労働安全衛生法・最新法改正、目的等
令和7年試験向け改正
・電子申請の義務化
労働安全衛生法の規定に基づく労働基準監督署長に対する報告のうち、報告数の多い労働者私傷病報告等の8つの報告(労働者私傷病報告、統括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医の選任報告、定期健康診断結果報告等)について、原則電子申請によることとされた(令和7年1月1日施行)。
・事業所が行う退避・立入禁止等の措置の対象の拡大
「①労働者に対して立入禁止等の措置(危険箇所等への立入・搭乗禁止、悪天候時の作業禁止の措置等)を行う場合、その場所で作業を行う労働者以外の者(一人親方等)もその対象とすること」、「②事故発生時等に労働者を退避させる必要があるときは、同じ作業場所にいる労働者以外の者も退避させること」が義務化された(令和7年4月1日施行)。
令和6年試験向け改正
・名称等を表示し、又は通知すべき危険物及び有害物の追加
譲渡又は提供時にその名称等を表示し、又は通知しなければならない物(表示対象物・通知対象物)として、234物質が追加された(令和6年4月1日施行)。
・濃度基準値設定物質に関する規制
リスクアセスメント対象物(リスクアセスメントを実施しなければならない表示対象物及び通知対象物)のうち、一定程度のばく露に抑えることにより、労働者に健康障害を生ずるおそれがない物質として厚生労働大臣が定める物質(濃度基準値設定物質)は、屋内作業場で労働者がばく露される程度を、厚生労働大臣が定める濃度の基準(濃度基準値)以下としなければならないこととされた(令和6年4月1日施行。)
・労働災害発生事業場等への労働基準監督署長による指示
労働災害の発生、又はそのおそれのある事業場について、労働基準監督署長が、その事業場で化学物質の管理が適切に行われていない疑いがあると判断した場合は、事業場の事業者に対し、改善を指示することができることとされた。(令和6年4月1日施行)
・リスクアセスメント対象物健康診断の実施等の義務
リスクアセスメント対象物による健康影響の確認のため、事業者は、労働者の意見を聴き、必要があると認めるときは、医師等(医師又は歯科医師)が必要と認める項目の健康診断を実施し、その結果に基づき必要な措置を講じなければならないこと、また、濃度基準値設定物質について、労働者が濃度基準値を超えてばく露したおそれがあるときは、速やかに、医師等による健康診断を実施し、その結果に基づき必要な措置を講じなければならないこととされた(令和6年4月1日施行)。
・衛生委員会の付議事項の追加
衛生委員会の付議事項に「濃度基準値設定物質について、労働者がばく露される程度を濃度基準値以下とするために講ずる措置に関すること」「リスクアセスメント対象物健康診断の実施及びその結果に基づき講ずる措置に関すること」が追加された(令和6年4月1日施行)。
・化学物質管理者・保護具着用管理責任者の選任義務
リスクアセスメント対象物を製造、取扱い、又は譲渡提供をする事業場では化学物質管理者を、リスクアセスメントに基づく措置として労働者に保護具を使用させる事業では保護具着用管理責任者を選任することが義務づけられた。(令和6年4月1日)
・雇入れ時等の安全衛生教育の拡充
安全管理者の選任義務がない「その他の業種」の事業場では、雇入れ時等の安全衛生教育のうち、一部教育項目の省略が認められていたが、この省略規定が廃止された(令和6年4月1日施行)。
・防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具の規制
防毒機能を有する電動ファン付き呼吸用保護具(ハロゲンガス用又は有機ガス用のものその他厚生労働省令で定めるものに限る)が、第42条の機械等(その譲渡、貸与又は設置に際して厚生労働大臣が定める規格又は安全装置を具備しなければならない機械等)に追加され、また、型式検定の実施対象とされることになった(令和6年10月1日施行)。
1.
・事業者は、単に労働安全衛生法で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。
・建設物を建設する者は、その建設に際して、当該建設物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するよう努めなければならない。
・労働安全衛生法において、労働災害とは、労働者の就業に係る建設粒、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。
・2以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、そのうちの一人を代表者として定め、これを都道府県労働局長に届け出なければならない。
労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)
第一章 総則
第一条(目的)
この法律は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
第二条(定義)
この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
一 労働災害
労働者の就業に係る建設物、設備、原材料、ガス、蒸気、粉じん等により、又は作業行動その他業務に起因して、労働者が負傷し、疾病にかかり、又は死亡することをいう。
二 労働者
労働基準法第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く)をいう。
三 事業者
事業を行う者で、労働者を使用する者をいう。
三の二 化学物質
元素及び化合物をいう。
四 作業環境測定
作業環境の実態を把握するため空気環境その他の作業環境について行うデザイン、サンプリング及び分析(解析を含む)をいう。
第三条(事業者等の責務)
事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。
2.機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。
3.建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施行方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。
第四条
労働者は、労働災害を防止するため必要な事項を守るほか、事業者その他の関係者が実施する労働災害の防止に関する措置に協力するように努めなければならない。
第五条(事業者に関する規定の適用)
二以上の建設業に属する事業の事業者が、一の場所において行われる当該事業の仕事を共同連帯して請け負った場合においては、厚生労働省令で定めるところにより、そのうちの一人を代表者として定め、これを都道府県労働局長に届け出なければならない。
2.前項の規定による届出がないときは、都道府県労働局長が代表者を指名する。
3.前二項の代表者の変更は、都道府県労働局長に届け出なければ、その効力を生じない。
4.第一項に規定する場合においては、当該事業を同項又は第二項の代表者のみの事業と、当該代表者のみを当該事業の事業者と、当該事業の仕事に従事する労働者を当該代表者のみが使用する労働者とそれぞれみなして、この法律を適用する。
2.
1.労働安全衛生法は、労働基準法と相まって、労働災害の防止のための危害防止基準の確立、責任体制の明確化及び自主的活動の促進の措置を講ずる等その防止に関する総合的計画的な対策を推進することにより職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的とする。
2.労働安全衛生法第3条第3項では、「建設工事の注文者等仕事を他人に請け負わせる者は、施行方法、工期等について、安全で衛生的な作業の遂行をそこなうおそれのある条件を附さないように配慮しなければならない。」と規定している。