健康保険法・保険給付

健康保険法
第52条(保険給付の種類)
被保険者に係るこの法律による保険給付は、次のとおりとする。
一 療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費及び移送費の支給
二 傷病手当金の支給
三 埋葬料の支給
四 出産育児一時金の支給
五 出産手当金の支給
六 家族療養費、家族訪問看護療養費及び家族移送費の支給
七 家族埋葬料の支給
八 家族出産育児一時金の支給
九 高額療養費及び高額介護合算療養費の支給

第3条
13.この法律において「電子資格確認」とは、保険医療機関等から療養を受けようとする者又は第88条第1項に規定する指定訪問看護事業者から同項に規定する指定訪問看護を受けようとする者が、保険者に対し、個人番号カードに記録された利用者証明用電子申請書を送信する方法その他の厚生労働省令で定める方法により、被保険者又は被扶養者の資格に係る情報の照会を行い、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により、保険者から回答を受けて当該情報を当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に提供し、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者から被保険者又は被扶養者であることの確認を受けることをいう。

第115条(高額療養費)
療養の給付について支払われた一部負担金の額又は療養に要した費用の額からその療養に要した費用につき保険外併用治療費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額(一部負担金の額)が著しく高額であるときは、その療養の給付又はその保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、家族療養費若しくは家族訪問看護療養費の支給を受けた者に対し、高額療養費を支給する。

2.高額療養費の支給要件、支給額その他高額療養費の支給に関して必要な事項は、療養に必要な費用の負担の家計に与える影響及び療養に要した費用の額を考慮して、政令で定める。

25.保険給付
被保険者の疾病又は負傷に関して行う療養の給付の範囲は、①診察、②薬剤または治療材料の支給、③処置、手術その他の治療、④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護、⑤病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護とされている。

26.保険給付
・入院時食事療養費に係る食事療養標準負担額は、平均的な家計における食費の状況及び特定介護保険施設等における食事の低きゅおに要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況その他の事情を斟酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額)とされている。(食事療養標準負担額は、一般の患者は1食490円、住民税非課税世帯は230円。長期入院で過去1年の入院日数が90日を超える場合は、180円。住民税非課税世帯で所得が一定基準に満たない70歳以上の高齢受給者は1食110円の軽減措置を受けることができる。)

27.保険給付
被保険者が無医村において、医師の診断を受けることが困難で、応急措置として緊急に売薬を服用した場合、保険者がやむを得ないものと認めるときは、療養費の支給を受けることができる。

・厚生労働大臣が定める高度の医療技術を用いた療養その他の療養であって、給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養(患者申出療養を除く)として厚生労働大臣が定めるもの(以下、評価療養)

・高度の医療技術を用いた療養であって、当該療養を受けようとする者の申出に基づき、給付の対象とすべきものであるか否かについて、適正な医療の効率的な提供を図る観点から評価を行うことが必要な療養として厚生労働大臣が定めるもの(患者申出療養)。

28.保険給付
被保険者が予約診察制をとっている病院で予約診察を受けた場合には、保険外併用療養費制度における選定療養の対象となり、その特別料金は全額自己負担となる。

保険外併用療養費
保険診療との併用が認められている療養
評価療養・・・保険導入のための評価を行うもの
先進医療、薬価基準収載医薬品の適応外使用、治験に係る診療

選定療養・・・保険導入を前提としないもの
時間外診療、予約診療、大病院の再診、180日以上の入院、鹿野金合金等、差額ベッド、精子の凍結及び融解

29.保険給付
・被保険者の被扶養者が保険医療機関等のうち自己の選定するものから療養を受けたときは、被保険者に対し、その療養に要した費用について、家族療養費を支給する。

30.保険給付
・保険外併用療養費に係る選定療養部分、患者申出療養又は評価療養の先進医療部分の自己負担額は、高額療養費の支給対象とならない。

・高額療養費の対象となる一部負担金等の額については、同一の医療機関であっても、入院診療分と通院診療分はそれぞれ区分して算定される。

・標準報酬月額が53万円の70歳未満である被保険者が、同一の月に同一の医療機関で人口透析治療を受け、それに係る自己負担金が2万円を超えた場合、超えた額が高額療養費として支給される。

・全国健康保険協会管掌健康保険の被保険者が適用事業所を退職したことにより被保険者資格を喪失し、その同月に、他の適用事業所に就職したため組合管掌健康保険の被保険者となった場合、同一の病院で受けた療養の給付であったとしても、それぞれの管掌者ごとにその月の高額療養費の支給要件の判定が行われる。

高額療養費の自己負担限度額
70歳未満
基礎控除後の総所得金額等が901万円をこえる世帯・・・直近12ヶ月で3回目まで252,600円+(医療費総額ー842,000円)×1%
直近12ヶ月で4回目以降・・・140,100円

600万円を超え901万円以下・・・167,400円+医療費総額ー558,000円×1%
93,000円

210万円を超え600万円以下・・・80,1000円+医療費総額ー267,000円×1%
44,400円

210万円以下・・・57,600円、44,400円

市民税非課税世帯・・・35,400円、24,600円

・長期間にわたって継続しなければならず、著しく高額な医療費が必要となる疾病については、自己負担限度額を通常の場合より引下げ、1万円(人工腎臓を実施している慢性腎不全の上位所得者は2万円)とすることにより、医療費負担の軽減を図る特例制度がある。(血友病、慢性腎不全、後天性免疫不全症候群(HIV感染を含み、厚生労働大臣の定める者に係るものに限る)

31.
・月間の高額療養費は暦月1月ごとに算定する。

・高額療養費制度とは、1か月の医療費の自己負担額が一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分を『高額療養費』として支給する制度。同じ月内に、受けた保険診療に係る一部負担金(自己負担額)が自己負担限度額を超えた場合、超えた額が高額療養費として支給される。保険診療外のものは、高額療養費の対象とならない。入院時食事療養費と入院時生活療養費も高額療養費の対象外。

・同じ世帯の70歳未満の人が同じ月内に受けた保険診療の自己負担額について、医療機関ごとに21,000円以上になっているものを合算して、次の自己負担限度額を超えたとき、超えた額を高額療養費として支給する。

・一年間における医療保険と介護保険の自己負担が著しく重くなった場合に負担を軽減する制度が、高額介護合算療養費制度。
基準額・・・70歳未満・・・67万円、低所得34万円
後期高齢者医療制度・・・56万円、低所得31万円

・長期高額特定疾病(①人口腎臓を実施している慢性腎不全②血友分画製剤を投与している先天性血液凝固因子障害③抗ウィルス剤を投与している後天性免疫不全症候群)患者の自己負担額は、1万円または(70歳未満で標準報酬月額が53万円以上またはその70歳未満の被扶養者が人口腎臓を実施している慢性腎不全)2万円

32.保険給付
1.入院時生活療養費の額は、当該生活療養につき生活療養に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額)から、平均的な家計における食費及び光熱水費の状況並びに病院及び診療所における生活療養に要する費用について介護保険法に規定する食費の基準費用額及び居住費の基準費用額に相当する費用の額を勘案して厚生労働大臣が定める額(所得の状況、病状の程度、治療の内容その他の事情を斟酌して厚生労働省令で定める者については、別に定める額。『生活療養標準負担額』という)を控除した額とする。
2.厚生労働大臣は、上記1の基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。

33.保険給付
・傷病手当金の支給期間は、その支給を開始した日から通算して1年6ヶ月間。

34.保険給付
・前後の疾病に係る傷病手当金の支給期間が重複する期間については、前の疾病に係る傷病手当金の額と後の疾病に係る傷病手当金の額とを比較して、いずれか多い方の額が支給される。

35.保険給付
・双子等の出産の場合には、胎盤数にかかわらず、一産児排出を一出産と認め、胎児数に応じて出産育児一時金が支給されるが、第一子と第二子以降の出産育児一時金の額は、同額である。

36.保険給付
・埋葬料の額は5万円であり、埋葬費の額は、埋葬料の全額(5万円)を限度として、埋葬に直接要した実費額である。

37.保険給付
・特例退職被保険者には、傷病手当金は支給しない。

・被保険者であった者が船員保険の被保険者となったときは、保険給付は、行わない。

38.保険給付
1.被保険者(任意継続被保険者を除く)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金を支給する。
2.傷病手当金の額は、原則として、1日につき、傷病手当金の支給を始める日の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額(被保険者が現に属する保険者等により定められたものに限る)を平均した額の30分の1に相当する額(その額に、5円未満の端数があるときは、これを切り捨て、5円以上10円未満の端数があるときは、これを10円に切り上げるものとする)の3分の2に相当する金額(その金額に、50銭未満の端数があるときは、これを切り捨て、50円以上1円未満の端数があるときは、これを1円に切り上げるものとする)とする。
3.傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から通算して1年6月間とする。

39.保険給付
1.被保険者(任意継続被保険者を除く)が出産したときは、出産の日(出産の日が出産の予定日後であるときは、出産の予定日)前以前42日(多肢妊娠の場合においては、98日)から出産の日後56日までの間において労務に服さなかった期間、出産手当金が支給される。
2.傷病手当金又は出産手当金の継続給付を受ける者が死亡したとき、当該継続給付を受けていた者がその給付を受けなくなった日後3月以内に死亡したとき、又はその他の被保険者であった者が被保険者の資格を喪失した日後3月以内に死亡したときは、被保険者であった者により生計を維持していた者であって、埋葬を行うものは、その被保険者の最後の保険者から埋葬料として5万円の支給をうけることができる。






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