封筒デザインと印刷の見積依頼があったので、対応してました。

ひとくちに封筒印刷と言っても、その方法と、仕上がりと、価格にはものすごく違いがありまして。

詳細を早めに決めないと全てが後手に回ってしまい、お客さんに怒られます。
たとえ面倒だなと感じられても、ちゃんとした手順を踏まないといけません。

  1. 仕様を確認しつつ、

  2. 複数の業者さんを探して、

  3. サンプル発送依頼をして、

  4. 同時に見積も取る。

  5. サンプルが届いたら、それぞれの仕上がりを見ていただきつつ、費用を提示する。

で。

デザイン費、版下データ作成費は決めてあるけれど、印刷費用についてはかなりの幅があることがわかったので、その旨はお客さんにお伝えしています。
そんなわけで、いまはサンプルを待っている段階です。

これが規模の大きな印刷屋さんだと過去事例をたくさん持っているので、すぐにサンプルと見積を持ってお客さんのところに走るわけですが、こちらにはその積み上げがありません。

お客さんの規模によって予算が大きく違ってきますから、業者選択を含め、複数の検討が必要になります。

手持ちの資料が少ないということも相まって、「リアクションの速度だけが勝負の肝になる」と言えるのかもしれません。

いろいろある封筒印刷の方法について

封筒印刷の方法と仕上がりと価格には違いがある、と書きました。
かんたんにまとめると、次のようになります。

■封筒を買うか、作るか?

1 既製品に刷り込みする。
2 用紙を選んで、印刷・裁断・製袋する。

■刷り込むか、一から印刷するか?

A オンデマンド印刷にする。
B オフセット印刷にする。
C 活版または凸版印刷にする。

上記を組み合わせたら、最低でも5種類の方法になりますね。

  • 1-A 既製品にオンデマンド印刷

  • 1-C 既製品に活版または凸版印刷

  • 2-A 用紙を選んでオンデマンド印刷・裁断・製袋

  • 2-B 用紙を選んでオフセット印刷・裁断・製袋

  • 2-C 用紙を選んで活版または凸版印刷・裁断・製袋

もしかしたら他にもあるかもです。
既製品にオフセット印刷とかシルク印刷とか。
けれどまあ、ざっくり上記のような感じになるんじゃないでしょうか。
とくにネット印刷系だと、オンデマンド刷り込みか、オフセット製袋に集約されてくると思います。

で、5種類の料金体系が発生する、というわけです。
Cの印刷方法だと、特色を何版用意するか? インク色はどうするか? などでも費用が変わったりします。
金・銀・銅・蛍光は高いとか、そんな感じ。

そんな中で、どのような条件ならOKなのかを詰めていきます。

まあそれ以前にデザイン費でダメというお話もありうるので、先に詰めすぎても無駄になったりすることがあるんですが、上記は最低でもやっとかなくちゃいけない作業ですので、手は抜けません。

経験のない方は「デザインだけやってればいい」と思われている方がいらっしゃるかもですけれど、実はやることがいっぱいある、というお話でした。

お客さんの言葉は鵜呑みにしない

事前にお客さんから「安かったらいいよ」と言われていたとして。
それを鵜呑みにしてサンプルも見ずに最安値の業者さんに発注して。
いざ納品になって

「なにコレ?」

とか怒られることがあるんですよ。

なので事前にしっかり詰めておくことの重要性について、口酸っぱく教え込まれるものでした。

また、封筒印刷については特に、ちゃんと追求すればするほど関係者の満足度が上がります。

いろんな手法、業者による違いを調べておくと、お客さんへの提案力も高まりますね。

サンプルって大切

その昔、とある大きな企業の挨拶状を受注した際のこと。

デザインだけ受けてたので、印刷は分離発注でした。
で、色校正が上がってきたのだけれど、プロデューサーがヘンな顔をしてまして。

「なんか汚いのよね」
とおっしゃる。

なんだろう? と思って見に行ったら、どうやら悪い品質のオンデマンドプリントだということが判明。
古い機種だと文字が太く出たり、色がうちのプリンタより汚かったり、紙面がテカっていたり、ということがあったんですよ。
いまはオンデマンドプリントのクォリティが上がってますので、気づかない人もいると思います。

「これたぶんオンデマンドです。可能ならオフセットにしてもらってください」

とお伝えして、最終的には印刷方法が変更されて納品に至ったことがあったんですね。

どんな仕上がりになるかを色校正で確認できたので、困ったことにはならなかったんですけれども。

これが「安さが売りのネット印刷」だと、そうはいかなかったりします。
安さを求めているのに、色校正を2校・3校と出してたら費用だけでエラいことになります。
なので、事前にその業者さんのスペックを確認する必要があるわけです。

これって常識の範疇ではあるんですが、最近はウェブからグラフィックに派生するお仕事をされている方もいらっしゃると思うので、備忘録的に書いてみました。

はじめて発注する業者さんからは、必ずサンプルを取る。
それだけでリスク回避ができたりします。

それから、封筒の仕上がりをデザイナーの目で見たとき、

「なんかちがう」
「しょぼくない?」

みたいな印象を受けることがあるんですよ。
慣れるまで時間がかかるかもしれないんですが、わりとそんな経験があったりします。
事前にサンプルを見ておくことで、印刷の限界や、可能性、問題の回避策を考えることができるので、やっぱりサンプルは集めるべきだと思っています。

役に立たないかもしれないヨタ話ではありますが、何かの参考になれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?