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日記13 noteで作る私の歌集『残り香』part1

実は、実はという前置きをする記事でもないんですけど、一年まえくらいから、ずーっと短歌を作ってるんですよね。昔から、和的なもの、古代日本文化的なものが好きで、高校生の時も、古典の時間は繊細で美しい物語であったり、和歌を知ることができる楽しい時間でした。


俳句とかにも挑戦してみたかったんですけど、字数が少ない分、難易度としては、俳句の方が高いかな?と思って、短歌にしてみたんですが、とてもはまりました。


それで、今まで書きためてきたものがいくつもあるんですけど、どこかに書き残して置く場所がなかったんですよね。いつもスマホのメモに書いてるんですけど、どうにも消えやすいような感じがして怖いんです。前も、別のメモを間違えて消してしまったこともありました…

なので、noteという格好の場所を見つけたので、備忘録として、つらつらと書き残していきたいと思います。詩って、各々の解釈があると思うので、すべて自分で作ったものですけど、自分なりの解釈は少なめで、詠んだ背景はしっかり書こうかな。最初に書いてあるのは、その歌を詠んだ日付です。推敲のため、複数書いているものもすべて書くことにします。では。


2019年8月16日
・ありし日の 朧な君が そらにみえ
乳(チ)飲み待ち待ち 濡れ髪乾く
9月17日修正
・ありし日の 朧なきみが そらにみえ
乳飲み待つ宵 濡れ髪乾く

当時、就活に失敗してボロボロの状態で行った家族旅行で、夜半、銭湯から出て、外のベンチに一人腰掛けて牛乳を飲んでいたんですけど、その時に、忘れられない高校時代の好きな人がいるんですけど、その人が風呂から偶然出てきて、会えたりしないかな、と思って詠んだ、初めての歌です。

8月29日
・九年後 思い出草の 露し落ち
未だ頭(コウベ)の 垂れる余地無し

昔、いじめに加担していたことがあった、その時のいじめられていた子と今ではものすごく仲良しなんですけど、その子に対して謝れていないことに対する歌です。

・厳島 新春の宵 君は来ず
君は来ずやと (詠む)赤鳥居の浜
2020/01/11追記
・門出、祝(ホ)ぐ 厳島の旅 君は来ず
君は来ずや、と 鳥居の浜辺

いつも六人グループで遊んでいたんですけど、一人、色んな理由で遊べなくなった子がいて、その子を欠いた五人で、高校卒業祝いに広島に行った時のことを思い出して詠んだ歌です。

9月1日
左)よもあらじ 君の香りに 誘われぬ
かの華の香(カ)の 背に舞いたり
中)我がうしろ まぶしき華の においたち(おそらく)
覚ゆ我が背の その熱さかな
右)よもあらじ 君の香りに 誘われぬ
我が背に咲くは かの華子(?)かな

高校生のとき、うちのクラスは放課後、教室で自習をしてよかったんですが、その時に帰る人とそのまま自習していく人がいて、そういう人たちは他人の席に移動して自習することもよくあったんですが、先述した、高校生時代の好きな人が、たまたま自分の目の前の席に(本当に何故か)来た時に作った歌をメモしてあったので、それを書き記したものです。字が汚かったので、読み取れてるか分からないところがあります。

・喉元を 過ぎれば熱さ 忘れども
我が背の灯火 未だともてり

上記の歌に対する、今の私の返歌です。

9月8日
・喪服には 似合わぬ暑さよ 夏の果て
カサブランカを 持つ妻と子ら

同じ地域の、いつも話しかけてくれたおっちゃんが亡くなって、その葬式に出た時の歌です。

9月9日
・昼寝覚め 西陽の居間に 赤福の
残りを食べる 半袖のきみ
下と悩む
・昼寝覚め 西陽の居間に 赤福の
残りを食べる 新妻のきみ

名物菓子の赤福って、いつも、一つの付属の木べらを使って家族みんなで食べるんですけど、そういう関係性って、互いを許し合っているような、好ましい関係性に思えて詠んだ歌です。

9月11日
・昼寝覚め 西陽の居間に 赤福の
残りを食べる 普段着のきみ
・同じへら 介して食べる 赤福に
紅咲く頰に きみは気づかず
・へら介し 赤福食へば 接吻の
記憶鮮やか きみとの我が家
よくわからなくなってきた。一旦、留め置く。

色々と同じお題で推敲したんですけど、よくわからなくなってきたので、打ち止めました。ちなみに、こういう歌を詠む時は大体、イメージ、空想で、大体、先述の好きな人を脳内モデルにしてます。

9月16日
・体育祭 帰りのバスの 乗車口
固まる私 呆れ顔のきみ
・帰りのバス IC乗車に 戸惑えば
我の目の前 呆れ顔のきみ

高校生の終わりに、クラスで体育館を借りて思い出のためにスポーツ大会でもしようってなった際に、それが終わってバスに乗って帰るんですけど、当時、バスの乗り方に対して無知で乗車時にだいぶ慌てていて、その時に目の前に好きな人がいて、絶望した時のことを思い出して詠んだ歌です。

9月17日
上記の下の句修正
・帰りのバス IC乗車に 戸惑えば
呆れた様子の きみの目の前
今思えば、高校生の自分はあの体育祭の時に死んでいて、帰り道のなんとも茫然とした気持ち、荒々しい情緒の中で帰ったような気がする。あそこで目が合って、彼女にその自分のダメな裏側を見られてしまったことへのダメージがあまりにも甚大だった。

上記と同題。その下の文章は当時を思い返した時の気持ちを書き殴ったものです。

9月24日
・きみに似た 女性を帰路の 電車にて
見つめぬ我を 知る残り蝉

大学からの帰路、電車の中で、先述した好きな人を忘れられるようになったのかもと、思った時の歌です。


・同窓の 酒席賑やか 眩しくて
帰路の涼風 胸は震えて

高校の同窓会があったんですけど、その時に、周りは就活が終わってどうのこうのという話で満載で、酷く辛かった時の歌です。(ちなみに、先述の好きな人は来ませんでした)

9月27日
・こち見るな 真白な赤よ こち見るな
見ればうつ(鬱・移さん)さん 二十歳(ハタチ)の空蟬

電車の中で、純真無垢なる赤子に見つめられた時の歌です。

10月3日
・にわか雨 傘も差さずに 指絡め
煽る雨音 きみん家(チ)行きの信号を待つ
(下の句: きみん家に行く 信号を待つ)
・にわか雨 傘も差さずに 赤信号
青なり走ると きみが手を引く
・傘忘れ きみの手を引き 雨宿り
にわか雨じゃ嫌(ヤ)と 繋ぐきみの手

にわか雨が降ったある夕暮れ、傘も差さずに手を繋ぎながら、信号を待つ男女を見て詠んだ歌です。

2020年2月26日追記
・にわか雨 濡れる二人は 指絡め
きみん家に行く 信号を待つ

上記の同題。

10月6日
・吹子ふく 手を止めれども 風吹けば
再燃したる 消し炭のきみ

忘れられたと思ってたけど、全然、忘れられなくて再燃した時の歌です。

10月8日
・夢で逢う 誰かの母と 成るきみと
現(ウツツ)に帰り 噛み締める笑み

先述の人が夢に出てきたんですけど、妊娠してたんですよね、しかも、自分じゃなくて、他人の子を。そんな彼女を自宅で介抱する夢でした。

10月9日
・図書館の 夜窓をがならす 六甲の
颪冷し 薄着を恨む

兵庫の大学に行ってたんですけど、図書館の窓が六甲おろしでむちゃくちゃに揺れてたんですよね。凄い寒かったです。


・受験終へ 気づけば独り 焼野原
共に逝ければ かく(は)かなしからむ

同じ大学を受けた人がクラスに五人いて、その中に仲の良い子もいたんですけど、私以外みな落ちてしまいました。同じグループの子も同じ大学を目指していたんですけど、センターが届きませんでした。大学に僕は一人でした。

10月23日
・繁忙期 寿く皆が 嘘に見え
ままよと首肯(ウナズ)く 冬の花束

大学からの帰路の電車にて、花束を持つ人をみて。

10月28日
・きみがため ふるさと捨てて 泣く春の
夜勤終わりの 終電を逃す

きみがため、という言葉をただただ使いたかったんです。そのために詠みました。

・きみと他人(ヒト) 並ぶ姿に 砕けんと
嘲ることを 思い出したり
・LSの 古傷痛む きみゆえに
空想さえも 刃(ハ)となりにけり
・きみと他人(ヒト) 軋(キシ)むこころの 何故に
何故、軋むと わかっていながら

先述の好きな人のラインアカウントのホーム画面に、おそらく、その人が彼女の恋人とのツーショットを設定しているのを見た時の衝撃を残さねばと思った時の歌ですね。今は、もはや動揺というか、彼女が幸せならばそれで良いと思えるようになった気がします。

10月30日
・気がつけば 後の今宵に ふたりきり
課題の花を 撮る君を撮る

駅近くの花壇で、高校生の男女が花を写真に収めて、何かをメモしているのを見た時の歌です。

もう一つ作ろうとしたもの
・夜を寒み 気づけばふたり 梅田駅
終電間近の 人に紛れて
ふたりきり、という言葉だと周りに人がいながらという状況が表現できないかなと思ってこの句を作ろうとしたがうまくいかず、別句として残す。

上記と同題のものですが、あんまりうまくいかなかった歌ですね。

※この句々から『きみ』は男性から女性を、『君』は女性から男性を呼ぶ名とする。

ここからは、こういう自己ルールでやっていくことにしていました。今もこれは続いています。


11月9日
・きみを捨て もがく嵐の 夜、駅に
懺悔の月に ただ膝を折り

駅のプラットホームに、大雨の中、スマホを持ってうなだれている人を見た時の歌です。

11月12日
・『お疲れさん』 面接終わりの 帰り花
寝間着のきみと 会い八分咲き
『帰り花』は小春日和に咲く季節外れの花を言うようで、この時期になってもまだ就活中であることを表すのにいいかなと思った。ただ、主人公が(寝間着の)きみのことが好きなのだ、という気持ちを詠みたかったので、もう一句作ることとする。

大学からの帰路、制服姿と体操服姿の高校生女子二人組を見て詠んだ歌です。若干、キャラクターの設定やらを変えて詠んでいます。上記歌の下の文はちょっとした解説ですね。

・夜、会うと 化粧知らずの 先輩の
手の柔らかさ 面接の傷癒え

上記同題。女性カップルに見立てて詠んだ歌です。

・豆電球 橙色に 酔うきみが
説く初雪の 幼子のゆめ
これは上記の二句とは関係なくて、晩に、豆電球でごろごろしている空間がいいなと思い、詠む。

ということらしいです。確か、この日の夜半に、豆電球の中で酒飲んでる時に詠んだ記憶があります。

11月16日
・小春日の 凪の波止場の 呼ぶ声を
振り向くたびに 小波と悟りし

大学でゼミ合宿みたいなのがあるんですけど、その時に波打ち際で集合写真を撮った時の歌です。

・飲みの宵 火照りを冷めし 男々(ドド)しさに
鼓動のはやさ ばかり覚えし

同じくゼミ合宿で、飲み会があるんですが、その時に、同期の子がよってセクハラしてた(なんとか辞めさせたんですが)、ことに腹を立てた時の歌です。

11月18日
・初雪に 見えし夜空の 小糠雨(コヌカアメ)
電気仕掛けの 月に照らされ

大学の図書館バイトが終わって、大学を出ると小糠雨が降っていた時の歌です。


・放課後の 廊下で君と 交わす口
君の向こうの ヒグラシと目が合う
・放課後の 廊下で君と キス交わし
君の向こうの ヒグラシと目が合う

先輩が、高校生当時、付き合ってた恋人と廊下に誰もいないことを確認して、キスした、という話を聞いて詠んだ歌です。もうちょっといいものが作りたかったですね。


11月22日
・冬歌う 路上ライブに 肩並ぶ
水晶玉の 芸人一人
12月26日追記
・冬歌う 路上ライブに 比肩する
水晶玉の 芸人一人
肩並ぶがいつもしっくり来てないので、比肩するに変えたが、これもしっくりこない、肩並べ、にすればよいのだが、どうも気にくわない

駅前で、イケイケな人が路上ライブしてたんですけど、その横で彼らに比べるとかなり地味な人が一人、コンタクトボールで芸を披露していて、そのカッコよさに詠んだ歌です。歌の下の文は詠んだ時の感想文です。

12月6日
・夜の海 泳ぐ落ち葉の 藤黄の
氷塊を飛ぶ ペンギンのごとし

大学からの帰路、一枚の落葉がペンギンの黄色い毛に見えたので。

12月8日
俵万智さんの短歌を見て自由に詠む
・おやすみと 寝れば、いつかの あの人の
かなしみ忘れて またかなしい
・あくる朝 いつものように 昨晩の
寂しさ忘れ 雑踏の中へ

そういう体で、自由に詠んだものです。

12月12日
・匿名の、 声も知らない あなたから
届く言葉の 柔らかさかな
・『死にたい』と 書けば『悲し』と 返信(カ)く人の 画面の向こうの 愛を知り泣く
・『死にたい』と 書けば『僕も』と返信(カ)く人の いつもの会話 『また明日、ここで』

YouTubeで、睡眠用の音声を流してくれる動画のコメント欄って、辛辣なネットの中でもめちゃくちゃ慈愛に溢れた空間なんですよね。それを詠んだ歌です。

12月19日
・また振って すぐまた振ってる その訳を
知る、黒キャップと ヘッドフォン
アセクシャルの人を主人公にしてみたがよくわからなくなる。

大学からの帰路、バスの後ろに座ってた女性の、一匹狼みたいな生き様が見えた気がしたので詠んだものです。中途半端に、このコンセプトを中心にしちゃったので、変な歌にしかなりませんでした。


・首かしげ ちらりと手を振る 先輩の
理屈屋ならぬ ふつくしさかな

先述した先輩とたまたまバイト終わりに会って、その時に、ちらちらと手を振ってきた姿に可愛らしさを感じた時の歌です。

12月24日
・メリクリと 敬虔なきみが 言ったから
24日が 多分、本番

クリスマス本番って、ついぞどっちなのかよくわかってなかったんですけど、クリスチャンの友人がこう言ってた時の納得感を歌にしたもの。

12月26日
・クリスマス 一人、電気の 森歩く
頭の隅の きみを抱えて
・クリスマス 一人、電気の 森歩く
頭の隅に きみを抱えて
どっちがいい?
・クリスマス 明けて、昨日を 思い出す
街が背景 君のよこがお
・福音も 聴こへぬ二人に 警官の
蛍火ごとき なんぞ聞こゆる

中之島のイルミネーションをみて。中之島の先端部分まで歩いたんですけど、静かな場所でカップルがたくさんいたんですけど、ここだったら、誰も邪魔しないから、いつまでもいられるだろうなと思ったのが最後の歌です。これは若干、解釈入ってますけど。

12月29日
・気がつけば 九十九(ツクモ)鳴り終え きみの手を
ひきよせるまで あと八回

除夜の鐘で、色々と空想した歌です。

・気がついて 君待つ右し 手の寒さ
左みたいに 手袋のない
・気がついて 左手みたいに 手袋の
ない、きみを待つ 右手の寒さ

上記への返歌です。

1月1日
・父母と 仏間で過ごす 年の暮れ
兄住む都(ミヤコ)に 菩薩も沸かん
・いとこらと 年始、恒例 スマブラの
兄の無ければ 張り合いの無く

例年は兄が実家に帰ってくるんですけど、今年は帰ってこなかったんですよね。


・あいうえお せかいにきみを しらずんば
れいろうわたる はなもしるせず

色々と事情があって、この歌はあんまり見せない方がいいんですが、一応。先述の好きな人を想っての歌です。

1月3日
・三階の 我にも聞ゆる 亡き母の
正月三が 大笑い声

正月三が日で、めちゃめちゃでかい母の笑い声が聞こえてきたので。ちなみに、私の母は存命してます。

1月9日
・自惚れぬ 褒められてなお 自惚れぬ
自戒が無ければ やがて打たれん

昔から自惚れてはいけないって思ってるので、同時、かなり誰かに褒めてもらったのかな?それで、この思いが再燃した時の歌です。

1月11日
・駅着けば 白月の暈 家路(ミチ)、明(アカ)く
赤面症の あの子が思われ 
・駅着けば 白月の暈 道、透けて
赤面症の あの子を思う

・駅着けば 白月の暈 道、明く
赤面症の あの子を想う

駅に着くと、白月が出ていて、そこらめちゃめちゃ明るかった時の歌です。

1月13日
・ギターの鋭(エイ) ドラムの打音 ベースの鈍(ド)
地鳴りし、響く 心、再動す
・コンサート 終えて、残るは 感情の
滾(タギ)る沸音(フツオン) 黄色い耳鳴り
・『夜明け前』 歌うボーカル 破顔して
朝待つ『朝』の 毒牙は抜けて
朝子さんがあんなに近く観れたのがあまりにも嬉しかったし、やっぱり表情が豊かでなんとも美しい。3人とも、本当に美しい感情を美しい表現、表情で、また、それを歌に音に乗せて魅せてくれる。
朝子さんの毒舌が聞けるかと思っていたが、ただただかわいい朝子さんだった。
・ステージに 立つあの人の 柔らかい
表情ばかり 思い出にけり
・微笑んで 破顔し、笑い、 はにかんで
刹那の中に あなたのたくさんの笑み

SHISHAMOのライブに行った時の歌です。なんか色々書いてますが、ボーカルの朝子さんがすんごい素敵だったのでつい。



と、part1はこんな感じでしょうか。結構ありましたね。

個人的に色々な思い出や、想いをつめた歌ばかりなので、とても懐かしいですし、胸が軋むような歌ばかりですね…。大学の帰路で、色んな人を見る機会がたくさんあったので、そういうことに端を発した歌も多いですね。あの頃も楽しかったなぁ〜、電車通学は、人間観察が好きな人にとっては、とてもいい時間だと思います。


part2以降も、歌が溜まれば残していきたいと思います。

最後に、この日記で挙げた歌のなかで、自画自賛したい歌を上げておくと、

・駅着けば…

・夜会うと…

・気がつけば…

の三つがたまらなく好きですね。どれも夜というところに着目していて、その静寂に包まれて、闇と群衆の中、傍若無人になれてしまうような、そんな空間で、2人、愛しい、2人の時間が流れている、2人の関係性が見つめられるような、そんな歌に仕上がっているかな、と思います。

短歌、たのしー!

おわり

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