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駐妻(夫)が働くことについて、思うこと

少し前にX(Twitter)で、駐妻(子あり)が帯同先で働くのは大変だと思う、と呟いたところ、たくさんの反響をいただきました。

下記のニュースのようにオンラインでも仕事をしている方の事例が紹介されたり、X(Twitter)で「今時の駐妻はみんな働いてるよ!」みたいなことを放言する人がいたりで、駐妻が働くことに対する関心が高まっている、という事情があると思います。

では、駐妻自身はこのトピックについて何を思うのか?個人の感想ではありますが、現時点の考え方をまとめてみたいと思います。

先に、ざっくりとまとめると
「選択肢が増えるのは賛成!でも働く上でのハードルがたくさんあるので、働いていない=怠けてるじゃないよ!!」
ってことです。では、どうぞ。


私の状況について

現在、カナダで駐在帯同生活2年目。夫と3歳の娘の3人家族。新卒以来、総合商社で十数年勤務しており、営業と管理、両方の経験があるいわゆる「事務系総合職」です。

日本にいた時から、NPOでのプロボノ経験があり、現在は2団体から業務委託・プロボノで案件を少しだけお手伝いしています。

実際に(少しだけ)働いて感じたメリット

週に数時間しか作業していないので、胸を張って「働いています!!」とは言い難いのですが・・・

ビジネス現場の変化をキャッチアップする機会になる

例えば生成AIを実際の業務で活用するという動きは、ここ1、2年のことだと思います。為替や金利、業界の趨勢も変化が激しく、数年間まるっとビジネスから離れてしまうと、本当に浦島太郎になってしまいそうです。少しでも仕事をすることで、現場の動きをキャッチアップする機会になると思います。

キャリアの幅を広げることが出来る

会社という組織に属していないからこそ、今までのキャリアに囚われず、新しいジャンルの仕事にチャレンジすることも可能です。現に私が業務委託&プロボノをしているのは、私のメインキャリアというよりは、趣味の延長線にある業務領域です。メインキャリアは中断という形になってしまいますが、キャリアの幅を広げられる機会になるのではないかと思っています。

「自分らしさ」を取り戻すことができる

帯同当初、「家事・育児をメインに担う駐妻」という立場に馴染めず、かなり苦労しました。現地で友達も出来たのですが、当然仕事の話をする機会もなく・・・。今まで仕事を頑張ってきた自分が消えてしまったかのような焦燥感があったため、少しでもPCに向かって作業したり、ディスカッションしたり・・・という時間があることは、私の精神衛生上、とても良いと感じています。

駐妻(夫)が働くハードル

逆に駐妻(夫)が働くハードルは何でしょうか?

一番厄介なのはビザ問題

一番のハードルは就労ビザ問題ではないでしょうか。駐在員の帯同家族が働けるかどうか、ということは赴任先から支給されるビザ次第です。ビザは派遣先企業/個人の努力だけではどうしようもない側面が大きい上、支給要件もころころ変化します。例えば私が住んでいるカナダでは、比較的、配偶者の就労ビザを取りやすかったのですが、昨今の移民問題や失業率の高まりを受けて、就労ビザ支給要件が厳しくなっています。また、赴任先のビザは問題ないのに、夫の会社が配偶者の就労を認めていない!という声もちらほら聞きます。

生活する上でかかるお金、手間、時間

とにかく便利な日本と異なり、海外生活でかかるコストはとっても大きいです。コスト=金銭的な問題だけではなく、時間や手間も含まれます。徒歩圏内にスーパーがあるところに住める家庭は一握り。車で時間をかけてスーパーを梯子する家庭も多いのではないでしょうか。もちろん日本のように美味しいお惣菜が売っていることはほとんどないので、海外生活においては自炊がマストです。そのほか、すぐに不具合が発生する家、時間通りに来ない業者・・・などなど。生活するために必要な時間、手間、そしてお金がとってもかかるんですよね。
また幼稚園に入る前に年齢の子供を通わせるDaycare、Preschoolは空きが少なく、そして日本以上に高額です。公立は空きが少なく、私立だと月額20万円弱するところがざら。日本の保育園は高い!ってX(Twitter)で文句を言う人をたまに見かけますが、日本の子育て支援は充実していると感じます・・・。

悩ましいぞ、送迎問題

もうね、とにかく送迎が大変です。国にもよると思いますが、例えばカナダでは子供が10歳くらいになるまで一人で街を歩かせることはNG&子供だけでのお留守番も出来ないので、必然的に親が送迎することになります。スクールバスも生徒全員が乗れるわけでは無いんですよね。子供が複数いる場合は、同じ学校でも下校時間が違ったり、小学校と幼稚園と違う学校に通っている場合だってあります。そしてアフタースクールプログラムや習い事など・・・お迎え時間になると、テトリスのようにスケジュールを組んで駆け回る親御さんばかりです。

子供の教育はいつでもどこでも悩ましい

駐在の場合は、日本の学校に戻るのが大前提なので、現地の学校に加えて日本の学校カリキュラムに合わせた補修校や塾の宿題も必要です。国にもよりますが、多くの場合は日本の学校の方がカリキュラムが進んでいて、現地の学校だけだと帰国後に子供が苦労するんですよね。英語圏の駐在の場合は、子供が英語ペラペラになって羨ましい!なんて言われることもありますが、英語習得も結構個人差があり、英語フォローに追われることも多いです。中学生以降になると、大学受験をどうするか(日本の大学なのか、海外なのか、受験方法は何を狙うか等)を逆算して、学習計画を立てなくてはいけません。

そのほか、実家や義実家が日本にあるので家族サポートは基本的に受けられないとか、駐在員=日本勤務時より忙しい場合も多くてワンオペになりがちとか、時差があると日本と会議したい時に日時セッティングが大変とか、あげればキリはありません。

選択肢が広がるのは嬉しい、でも・・・

冒頭で述べたとおり、私はほんの少しだけ働くことが出来ていますが、これまでの経験や人間関係、そして運も味方しているなと感じています。また、娘がひとりで未就学児というのも大きいです。

ITをはじめとしたツールなどの環境整備、そして中長期的なキャリアを見据えて、働きたい駐妻(夫)が増えることは良い流れだと思いますが、決して「働いていない駐妻(夫)は怠けている、頑張っていない」と、本人と周囲が受け取らないといいなと思っています。


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あいの
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