2021年1月の記事一覧
貴方解剖純愛歌~死ね~#18【インスパイア小説】
陽葵のご両親を説得するのは容易ではなかった。それは当たり前だ。少しずつ病状が悪化している娘の容態を第一に考えれば、海外に行く許可を出すなんて簡単に出来るわけがない。それでも諦めず説得をし、何度も頭を下げ続けた。陽葵も一緒になって必死に両親に訴えかけた。
おそらく病気になってから初めてであろう、陽葵の熱い思いを目の当たりにし、ご両親は徐々に反対の声を弱めていった。そして遂にはメキシコ行きを承諾して
貴方解剖純愛歌~死ね~#17【インスパイア小説】
連続して日本列島を横断していた台風も落ち着きを見せ、過ごしやすい気温が秋の到来を感じさせていた。
僕は情報カフェテリアでゼミの資料を作成していた。机の上に置いていたスマホのバイブが鳴る。LINEを開くと春香ちゃんからだった。
**《今大学いる?》
*《情報カフェテリアで作業してる》
**《これから少し時間ある?話したいことあって》
*《了解。ラウンジ集合にする?》
**《出来れば外がい
貴方解剖純愛歌~死ね~#16【インスパイア小説】
「おーす。なんだ一人飯かよ」
学食で昼食をとっていると、向かいの席に新がご飯のプレートを持って現れた。
「大学来てたんなら連絡のひとつでもよこしなさいよ?」
後ろから遅れて竜馬がやってきた。席に着くなり生姜焼きを頬張りながら箸をこちらに向けてくる。
「最近蒼から連絡ないし、グループLINEもリアクションないじゃん」
「たまたまだよ。最近忙しくて」
「ははーん、さては美青ちゃんのことで頭がいっぱ
貴方解剖純愛歌~死ね~#15【インスパイア小説】
意識を失った陽葵は救急車で病院へ運ばれた。完全に頭が真っ白になっていた僕は、救急隊員に聞かれたこともよく覚えておらず、気づけば陽葵のリュックを抱え、病室の前のソファに座りうなだれていた。
どれくらい時間が経っただろう。周りに窓がなかったせいで、昼か夜なのかもわからなかった。
頭は混乱し続けているが、これだけはわかる。きっと僕のせいだ。無理にジェットコースターに誘ったせいで陽葵は倒れてしまった。