海と運命
運命は、後をついてまわる。
まるで光を浴びたときに浮かびあがる影のように。
すべてがそれによって始まり、すべてはそれによって終わる。
まるで、この人生という大海を泳ぐために、たった一つ充てがわれた船のように。
神さまは、人間が人生という航海を泳ぎきるために、人間にひとり一つの船を渡した。生まれたときの、プレゼントであった。ぴかぴかに磨かれたものもあれば、オンボロのものもある。その巡り合わせを、運命というのだろう。
幸せになるためには、己が舵をきるしかない。幸いなことに、神さまは船と同時にオールを渡してくれている。あとは人間の自由と、文字どおり大海に放りだしている。
海は、自由の象徴。
定められた運命のなかで、人間が生きる希望。