読了記録18「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」フィリップ・K・ディック
アンドロイドを読んだ。以前というか、数年前から気になっていたし、買ったのも最早数年前になりつつある。
SFの世界をこれでもかと詰め込んだ夢のような作品だった。独自のテレビ番組が重要なポイントを担っていることは終盤で驚かせる。胡散臭い教祖の胡乱な物言いが各キャラクターを動かしていく。思ったよりも上等な舞台装置だったことは予想外だった。
生きている動物が地位の象徴であり、そのために命を懸けて賞金首を狩りに行く様子はいっそ滑稽でもある。そしてやっと買った動物はあっさりと殺される。この様はどうしても現代へも通じる痛烈な皮肉を読み取ってしまう。命を賭して得たものがあっさりと打ち捨てられるシーンはどうしようもなく心臓が掴まれたように感じる。
そして最後も、どこか物悲しさを感じさせる。
最後にこの作品が長編として書かれていて、読んでいて一番驚いたかもしれない。
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