2020年12月の記事一覧
貴方解剖純愛歌~死ね~#14【インスパイア小説】
「ったく、なんで日曜の休みに蒼とこんなところ来なくちゃいけないの」
待ち合わせ場所に着いて早々、陽葵は愚痴をこぼした。はしゃいでる子供連れの家族やカップル、中高生のグループなど、周りには様々な人たちが、皆笑顔でエントランスに向けて歩いていた。
「申し訳ない。こんなこと頼めるのは陽葵だけだったから」
先日中庭で森川さんに頼まれたのは、一つじゃなく二つだった。一つはいつもは我慢しているスイーツを
貴方解剖純愛歌~死ね~#13【インスパイア小説】
夏休みはスーパーのアルバイトと、妹たちの面倒を見ることの繰り返しで、毎日があっという間に過ぎていった。連日の猛暑でテレビのニュースでは、海水浴場で水着姿の人たちが映し出される様子が、毎日のように流れている。
家事を一通り終えて部屋で涼んでいると、スマホが鳴った。竜馬から、【Buzz】にいるから集合、との誘いだった。僕はスタンプで返事をすると、素早く着替えを済ませ数分後には家を出た。
【Buzz
貴方解剖純愛歌~死ね~#12【インスパイア小説】
みんなと合流する手前で陽葵に止められ、背中から下ろした。まだ少し足を引きずるように歩きだす。
「大丈夫?」
「さっきよりだいぶ痛みも引いたから大丈夫。ありがとうおぶってくれて」
そう言ってまた陽葵は歩き出した。スマホの薄明かりでは、陽葵がどんな表情をしてるかぼんやりとしかわからなかった。
スタート地点に戻ると、竜馬たちはすっかり酔いが醒めたと言って、コテージに戻って飲みなおすことになった。しばら
貴方解剖純愛歌~死ね~#11【インスパイア小説】
「おい竜馬、スマホの光じゃよく見えないから、こっちに懐中電灯向けてくれよ」
目の前の暗がりから新の声が聞こえる。
「新お前さっきのことまだ怒ってるの?」
竜馬がこちらを向いたのか、目の中に急にピカっと懐中電灯の光が射し込み、眩しくて思わず目を瞑った。
「別に俺だけ話聞いてもらえなかったからって、怒ってなんかないよ。そんなことより、ほんとに肝試しなんかやるのかよ。コテージに戻ってゲームでもしよう