【VRC】非対応衣装をModularAvatarで着せる

突然ですが新作アバター+衣装を販売しました。

このアバターのトレンチコートセットは、衣装単体でも販売しております。
着せたいけど自分のアバターは非対応だなあ、という方向けの記事です。応用して、いろんな非対応衣装をお気に入りのアバターに着せちゃおう!


専用対応衣装とセミ対応衣装の違い

よくある「対応衣装」のなかでも専用対応とセミ対応の2種類があると思います。これはあくまでも「空創緑林館BOOTH店」ではこういう扱い、という感じなので、参考程度に読んで下さい。

専用対応衣装とは

アバターに対してボーン構造、ウェイトの微調整なども行われている「そのアバターに着せるため」の衣装のこと。
簡単に言えば全部Blenderで着せているものがこちらになります。今回のトレンチコートセットに入っている衣装モデルはバートランド専用、という事ですね。

セミ対応衣装とは

Unity上でScaleを調節して着せた衣装の事。当店の場合「FBX共通」と書いてあるものはこちらです。
トレンチコートセットが「10アバター対応済み」となっているのは、すべてUnityのみで調節して着せられるようにしたものです。

今回のこの記事ではUnityだけで着せる「セミ対応」について詳しく方法を紹介していきますよ。

必要なアセット

VRChatにアバターをアップロード出来る方向けの記事ですので、最低限の準備は出来ているものとして書き進めておりますが、大前提として必要なアセットを下記に紹介していきます。

ModularAvatar

言わずと知れた非破壊でアバターに衣装を着せたりギミックを取り付けることが出来る便利ツールです。

キセテネ改良版

PrefabをUnpackしなくても使える衣装用の調節ツールです。これだけで着せる場合もありますが、今回は補助的に利用します。

実際に着せる

今回はTATUO_LAB (たつおラボ)様の享矢くんをお借りして着せていこうと思います。めっちゃ格好良くてかわいいという最高のアバターです。

アバターと衣装をSceneに配置

とりあえずSceneに置いていきましょう。
着せたいアバターをHierarchyにドラッグアンドドロップ。
衣装は Takeru_airgreen > Bertrand_ReNew > WearSet > Prefab の中にある「TrenchCoat_MA_T.prefab」を利用してください。Tポーズの方です。
ここでキモなのが「TrenchCoat_MA_T.prefab」をアバターの直下に配置するということです。

衣装を直接アバターの直下に配置します

こうすることで衣装に仕込まれたModularAvatarが動作するようになります。

ModularAvatarの設定

衣装側の設定項目を修正していきましょう。
「TrenchCoat_MA_T」のInspectorに設定されている「MA Mesh Settings」のアンカーオーバーライド設定に、アバターのAnchorを設定して下さい。享矢くんの場合Spineの中に入っているようです。
バウンズ設定のルートボーンにはHipsを設定して下さい。

それぞれドラッグアンドドロップして設定します

続いて「TrenchCoat_MA_T」のArmatureを開き、Inspectorにある「MA Merge Armature」の設定を行います。
統合先にアバターのArmatureを設定、「ボーン名を統合先に合わせる」ボタンを押します。

SETUP Outfitを押すと自動で行われる作業を手動で修正しています。

デフォルト衣装の整理

享矢くんにはデフォルトで衣装チェンジのギミックが搭載されていますが、すべて着せた状態にするとアバターが重くなってしまいますし、ギミックが競合する可能性があります。
今回はデフォルトの衣装チェンジギミックをオフにし、トレンチコートセットのギミックだけが動くようにしたいと思います。

まずはおもむろにデフォルトの衣装をすべてオフ、EditorOnlyに変更します。

顔と髪、身体以外をすべてオフにします

これが出来たらデフォルトのEXMenuを変更します。
デフォルトのEXMenuをコピーして適当な名前をつけたら、InspectorでCostumeの項目を消します。

必ずコピーしてから改変しよう!

コピーして改変したEXMenuをExpressionsのMenuに登録して完了です。

パラメーターはそのままで大丈夫です。

衣装のサイズ調整

ここまで出来たらいよいよサイズを調節して着せていきます。
まずはお尻の位置を確認したいので、デフォルトで100になっているアバターのHipシェイプキーをゼロにします。

お尻の位置がわかるようになりました

着せやすくなるよう、「TrenchCoat」オブジェクトを非表示にして、「Yshirt」のInnerシェイプキーをゼロにしてください。

まず登場するのは「キセテネ改良版」です。
「着せたい服」項目に「TrenchCoat_MA_T」を登録し、上下・前後を調節して股間の位置がだいたい合うように調節して下さい。

前からだけではなく横から見てもだいたい合うようにしましょう

股間の位置があったら、今度は拡大縮小とお辞儀で首の位置を合わせます。

だいたいこのくらい

今度は「調整用(上半身)」を利用して袖サイズを合わせます。

袖はやや太めにしたほうが体格がよく見えます

最後に「調整(下半身)」でズボンの裾を合わせてあげましょう。

足が突き抜けていても大丈夫なのでしっかり地面に靴底を合わせます

ここまで出来たらキセテネ改良版はウィンドウを閉じても大丈夫です。
Skinのシェイプキーを調節して素体が隠れるように設定します。

Lower_armは20~30くらいにしておくと袖口から肌が見えても違和感なく出来ます

あとは先程調節のために非表示にした「TrenchCoat」を表示させ、「Yshirt」のInnerシェイプキーを100に設定します。

完成!

といわけで着せ替えが完了しました。
もうこれでアップロードすればアバターとして使うことが出来ます!お疲れ様でした。

Gesture Managerで再生するとこの通り

微調整の沼へ

完成、でも良いのですが、これはあくまでもアバターの素体を消して「衣装に合わせた」という形になります。
アバターそのものの体型を活かして調節したい!という欲張りな方でもある程度満足できる(と思われる)ModularAvatarの機能をご紹介していきます。

碼希くんに着せてみよう

ひゅうがなつみかん様の碼希くんをお借りしてみましょう。
体格が良く顔もいい、最高のアバターです。

先ほどと同じ要領でデータ整理をしたら、Bodyの干渉防止シェイプキーをいちどすべて0にします。この状態でキセテネ改良版を使い、大まかにサイズ合わせをしてください。

大体あっていればOK

最終的には干渉防止シェイプキーを使うのですが、碼希くんは胸板がしっかりあるので、衣装にも胸の厚みをつけていきましょう。
Chestに厚みが欲しいので、衣装側のChestに「MA Scale Adjuster」コンポーネントを追加し、Z軸(前後)に数値を少し追加してあげます。
通常、TransformのScaleで調節した場合、配下のボーンもすべて縮小してしまうので辻褄合わせの調節が大変なのですが、このコンポーネントはそのボーンにだけScaleをかけてくれるので、配下のボーン調節が必要なくなります。直感的に調節ができるようになるというわけです。

まずは胸板を調節

続いて首周りがスカスカしているので、衣装側のNeckにも「MA Scale Adjuster」コンポーネントを追加、X軸(左右)とZ軸(前後)の数値を調節してあげて下さい。

首周りがスマートに!

ここまで出来たら、改めてBodyの干渉防止シェイプキーを調節し、完成となります。

格好良く着られました

こんな具合で「MA Scale Adjuster」を利用することで、非対応のアバターでもそれなりに美しく着ることが出来るというオススメの調整方法でした。
例えば肩まわりなど左右で分かれている部位を調節したいといった場合には、左右それぞれ同じ数値を入れてあげれば大丈夫です。

レッツエンジョイ非対応アバター着せ替えの沼!
竹流でした。