が土曜のときは7月12日、日曜のときは7月11日)までの間にこの手続きを行う。
労務管理その他の労働及び社会保険に関する一般常識
1.E D
2.B A
3.B 〇
4.A E
5.B C
6.E 〇
7.B D
8.C B
9.A B
10.D C 2/10
1.労働安全衛生
・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は6割を超えている。このうち、対策に取り組んでいる事業所の取組内容(複数回答)をみると、「ストレスチェックの実施」の割合が最も多く、次いで「メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施」となっている。
・過去1年間(令和3年11月1日から令和5年10月31日までの期間)に一般健康診断を実施した事業所のうち所見のあった労働者がいる事業所の割合は約7割となっている。このうち、所見のあった労働者に講じた措置内容(複数回答)をみると、「健康管理等について医師又は歯科医師から意見を聴いた」の割合が最も多くなっている。
・傷病(がん、糖尿病等の私傷病)を抱えた何らかの配慮を必要とする労働者に対して、治療と仕事を両立できるような取組がある事業所の割合は約6割となっている。このうち、取組内容(複数回答)をみると、「通院や体調等の状況に合わせた配慮、措置の検討(柔軟な労働時間の設定、仕事内容の調整)」の割合が最も多く、次いで「両立支援に関する制度の整備(年次有給休暇以外の休暇制度、勤務制度等)」となっている。
・転倒災害を防止するための対策に取り組んでいる事業所の割合は8割を超えている。このうち、転倒災害防止対策の取組内容をみると、「通路、階段、作業場所等の整理・整頓・掃除の実施」の割合が最も高く、次いで「手すり、滑り止めの設置、段差の解消、照度の確保等の設備の改善」となっている。
令和5年労働安全衛生調査(実態調査)
・本調査は、事業所が行っている安全衛生管理、労働災害防止活動及びそこで働く労働者の仕事や職業生活における不安やストレス等の実態について把握し、今後の労働安全衛生行政を推進するための基礎資料を得ることを目的とする。
・労働安全衛生特別調査として、昭和41年に労働安全基本調査がスタート。以後5年ローテーションで毎年テーマを変えて実施していたが、平成25年調査から調査体系の見直しを行い、労働安全衛生調査に変更となり、実施している。
・調査の根拠法令は、統計法に基づく一般統計調査(労働安全衛生調査の目的)。本調査は、労働安全衛生法第6条に基づき策定される労働災害防止計画の重点施策における基礎資料及び労働安全衛生行政運営の推進に資することを目的とする。
労働安全衛生法
第2章 労働災害防止計画
第6条(労働災害防止計画の策定)
厚生労働大臣は、労働政策審議会の意見をきいて、労働災害の防止のための主要な対策に関する事項その他労働災害の防止に関し重要な事項を定めた計画(労働災害防止計画)を策定しなければならない。
・労働安全衛生調査の対象は、全国。日本標準産業分類による「農業、林業(林業に限る)」、鉱業、採石業、砂利採取業、県背うt業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、情報通信業、運輸業、郵便業、卸売業、小売業、金融業、保険業、不動産業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、飲食サービス業、生活関連サービス業、娯楽業、教育、学習支援業、医療、福祉、複合サービス事業、サービス業(他に分類されないもの)(外国公務を除く)調査客体は、事務所調査は上記に該当する産業で、常用労働者10人以上を雇用する民営事務所のうちから、産業、事務所規模別に層化し、無作為に抽出した約14,000事業所。個人調査は、これらの事務所で雇用される常用労働者及び受け入れた派遣労働者のうちから無作為に抽出した約18,000人。
・過去1年間(令和4年11月1日から令和5年10月31日までの期間)にメンタルヘルス不調により連続1箇月以上休業した労働者又は退職した労働者がいた事業所の割合は13.5%(令和4年調査13.3%)となっている。このうち、連続1箇月以上休業した労働者がいた事業所の割合は10.4%(同10.6%)、退職した労働者の割合は0.2%(同0.2%)となっている。
・メンタルヘルス対策に取り組んでる事業所の割合は、63.8%(令和4年調査63.4%)メンタルヘルス対策に取り組んでいる事務所について、取組内容をみると、ストレスチェックの実施が65%(同63.1%)ともっとも多く、次いで、メンタルヘルス不調の労働者に対する必要な配慮の実施が49.6%(同53.6%)となっている。
・産業保健の取組を行っている事業所の割合は87.1%。このうち、産業保健の取組内容をみると、健康診断結果に基づく保健指導が74.7%と最も高く、次いで、メンタルヘルス対策(相談体制の整備、ストレスチェック結果を踏まえた職場環境改善等)が74.2%となっている。
・労働安全衛生法に基づく雇入れ時教育を実施している事業所の割合は、56.1%となっている。正社員に実施している事務所割合は、54.9%、契約社員に実施している事務所割合は26.8%、パートタイム労働者に実施している事業所割合は34・2%。
・60歳以上の高年齢労働者が業務に従事している事業所のうち、エイジフレンドリーガイドライン(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン)を知っている事業所の割合は23.1%、うち高年齢労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は19.3%。このうち、高年齢労働者に対する労働災害防止対策の取組内容をみると、「高年齢労働者の特性を考慮した作業管理(高年齢一般にみられる持久性、筋力の低下等を考慮した高年齢労働者向けの作業内容の見直し)」が56.5%と最も高く、次いで「個々の高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応」が45.9%。
エイジフレンドリーガイドライン(高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン)令和2年3月厚生労働省が策定
・60歳以上の雇用者数は過去10年間で1.5倍に増加。特に商業や保健衛生業をはじめとする第三次産業で増加。労働災害における死傷者数で60歳以上の労働者が占める割合は26%(2018年)で増加傾向にある。転倒災害、墜落・転落災害の発生率が若年層に比べ高く、女性で顕著。
・エイジフレンドリーガイドラインは、高年齢を現に使用している事業場やこれから使用する予定の事業場で、事業者と労働者に求められる取組を具体的に示したもの。
・在留資格を有する外国人労働者が業務に従事している事業所のうち、外国人労働者に対する労働災害防止対策に取り組んでいる事業所の割合は75.9%。外国人労働者にわかる言語により災害防止の教育を行っているが49.9%と最も高く、次いで、災害防止のための指示などを理解できるように、必要な日本語や基本的な合図を習得させている、が41.7%。
2.労使間の交渉等
令和4年労使間の交渉等に関する実態調査(厚生労働省)
・この調査は、労働組合を対象として、労働環境が変化する中での労働組合と使用者(又は使用者団体)の間で行われる団体交渉、労働争議及び労働協約の締結等の実態等を明らかにすることを目的とする。
・労使関係総合調査は、労働組合基礎調査と、毎年テーマを変えて実施される実態調査の2つの調査の総称。労使関係の状況を総統合的に把握することを目的として昭和58年から実施。
3.労働契約法等
・労働基準法第106条に基づく就業規則の周知は、同法施行規則第52条の2各号に掲げる、常時各作業場の見やすい場所へ掲示する等の方法のいずかによるべきこととされているが、労働契約法第7条柱書の場合の就業規則の周知は、それらの方法に限定されるものではなく、実質的に判断される。
労働契約法
第1条(目的)
この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。
第7条
労働者及び使用者が労働契約を締結する場合において、使用者が合理的な労働条件が定められている就業規則を労働者に周知させていた場合には、労働契約の内容は、その就業規則で定める労働条件によるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の内容と異なる労働条件を合意していた部分については、第12条に該当する場合を除き、この限りでない。
第12条(就業規則違反の労働契約)
就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。
4.労働関係法規
・労働者の募集を行う者及び募集受託者は、職業安定法に基づく業務に関して新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の提出又は頒布その他厚生労働省令で定める方法により労働者の募集に関する情報その他厚生労働省令で定める情報を提供するときは、正確かつ最新の内容に保たなければならない。
・最低賃金法第8条は、「最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならない」と定めている。
・障害者専用の求人の採用選考又は採用後において、仕事をする上での能力及び適正の判断、合理的配慮の提供のためなど、雇用管理上必要な範囲で、プライバシーに配慮しつつ、障害者に障害の状況等を確認することは、障害者であることを理由とする差別に該当せず、障害者の雇用の促進等に関する法律に違反しない。
労働施策総合推進法(ハラスメント対策)(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)
第1条(目的)
この法律は、国が、少子高齢化による人口構造の変化等の経済社会情勢の変化に対応して、労働に関し、その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講ずることにより、労働市場の機能が適切に発揮され、労働者の多様な実情に応じた雇用の安定及び職業生活の充実並びに労働生産性の向上を促進して、労働者がその有する能力を有効に発揮することができるようにし、これを通じて、労働者の職業の安定と経済的社会的地位の向上とを図るとともに、経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資することを目的とする。
2.この法律の運用に当たっては、労働者の職業選択の自由及び事業主の雇用の管理についての自主性を尊重しなければならず、また、職業能力の開発及び向上を図り、職業を通じて自立しようとする労働者の意欲を高め、かつ、労働者の職業を安定させるための事業主の努力を助長するように努めなければならない。
第9条(募集及び採用における年齢にかかわりない均等な機会の確保)
事業主は、労働者がその有する能力を有効に発揮するために必要であると認められるときとして厚生労働省令で定めるときは、労働者の募集及び採用について、厚生労働省令で定めるところにより、その年齢にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。
5.社会保険労務士法令
社会保険労務士法
第1条(目的)
この法律は、社会保険労務士の制度を定めて、その業務の適正を図り、もって労働及び社会保険に関する法令の円滑な実施に寄与するとともに、事業の健全な発達と労働者等の福祉の向上に資することを目的とする。
第1条の2(社会保険労務士の職責)
社会保険労務士は、常に品位を保持し、業務に関する法令及び実務に精通して、公正な立場で、誠実にその業務を行わなければならない。
6.確定給付企業年金
・確定給付企業年金法第89条第6項によると、終了した確定給付企業年金の残余財産は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、その終了した日において当該確定給付企業年金を実施する事業主が給付の支給に関する義務を負っていた者に分配しなければならない。
確定給付企業年金法
第1条(目的)
この法律は、少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、事業主が従業員と給付の内容を約し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定給付企業年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
7.確定拠出年金法
第一条(目的)
この法律は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
・企業型年金加入者は、政令で定める基準に従い企業型年金規約で定めるところにより、年1回以上、定期的に自ら掛金を拠出することができる。
・企業型年金加入者掛金を拠出する企業型年金加入者は、企業型年金加入者掛け金を企業型年金規約で定める日までに事業主を介して資産管理機関に納付するものとする。
・企業型年金の給付のうち年金として支給されるものの支給は、これを支給すべき事由が生じた月の翌月から始め、権利が消滅した月で終るものとする。年金給付の支払期月については、企業型年金規約で定めるところによる。
・個人型年金加入者掛金の額は、個人型年金規約で定めるところにより、個人型年金加入者が決定し、又は変更する。
8.国民健康保険法
第一条(この法律の目的)
この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする。
第二条(国民健康保険)
国民健康保険は、被保険者の疾病、負傷、出産又は死亡に関して必要な保険給付を行うものとする。
第三条(保険者)
都道府県は、当該都道府県内の市町村(特別区を含む)とともに、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うものとする。
2.国民健康保険組合は、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うことができる。
・国保組合は、規約の定めるところにより、組合員の世帯に属する者を包括して被保険者としないことができる。
9.社会保障制度
・日本の公的年金制度は、予測することが難しい将来のリスクに対して、社会全体で荒梶m備えるための制度であり、現役世代の保険料負担により、その時々の高齢世代の年金給付をまかなう世代間扶養である賦課方式を基本とした仕組みで運営されている。賃金や物価の変化を年金額に反映させながら、生涯にわたって年金が支給される制度として設計されており、必要なときに給付を受けることができる保険として機能している。
・「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律」による短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大には、これまで国民年金・国民健康保険に加入していた人が被用者保険の適用を受けることにより、基礎年金に加えて報酬比例に厚生年金保険給付が支給されることに加え、障害厚生年金には、障害等級3級や障害手当金も用意されているといった大きなメリットがある。また、医療保険においても傷病手当金や出産手当金し支給される。
年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要(令和2年6月5日公布)
改正の概要
①被用者保険の適用拡大
・短時間労働者を被用者保険の適用対象とすべき事業所の企業規模要件を段階的に引き下げる。
・5人以上の個人事業所に係る適用業種に、弁護士、税理士等の資格を有する者が行う法律又は会計に係る業務を行う事業を追加する。
・厚生年金・健康保険の適用対象である国・自治体等で勤務する短時間労働者について、公務員共済の短期給付を適用する。
・在職中の年金受給の在り方を見直し
・受給開始時期の選択肢の拡大
・確定拠出年金の加入可能要件の見直し
・多様な就労を年金制度に反映するため、被用者保険の適用拡大を実施。賃金要件(月額8.8万円いじょう、)労働時間要件(週労働時間20時間以上)、学生除外要件については現行のままとして、勤務期間要件については撤廃、フルタイムの被保険者と同様の2カ月超の要件を適用。強制適用の対象となる個人事務所の適用業種に、弁護士、税理士等の士業を追加。
10.社会保険制度の死亡に関する給付
・健康保険の日雇特例被保険者が死亡した場合において、その死亡の日の属する月の前2か月間に通算して26日分以上若しくは当該月の前6ヶ月間に通算して78日分以上の保険料がその者について納付されていたときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、5万円を支給する。
健康保険法
第100条(埋葬料)
被保険者が死亡したときは、その者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものに対し、埋葬料として、政令で定める金額を支給する。
2.前項の規定により埋葬料の支給を受けるべき者がない場合においては、埋葬を行った者に対し、同項の金額の範囲内においてその埋葬に要した費用に相当する金額を支給する。
健康保険法
1.E 〇
2.A B
3.D E
4.A B
5.A E
6.D 〇
7.B D
8.E B
9.D C
10.C D 2/10
1.健康保険組合において、任意継続被保険者が被保険者の資格を喪失したときの標準報酬月額が、当該被保険者の属する健康保険組合の全被保険者における前年度の9月30日の標準報酬月額を平均した額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額を超える場合は、規約で定めるところにより、資格喪失時の標準報酬月額をその者の標準報酬月額とすることができる。
・協会けんぽの任意継続被保険者の標準報酬月額は、健康保険法により、①資格を喪失したときの標準報酬月額②前年(1月から3月までの標準報酬月額については、前々年)の9月30日時点における全ての協会けんぽの被保険者の標準報酬月額の平均額を標準報酬月額の基礎となる報酬月額とみなしたときの標準報酬月額のどちらか少ない額と規定されている。
健康保険法
第1条(目的)
この法律は、労働者又はその被扶養者の業務災害以外の疾病、負傷若しくは死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
第2節 全国健康保険協会
第7条の2(設立及び業務)
健康保険組合の組合員でない被保険者に係る健康保険事業を行うため、全国健康保険協会を設ける。
第7条の30(各事業年度に係る業績評価)
厚生労働大臣は、協会の事業年度ごとの業績について、評価を行わなければならない。
2.厚生労働大臣は、前項の評価を行ったときは、遅滞なく、協会に対し、当該評価の結果を通知するとともに、これを公表しなければならない。
・任意継続被保険者の加入期間は、任意継続被保険者となってから2年間。ただし、以下の理由に該当したときは、2年を経過する前であっても、任意継続被保険者の資格を喪失する。
1.保険料を納付期日までに納付しなかったとき→納付期日の翌日
2.就職して、健康保険、船員保険、共済組合等の被保険者資格を取得したとき→被保険者資格を取得した日
3.後期高齢者医療の被保険者資格を取得したとき→被保険者資格を取得した日
4.任意継続被保険者でなくなることを希望する旨を申し出たとき→申出が受理された日の属する月の翌月1日
5.被保険者が死亡したとき→死亡した日の翌日
2.
・被保険者の総数が常時100人以下の企業であっても、健康保険に加入することについての労使の合意(被用者の2分の1以上と事業主との合意)がなされた場合、1週間の所定労働時間が20時間以上であること、月額賃金が8.8万円以上であること、2ヶ月を超える雇用の見込があること、学生でないことという要件をすべて満たす短時間労働者は、企業単位で健康保険の被保険者となる。
・国庫は、毎年度、予算の範囲内において健康保険事業の事務の執行に要する費用を負担することになっており、健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。また、その国庫負担金は概算払いとすることができる。
・協会は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る)及び決算報告書について、監事の監査のほか、厚生労働大臣が選任する会計監査人である公認会計士又は監査法人から監査を受けなければならない。
・厚生労働大臣は、日雇特例被保険者に係る健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金及び後期高齢者支援金等、介護納付金並びに流行初期医療確保拠出金の納付に要する費用を含む)に充てるため、健康保険法第155条の規定により保険料を徴収するほか、毎年度、日雇特例被保険者を使用する事業主の設立する健康保険組合から拠出金を徴収する。
健康保険法
第2節 療養の給付及び入院時食事療養費等の支給
第1款 療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費及び療養費の支給
第63条(療養の給付)
被保険者の疾病又は負傷に関しては、次に掲げる療養の給付を行う。
一 診察
二 薬剤又は治療材料の支給
三 処置、手術その他の治療
四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
第64条(保険医又は保険薬剤師)
保険医療機関において健康保険の診療に従事する医師若しくは歯科医師又は保険薬局において健康保険の調剤に従事する薬剤師は、厚生労働大臣の登録を受けた医師(保険医)若しくは歯科医師又は薬剤師(保険薬剤師)でなければならない。
第73条(厚生労働大臣の指導)
保険医療機関及び保険薬局は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣の指導を受けなければならない。
2.厚生労働大臣は、前項の指導をする場合において、必要があると認めるときは、診療又は調剤に関する学識経験者をその関係団体の指定により指導に立ち会わせるものとする。ただし、関係団体が指定を行わない場合又は指定された者が立ち会わない場合は、この限りでない。
3.
・健康保険組合が解散したとき、協会が健康保険組合の権利義務を承継する。健康保険組合が解散したときに未払い傷病手当金及びその他、付加給付等があれば、健康保険組合解散後においても支給される。しかし、解散後に引き続き発生した事由による傷病手当金の分については、組合員として受け取ることができる傷病手当金の請求権としては認められないので、協会に移行の場合は、これを協会への請求分として支給し、付加給付は認められない。
・協会管掌健康保険の被保険者で、家族出産育児一時金の支給を受けることが見込まれる場合、妊娠4ヶ月以上の被扶養者を有する者が医療機関に一時的な支払が必要となったときは、協会の出産費貸付制度を利用して出産費貸付金を受けることができる。
・適用事業所の事業主は、廃止、休止その他の事情により適用事業所に該当しなくなったときは、健康保険法施行規則第22条の規定により申請する場合を除き、当該事実があった日から5日以内に、所定の事項を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。
健康保険法
第31条(適用事業所)
適用事業所以外の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所とすることができる。
2.前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者となるべき者に限る)の二分の一以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。
第32条
適用事業所が、第3条第3項各号に該当しなくなったときは、その事業所について前項第1号の認可があったものとみなす。
第33条
第31条第1項の事業所の事業主は、厚生労働大臣の認可を受けて、当該事業所を適用事業所でなくすることができる。
2.前項の認可を受けようとするときは、当該事業所の事業主は、当該事業所に使用される者(被保険者である者に限る)の四分の三以上の同意を得て、厚生労働大臣に申請しなければならない。
4.
・入院時の食事の提供に係る費用、特定長期入院被保険者に係る生活療養費に係る費用、評価療養、患者申出療養・選定療養に係る費用、正常分娩及び単に軽税的理由による人口妊娠中絶に係る費用は、療養の給付の対象とはならない。
・健康保険法第28条第1項に規定する健康保険組合による健全化計画は、同項の規定による指定の日の属する年度の翌年度を初年度とする3か年間の計画となり、事業及び財産の現状、財政の健全化の目標、その目標を達成するために必要な具体的措置及びこれに伴う収入支出の増減の見込額に関して記載しなければならない。
第28条(指定健康保険組合による健全化計画の作成)
健康保険事業の収支が均衡しない健康保険組合であって、政令で定める要件に該当するものとして厚生労働大臣の指定を受けたもの(指定健康組合)は、政令で定めるところにより、その財政の健全化に関する計画(健全化計画)を定め、厚生労働大臣の承認を受けなければならない。これを変更しようとするときも、同様とする。
2.前項の承認を受けた指定健康保険組合は、当該承認に係る健全化計画に従い、その事業を行わなければならない。
3.厚生労働大臣は、第1項の承認を受けた指定健康保険組合の事業及び財産の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定健康保険組合に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができる。
・健康保険組合は、毎年度終了後6ヶ月以内に、厚生労働省令で定めるところにより、事業及び決算に関する報告書を作成し、厚生労働大臣に提出しなければならない。
・被保険者(任意継続被保険者を除く)の資格を喪失した日以後に傷病手当金の継続給付の規定により傷病手当金の支給を始める場合においては、その資格を喪失した日の前日において当該被保険者であった者が属していた保険者等により定められた直近の継続した12箇月間の各月の標準報酬月額を傷病手当金の額の算定の基礎に用いる。
5.
・保険者は、偽りその他不正の行為により保険給付を受け、又は受けようとした者に対して、6ヶ月以内の期間を定め、その者に支給すべき傷病手当金又は出産手当金の全部又は一部を支給しない旨の決定をすることができる。ただし、偽りその他不正の行為があった日から1年を経過したときは、この限りでない。
・匿名診療等関連情報利用者は、実費を勘案して政令で定める額の手数料を納めなければならない。納付すべき手数料の額は、匿名診療等関連情報の提供に要する時間1時間までごとに4,350円である。
・徴収権の消滅時効の起算日は、保険料についてはその保険料の納期限の翌日、保険料以外の徴収金については徴収金を徴収すべき原因である事実の終わった日の翌日である。
・健康保険法第183条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第141条の規定による徴収職員の質問(協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く)に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をしたとき、その違反行為をした者は、50万円以下の罰金に処せられる。
第183条(徴収にする通則
保険料等は、この法律に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する。)
国税庁HPより
第141条関係 徴収職員の滞納処分に関する調査に係る質問検査権
法第141条の「滞納処分のため滞納者の財産を調査する必要があるとき」とは、滞納処分のため、滞納者の財産の有無、所在、種類、数量、価額、利用状況、第三者の権利の有無等を明らかにするため調査する必要があるときをいう。この場合において、質問の内容、検査の方法及び提示又は提出を求めることができる物件の範囲等は、財産の状況等を明らかにするために必要であると認められる範囲内に限られる。
健康保険法
第11章 罰則
第207条の2
第7条の37第1項の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。
第37条の37(秘密保持義務)
協会の役員若しくは職員又はこれらの職にあった者は、健康保険事業に関して職務上知り得た秘密を正当な理由がなく漏らしてはならない。
2.前項の規定は、協会の運営委員会の委員又は委員であった者について準用する。
第213条の2
次の各号のいずれかに該当する者は、50万円以下の罰金に処する。
一 第150条の7第1項の規定による報告若しくは帳簿書類の提出若しくは提示をせず、若しくは虚偽の報告若しくは虚偽の帳簿書類の提出若しくは提示をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して、答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
二 第183条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第141条の規定による徴収職員(協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く)の質問に対して答弁をせず、又は偽りの陳述をした者
三 第183条の規定によりその例によるものとされる国税徴収法第141条の規定による検査(協会又は健康保険組合の職員が行うものを除く)を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は当該検査に関し偽りの記載若しくは記録をした帳簿書類を提出した者
6.一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも低額な休業手当等が支払われることとなった場合に標準報酬月額の決定については、標準報酬月額の定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当等が支払われた場合、その休業手当等をもって標準月額を算定して標準報酬月額を決定する。ただし、標準報酬月額の決定の際、既に一時帰休の状況が改善している場合は、当該定時決定を行う年の9月以後において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定する。
7.療養の給付を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、保健医療機関のうち、自己の選定するものから、電子資格確認その他厚生労働省令で定める方法により、被保険者であることの確認を受けて療養の給付を受ける。被保険者資格の確認方法の1つに、保健医療機関等が、過去に取得した療養又は指定訪問看護を受けようとする者の被保険者の資格に係る情報を用いて、保険者に対して電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、あらかじめ照会を行い、保険者から回答を受けて取得した直近の当該情報を確認する方法がある。
8.被保険者が、妊娠6カ月の身体をもって業務中に転倒強打して早産したときは、健康保険法に規定される保険事故として、出産育児一時金が支給される。
第101条(出産育児一時金)
被保険者が出産したときは、出産育児一時金として、政令で定める金額を支給する。
9.
第68条(保険医療機関又は保険薬局の指定の更新)
第63条第3項第1号の指定は、指定の日から起算して6年を経過したときは、その効力を失う。
2.保険医療機関又は保険薬局であって厚生労働省令で定めるものについては、前項の規定によりその指定の効力を失う日前6月から同日前3月までの間に、別段の申出がないときは、同条第1項の申請があったものとみなす。
第65条(保険医療機関又は保険薬局の指定)
第63条第3項第1号の指定は、政令で定めるところにより、病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行う。
2.前項の場合において、その申請が病院又は病床を有する診療所に係るものであるときは、当該申請は、医療法大7条第2項に規定する病床の種別ごとにその数を定めて行うものとする。
3.厚生労働大臣は、第1項の申請があった場合において、次の各号のいずれかに該当するときは、第63条第3項第1号の指定をしないことができる。
一 当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が、この法律の規定により保険医療機関又は保険薬局に係る第63条第3項第1号の指定を取り消され、その取消しの日から5年を経過しないものであるとき。
第67条(地方社会保険医療協議会への諮問)
厚生労働大臣は、保健医療機関に係る第63条第3項第1号の指定をしないこととするとき、若しくはその申請に係る病床の全部若しくは一部を除いて指定を行おうとするとき、又は保険薬局に係る同号の指定をしないこととするときは、地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。
10.被保険者丙は令和6年1月1日に週3日午前9時から午後1時まで勤務のパートタイムスタッフとして社員数30名の会社(正社員は午前9時始業、午後6時終業、途中で1時間の昼休憩あり)に入社した。その後、雇用契約の見直しが行われ、令和6年4月15日付で週4日午前9時から午後6時までの勤務形態に変更となったため、被保険者資格取得届の提出が行われ、令和6年4月15日から健康保険の被保険者となった。
厚生年金保険法
1.C 〇
2.B 〇
3.E D
4.B C
5.C 〇
6.B A
7.D 〇
8.C 〇
9.C E
10.D 〇 6/10
1.不服申立て
・厚生労働大臣による脱退一時金に関する処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。
・脱退一時金の創設は平成7年4月。外国人の場合は、滞在期間が短く、保険料納付が老齢給付に結び付きにくいという特有の事情を踏まえ、日本国籍を有しない氷魚が公的年金制度の被保険者資格を喪失し、日本国内に住所を有しなくなった場合、本人からの請求に基き被保険者であった期間に応じた額を一時金として支給する制度を創設。
・脱退一時金は、在留資格に関係なく日本国籍を有しないことが受給要件の一つとされており、永住者も脱退一時金を請求し得る。また、日本国内に住所を有しないことを受給要件としているところ、日本から出国する際の出国形態について限定はなく、単純出国により永住者の在留資格を失うような場合でなくても、脱退一時金の受給は可能である。
・受給期間10年を満たしていない事との要件について、永住許可を受けた者については、当該者が20歳以上60歳未満の期間に限り、昭和36年4月1日から永住許可を受けるまでの海外在住期間も受給資格期間に含めて判断される(合算対象期間)。このため、当該海外在住期間を含めた受給資格期間が10年以上となる場合には、脱退一時金は受給できない。
・令和3年4月に支給上限年数の引上げで、5年(60ヶ月)に引き上げられた。
厚生年金保険の脱退一時金制度
次のいずれにも該当する場合、脱退一時金の請求が可能となる。
①日本国籍を有しない
②公的年金制度尾被保険者でない
③厚生年金保険の被保険者期間6ヶ月以上
④老齢厚生年金の受給資格要件10年を満たしていない
⑤障害厚生年金等の受給権を有したことがない
⑥日本国内に住所を有しない
⑦日本に住所を有しなくなった日から2年以内に請求
第六章 不服申立て
第九十条(審査請求及び再審査請求)
厚生労働大臣による被保険者の資格、標準報酬又は保険給付に関する処分に不服がある者は、社会保険審査官に対して審査請求をし、その決定に不服がある者は、社会保険審査会に対して再審査請求をすることができる。ただし、第二十八条の四第一項又は第二項の規定による決定については、この限りでない。
第二十八条の四(訂正請求に対する措置)
厚生労働大臣は、訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る厚生年金保険原簿の訂正をする旨を決定しなければならない。
2.厚生労働大臣は、前項の規定による決定をする場合を除き、訂正請求に係る厚生年金保険原簿の訂正をしない旨を決定しなければならない。
3.厚生労働大臣は、前二項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、社会保険審議会に諮問しなければならない。
第九十一条
厚生労働大臣による保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課若しくは徴収の処分又は第八十六条の規定による処分に不服がある者は、社会保険審査会に対して審査請求をすることができる。
2.前条第二項第一号及び第二号(国家公務員、地方公務員)に掲げる者による保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課又は徴収の処分に不服がある者は、当該各号に定める者(国家公務員共済組合審査会、地方公務員共済組合審査会)に対して審査請求をすることができる。
3.前条第二項第三号に掲げる者による保険料その他この法律の規定による徴収金の賦課若しくは徴収の処分又は督促若しくは国税滞納処分の例による処分に不服がある者は、同号に定める者(日本私立学校振興・共済事業団の共済審査会)
4.前二項に定めるもののほか、前二項の審査請求については、共済各法の定めるところによる。
2.厚生年金保険の保険料を滞納した者に対して督促が行われたときは、原則として延滞金が徴収されるが、納付義務者の住所及び居所がともに明らかでないため公示送達の方によって督促したときは、延滞金は徴収されない。
厚生年金保険法
第八十六条(保険料等の督促及び滞納処分)
保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、前条の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。
2.前項の規定によって督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。
3.前項の規定による督促状は、納付義務者が、健康保険法第百八十条の規定によって督促を受ける者であるときは、同法同条の規定による督促状に併記して、発することができる。
4.前二項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。ただし、前条各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
5.厚生労働大臣は、納付義務者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる。
一 第二項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないとき。
二 前条各号のいずれかに該当したことにより納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者がその指定の期日までに保険料を納付しないとき。
6.市町村は、前項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の百分の四に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
第八十七条(延滞金)
前条第二項の規定によって督促をしたときは、厚生労働大臣は、保険料額に、納期限の翌日から保険料完納又は財産差押の日の前日までの期間の日数に応じ、年14.6%(当該納期限の翌日かさ三月を経過するまでの期間については、年7.3%)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合又は延滞につきやむを得ない事情があると認められる場合は、この限りでない。
一 保険料額が千円未満であるとき。
二 納期を繰り上げて徴収するとき。
三 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がともに明らかでないため、公示送達の方法によって督促したとき
2.前項の場合において、保険料額の一部につき納付があったときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる保険料は、その納付のあった保険料額を控除した金額による。
3.延滞金を計算するにあたり、保険料額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
4.督促状に指定した期限までに保険料を完納したとき、又は第三項の規定によって計算した金額が百円未満であるときは、延滞金は徴収しない。
5.延滞金の金額に百円未満の端数があるときは、その端数は切り捨てる。
6.第四十条の規定による徴収金は、前各項の規定の適用については、保険料とみなす。この場合において、第一項中「年14.6%(当該納期限の翌日から三月を経過するまでの期間については、年7.3%)」とあるのは、「年14.6%」とする。
3.厚生年金保険法
第二節 被保険者期間
第十九条 被保険者期間を計算する場合には、月によるものとし、被保険者の資格を取得した月からその資格を喪失した月の前月までをこれに算入する。
2.被保険者の資格を取得した月にその資格を喪失したときは、その月を一箇月として被保険者期間に算入する。ただし、その月に更に被保険者又は国民年金の資格を取得したときは、この限りでない。
3.被保険者の資格を喪失した後、更にその資格を取得した者については、前後の被保険者期間を合算する。
4.前三項の規定は、被保険者の種別ごとに適用する。
5.同一の月において被保険者の種別に変更があったときは、前項の規定により適用するものとされた第二項の規定にかかわらず、その月は変更後の被保険者の種別の被保険者であった月(二回以上にわたり被保険者の種別に変更があったときは、最後の被保険者の種別の被保険者であった月)とみなす。
・同一人に対して国民年金法による年金たる給付の支給を停止して年金たる保険給付を支給すべき場合において、年金たる保険きゅふを支給すべき事由が生じた月の翌月以後の分として同法による年金たる給付の支払が行われたときは、その支払われた同法による年金たる給付は、年金たる保険給付の内払とみなすことができる。
4.年金の繰下げ受給
老齢基礎(厚生)年金は、65歳で受け取らず66歳以後75歳までの間で繰り下げて増額した年金を受け取ることができる。増額率は一生変わらず、老齢基礎年金と老齢厚生年金は別々に繰り下げることができる。特別支給の老齢厚生年金に繰下げ制度はない。特別支給の老齢厚生年金の受給開始年齢に達したときは、速やかに請求。
・昭和60年の法律改正により、厚生年金保険の受給開始年齢が60歳から65歳に引き上げられた。受給開始年齢を段階的に、スムーズに引き上げるため設けられたのが、「特別支給の老齢厚生年金」の制度。特別支給の老齢厚生年金を受け取るためには、以下の要件を満たしている必要がある。
☆男性は、昭和36年4月1日以前生まれ
☆女性は、昭和41年4月1日以前生まれ
☆厚生年金保険等に1年以上加入
☆受給開始年齢に達していること。
報酬比例部分と定額部分がある。
・加給年金額や振替加算額は増額の対象とならない。繰下げ待機期間中は、加給年金額や振替加算を受け取ることができない。
・65歳に達した時点で老齢基礎年金を受け取る権利がある場合、75歳に達した月を過ぎて請求を行っても増額率は増えない。増額された年金は、75歳までさかのぼって決定され支払われる。昭和27年4月1日以前生まれは、70歳に達した月まで。
・日本年金機構と共済組合等から複数の老齢厚生年金を受け取ることができる場合は、すべての老齢厚生年金について同時に繰下げ受給の請求をしなければいけない。
・65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に、障害給付や遺族給付を受け取る権利があるときは、繰下げ受給の申出ができない。ただし、障害基礎年金又は旧国民年金法による障害年金のみを受け取る権利がある人は、老齢厚生年金の繰下げ受給の申出ができる。
・66歳に達した日以後の繰下げ待機期間中に、他の公的年金の受給権(遺族年金など)を得た場合には、その時点で増額率が固定あれ、年金の請求の手続きを送らせても増額率は増えない。このとき、増額された年金は、他の年金が発生した月の翌月分から受け取ることができる。
・厚生年金基金又は企業年金連合会から年金を受け取っている人が、老齢厚生年金の繰下げを希望する場合は、基金等の年金もあわせて繰下げとなる。
・繰下げ請求は、遺族が代わって行うことはできない。繰下げ待機期間中に亡くなった場合で、遺族から未支給年金の請求が可能な場合は、65歳時点の年金額で決定したうえで、過去分の年金額が一括して未支給年金として支払われる。ただし、請求した時点から5年以上前の年金は時効により受け取れない。
5.遺族厚生年金
・中高齢寡婦加算は、次のいずれかに該当する妻が受ける遺族厚生年金に、40歳から65歳になるまでの間、612,000円(年額)が加算される。
1.夫が亡くなったとき、40歳以上65歳未満で、生計を同じくしてくる子がいない妻
2.遺族厚生年金と遺族基礎年金を受けていた子のある妻が、子が18歳到達年度の末日に達した(障害の状態にある場合は20歳に達した)等のため、遺族基礎年金を受給できなくなったとき。
※老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている夫が死亡したときは、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上の場合に限る。
・経過的寡婦加算とは、次のいずれかに該当する場合に遺族厚生年金に加算される。
☆昭和31年4月1日以前生まれの妻に65歳以上で遺族厚生年金の受給権が発生したとき※老齢厚生年金の受給権者または受給資格期間を満たしている夫が死亡したときは、死亡した夫の厚生年金保険の被保険者期間が20年以上の場合に限る
☆中高齢の加算がされていた昭和31年4月1日以前生まれの遺族厚生年金の受給権者である妻が65歳に達したとき
経過的寡婦加算の額は、昭和61年4月1日から60歳に達するまで国民年金に加入した場合の老齢基礎年金の額と合わせると、中高齢寡婦加算の額と同額程度となるよう決められている。
・65歳以上で遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある人は、老齢厚生年金は全額支給となり、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額の支給が停止となる。
6.特定適用事業所で使用されている甲(所定内賃金月額88,000円以上、かつ学生ではない)は、雇用契約書で定められた所定労働時間が週20時間未満である。しかし、業務の都合によって、2か月連続で実際の労働時間が週20時間以上となっている。引き続き同様の状態が続くと見込まれる場合は、実際の労働時間が週20時間以上となった月の3ヶ月目の初日に、甲は厚生年金保険の被保険者資格を取得する。
短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大
・平成28年10月から短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大が実施され、特定適用事業所(1年のうち6月間、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業等)で働く短時間労働者は、健康保険・厚生年金保険の加入対象となっている。
・国に属する事業所、地方公共団体に属する事業所は、日保険さ数にかかわらず、短時間労働者の適用拡大の対象。
7.
・令和2年9月から厚生年金保険の標準報酬月額の上限について、政令によって読み替えて法の規定を適用することとされており、変更前の最高等級である第31級の上に第32級が追加された。第32級の標準報酬月額は65万円である。
・厚生年金保険法第22条によれば、実施機関は、被保険者の資格を取得した者について、月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額を報酬月額として、その者の標準報酬月額を決定する。
・事業主は、その使用する被保険者及び自己の負担する保険料を納付する義務を負う。毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。高齢任意加入被保険者の場合は、被保険者が保険料の全額を負担し、自己の負担する保険料を納付する義務を負うことがあるが、その場合も、保険料の納期限は翌月末日である。
・産前産後休業をしている被保険者に係る保険料については、事業主負担分及び被保険者負担分の両方が免除される。
8.在職老齢年金制度
70歳未満の人が会社に就職し厚生年金保険に加入した場合や、70歳以上の人が厚生年金保険の適用事業所に勤務する場合には、老齢厚生年金の額と給与や賞与の額(総報酬月額相当額)に応じて、年金の一部または全額が支給停止となる場合がある。これを在職老齢年金という。
・基本月額(加給年金額を除いた老齢厚生年金月額)と総報酬月額相当額の合計額は50万円以上だと、年金一部または全額支給停止。年金額は、基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-50万円)÷2
9.65歳以後の在職老齢年金の仕組みにおいて、在職中であり、被保険者である老齢厚生年金の受給権者が、66歳以降に繰下げの申出を行った場合、当該老齢厚生年金の繰下げ加算額は、在職老齢年金の仕組みによる支給停止の対象とならない。
10.20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等
・前年の所得額が4,721,000円を超える場合は年金の全額が支給停止となり、3,704,000円を超える場合は2分の1の年金額が支給停止となる。扶養親族がいる場合、扶養親族1人につき所得制限額が38万円加算される。
・年金たる保険給付(厚生年金保険法の他の規定又は他の方理恵の規定によりその全額につき支給を停止されている年金たる保険給付を除く)は、その受給権所申出により、その全額の支給を停止することとされている。ただし、厚生年金保険法の他の規定又は他の方の規定によりその額の一部につき支給を停止されているときは、停止されていない部分の額の支給を停止する。
国民年金法
1.E C
2.D C
3.E A
4.B 〇
5.D 〇
6.E 〇
7.B D
8.A B
9.B D
10.A E 3/10
1.
・被保険者は、出産の予定日(厚生労働省令で定める場合にあっては、出産の日)の属する月の前月(多胎妊娠の場合においては、3ヶ月前)から出産予定月の翌々月までの期間に係る保険料は、納付することを要しない。
・国民年金法第90条の3第1項各号のいずれかに該当する、学生等である被保険者又は学生等であった被保険者から申請があったときは、厚生労働大臣は、その指定する期間に係る保険料につき、既に納付されたものを除き、これを納付することを要しないものとし、申請のあった日以後、当該保険料に係る期間を保険料全額免除期間(国民年金法第94条第1項の規定により追納が行われた場合にあっては、当該追納に係る期間を除く)に算入することができる。
・基礎年金拠出金の額は、保険料・拠出金算定対象額に当該年度における被保険者の総数に対する当該年度における当該政府及び実施機関に係る被保険者の総数の比率に相当するものとして毎年度政令で定めるところにより算定した率を乗じて得た額とする。
・国民年金事業の事務の一部は、法律によって組織された共済組合、国家公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会又は日本私立学校振興・共済事業団に行わせることができる。
国民年金法
第93条(保険料の前納)
被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができる。
2.前項の場合において前納すべき額は、当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。
3.第一項の規定により前納された保険料について保険料納付済み期間又は保険料四分の三免除期間、保険料半額免除期間若しくは保険料四分の一免除期間を計算する場合においては、前納に係る期間の各月が経過した際に、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。
4.前三項に定めるもののほか、保険料の前納手続、前納された保険料の還付その他保険料の前納について必要な事項は、政令で定める。
2.
・障害基礎年金を受けることができる者とは、初診日に、被保険者であること又は被保険者であった者であって日本国内に住所を有し、かつ、60歳以上65歳未満であることのいずれかに該当する者であり、障害認定日に政令で定める障害の状態にある者である。
なお、保険料納付要件は満たしているものとする。
・障害基礎年金を受けることができる者とは、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までに被保険者期間があり、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が3分の2以上である者、あるいは初診日が令和8年4月1日前にあるときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの1年間(当該初診日において被保険者でなかった者については、当該初診日の属する月の前々月以前における直近の被保険者期間に係る月までの1年間)に保険料の未納期間がない者である。なお、障害認定日に政令で定める障害の状態にあるものとする。
・国民年金基金の加入の申出をした者は、その申出をした日に、加入員の資格を取得するものとする。
・国民年金基金制度は、国民年金法の規定に基づく公的な年金であり、国民年金(老齢基礎年金)とセットで、自営業者など国民年金の第一号被保険者の老後の所得保障の役割を担うもの。会社員等の給与所得者で厚生年金に加入している人と、国民年金だけしか加入していない自営業者など国民年金の第1号被保険者では、将来受け取る年金額に大きな差が生じるため、その差を解消するため上乗せ年金を求める強い声があり、国会審議などを経て、厚生年金などに相当する国民年金基金制度が平成3年5月に創設。これにより、自営業者などの公的年金も2階建てになった。
・国民年金基金は、厚生大臣(当時)の認可を受けた公的な法人で、全国国民年金基金と3つの職種別に設立された職能型国民年金基金の2種類がある。全国国民年金基金に加入できるのは、国民年金の第1号被保険者であれば住所地や業種は問わない。
・職能型国民年金基金に加入できるのは、各基金ごとに定められた事業または業務に従事する国民年金の第1号被保険者。加入する場合は、いずれかの1つの基金のみ。それぞれの基金が行う事業内容は同じ。掛け金は全額が所得控除の対象となり、所得税や住民税が軽減される。一般の個人年金は最大年4万しか所得控除されないのに比べ、断然お得。海外居住だと、原則、所得控除は受けられない。
国民年金法
第一章 総則
第一条(国民年金制度の目的)
国民年金制度は、日本国憲法第二十五条第二項に規定する理念に基づき、老齢、障害又は死亡によって国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止し、もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする。
第二条(国民年金の給付)
国民年金は、前条の目的を達成するため、国民の老齢、障害又は死亡に関して必要な給付を行うものとする。
第三条(管掌)
国民年金事業は、政府が管掌する。
2.国民年金事業の事務の一部は、政令の定めるところにより、法律によって組織された共済組合、国家公務員共済組合連合会、全国市町村職員共済組合連合会、地方公務員共済組合連合会又は私立学校教職員共済法の規定により私立学校教職員共済制度を干渉することとされた日本私立学校振興・共済事業団に行わせることができる。
3.国民年金の事務の一部は、政令の定めるところにより、市町村長(特別区の区長を含む)が行うこととすることができる。
第十章 国民年金基金及び国民年金基金連合会
第一節 国民年金基金
第一款 通則
第百十五条(基金の給付)
国民年金基金は、第一条の目的を達成するため、加入員の老齢に関して必要な給付を行うものとする。
第百十五条の二(種類)
基金は、地域型国民年金基金及び職能型国民年金基金とする。
第四款
第百二十七条(加入員)
第一号被保険者は、その者が住所を有する地区に係る地域型基金又はその従事する事業若しくは業務に係る職能型基金に申し出て、その加入員となることができる。ただし、他の基金の加入員であるときは、この限りでない。
2.前項の申出をした者は、その申出をした日に加入員の資格を取得するものとする。
3.加入員は、次の各号のいずれかに該当するに至った日の翌日(第一号又は第四号に該当するに至ったときは、その日とし、第三号に該当するに至ったときは、当該保険料を納付することを要しないものとされた月の初日とする)に、加入員の資格を喪失する。
一 被保険者の資格を喪失したとき、又は第二号被保険者若しくは第三号被保険者となったとき。
二 地域型基金の加入員にあっては、当該基金の地区内に住所を有する者でなくなったとき、職能型基金の加入員にあっては、当該事業又は業務に従事する者でなくなったとき。
三 第八十九条第一項、第九十条第一項又は第九十条の三第一項の規定により保険料を納付することを要しないものとされたとき及び第九十条の二第一項から第三項までの規定によりその一部の額につき保険料を納付することを要しないものとされたとき。
四 農業者年金の被保険者となったとき。
五 当該基金が解散したとき。
4.加入員の資格を取得した月にその資格を喪失した者は、その資格を取得した日にさかのぼって、加入員でなかったものとみなす。
3.
・労働基準法の規定による障害補償を受けることができるときにおける障害基礎年金並びに同法の規定による遺族補償が行われるべきものであるときにおける遺族基礎年金又は寡婦年金については、6年間、その支給を停止する。
・国民年金基金連合会は、厚生労働大臣の認可を受けることによって、国民年金基金が支給する年金及び一時金につき一定額が確保されるよう、国民年金基金の拠出金等を原資として、国民年金基金の積立金の額を付加する事業を行うことができる。
・積立金の運用は、厚生労働大臣が、国民年金法第75条の目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政書士法人に対し、積立金を寄託することにより行うものとする。
第七十五条(運用の目的)
積立金の運用は、積立金が国民年金の被保険者から徴収された保険料の一部であり、かつ、将来の給付の貴重な財源となるべきものであることに特に留意し、専ら国民年金の被保険者の利益のために、長期的な観点から、安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって、国民年金事業の運営の安定に資することを目的として行うものとする。
第七十六条(積立金の運用)
積立金の運用は、厚生労働大臣が、前条の目的に沿った運用に基づく納付金の納付を目的として、年金積立金管理運用独立行政法人に対し、積立金を寄託することにより行うものとする。
2.厚生労働大臣は、前項の規定にかかわらず、同項の規定に基づく寄託をするまでの間、財政融資資金に積立金を預託することができる。
寄託きたく・・・当事者の一方、受寄者が相手方、預託者のために保管することを約束して、ある物を受け取ることによって成立する契約
預託よたく・・・国庫・税制融資資金などに金銭を預けること。
・国民年金事務組合は、その構成員である被保険者の委託を受けて、当該被保険者に係る資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項、氏名及び住所の変更に関する事項の届出をすることができる。
第百九条(国民年金事務組合)
同種の事業又は業務に従事する被保険者を構成員とする団体その他被保険者を構成員とするこれに類する団体で政令で定めるものは、当該構成員である被保険者の委託を受けて、当該被保険者に係る第十二条第一項の届出をすることができる。
2.前項に規定する団体(国民年金事務組合)は、同項に規定する委託を受けようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
3.厚生労働大臣は、前項の認可を受けた国民年金事務組合がその行うべき事務の処理を怠り、又はその処理が著しく不当であると認めるときは、同項の認可を取り消すことができる。
第十二条(届出)
被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない。
4.日本から海外に留学する20歳以上65歳未満の日本国籍を有する留学生は、留学前に居住していた市町村(特別区を含む)の窓口に、海外への転出届を提出して住民票を消除している場合であっても、国民年金の被保険者になることができる。
・日本国籍を持つ人が、長期間海外に住むような場合でも、将来年金が受けられるよう20歳以上65歳未満の間は、国民年金に任意に加入することができる。
昭和40年4月1日以前生まれは、70歳までの間に年金を受けられる加入期間を満たすまで、特例的に任意に加入できる。
・技能実習開始後は、講習期間と実習期間とで加入する年金が異なる。講習期間中は、国民年金に加入する。日本に住所を有してから、講習が始まるまでの間も国民年金に加入。実習期間中は、厚生年金保険又は国民年金に加入する。技能実習先の事業所が厚生年金保険の適用事業所の場合、技能実習生も厚生年金に加入する。適用されていない場合、講習期間から引き続き国民年金に加入する。
5.第1号被保険者が国民年金法第88条の2の規定による産前産後期間の保険料免除制度を利用すると、将来、受給する年金額を計算する時に当該制度を利用した期間も保険料を納付した期間とするため、産前産後期間については保険料納付済期間として老齢基礎年金が支給される。
・産前産後の免除制度は、保険料免除された期間も保険料を納付したものとして老齢基礎年金の受給額に反映される。産前産後期間は付加保険料が納付できる。産前産後期間の保険料を前納している場合、全額還付される。出産予定日の6カ月前から届出ができ、手続には書類が必要。出産後でも届出可能。
・学生納付特例を受けようとする年度の前年の所得が一定以下(申請者本人のみ128万+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等)の学生(大学、大学院、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校、各種学校(修業年限が1年以上の課程に在学している人に限る。私立の各種学校は都道府県知事の認可を受けた学校に限る)、一部の海外大学の日本分校(文部科学大臣が個別に指定した課程)、夜間・定時制課程や通信課程の人も含まれるためほとんどの学生が対象。)。家族の所得の多寡は問わない。
6.国民年金の被保険者である者が死亡した時には、死亡日の前日において、死亡日の属する月の前々月までの被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間を合算した期間が、当該被保険者期間の3分の2以上ある場合は、死亡した者の配偶者又は子に遺族基礎年金が支給される。
7.
・遺族厚生年金の受給対象者は、死亡した人に生計を維持されていた以下の遺族のうち、最も優先順位の高い人が受け取ることができる。遺族基礎年金を受給できる遺族は、あわせて受給できる。
1.子のある配偶者
2.子(18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)
3.子のない配偶者(子のない30歳未満の妻は5年間のみ受給できる。子のない夫は、55歳以上であるときに限り受給できるが受給開始は60歳から。ただし、遺族基礎年金をあわせて受給できる場合に限り、55歳から60歳の間であっても遺族厚生年金を受給できる。)
4.父母((55歳以上であるときに限り、受給開始は60歳から))
5.孫(18歳になった年度の3月31日までにある人、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある人)
6.祖父母(55歳以上であるときに限り、受給開始は60歳から)
・遺族厚生年金の年金額は、死亡した人の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3の額。厚生年金保険の被保険者である間に死亡したとき、厚生年金の被保険者期間に初診日がある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡したとき、1級・2級の障害厚生年金を受け取っている者が死亡したときは、報酬比例部分の計算において厚生年金の被保険者期間が300月(25年)未満の場合は、300月とみなして計算。
・繰上請求した老齢年金は、65歳になるまでの間、遺族厚生年金や遺族共済年金などの他の年金と併せて受給できず、いずれかの年金を選択する。
・繰上請求した日以後は、国民年金の寡婦年金は支給されない。また、事後重症などによる障害基礎(厚生)年金を請求することができない。
8.
国民年金法
第四条の三(財政の現況及び見通しの作成)
政府は、少なくとも五年ごとに、保険料及び国庫負担の額並びにこの法律による給付に要する費用の額その他の国民年金事業の財政に係る収支についてその現況及び財政均衡期間における見通しを作成しなければならない。
2.前項の財政均衡期間は、財政の現況及び見通しが作成される年以降おおむね百年間とする。
3.政府は、第一項の規定により財政の現況及び見通しを作成したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。
9.65歳の誕生日の前日から66歳の誕生日の前日までの間に、障害給付や遺族給付を受け取る権利があるときは、繰下げ受給の申出ができない。ただし、障害基礎年金または旧国民年金法による障害年金のみ受け取る権利がある人は、老齢厚生年金の繰下げ受給の申出ができる。
10.保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、督促状により期限を指定して督促することができるが、この期限については、督促状を発する日から起算して10日以上を経過した日でなければならない。