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6月の花嫁

海外旅行に来た。4人乗りの車でドライブする。グローバルな人々とすれ違いながら、奥の細道にたどり着く。途中、結婚式場のような紫色のポスターが貼られているのを見かけた。あれ、車が止まった。どうやら、この先は通れませんとの看板が置かれているらしい。チラリと見たが、向こうには何の気配もなく、道もうっすらと緑に囲まれてるだけで、安全のように思えたのだろう、車を発進させたようだ。看板が視界から消え去ったのと同時に、目の前に紫色のシフォンのやわらかいドレスが入り込んだ。どうやらここは結婚式場だったらしい、見る隙もなく、体を戻して急ブレーキに備えた。今日は青空で、写真を撮っていたのかもしれない。車をバックさせると、後ろにもこの道を通ろうとした車がいたらしく、ここは通れないと、大事な式典の最中だと、ジェスチャーした。紫陽花の色をしたやさしく風になびくウエディングドレスと、きっちりしたタキシードと、後ろに立ち控える親族の方が、ささやかで緑や小鳥のさえずりや雨上がりに似合っていて、青いはずの空も純白にかがやく空になったようで、思いもよらずにただ見てた。

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