パリ 25ans Eclipse
11 aout 1am au bd Sebastopol
屋根裏部屋の窓から空を見上げると、薄い薄い三日月が赤く光っていた。明日は皆既日蝕がヨーロッパを縦断し、パリでも97%の日蝕が見られると連日テレビや街角を賑わせていた。
彼が「マッサージしてくれる?」というとき、私がしてあげるのは指圧で、首から肩、肩甲骨は念入りにほぐす。もうちょっとゆっくり、と彼が目を白黒させるくらいグイグイ押してしまうけど、頭を膝に乗せて、顔や耳のツボをゆっくりほぐしながら押すときは気持ち良さそうにしている。
彼が「マッサージしてあげようか?」というときは、服を脱がせる口実に過ぎない。それでも、そっと優しく頬に触れ、首から肩、背中にかけてゆっくりと何かを流すような手の動きは、身体の奥にあったつっかえのようなものをほどいてくれた。
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