チロヌップのきつね(小学校低学年男児に読み聞かせた絵本を紹介)No.182
高橋宏幸(著) 金の星社
チロヌップという北の小さな島で、きつねざくらが咲く時期にキツネの子供が産まれました。男の子と女の子が一匹ずつ。
男の子のキツネは、生きていく知恵をつけるために餌の取り方などをどんどん覚えて行きますが、女の子のキツネはあまり覚えようとしません。
そんなある日、女の子キツネは老夫婦に見つけられてしまいます。
老夫婦はこのキツネとしばらく一緒に暮らしますが、寒い時期になると老夫婦は島から離れるため、キツネを置いて行きます。
その後、女の子キツネは家族と行動を共にします。
が、ちょうど戦争が激しくなる頃、男の子キツネは獲物を取るために一人で行動しようとして、兵隊に殺されてしまいます。
また、女の子キツネはワナに嵌ってしまい、足が抜けなくなってしまいます。父親キツネは自分の方に気を引き寄せようと人間の方に走って行き、その後戻って来ることはありませんでした。
母親キツネは動けない女の子キツネに餌を与えて世話をしますが、徐々に寒く辛い冬の季節、食べ物もなかなか捕れなくなってしまいます。雪が積もり始め、母親キツネは女の子キツネを温めようとそばを離れずにいます。
冬が終わり暖かい時期になっても、老夫婦は島に戻って来れません。戦況が悪化して島に来れなかったのです。
その後しばらく経って、ようやく戦争も終わり老夫婦は島にやってきます。そこで見たものは…というお話です。
表紙だけでは判断がつきませんが、戦争ものです。キツネの毛皮は大切な防寒具になるので、罠を仕掛けたり、見つけたら捕獲したりしたいほど貴重な物になってしまっています。動物にとってみれば生き辛い時代として描かれています。
戦争になると、動物たちが生き辛くなる、この程度の事が理解して貰えれば良いのかなと思っています。