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brisk_badger8531
ショートショート:太陽系内旅行
金井6世は、自分の銀行残高を見て、甲高い声を上げるのをぐっと我慢した。
遂に、小さい頃から憧れていた宇宙旅行に行けるのだ。
マリネリス峡谷清掃のバイトをずっと行ってきた苦労がようやく報われる。しかも、長年の夢だった「太陽系で最も美しい日の出」を見ることができる。
科学の発展により、太陽系内での宇宙旅行が行えるようになった。
とはいえ、パスポート取得や高額の旅行代により、誰もが行けるものではない。
金井6世は大学生になったあと必死でバイトし、無事宇宙旅行へ行けるだけのお金を貯めることができた。
パスポート取得に専門の試験に合格する必要があったが、金井家は代々宇宙飛行士を輩出してきた家系なので、そういった試験に合格するための教育が幼い頃からなされていた。そのため、パスポート取得は容易だった。
大学3年の長期休暇に宇宙旅行に行くことにした。
友人から旅行について聞かれる。
「どこ見て回るか決めてるの?」
「とりあえず、惑星は一つだけ行こうと思ってる。そこには遠い親戚がいるから、ずっと宿泊する予定。その親戚の人が、いろいろ連れていってくれるみたい」
「そうなんだ。どこの惑星に行くの?」
「地球ってとこ」