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今季のBリーグの序盤9試合の現況を踏まえた展望を、「NBA選手名鑑」風に綴ります。(その2。中地区、西地区。2024年秋)【バスケ】【Bリーグ】



 球団別の展望(中地区編)



 (←これが[その1]になります。)




 では、「中地区」「西地区」の、「各球団の展望記事」を綴らせて頂きます。



 (1)A東京(優勝の大本命。ロシターいる限り大崩れしない)


 (8勝1敗。チームEFF[6位]、得失点差[4位]、ネットレーティング[4位]。)


 (←今季のA東京の選手個人成績。全24球団それぞれ、「EFF」にカーソルを合わせた感じでリンク添付です。)


 「大正義」が完全復活した。今季の序盤9試合のA東京は、数字以上に「優勝に最も近い」を感じさせる鉄壁ぶり。
 特にローテーションの9人は「バスケIQ」に優れる選手がずらりで「大崩れしない」の根拠といえる。長くゴリゴリのハーフコートが代名詞であったが、実は「速攻への意識」が特に強いでもあり、今季はFG試投数が11位でリーグ平均と、まさしく隙を感じない。
 その最大の生命線が、no.1帰化枠のロシター。35歳にしてむしろ凄みを増しており、いまMVP投票があれば最有力に推せよう。
 裏を返せば、あえて弱点を探すならば、ロシターが万一いなくなると、戦術・編成で根底から崩れるリスク(尤も現行システム上、これは宿命ともいえるが)。そう考えると、CS出場を決め次第、ロシターをあえて休養のロードマネジメントも一案かもしれない。


 少し補足。昨季、「京都vsA東京」を2試合、生観戦させて頂きましたけど、試合前練習での姿勢からして、「次元が違う」んですよ。1本1本、いや、1秒や1プレーといったディテール(細かいこと)まで、いま何がより優先順位である、いま何がより必要であるかを意識できてる、わかっている。
 試合でもそう。いまこの場面で、何をすると相手の守備がより嫌がるのかを、わかっている感じなんですよね。もう、京都側の目線からすれば、「勝てる気がしなかった」。というか、攻略の突破口さえ見えないと。「自滅しないこと」を、どこよりもわかっている意味でも。

 「恐ろしい」の象徴が、今季に名実共に正SGを不動のものにした小酒部。いまでは「リーグno.1の守備型」といわれてますが、実はプロ入り当初は「世代最高のスコアラー」で、実はPGもできるハンドラー能力も併せ持ってました。
 今季は、実は「鬼ディフェンス」よりもむしろ、入団当初の攻撃能力の高さがより強調の感じになってます。
 「3P成功率(16/27、59.3%)、3P試投率(27/50、54.0%)、A/TO(11/3、3.67)、TS%(73.9%)」
 3Pとドライブのバランスよし、パスの正確性よし、そして決定力の高さ。TS%は、ローテーション選手では全体2位です(1位は吉井[三遠]、76.2%。後述でも恐らく言及ですが、「恐れ入りました」です)。

 11月に、「第2次ホーバス政権」での、最初の日本代表の試合が予定されてますけど、(河村がいない、恐らく比江島・富樫も年齢的理由から引退or休養が予想される、をも踏まえると、)「小酒部は、是非とも『11月の試合、日本代表の12人枠に呼んで欲しい』!」、そう強く感じてます。

 いま、「11月の日本代表の12人枠」を選出するならば、自分が日本代表のGMまたはHCならば、下記の12人を選出するでしょう。
 (恐らく渡邊雄太は、「無理をして欲しくないけど、80%まで回復できてるならば、いないと勝負にならないので、呼ぶ」と読んでます。)


 齋藤(名古屋D)、佐々木(三遠)、テーブス(A東京)
 岡田(京都)、小酒部(A東京)、細川(群馬)
 馬場(長崎)、吉井(三遠)
 渡邊雄(千葉J)、シェーファー(三河)
 ホーキンソン(SR渋谷)、渡邉飛(B2信州)


 あくまでも「いま、(国内組に限定での)日本代表の試合があるならば」の注釈付きでの、上述の12人枠ですが、「得点能力と守備能力を高次元で兼備できる」選手は、代表に特に重要な資質能力である、その意味で、「小酒部、吉井、細川」を選んでます(馬場は「言わずもがな」ですから)。
 それに小酒部は「ペリメーターDFでリーグno.1」、吉井は「3.5番として唯一無二」、細川は「3Pシューターとして最高レベル」ですから。


 それと、ロシター。今季の「30分換算EFF」は、驚異の「26.95」。
 単純な数値ならば、実はno.1は「エサトン(名古屋D)」の「27.87」ですが、勝利に導いている意味で、少なくとも月間MVPの意味でだと、ロシターを推しますね。
 そう、ロシター、あえて弱点を挙げるならば、3Pの試投率が年々減少傾向なことですが(特に直近2年は、ほとんどしなくなっている)、試合を観ていて感じるのは、「いや、ほとんど問題ないから」と。1つ1つのプレー選択が実に的確で、いわば「無理に3Pを打つ必要がない」からと。ミドルレンジが普通に上手いからも、正直ありますね。

 ロシターの異次元さと感じるのが、
 「TS%(58.7%)、30分換算アシスト(5.20)、A/TO(2.32、44/19)」
 「ポイントPF」としてすごいですけど、得点力も上質な訳で。
 相手守備からすれば、ダブルチームしても巧みなパスされて、たまったものではないと。体の使い方が上手いので、ハイポストには簡単に侵入されやすいですし。


 だからこそ怖いのは、「ロシターの負傷離脱時」。そう、2022年、2023年、2年連続でCSで離脱で、これが「A東京が優勝どころか、ファイナル出場さえ逸する」の大きな要因になりました。
 (ああ、昨季?全員が健康体なのにCS1回戦敗退って?あれはあのときの琉球のインテンシティーがすごすぎただけのこと、「これもバスケ」。)

 今季、中地区は「異次元の大激戦」といわれてます。3強(A東京、三遠、名古屋D)は勿論、それを追走する球団(三河、SR渋谷、横浜BC)もいずれもが「ティア2」「Xファクター」といえますけど、自分はそれでも、A東京は「わりと早い段階で、CS出場を決めるだろう」と読んでいます。それこそ、「48勝ペース、いやそれ以上もあり得る」と(そもそも昨季のA東京が「48勝」であった訳ですが)。

 で、今季のB1は、恐らく「どちらかのゾーンに、有力球団が集中する」にはならないと読んでるんですよね。三遠、名古屋Dのどちらかは、(A東京から見ての)自分たちと逆のゾーンにいく可能性が高いでしょうから。
 そう考えると、「どの組み合わせになろうとも、CSはどのみちハードである」こと、「何が何でもRS全体1位にこだわるよりも、最優先なことは優勝すること」であると。
 (ちなみに野球で、「リーグ優勝したのに、CS第2ステージで負けて日本シリーズに辿り着けない」がありますが、これが特にかっこ悪いと自分は思ってます。そう、「CSに出場できれば、そこからが本番なんだよ。CSを勝ち抜いて、日本シリーズに辿り着いて、そして日本一への挑戦権(そしてそこで勝利して日本一)、これが最も大切なこと」と自分は思ってるのです。)


 ですので、自分がA東京のGMならばですけど、「RSのラスト4試合では、ロシターをあえて欠場させる(表向きは休養、コンディション調整)ことでの、ロードマネジメントをさせた方がいい、そう、すべては『ロシターをCSのステージで確実に出場させるために』、この1択である」、はっきりと強くそう思います(議論の余地はない、といってもよい)。
 さらに述べれば、特にCSの準決勝、決勝では「ロシターを40分フル出場でもよいくらいである」とも正直感じてます(ファウルトラブルでない限り、ではありますけど)。それほどに、「戦術ロシター」では大崩れするとは思えない、裏を返せば「ロシターが負傷離脱だと、根底から崩れるのでとても苦しくなる」と。

 ちなみに、「RSのラスト4試合」は「ホームでの川崎、アウェーでのSR渋谷」です。楽な相手ではないですけど、ラスト4試合の突入の時点では、恐らく「CS出場は決めている」可能性がとても高いはずですからと。


 はっきり述べましょう。そう、「むかつくほどに強いA東京に、CSファイナルに勝ち上がって欲しい」のです、そして「A東京を、どこかの球団が勝利して、悲願の優勝を叶える」姿を観たいのです。
 (例えば「群馬、三遠、島根」とか。自分が念頭にあるのは「島根」です。ちなみにここで名古屋Dを入れなかったのは「旧実業団の5球団の1つ」だからです、やはり「旧実業団の球団は、一定以上の資金力がある」傾向ですのでね。
 「旧実業団の5球団」とは、「A東京(トヨタ自動車)、SR渋谷(日立。現在はセガサミー)、川崎(東芝。現在はDeNA)、三河(アイシン)、名古屋D(三菱電機)」のこと。特にA東京はいまも「旧実業団色」を隠そうともしていないので。)

 弱いA東京は、シンプルに楽しくないんですよね(野球でいう巨人のような存在ってこと)。「大正義A東京」こそ観たい訳です、そして今季の内容はまさしくこれを体現できてる。勿論、A東京がもし優勝の奪還を叶えれば、シンプルに「おめでとう」な訳です。
 だからこそ、「フルメンバーでCSファイナルに立つA東京を観たい」のです、それにA東京って、移籍市場とかでは「大正義の誇示を隠そうともしない」ですけど、実はオフコートでは「日本バスケ界の盟主」をいい意味で体現してますので(実はどんな相手にも最大級のリスペクトを、でもあるんですよね。特に昨季、桜井良太の引退試合での姿勢は、「最高にかっこいい」と感じましたから)。


 それに、アドマイティスHCって、日本社会・日本文化をとてもリスペクト視てるのが伝わると(「いつかBリーグを指揮したいと思っていた」のは、恐らく本心なんだろうなと)。
 自分は、安齋竜三さん、または大野篤史さんが指揮する日本代表を観たいと強く思ってます、ですけど、2028年ロサンゼルス五輪を終えたときの日本代表、アドマイティスさんが指揮する日本代表がどのようなバスケをするのか、アドマイティスさんならば河村勇輝をどう活かすのか、シンプルにとても興味がありますし、正直観たいです。

 普段はハーフコート主体だけど、それが速攻と使い分けるとどれほどの破壊力なのかは、この2年強で存分に証明されてる訳ですから。アドマイティスHCが、ロシターが、優勝にふさわしい存在だと思っている、でも簡単には優勝の奪還はされたくない、これがいまの正直な想いです。



 はい、自分、「アンチ巨人」です(で、「阪神ファン」でもあります。尤も巨人でも、丸、岡本、菅野、大勢とか、好きな選手も何人かいますが)。
 で、はい、「アンチA東京」に近い、これを全否定はしません。でも、ロシター、テーブスとかは正直好きな選手の1人ですので。

 性格・気質的に、好きじゃないんでしょうね、いわゆる「大正義」が。
 でもそれでいて、「大正義」的な存在は必要、と思ってたりもします。
 矛盾するかもしれない、それは頭ではわかってる。でもはっきりしてるのは、「強いA東京でいて欲しい」ことです。だからこそ、A東京に勝利を叶えれば、その嬉しさは格別な感じですのでと。



 (2)三遠(高速バスケの質は本物。優勝は現実圏にある)


 (7勝2敗。チームEFF[4位]、得失点差[5位]、ネットレーティング[5位]。)


 (←今季の三遠の選手個人成績。)


 「中地区の3強の一翼」「ティア1を形成の1つ」。今季の三遠は、大野篤史政権の誕生から3年目、「ジャンプの年」、つまり「最大の勝負の年」だが、優勝は現実圏の戦力値で今季の開幕を迎えて、ここまでは昨季がまぐれではない、積み上げた高速バスケの質は本物なことを存分に証明してる。
 主要な6人(3人の外国人、佐々木、大浦、吉井)のFG試投数のバランスがよく、うち4人(これに津屋をも含めると5人)が「TS%が50%以上」。また、「A/TOが6位」だが、佐々木(3.19)、大浦(7.83)が共に異次元の数値。その破壊力のすさまじさが伝わる。
 怖いのは、昨季後半の急失速を繰り返さないこと。つまり、CSに照準を持っていけること。今季は守備面でも成長を示せてるからこそ、「早坂MGを天使にできる」景色を叶えたい。



 実は、このリンク添付記事で言及させて頂いてますけど、早坂咲輝MGって、数字上では「低迷請負人」の烙印を押されてるのです。いわば「Bリーグ版の呪い発動人」な訳ですね。自分はこれが、いつか「早坂MGが、呪いの持ち主であるはずがないことが、証明されて欲しい」とずっと感じていたのです。
 生観戦をしていれば、わかる訳ですよ。早坂MGほど、「誰よりも人一倍、選手と共に戦い続けてるマネージャーであること」「素顔はずっと笑顔を絶やさない人間であること(内面も容姿もかわいらしい)」「たとえどんな大歓声でも(声がかき消されるかもでも)、『10,9,8』と大きな声を出し続けてること」という人間であることを。
 「一緒に仕事ができると、とても心強いだろうな」と。「報われて欲しい人間だよね」といえると。

 勿論、RSはとても長いです。「60試合、7か月間」、それこそ何が起こるかわからない。しかも三遠は、昨季は3月以降、明らかに失速してしまってます(それまでの貯金で逃げ切るかのように、CS出場は叶えたけど、CSではまるで別人のようだった。ちなみにCS1回戦の相手が「広島」でした)。
 ですけど自分は、早坂MGが「とびっきりの笑顔(または嬉し涙)になれる」瞬間を観たいのです。昨季の広島の吉田MG(いまは結婚して、光下の姓になってますが)のように(これも以前から言及させて頂いてますが、広島の光下MG、横浜BCの薄井MGも、好きなマネージャーの1人です。さらに述べれば、早坂MGが今オフに京都へと補強が叶っていれば、京都がこの2年ずっと顕著である「ファウル数の管理ができてない」は恐らくないだろうにと、真顔で感じてます)。


 本論へと進めさせて頂くと、吉井。自分はいままで、ホーバスHCの吉井の起用法に、はっきりと「愛人起用」と真顔で感じていました(時間を巻き戻しても、「愛人起用」の解釈は変わらない、と言い切れます。なぜって、例えば昨季の「京都vsA東京」での吉井は、正直「いや、我らのラシードの方がはっきり言ってよほどましだから」と感じるほどの、「1人だけ蚊帳の外」の低調なパフォーマンスでしたから)。

 ですけど、パリ五輪本番。第1戦(ドイツ戦)、第2戦(フランス戦)での吉井は、間違いなくとても輝いて映った。吉井なくして、あの好試合はなかったとはっきりといえます。
 第3戦(ブラジル戦)では、もともとの「愛人の吉井」に逆戻りしてましたけど、あれはもう仕方ない、誰よりも走ってガス欠を起こしたのだと(ただ4Qは、吉井ではなくて富永を起用して欲しかった、負けていて追い上げがマストであった訳ですから)。


 で、今季。聞くところによると、大野HCは、三遠に着任したときからずっと、吉井にラブコールを送り続けていたのだとか。恐らく、「吉井を大成させるビジョンがある」というか、吉井の育成に対する「よほどの自信」があったのでしょう。
 で、今季の吉井。「30分換算EFF」は、「14.19」。EFFが上がりにくい傾向の「F特化タイプ」では、とても高い数値です。特に「TS%」は「76.2%」、ダントツの「1位」なんですよね。



 もうそりゃあ、とても嬉しいですよ。「よかったね、おめでとう」、これに尽きます。尤も本人は、「優勝したい」、これに意識を向けてると想像ですけど。
 それでいて、(渡邊雄太は別枠と思ってますのでをも含めて、)「日本人選手の良質な3.5番として、唯一無二」であること。ガチで「替えの利かない存在」の現況なんですよね。


 杉浦(横浜BC)(SF寄り。攻撃の爆発力はあるが、守備は苦手。好不調の波の激しさもあり、「上がり目が見えてしまってる」感が。ちなみに「昨季まで4年連続で移籍、うち島根時代を除いて、自分の移籍入団後に所属球団を低迷させてる」。)

 西野(B2福井)(昨オフは「3.5番タイプのトップランナー」と期待されてたが、今季にB2でも苦しんでることを考えると、22-23の輝きはフロックだったのか?と。大学時代は世代トップ選手だったはずだが。)

 八村阿蓮(群馬)(高校・大学時代は世代トップ選手。スピードとパワーを高次元で併せ持ち、爆発力もある。しかしB1では苦戦中の現況。正直、B1の中位~下位球団で「まとまった出場機会」が、いまの八村阿蓮には最も必要である[裏を返せばそこで開花の可能性は充分にある。そう、「必要とされている」が最も必要な要素ではと]ことではと映るが。)

 佐土原(FE名古屋)(FE名古屋で、持っている「オールラウンダー性」を開花させつつあるが、「3.5番タイプ」から資質能力を変質させつつある。尤もそもそもがアンダーサイズであったので、ある種納得ではあるが。)

 ドンリー(B2信州)(「機動力を併せ持つオールラウンダー型」で高い潜在能力を持つが、「未完の大器」の現況。特に3P成功率がB2でさえ上がらないのは大きな課題といえる。)

 ラシード(京都)(昨季の京都移籍で、ようやく居場所を勝ち取った感じで、「まとまった出場機会を与えれば、一定上の貢献ができる」「とにかく走れる、全体バランスを取れる、生粋のフォアザチーム」を証明したと思いきや、今季は完全なベンチウォーマー。現況では、吉井に次ぐno.2になり得る最有力の存在だが…。)


 そう、日本バスケ界的に、「吉井の大成」はとても大きなプラスです、でも裏を返せば、吉井に次ぐ存在がマジで見当たらない。八村阿蓮は環境をいますぐにでも変えた方がよい感じですし、西野やドンリーは完全な伸び悩み、ラシードは「なぜもっと出場機会を与えない?」の感じでと。


 三遠のホットトピックでいえば、「吉井、佐々木、大浦」以外にもいます。そう、「津屋」。今季は
 「3P試投率(86.4%)、3P成功率(44.7%)、TS%(58.9%)」
 「30分換算EFF(6.20)」
 「長所に特化させれば、CSレベルでも普通に戦力である」。大野HCの「魔法をかけた」の象徴といえます。人一倍のエナジーの持ち主であることをも含めて、「報われそうでとても嬉しいよ」の感じです。


 そう。昨季、「三遠と京都で、これほどに一気に大きな差が開くとは」、この衝撃(ショック)は、いまも自分の心に強烈に刻まれてます。今季、京都は「Xファクター」になろうとしてますけど、それでも「今季の京都より、昨季の三遠の方がよほど勝利期待値が持てるチームであった」と。
 で、今季は「CSファイナル、優勝が現実圏といえる内容」。正直、少なくとも「CSファイナルへの到達」が叶っても、全然驚きません。
 どれほどの景色へと到達できるのか、とても楽しみにしてます。



 (3)三河(高速バスケの深化で、2年連続のCSは現実圏)


 (6勝3敗。チームEFF[10位]、得失点差[9位]、ネットレーティング[9位]。)


 (←今季の三河の選手個人成績。)


 NBAのAC経験者が指揮すると、こんなにも変わるのか。「高速バスケ」を掲げて2年目で、昨季もCS出場を叶えて小さな驚きを与えたが、今季はこの「高速バスケ」の質の深化が伝わる。
 全体的には、やや上振れ感があるかもだが、誰が出ても質が落ちないのだ。それは「志向するバスケスタイルを全員が共有できてる」から、それが「カルチャー」にできてるからの賜物。
 10人ローテで機能できてることも特筆。ゾーンに入れば一気に畳み掛ける破壊力、はっきりと本物といえる。
 ただ、今季の中地区は激戦な上に、「3月以降のラスト23試合」は実は日程的な難易度がより上がる感じが。それをも含めて、どこかで逆境は恐らく来るだろう。好不調の波を最小限の上で3月を迎える、そうすれば2年連続のCS、真の名門復活が現実圏にできる。



 (4)SR渋谷(ルカスタイルが強烈に刻印。不安は選手層)


 (5勝4敗。チームEFF[11位]、得失点差[7位]、ネットレーティング[7位]。)


 (←今季のSR渋谷の選手個人成績。)


 球界no.1の「ハーフコートスタイル」「守備重視主義」。正直「日本人らしさとは真逆」の感だが、「そういう球団も必要」であり、実際に昨季の3月以降は結果を出してきている。
 今オフは意欲的な補強に成功。よくも悪くも「ルカスタイル」を強烈に刻印の一方で、京都との第2戦のようにハイスコアゲームに対応できる柔軟さは特に成長を感じさせる。
 ただ、危うさもある。今季の序盤9試合、機能できてるのは「スタメン5人+トラビス」の6人だけなのだ(数字に表れにくい貢献ならば、船生もギリ含めてよいかなだが)。特に阿部が機能できてないのは誤算と映る。
 それで「3月以降のラスト23試合」を乗り切ってCSをつかめるか、現実的には「2月の中断期間での補強」は恐らく必要になると映るが、果たして。


 少ない選手層でゴリ押し切る、実は昨季の3月以降での追い上げ時もそうでした。8人程度のローテで押し切ってたと。
 うまくいってるときは、それでよいかもです。ただ今季は、1試合あたりの濃密さが昨季より格段に上がっている。負傷者リスクがないとは、いえない訳です。
 そこで誤算といえるのが、阿部が全く機能できてないこと。恐らく、田中大貴のスペア的な6thマンで構想してたと想像ですけどと。

 尤も、阿部が「ゴリゴリのハーフコートバスケのSR渋谷とは、相性最悪でしょう?川崎時代の前田(現京都)のような悲惨な感じになるリスクも少なからずある」との声は、正直ありました。
 かくいう自分自身、今オフの阿部の移籍の噂に「?」と強い疑問符でしたけど(仙台でついに「心の居場所」をつかんだのに、手放す合理性がどれほどあるのかの意味で)、移籍先が「SR渋谷」ということに、「いや、出場機会が落ちても構わないってこと?田中大貴を6thマンに回せる自信があるってこと?」と感じたんですよね。
 で、阿部自身は「島根から移籍を経験して、どこかで一筋ではないと確定した訳で、それならばいつかは(特別指定選手時代に所属した)SR渋谷でプレーしたいとずっと思っていた。優勝を現実的に目指せることも理由の1つだった」の趣旨のことを述べてると伺ってます。

 勿論、阿部自身が決めたこと、それは尊重されて然るべきとは思います、でも「29歳、年齢的にはいまが全盛期、それならばいま最も大切なのは出場機会でしょう?」と。しかも、いままで経験してきたバスケとは、恐らく真逆だと思うけど?と。
 その結果がどうか。現況では、川崎時代の前田よりも悲惨といわざるを得ません。実際、京都との2試合では、出場時間が「7分、3分」。戦力構想から外れるのは時間の問題のフラグです。

 「阿部を期限付きでどこかに放出して、サイズのあるSFを交換要員的に補強を試みる」、それが「SR渋谷のCS出場、阿部のキャリア的な再起」、両方のためといえるのでは?が正直な解釈です。
 方法的には、恐らくいくつかあるでしょう。


 仙台(もともと輝いていた球団への出戻り。「キャリア的な再起」の意味では、これが最も合理的。交換的な補強は、理想は「半澤」だが、より現実的には「石橋」、つまり「損切り、温情」の意味合いになる。
 あるいは、半澤は「2月の中断期間」で複数球団から人気する可能性が高いので、そこで半澤の移籍先の「第3の球団」から交換補強選手をもらう、これが群馬だと「八村阿蓮」、島根だと「晴山またはワイリー(恐らく晴山になるかと)」。この方がより現実的かもしれない。)

 横浜BC(スタイル的には高確率でフィットできる。交換的な補強は「杉浦」、求めている「サイズのあるSF」にドンピシャ[しかもかつて、SR渋谷に3年間の在籍歴を持つ]。ただ問題は「同地区で、実力的なライバル球団」、これが小さくない障壁。)


 現実的には、年内に阿部を「出場機会を見込める球団に差し出す」ならば「横浜BC、杉浦とのトレード」、2月の中断期間での対応ならば「半澤、晴山(または八村阿蓮)との三角トレード」でしょう。
 いずれにせよ、阿部をこのまま今季終了まで置くのは、御互いのためにならない、これははっきりといえます。「不満分子化」は避けないといけない、CS、その先のファイナル・優勝のためには、「雰囲気のよさ」はとても重要ですので。故に、「遅かれ早かれ、どこかで決断が必要」なことは、明らかであるといえます。
 (川崎時代の末期の前田は、見ていて痛々しかった。画面越しに「不満分子化」がはっきりと伝わってしまっていたから。ただ、川崎時代の選手とは試合前に談笑してる場面もある感じで、「合っていなかったけど、人間関係的に悪かった訳ではない」意味ではほっとしてるけど。)


 ちなみに、阿部の「温情的な放出先」の1つとして、仙台時代の恩師の藤田弘輝さんがHCである「大阪」も、理論上はあり得ます。ただこれは「現実的ではない」が自分の解釈です。
 理由は「阿部を獲ることは大阪的にはメリットだが、差し出せる交換要員がいない」からです。理論上は「牧」あるいは「飯尾」が考えられますが、牧は今オフの大阪移籍の理由の1つに「藤田HCの指導を受けたい、藤田HCのバスケならば選手人生を再起させられると思ったから」(実際、琉球での直近2年の不振が嘘のような輝きを示している)、そう考えると、牧本人が嫌がることは容易に想像できます。
 あるいは、飯尾。飯尾は大阪にとって「コアメンバー」の1人です。というか飯尾自身が、大阪で1年でも長くプレーすることに強いモチベーションを持っている節があります。そう考えると、まず成立しないと。

 そう考えると、最も可能性が高いのは、年内で横浜BCとの話をまとめる(「阿部⇔杉浦」は、御互いにとってメリットがあると読む)、になるのではと読みますが、果たしての感じです。



 (5)名古屋D(優勝できる戦力値はある。ただ問題は…)


 (5勝4敗。チームEFF[2位]、得失点差[10位]、ネットレーティング[10位]。)


 (←今季の名古屋Dの選手個人成績。)


 「今季の序盤9試合で、最も期待値を裏切ってる球団」。はっきりと明確に即答レベルでいわざるを得ない。
 考えられる理由は2つ。第1は「今村の負傷離脱」。より厳密にはマーフィーに出場機会を与えざるを得ない現況。第2は「第3外国人のチータムが機能できてない現況」。「齋藤、エサトン、ルーク・メイ」のBIG3が期待値通りに輝けてるに照らせばなおさらといえる。
 特にチータムのミスマッチ感は、昨季の「横浜BCのスコット」「島根のマーティン」を想起だ(2球団共に「見切りに失敗で、チームごと沈んだ」)。
 対応策は2つ。第1はチータム自身が3P試投率を増やす努力ができるか。ただより現実は第2で、「昨季に在籍の越谷のソアレスとの、期限付きでのトレード」、これが恐らくベターだろう。解決できれば、優勝できる戦力だが。


 「齋藤(17.40)、エサトン(27.87)、ルーク・メイ(22.64)」
 BIG3の3人で、「30分換算EFF」で「67.91」。
 なのに、「5勝4敗」。それは、それ以外のどこかで「無視できない大きな欠陥があるから」。
 特に衝撃は、「三遠戦での大敗」「茨城との第1戦での敗戦」です。
 「負け方が悪い」試合が2試合。ともに共通して、「チータムのブレーキ」があります。さらに述べれば、特に三遠戦。チータム、マーフィーが「穴」と完全に見抜かれてた節があります(というか、マーフィーはやはり「CSレベル」ではないんですよね…)。

 実は、チータムの「30分換算EFF」は「18.85」。数字自体は、最低ラインの目安といえる「15」を上回っています。でも、はっきりと明確に機能できていない。
 なぜか。理由はシンプル。「エサトンとの、プレーエリアの重複」、これに尽きます。エサトンは3Pはできますが、「3Pの試投率は高くない」。それならば、エサトンと組んで合うタイプは、「ストレッチ4.5」で明確です。



 ですけど、チータムは「機動力に優れる、アンダーサイズのセンター」です。3Pができない訳ではないですが、試投率は明確に少ない。ですので、名古屋D入りが発表された際、「名古屋Dに合うイメージが湧かない」と、正直感じていました。


 スコット(シンプルに急激な衰え。「古典型ビッグマン」なのに、「リムランできてない」「ミドルポストまでしか侵入できてない」。ヒサタケが茨城を退団のタイミングで、スコットを見切ってヒサタケ獲りをしていれば、ここまで悲惨な結果にならずに済んだ可能性は高い。)

 マーティン(「古典型ビッグマンの帰化枠」ニカを擁してる時点で、「ゴリゴリの古典型[しかもアンダーサイズ]」のマーティンは「合うはずがなかった」。年末頃に富山で能力を持て余しているブバを獲っていれば、巻き返してCS出場に届いた可能性は低くない。)


 そう、昨季の「横浜BC」も「島根」も、「合っていないと早い段階で明らかになってた外国人」を「見切りを最後までつけることができずに」、「誰得な、悲惨な結末に終わった」。それも2球団それぞれ、「代替になり得る選手が移籍市場に出る可能性がある(横浜BCの場合、ヒサタケがFAになってたのに、である)」のにですので、なおさら悔やまれるのです。
 特にヒサタケは、典型的な「ラジコン型」「機動力型」でもあるので、河村との相性は「ほぼ確実に抜群」であった訳です。しかも性格も「底抜けに明るく、いつも全力姿勢」、横浜BCのカルチャーとの親和性もあります。それなのに、なぜか獲らなかった。
 いまでもずっと感じてます。あのとき、ヒサタケを獲っていれば。判断というのは確かに難しいですけど、「見切る」のが重要なときもある、正直とても考えさせられます。しかも昨季の横浜BCは、河村を擁していた、いわば「とても大切な1年を、台無しにした」といわれても反論できません。


 確かに、移籍市場というのは、「相手がある」ことです。ですけど今季は、「降格がない」。昨季よりも「2月の中断期間」時、あるいはそれより以前での、「流動性の余地」がはっきりとあるのです。
 しかも名古屋Dにとっては、エサトンと合いそうな候補が、はっきりといまのB1にいます。そう、「ソアレス(越谷)」。昨季に名古屋Dに在籍していた。
 実はソアレスは、「30分換算EFF」は、高いとはいえません。昨季が「17.17」、今季が「14.87」。昨季が、球団にとっての期待値を下回ったとの判断で、今オフは放出、移籍先探しになった感じがあります。

 で、「モータム⇔ソアレス」だと、「ソアレスの、エサトンとの好相性は証明済み」であり、モータムにとっても、越谷は「機動力を活かせる環境」といえます。問題は「カイ・ソットとの相性」ですが、今季のカイ・ソットは「3Pも、試投率は高くないが、精度が向上しつつある」ですので、「プレーエリアの重複リスク」も、ある程度はどうにかなるのではと。越谷の安齋竜三HCは、ビッグマンの活用法は得意分野の1つですので、その意味でもこのトレード案は「理に適っている」といえます。


 もう1つに考えられる案が、「モータム(滋賀)」です。
 今季は「20.21」。その数字以上に、持ち味の「オフェンスマシーン」ぶりを発揮で、滋賀の「数字以上の健闘」の原動力になってます。モータムは、「22-23」で北海道に所属でしたが、そのときが「19.74」。ですので一定の計算ができることが読み取れます。
 そう、モータムって、資質能力が「攻撃能力」に全振りの感じで、一方で守備は正直やや苦手です。ですけど、機動力に優れている意味では、名古屋Dのバスケスタイルにドンピシャといえますし、6thマン・第3外国人としてでならば、むしろなおさらの適任といえます。
 ですので、「チータム⇔モータム」のトレード案は「理に適っている」といえますし、チータムにとっても、滋賀は「速いプレーリズムを志向する」で「エース級として期待される」ので、その意味でもメリットといえます。

 ただ問題は、御互いの球団にとっては「明らかにメリットがある」といえるのですけど、特に「滋賀側のファンの猛反発は、覚悟せねばならない」ことです。
 と申しますのも、滋賀目線で名古屋Dは、「齋藤、狩野(現佐賀)、オヴィ・ソコ」と、相次いで「滋賀→名古屋Dへの移籍」になった歴史的経緯があります。それ故に、いつしか名古屋Dについた蔑称が「ブンドルフィンズ」。この表現はよろしくないですが、気持ちは理解できなくはないです。

 ですので、「チータム⇔モータム」が現実になれば、滋賀のファンは「冗談じゃない」と感じる可能性は高いでしょう(尤も一方で、「優勝、CSへのラストピースとして求められての移籍になるから、悲しいけどまあ仕方ないよね」の受け止めになる可能性も少なからずでもありますが)。これが「隠れた障壁」になり得る感じではあります。


 ですけど、「ソアレス」「モータム」のどちらかとの「期限付きでのトレード」は、まとめるのがより望ましい。今季の中地区は「すさまじい激戦が予想される」ですし、「レベルの高い相手とより多くの試合数を余儀なくされる」ですので、「勝利数が見込みより積み上げられない」リスクがある訳です。そう考えると、「中地区の3位以内には入らないと、恐らくまずいだろう」と。
 そう考えると、「チータムのトレード放出話」は、「できるだけ早くにまとめられるが、より理想」になってくる。できれば年末までにはまとめたいイメージですが、果たしての感じです。



 (6)横浜BC(可能性伝わる高速バスケ。鍵は日本人の軸探し)


 (5勝4敗。チームEFF[13位]、得失点差[16位]、ネットレーティング[16位]。)


 (←今季の横浜BCの選手個人成績。)


 「ポスト河村勇輝」の時代へ。NBA挑戦から、いずれ恐らく数年後の河村の帰還は充分に考えられるが、現実論では今季は「ポスト河村」の突入元年。
 よくも悪くも、若手・中堅が中心の選手編成で、外国人・アジア枠に力を入れた今オフになった。一方でHCが替わり、志向する高速バスケは、その質や攻め方はよりよくなった感がある。
 序盤9試合は、「取りこぼしを最小限」に成功で、数字以上の手応えの発進といえる。この原動力がコッツァーで、「異能のポイントセンター」としてB1に大きなインパクトを提供中。
 課題は「日本人選手の軸探し」。キング、松崎など良質の若手を複数人擁してるが、誰が名乗りを上げるか。場合によっては、SR渋谷で燻ってる阿部など、日本人の何らかのトレード補強も一案かもしれない。


 昨季までの2年間。自分は「横浜BC」を、要注目球団の1つにし続けてきました。今季、正直に述べれば、その期待値は少し下がってはいますけど、戦術・スタイル的な「観ていて楽しい」の感じは、22-23(河村がエースになって1年目のとき)と同等以上といえるかもと感じてます。それもあって、今季も「要注目球団」の1つに位置付けています。

 正直、手持ちの日本人選手の質は、「勝利数を計算できるチームの質」とはいえません。最も計算できるのは森井ですけど、今季は第2PGと位置付けられてますし、むしろ森井を第2PGに置けることが、強さをよりイメージできる意味で重要なポイントの1つともいえます。

 ただ、横浜BCの魅力の1つと感じてるのが、有望な若手、それなりに良質の中堅を何人も擁していることです。特に自分が注目しているのが、「キング」「松崎」の2人です。この2人については、



 このnote記事での、横浜BCの欄で文章量を充てて綴ってますので、それを参照されたしです。
 まず、松崎は、今季は「より積極的にリングに向かう姿勢を前面に出せるようになった」が伝わります。守備力の高さという、高校・大学時代に最も出ていた特徴も、徐々に実り始めてきてます。
 一方で、大学時代は「ポイント3.5番」としても鳴らしていました。ですけどこれは、今季もそうですけど、実はTOが多い。本来は「バスケIQに優れる」が最大の魅力ですけど、これが「いまのB1は、年々レベルが高くなっている」を象徴しているといえます。

 「3.43」。いま、松崎は負傷離脱中ですけど、現時点での「30分換算EFF」は、正直「ギリB1レベル」にとどまってる感じが否めません。試合映像を見る限りでだと、もう少し数字がよくてもよいと思うけど…ですが。
 いまは負傷を治して、一つ一つ学び感じていくこと。で、自分の持ち味をより明確にできること。課題の克服もですけど、それよりも長所をより伸ばして欲しいが、1人のバスケファンとしての正直な想いです。


 それにしても、「2023年大学卒業世代」、ほぼ揃いも揃って、B1で苦しんでいます。


 松崎(横浜BC。3.43。20分0秒)
 高島(宇都宮。×。14分49秒)
 渡部(広島。3.09。18分22秒)
 中村拓(広島。3.26。26分34秒)
 飯尾(大阪。×。13分58秒)
 土家(大阪。2.35。6分23秒)


 6人のいずれも、大学では「世代トップレベル」で、文句なしでのプロ入りでした。特に高島は、大学での特別指定選手時代(当時は大阪)で、既にB1で勝負できてるとの評価でしたし(大阪でしたので、実際に何試合も生観戦してた、いるととても心強かった)、松崎は、大学3年生の時点で「なぜ特別指定選手で挑戦しないのか不思議なほど」と期待されてました。
 で、中村拓人は昨季の広島の優勝の原動力の1人でしたし、渡部は大学では「世代no.1のスコアラー」の評価でした。飯尾も大学では「オールラウンダーで、B1でも使いどころの多い選手として重宝されるのでは」といわれてましたし、土家も「スコアリング型PG。サイズを補って余るスピードとテクニック」といわれてました。

 ですけど、いまで「実質のプロ2年目」ですけど、今季、6人全員が「CSレベル」といえる「6.00」に誰も届いていないどころか、最も高くて3点台です。正直、調べてとてもショックです。
 中には、名指しして申し訳ないですけど、高島のように「いや、入る球団を間違えたといわれても、反論できないよ?」の選手もいます。と申しますのも、特に若手のうちは「とにかく出場機会こそ最重要」ですので。

 「出場機会を確保する→明確な長所を確立する→課題を徐々に克服して、プレーの幅を拡げていく」

 若い選手には、これが特に大切なことと、自分は感じているのです。6人共に、「このままで終わってはいけない、いまのままだと日本バスケ界の損失」とはっきりと強く感じてます。


 「岡田(京都、26歳)」「小酒部(A東京、26歳)」
 「細川(群馬、27歳)」「西田(三河、26歳)」


 「今後、Bリーグの、ひいては日本バスケ界のフラッグシップになって欲しい」と期待されてる「若手の4人」で、いずれも「26歳~27歳」、つまり「大卒4年目~5年目相当」です。ただ、ここに挙げた4人は、いずれも大卒2年目の時点では、既に「選手としての存在意義」を確立できていました。
 特に、西田は「この時点で既に『オールスターレベル』の座を確立」。小酒部は「名門のA東京で20分強の出場機会」。岡田は「将来性にとても期待のスコアラー(いまは少しプレースタイルが変化したが、スコアリングに期待されてることに変わりはない)」、いずれも既にバスケファンをブイブイ言わせてた。逆に、人一倍の努力で追いついてきたのが、細川になります。

 この4人がいるから、「これからの将来性という意味でも、期待できる」の雰囲気になっています(河村は異次元)。さらに述べれば、いまは負傷で長期離脱中の現況なこともあり、ここからは外していますが、「寺嶋(広島)」も「27歳」、そう、負傷以前の輝きを取り戻せれば、岡田、小酒部らのように「若手世代のトップランナー」です。

 でも理想は、これに次ぐ存在の突き上げがあることなのです。その意味で、大学バスケを大いに沸かせてきて、「プロの壁にぶつかってる」、勿論これは、「B1のレベル向上が故である」でもありますけど、でも、この壁を突破してこそ、更なる高みへと駆け上がれる、チームを勝利へと導ける選手になると思ってるんですよね。


 いま挙げた、松崎をはじめとする6人。「こんなものじゃないはずでしょう?」と。特に自分は関西圏の人間ですので、いま、「飯尾、土家」を生観戦できる環境にいますので、この「こんなものじゃないはずでしょう?」を、特に強く感じているのです。
 特に、中村拓、渡部。申し訳ないけど、(負傷者の続出に苦しんでいることを考慮の必要があるのは理解していますが、)今季の広島が「積み上げたパズルが一気に崩れていっていて、どう修復すればよいのかわからないに陥っている」の大きな要因の1つといわざるを得ません。とりわけ渡部は「ガンガンとリングに向かってなんぼの選手」ですので、なおさらです。

 …と、厳しいことを綴らせて頂いてますけど、でもこれは、「期待しているからこそ」でもあるのです。で、この6人の中でも、「なんとかしよう」の気持ちが最も伝わってくるのが、松崎なんですよね。
 そう、「きっかけさえあれば」、「ポーン」と成長を遂げる素質はある。それが、いつかきっと来るから、いまはそのときを信じよう、できる準備を、できる練習を、地道にコツコツと積み上げよう、そう伝えたいです。


 それと、「キング」。今季の「30分換算EFF」は「8.98」。
 直近2年の「7.51→3.73」からジャンプアップです。
 特に「2P成功率の上昇」がEFFを押し上げてます。一方で「A/TO」は課題といえますけど(17/13。1.31)。

 今季は、本職のSGは勿論、(これは正直、チーム事情もあるでしょうけど、)PGを務める機会がしばしばあります。PGは大学でも経験あるポジションですけど、河村のNBA卒業も相まって、「自分が横浜BCを背負わねばならない」という自覚が成長を促してる、といえます。それと、「高速バスケ」というベースはそのままだけど、「より全員がボールに関与するバスケ」を志向してることも、キングにプラスに作用してると想像です。

 やはり、CS出場レベル、現行システムだとこれが「36勝、勝率.600」が目安ですが(ああ、新B1では、プレーイン制度を設けて、「33勝、勝率.550」がクリアラインになる感じにして欲しい!「努力すればより多くの球団にとって手が届くライン」こそが「適正ライン」と感じるんですよね)、この「CS出場ライン」に辿り着くためには、「日本人選手の軸の確立」がマストであると感じるんですよね。
 その意味で、「キング」が日本人選手の軸の座に名乗りを上げようとしていることは、それだけでも大きなプラスであるといえます。その上で、キングが、年間を通して好不調の波を最小限にできて、「8.00ライン」で完走できると、より望ましいといえるんですよね(より理想は「10点台への到達」ですが、まず「8点台」でも大きな成長といえるので。まだ「今季の2月で25歳」と若いですし)。


 それと、今季の横浜BCでいえば、外国人、アジア枠が個性豊かであることも話題ですけど、今季の横浜BCが「Xファクター的な存在といえるのでは」と読むのは、この「外国人、アジア枠の質の高さ」が理由にあります。視点を変えれば、昨季の広島に近い感じなんですよね。
 ここでは、その中でも2人を取り上げさせて頂きます。


 第1に「K・ラベナ」(「ラベナ兄」と表現した方がよいかもですが)。
 今季の「30分換算EFF」は「13.18」。
 今季は、Bリーグ入りして以来、「最も活き活きしている」と映ってます。これは、滋賀では必ずしもPGとしてさせてもらえてた訳ではなかった(むしろSG,SF的な役割を求められていた)、でも今季は「はっきりと明確に正PGである」、恐らくこれが大きいと感じてます。
 いわば「責任も大きいけど、それ以上にやりがいが大きい」と。

 もともと、K・ラベナの能力は、「ライト、S・ラベナ、パークスjrと同等以上ある」といわれていました。ですけど滋賀では、その片鱗は示してるけど、年間を通してだと正直そうではなかった、でもそれは「周りの選手の質に恵まれてない」面もあったのでは、とも感じてたのです。
 そう、「周りの選手の質」の面もあるかなですけど、それと共に「最も輝ける起用法」、これも恐らく大きいと。
 いずれにせよ、「最も輝ける居場所」を叶えて、「よかったね、とても楽しみにしてる」が正直な感じです。



 第2に「コッツァー」。その存在意義の大きさは、今季のPSG「大阪vs横浜BC」を生観戦させて頂いて、すぐに感じました。
 「数字だけでは表れにくい、いるだけでプレーリズムを調和させる存在」であると。あとは、Bリーグの独特の「リズム・組織性・日程のタフさ」にどれほど適応できるかの問題であると。


 今季の「30分換算EFF」は「20.87」。「20点台」という、「優良外国人」の1つの目安ラインをクリアしてますけど、実際にPSGでの生観戦、あるいは配信越しで観てると、「もっと数字があってもいい」と感じるほどに、プレーの質が高いのです。

 実はコッツァーは、「FG試投数が少ない」です。FG試投数の30分換算では「7.37」。Bリーグの外国人ビッグマンだと、基本的に「10本程度」打つ傾向が強いので、はっきりいって「FG試投数が少ない」です。

 例えば、典型的な「古典型ビッグマン」(かつ、守備重視型ともよくいわれる)であり、かつて横浜BCへの所属歴もある「ジャクソン」。
 「30分換算でのFG試投数」の直近3年は「9.80→8.86→8.51」です(直近とは、今季も含んでます)。
 つまり、コッツァーのFG試投数が「いかに少ないか」がわかります。

 ですけど、FG試投数が多くないのに、「30分換算EFF」が「20点超え」
 つまり、「得点面以外での能力に、とても優れている」といえるのです。

 では、何が特に優れているのか。「3つ」あります。


 (1)「OR(オフェンスリバウンド)」。
 「3.18」(30分換算で)。

 (2)「スティール」。
 「2.27」(30分換算で)。

 (3)「アシスト」「A/TO」。
 アシスト「3.52」、A/TO「1.82」(いずれも30分換算で)。


 ORを多く奪取することで、セカンドチャンスにつなげられる、つまり「FG試投数に直結させられる」こと。
 スティール数は、リーグ1位も射程圏内です。これは特に「攻撃回数、FG試投数」は勿論、「速攻得点数」にも直結しますので。

 そして、コッツァーの特にすごいのが「アシスト」「A/TO」。
 一般的に、ビッグマンのA/TOは「1.00」で「充分に良質」、「1.50」で「とても良質」といえます。で、コッツァーの場合「1.82」、これは「とてもとても良質」といってよい。
 その上、「アシスト数」自体が「3.5」。ビッグマンの場合、「1本台」が多い中で、「3.5」というのは「驚異的」といってよいです。

 まさしく「ポイントセンター」。しかも特にスティール能力にも優れてますので、「機動力を併せ持つ、古典型のポイントセンター」であることが伺えます。

 もう、はっきり伝えたいです。「コッツァーと、いまのうちに、複数年の契約延長をしよう」と。こんな良質な選手、そうはいないですもん。
 しかも「この12月で28歳」、外国人枠としては若くて、「これから5年程度が全盛期」である、そう考えるとなおさらといえます。




 コッツァーと似たタイプの選手で、「ジェームズ・マイケル・マカドゥ(島根)」がいます。というか、マカドゥやコッツァーのようなタイプ自体が実は稀少ですし、確かに3Pができないかもですけど、それを補って余りある「バスケIQ、機動力、コートビジョン、守備能力、OR能力」の持ち主であるといえます。

 実際、島根の欄で改めて言及かなですけど、今季の島根の復活に、マカドゥの存在は大きな要因の1つになってますけど、「1人いるだけで、どれほど心強いか」ってことです。「ポイントセンター」がいることで、相手守備は守り方を幻惑させられる訳ですから。しかも機動力を併せ持っているから、なおさらの心強さ、いわば「鬼に金棒」であると。


 ただ、気に掛かることもあります。実は、今季の横浜BCの3人の外国人、「コッツァー、イングリス、クラーク」。3人共に「A/TOが1.00を大きく上回る」が大きな持ち味で、
 「コッツァー(1.82)、イングリス(1.71)、クラーク(2.00)」
 3人がいずれも「1.00を大きく上回る」のは、昨季の三遠を連想させます(昨季の三遠の大躍進は、この「A/TO」の向上がとても大きかった。ちなみにその反対が京都で、今オフのカロイアロの補強は、この反省が恐らくとても大きかったと想像の感じです)。これ自体、とてもすごいことです。

 ですけど一方で、A/TOを重視して、恐らく3P能力に目を瞑ったってこと?と想像ですけど、この3P能力、

 コッツァー(事実上ゼロ。その意味で典型の「古典型ビッグマン」。)
 イングリス(できない訳ではないが、試投率が「9.7%」。ちなみにいままでも、試投率は「10%程度」でずっと推移してる。)
 クラーク(ストレッチ4だが、成功率が「15.6%」、これはさすがにとても低い。実はもともと3Pが得意ではない感じで、昨季の豪州NBLでは成功率が「32.7%」であった。)


 今季はもう、「これで行く」で確定ですし、特にイングリスは、トゥオビHCの教え子とのことですので、「コッツァーとイングリスの共存の青写真は明確にある」と想像ですけど、クラークの個所は、年明け以降、水面下での「グレードアップ候補の選手探し」になる可能性が高そう、と映ってます。
 例えば、秋田の「タナー・ライスナー」あたりは、横浜BCのバスケにドンピシャであると想像なんですよね(尤も本人は、昨季に負傷離脱して、ルール上で泣く泣く[いったんの]契約解除になっても最後までチームに帯同し続けた「ナイスガイ」であり、「1年でも長く秋田で、Bリーグでプレーしたい」と公言してるほどなので、そうなるととても心苦しい感じになりますが…)。尤もあくまでも、来オフの話ですけど。

 あるいは、今季の2月に帰化(申請は確実だし、恐らく高確率で帰化が実現するだろうといわれている)が有力視の、「メイヨ(広島)」を帰化枠で補強して、別途で「外国人PGを補強」も、一案かもしれませんが。



 (7)FE名古屋(戦力値に比してだと内容面は健闘の感が)


 (2勝7敗。チームEFF[21位]、得失点差[18位]、ネットレーティング[18位]。)


 (←今季のFE名古屋の選手個人成績。)


 「限られた戦力値を最大化する手腕に優れる」。直近の2年、「B2降格が少なからずあり得る」の戦力値を覆してきたのは、川辺泰三HCの手腕の賜物。
 その源泉はシンプルに「40分間戦い続ける」「インテンシティー」。しかし今季は、「新B1参加がほぼ閉ざされてる」現況も相まって、特に外国人の編成に苦しんだ感がある。
 実際、苦戦の要因ははっきりしてる。「A・ヘンリーの負傷離脱」「良質の帰化枠の、エヴァンス退団の穴」。勿論、激戦の中地区による「相手関係の悪さ」も少なからずあるだろう。
 本来ならば、ハーパーを第3外国人にするが恐らくの理想だが、この戦力値に比してだと、内容面はむしろ健闘してる。「並里-オマラのホットライン形成」を含めて「決して楽には勝てない」チームといえる。



 (8)川崎(新B1に向けた再建1年目。今季は我慢の年)


 (2勝7敗。チームEFF[22位]、得失点差[20位]、ネットレーティング[19位]。)


 (←今季の川崎の選手個人成績。)


 直近2年。「年齢構成の高齢化」がいよいよ限界感を隠せなくなり、そしてファジーカスが引退を決断。故に今オフは「再建モード」突入が明確になった。
 新スタイルとして「高速バスケ」を導入。これ自体は理に適ってるが、日本人選手の質がこれに追い付けてない。
 「衰えを隠せてない篠山、長谷川」「PG,SG,SFのドングリーズ」。志向するバスケ自体は日本人に合ってるが、特に日本人選手の質が追い付けてない。
 外国人はいずれも良質であるので、今季残り試合のテーマは「日本人選手の軸探し」。現有戦力だと正SFは益子により多くの時間を与えたい。
 気に掛かるはライト。京都時代の輝きが、ここまではどこへやらである。場合によっては、「帰化枠を活用し切れてないB1球団」、例えば茨城とかに差し出すも一案かもしれない。


 ライト、「30分換算EFF」。
 「11.70→10.96→4.91」。「4.91」が今季です。

 もともと、京都での2年間のときも、正直「スロースターター」でした。
 ですけど、それを考慮しても、今季の序盤9試合は「酷い数値」です。

 「酷い数値」を顕著に示してるのが、「TS%」です。
 「52.5%→53.0%→38.6%」。「45%」さえも大きく切っています。
 正直、今季の川崎は、日本人選手がほとんど機能できてません。正PGに返り咲いた、ベテランの篠山が孤軍奮闘って感じです。
 そう考えると、アジア枠のライトに求められるのは、「日本人選手の拙さをある程度以上は補える貢献」と想像ですけど、今季の現況では「6.00」さえ大きく切ってる訳で、「枠をどぶに捨てて」ます。

 京都時代は、勝負どころで勝利を引き寄せるプレーをいくつも創出してきました。2ndハンドラーかつスコアラーとして、どれほど助けられたかと。
 確かに、「年明けの2月で34歳」、年齢的には衰えが出ても不思議ではないです。それに今オフはそもそも、家庭の事情(夫人が母国に帰ることを望んだともいわれている)で、母国復帰を熟考の末に国内移籍をした経緯がある、と伺ってます。

 とはいえ、です。いまのままでは、はっきりと「御互いのためにならない」。正直、ライトに対しては移籍先を探して(名目上は期限付き移籍の形をとるイメージだが)、日本人選手に出場機会をより与えることで成長を促すのが、より理に適っているだろうと。
 これほどに苦しんでる現況に加えて、明らかな「年齢構成の高齢化」「ドングリーズ」であることに照らせば、「新B1までの2年間は、土台作りと割り切るしかない」は、申し訳ないけど明らかであるといえるのです。
 問題は、ファン側が、例えば「18勝程度(今季は中地区の相手関係のえげつなさに照らせば、これを割る可能性も正直少なからずあるだろう。意欲的な補強をしたはずなのにリズムが結局合わなかった「昨季の京都」が「17勝」、これが1つの目安といえるかもしれない)」でも我慢できる心の準備ができているのか?ではありますが。


 はっきりと述べれば、

 「ライトは年内のうちに放出を決断して(個人的には、11月の中断期間中の決断もやむなしと思っている)、SG,SFは『益子-飯田』あるいは『柏倉-益子』にするのがよりベターではと。
 (ちなみに柏倉は、本人はPGの選手と自負してる節があるが、滋賀時代はむしろSG起用が多かった。滋賀時代も「高速バスケ」志向であったので、SG起用だと出場機会を増やせる意味でもむしろプラスではと映るが。)

 ではどこに放出かといえば、『茨城』のほぼ1択である(アジア枠で『サン・シャオ』がいるが、正直全く機能できてない)。具体的には『ライト⇔駒沢』、駒沢は『サイズとスピードを兼備のコンボガード』であるので。」


 そう、茨城だと、「長谷川-ライト-鶴巻-フランクス-ジェイコブセン」ですぽっと「はまる」のです。「高速バスケ&2ガードシステム」は、京都で慣れ親しんでますので(正直、川崎で苦しんでるのは、思ったよりもあまりハンドラーさせてもらえてないからも大きいと読んでます)、高確率でメリットであると思うんですよね。
 で、タプスコットは、帰化の噂があります。ですけど、仮に帰化に受かっても、「アジア枠(ライト)、外国人枠(ジェイコブセン、フランクス、タプスコット)」で、今季終了まではいける訳です。


 実は理論上の意味では、もう1球団、「アジア枠に空きが生じている」球団があります、そう、「佐賀」です。これについては、佐賀の欄で改めて言及させて頂くかなですけど。
 はい、1バスケファンとしては、「ガルシア-ライト-角田-金丸-チャイルズ」、究極のスモール全振り布陣、観たいです。ガルシアとライトでの2ガードになれば、破壊力の向上には高確率で期待できますので。
 で、ガードにウエートを置く戦術は、実は「優勝を目指す」意味では非合理的といわれてます。ですけど、佐賀のように「CS出場が現実目標」の意味では、むしろ面白い戦術と自分は思うのです。

 ですけど、先に述べますと、「恐らく現実的ではない」が、自分の解釈です。なぜそうであるのかは、佐賀の欄で説明させて頂こうと。


 それと、ライトの古巣の「京都」への出戻りはどうか。これも正直観たいですが、結論的に述べれば「ない」と思ってます、これはシンプルに「合理的ではないから」と。これはいわば「ポジションバランスの問題」です。

 いずれにせよ、いまのままでは、ライトと川崎にとって、「御互いのためにならない」は明らかであると感じてます。できることならば年内のうちには、ライトに「環境を変えさせてあげて欲しい」が、正直な想いです。



 球団別の展望(西地区編)


 (1)島根(新ビッグ3が躍動。優勝の景色は現実圏)


 (8勝1敗。チームEFF[1位]、得失点差[1位]、ネットレーティング[1位]。)


 (←今季の島根の選手個人成績。全24球団それぞれ、「EFF」にカーソルを合わせた感じでリンク添付です。)


 今季の島根の破壊力は本物。外国人の3人、帰化枠、そして安藤誓。1on1で守りづらい選手がこんなにもいる、そしていずれもが「バスケIQに優れる」で「システムプレイヤー」になれる。
 確かに、相手関係に恵まれた面はゼロではない(9試合中6試合が「東地区の4弱」)、それを考慮でも、直近2年の「ビュフォード・システム」よりは、「バズソー」してると映るのだ(ヘナレHC曰く「脱バズソー」だが)。
 いまは白濱が負傷離脱中だが、ローテーションの8人で「タイムシェアの意識」ができてるのは成長といえる。その意味で、現コアメンバー誕生からの3年間よりは「最後まで持つのか?」の不安感は和らぐかなといえる。
 内容を考えると、RSの西地区1位通過は勿論、優勝も現実圏。ただ、安藤誓の出場時間は管理したい、不在になると恐らく一気に苦しくなるので。


 (←今季の島根については、「開幕4試合を踏まえて」で綴らせて頂いた、この10月19日のnote記事も、併せて御参照頂けると、とても嬉しいです。)


 「ビッグ3」。ここで想定しているのは「安藤誓、ニック・ケイ、クラーク」です。ですけど、今季の島根の実像をより投影させるならば、
 「『安藤誓、ニック・ケイ、クラーク、マカドゥ、エヴァンス』の『ビッグ5』」
 そう表現した方がより適切かも、と映ってます。


 安藤誓(14.04)、ニック・ケイ(19.51)、クラーク(25.23)
 マカドゥ(21.71)、エヴァンス(15.56)
 (5人の「30分換算EFF」の合計値[96.05])


 この「ビッグ5」だけで、「30分換算EFF」、驚異の「96.05」です。
 あとの5人程度で「19~24」程度あれば、「元が取れる」計算になります。

 尤も、今季の序盤9試合は、白濱が負傷離脱中です。
 ですので、ローテメンバーとして機能できてるのは、あとは「津山」「納見」の2人のみとなります。

 「津山(6.57)、納見(9.04)、白濱(4.00)」
 (いずれも「30分換算EFF」。白濱は、例年の期待値を暫定的に記載です。
 これで3人の合計値だと「19.61」になります。)


 「96.05」+「19.61」=「115.66」
 そう、「そりゃ強いはずだわ」って感じです。

 確かに、今季の島根の序盤9試合は、「相手関係に恵まれていた」は全否定はできません。で、今季の開幕前、ポール・ヘナレHCは「脱バズソー」と仰ってました。
 ですけど、今季の島根の試合内容を、配信越しに観させて頂くと、
 「いや、『ビュフォード・システム』であった直近2年よりも、今季の方がよほど『バズソー』していると映るのは、自分だけですかね?」
 と感じてます。

 「得点を取る形」が実に多彩であるのです。「安藤誓」「ニック・ケイ」は勿論、「クラーク」「マカドゥ」も「システム・プレイヤー」(「自分がシステム」のタイプではないという意味)であるので、「ダブルチームを容易に仕掛けられない」であるのです。
 しかも、帰化枠の「エヴァンス」を含めて、5人の全員が「A/TOに優れる」ですので(センター特化型のマカドゥまでもが!)、パスコースをふさぐことも難しいのです。マカドゥは古典型ですので、マカドゥに3Pを打たせるを仕向けようにも、マカドゥはパスもうまいので、これがなおさら恐ろしい。

 攻略法があるとすれば、最も手っ取り早いのは「ファウルトラブルに陥らせる」こと、つまり「ガンガンとリングアタックを仕掛ける」になる訳ですが、安藤誓はともかく、外国人・帰化枠の4人(実際の同時出場は3人ですが)はいずれも「フィジカルさを併せ持つ」選手ですので、ファウルをもらうプレーもなかなか容易ではない訳です。強いて挙げれば、エヴァンスがファウルトラブルにやや引っかかりやすいところがあるかなの感じで、それにより「3ビッグを封じる(特に『クラークのSF起用』を封じる)」効力を期待できる、の感じでしょうか。




 それと、今季の島根で特徴的なのが、「タイムシェア」という言葉が出ていることです。まあ個人的には、この「タイムシェア」は「あくまでも当社比の域を出ない」ではあるのですけど、それでも島根から「タイムシェア」という言葉が出ること自体が、なかなかの衝撃といえます。
 (おーい、京都、聞こえていますか?これで、京都が「B1で最も『偏りの強い起用法』を公然としている球団」の烙印ですよー?)

 課題がない訳ではないとはいえ、志向するバスケスタイルの「質」を考慮すると、「今季の島根は、RSでの西地区の1位通過の最有力と考えてよい。特に琉球を内容面で圧倒したことは重要資料といえる」、これが自分の解釈です。


 特に衝撃が「マカドゥ」で、そう、「NBA111試合出場」の大物選手ですし、SR渋谷時代も「説明不要のチームの中心軸」であった訳ですけど、負傷により「昨季を全休した」であった訳です。
 痛めた部位が肩で、下半身系統ではなかったのでではありますが(例えば「膝」「ハムストリング」「アキレス腱」とかであれば、パフォーマンスにより直結リスクが高くなるので)、「1年をまるまる欠場」であれば、「トップフォームを取り戻せるのか?」の不安は、どうしてもある訳です。
 はっきり言えば「大きな賭け」「ハイリスクハイリターン」。トップフォームを取り戻せてなくても(負傷による衰えが生じたとしても)、もともとの能力値に照らせば、ある程度の数字は見込めたかなではありますけど、「優勝争いへと導ける」かは、「ハイリスク」の感はあった訳です。

 それが、蓋を開ければ「完全復活」どころか、「へえ、マカドゥって、『ポイントセンター』としても、なかなかの良質じゃん」と。
 これにより、なんと「クラークが6thマン」に。今季のパフォーマンスをみると、「いや、大怪我でもない限り、『クラークが6thマン賞で確定』といってるようなものじゃん」の感じである訳です。「クラークが6thマン」、つまり「4Qのクラッチタイムでこそ輝かせる」って、相手からすれば「地獄、恐怖でしかない」訳でと。
 実際、今季のクラークは、あくまでも9試合終了の参考数値とはいえ、「30分換算EFF」は「Bリーグでのキャリアハイ」のペースです。ハンドラーとして普通に良質ですし、3Pのシュートレンジがとても広い。フィジカル面で、似たタイプである「カロイアロ(京都)」を上回ることも、恐怖さを増幅させてるといえます。


 ですけど、「気に掛かること」も、正直あります。
 第1に「安藤の出場時間」。「日本人選手の軸」ですので、ある程度出場時間が長くなること自体は仕方ないのです。ですけど、いわゆる「物事には程度問題がある」である訳で。

 今季の、安藤誓の出場時間。「33分14秒」。他球団の正PGに比して、「3分~10分程度長い」です。しかも「9試合の全てで30分以上の出場時間」。
 中には、「大差でリードで、既に勝負がついているのに、ぎりぎりまで引っ張り続けてた」試合も複数あります。そういった試合で、「勝負がついたと判断できた時点で、スパッと下げる」ことができていれば、それだけでも「2分~3分程度、出場時間を軽減できる」訳です。
 それでも、平均出場時間が恐らく「31分台の半ば」と思われますけど、「2月28日からのラスト23試合」では、どうしても出場時間が長くなりやすい傾向になるを踏まえると、「特に、大差がついた試合では、スパッと下げること」が、なおさら大切であるように自分は感じるのです。

 確かに、安藤誓がいない時間帯は、明らかにバスケの質が減退してる傾向であるので、そう考えると安藤誓の出場時間がどうしても長くなってしまうのは、仕方ない面はあるのですけど。
 ですけど、「安藤誓がベンチ時」は、ハンドラーとしても良質である「クラークを常時起用する」、これをするだけでも、「安藤誓の不在時での質(クオリティー)の減退を最小限にできる」ように映るのです。そういった「起用法の工夫」が欲しい、ということですね。


 第2に「選手層、特にSG/SFでもう1人欲しい」ことです。はっきり述べれば、「22-23まで所属してた阿部のように、機動力と鬼DFを兼備できるSG/SFが欲しい」と。「エースキラー的なSG/SF」の表現がより適切かもです。
 この役割でだと、ベテランの晴山、若手のワイリーが試されてます。ですけど、ごめんなさい、2人共に「よくてギリB1レベル」程度でしか機能できていない。晴山に至っては「メンターとしては必要だけど、純粋な戦力としては…」が正直な感じです。

 そう、現有戦力でだと「全員が健康体で、8人ローテ」である訳です。これをもう1人増やせると、特にCSでとても心強くなると。
 ではどうするのか。はっきり述べれば、「2月の中断期間中」を目安に、「CS出場が厳しいB1他球団からの期限付きトレード補強」、この1択です。
 具体的な要補強ターゲットは「半澤(仙台)」。ナチュラルポジションはSFですが、「PG~PFを守れる」で、「フィジカルモンスター」と形容されるほどのパワーが最大の特徴ですけど、スピードを兼備できることも大きな魅力です。192cmと「サイズを併せ持ってる」こともプラスといえます。
 想定しているのは「半澤⇔ワイリー」です。仙台側からすると、「Grind、つまり粘り強く最後まで戦い続けられる若手」がよりニーズと想像ですので、その意味で理に適うのではといえます(シンプルに、ワイリーには「まとまった出場機会が得られる」可能性が高い意味でもと)。

 そう、「半澤の補強が実現」になれば、より多くの時間で「エースキラー型を1人以上、常時起用し続けられる」訳です。白濱、あるいは(島根入団後に守備力を大きく向上させてきている)津山とうまく使い分けながら(勿論、半澤と白濱の同時起用で「守備をより強調」することも一案です)、それぞれの負担を減らすことで、「ファウルトラブルのリスクを減らせる」メリットも生まれます(勿論これで、「インテンシティーを高める」ことにもなり得ます)。
 勿論、ローテ要員を1人増やすことで、安藤誓の出場時間を、たとえ2分程度でも減らすことに結び付ける意図もあります。

 なにしろ、昨季の半澤は、エースキラーという資質能力を活かすに見合う出場機会を得られたとはいえませんけど、今季の半澤は、まだ少ない試合数とはいえ、「リーグで有数の良質な守備型」の座をつかみつつあります。だからこそ、「優勝、CS出場へのラストピース的な補強」のニーズがあると読む訳なんですよね。特にCSでは、「1点、1プレーの重みがとても大きい」訳であり、そうなるとより守備が重要になってくるのでなおさらと。


 いずれにせよ、いえることは、今季は島根にとって「『優勝』『ファイナル出場』の『最大のチャンスの年』である」こと。そして現有戦力、特に中心選手の年齢構成に照らせば「この1~2年が特に勝負できる年である」ことです。
 あの本拠地の松江の大声援。配信越しに、とてもすごいと感じてます。だからこそなおさら、今季の島根が最終的に「どのような景色を観る」のかを、1人のバスケファンとして、とても楽しみにしている感じです。



 (2)琉球(クーリーいる限り大崩れしない。課題は選手層)


 (6勝3敗。チームEFF[3位]、得失点差[3位]、ネットレーティング[3位]。)


 (←今季の琉球の選手個人成績。)


 「戦術クーリー」「時代遅れのハーフコート」。よくも悪くも、確かにそうかもしれない。しかも今オフは、明らかに選手層を落としてたし、特にクーリーや岸本は「どちらかが不在だと、一気に質が落ちる」と囁かれてた。
 確かに、ローテメンバーは昨季より1人減ってる。しかも今季も「EASLとの両立」があり、その上「今季の西地区は激戦」の感が強い。
 しかし実際には、(島根に大敗で、島根との差は認めざるを得ないだろうが、)「勝者のメンタリティー」「クーリーという違い」は勿論、課題のクーリーとカークの共存方法も見出した感があり、攻略は容易でない。
 不安要素は負傷者リスク。日程の過密さ、西地区の激戦ぶりによる1試合の濃密さを考慮だとなおさら。特にクーリー、岸本は替えが効かないが。



 (3)大阪(走るバスケに原点回帰。真の勝負はこれから)


 (6勝3敗。チームEFF[8位]、得失点差[7位]、ネットレーティング[8位]。)


 (←今季の大阪の選手個人成績。)


 大阪の代名詞、「走るバスケ」が蘇った。実際、「FG試投数(9位)、攻撃回数(2位)、速攻得点数(7位)、TS%(2位)」と、攻撃面の重要指標の多くで良化させている。「ボール奪取したら全員で一気に走る」の意識徹底のバスケは、観ていて楽しいし、「雰囲気のよさ」も大きなプラス。
 ただ、不安感もある。確かに序盤9試合で6勝だが、その相手はすべてが「戦力値で劣るといわれてた球団」。相手関係に恵まれてた感は否めずで、しかも滋賀、北海道との4試合は、得点差ほど試合運びがよくなかった。
 とはいえ、日本人選手の軸である橋本が不在で、内容的な良化を証明できたのは確実にプラス。特に京都より先行の勝利数で「3月からのラスト23試合」に持ち込めれば、CSは現実圏になり得る。「走るバスケ」のカルチャーの深化を。


 「走るバスケ」。大阪のバスケといえば、これである。もともとは、長く指揮を執った天日謙作さんによって掲げられたバスケスタイルですが、正直、今季の大阪の「走るバスケ」の質は、天日さん時代のそれよりも、「走るバスケ」らしくなってると正直映ってます。

 観ていて感じるのは、今季の大阪。わかりやすく、「ボンズ、パークスjrで、スーパーデュオを形成」のバスケなことです。
 過小評価されがちですけど、パークスjrは「21.08」。3年間の名古屋D時代よりも、成績、FG試投数を大きく伸ばしてます。

 ボンズは「20.44」。「カロイアロがいれば」と感じることは、自分は正直少なからずですけど、エースとして走るバスケを牽引できてますし、長崎仕込みのスティール能力も、とても心強いです。
 それ以上に、ボンズ、日本語が着実に上達で、最短で2年後(2026-2027の途中)に帰化が可能になりますけど、「もしかして、大阪は2年後のボンズの帰化を念頭に入れてる?」と感じるほど、「日本人以上に日本人」って感じに馴染んでます。
 正直自分は、カロイアロにいて欲しかったが本音は不変ですけど、今季の雰囲気のよさは「ボンズ、パークスjrの存在が大きい」を含めて、「これはこれでよかった、といえるよね」と正直感じてます。

 興味深いのが、ルーサー。欧州時代から3P能力には定評の感じでしたが、一方で、A/TOは平均レベルの感じでした。
 それが大阪では、「ストレッチ4.5」としてのみならず、「ポイント4.5」としても開花を遂げつつあります。

 「3P試投率(33.7%)、3P成功率(37.9%)、TS%(63.1%)、A/TO(1.50、24/16)」。

 Cでの起用だと、ややアンダーサイズで、より適性はPFな感じはしますが、「TS%」「A/TO」といった攻撃面は、「これほどに良質とは」と嬉しい驚きの感じです。
 で、「30分換算EFF」は「25.00」。やや上振れ感がしなくもないですが、これほど攻撃面で計算できるならば、「22点台程度」は恐らく見込めるでしょう。
 はい、「ルーサーの契約延長、御願いしますね」、これが正直な想いです。「ポイントPF」タイプの選手の需要は、これから増していくと想像の感じですので、ルーサーは、その残留自体が補強になり得ると。本人も、日本(Bリーグ)のプレーリズムに馴染む意欲が伝わりますので、その意味でも。

 と申しますのも、恐らくは来オフ、この「ポイントPF」タイプの、「ルーサー」「ライスナー(秋田)」、それと少し年齢がかさみますが「フィーラー(佐賀)」が、複数のB1球団が興味を示すのでは、と想像なんですよね。あるいは「ダジンスキー(三遠)」も、もし移籍市場に出れば、同様に他球団から人気するであろうと想像です。
 勝利数を積み上げるには、「A/TO」が重要指標の1つになることがわかってきてますので、「A/TOに優れるタイプ」は、いればいるほどよいと。どうしても「センタータイプ」は「A/TOまで求めるのは酷である」ですので、なおさらの感じなんですよね。


 ただ一方で、です。今季の序盤の9試合で、浮き彫りになっていることもいくつかあります。

 何よりまず、「試合運び」。今季の6勝の相手は、「滋賀、FE名古屋、北海道」です。当該球団のファンにはごめんなさいですけど、「確実に勝利がマストの球団」。「取りこぼしていない」意味ではよいのですが、実は滋賀、北海道との合計4試合は、得点差ほど強さを見せつけた感じは正直感じませんでした。
 「これでは、CSレベルの球団相手に勝負できるとは、まだいえないよなあ…」と。自分が「京都≧大阪」と客観的に強く感じるのは、「現有戦力のMAXの上がり目」という意味でですね。

 確かに、個々人でいえば、合田が復調を遂げて、木下は6thマンらしい爆発力を示せていて、牧は「PG,SG,SFに高次元で対応できる(汎用性の高さは、特にサイズ面で乏しい大阪の選手編成を考えると、とても貴重です)」を示せている。尤も牧は「PGの1人としてならば、特に守備面で助かる」感じですが、「正PGとしては、現況ではNo」であることも、はっきりしつつあります。
 ですけど、浮き彫りになっているのは、「正PGは鈴木達也でないと、プレーリズムの安定が図れない現況」であること。これは特に、「±」で顕著に示されてますが、実際に生観戦や配信越しでだと、なおさらの感じです。
 正直な理想は、土家が試合を重ねるたびに出場時間を伸ばしていき、鈴木達也の地位を脅かしていく(そして奪取していく感じだとより望ましい)、の感じですけど、土家がB1でのプレーリズムにまだ適応できてないことをも含めて、今季もやはり「鈴木達也頼み」にならざるを得ないなあ…と。

 ですけど、そう、鈴木達也って、「CSレベル球団の第2PG」って感じで(横浜BCの森井に相通ずるイメージ。選手タイプが「ピュアPG」でも共通ですし)、鈴木達也が正PGだと「30勝~33勝ライン」だよねの感じは、直近2年ほどで「勝負付けができてしまってる」のです。
 優勝を目指せる球団に移籍しても、「裏切り者」だなんて全然思わないよ、それが正直な想いですし、ですので、昨季も今季も、大阪に残留して、譲次と共に先頭でチームを牽引している姿、その「バスケに対する姿勢」にとても感謝ですけど、「この3月で34歳」であることを含めて、もどかしい感じがゼロではないといえば、正直嘘になります。

 そう、「正PGを、鈴木達也からアップグレードすること」。本気でCSライン(36勝ライン)に返り咲きたいならば、自分はこれが「マストである」とずっと感じているのです。でも、大阪に来てくれそうな意味をも含めて、ドンピシャな候補が思い浮かばない感じでもあるのです。
 外国人PGを獲るのも一案と正直感じてますが、ボンズは「3.5番タイプ」ですので、そうするとこれも恐らくあまり現実的ではない。


 それもですし、自分が、大阪が「30勝~33勝ライン」を突破して「あと3勝」を積み上げるイメージを持てない最大の理由が、「Cがゲルンであること」なんですよね。これもまた、ゲルンは「リムプロテクターとしては確実に良質であるけど、総合力の意味では『よくて30勝~33勝ライン』の選手」と、昨季の仙台時代に勝負付けができてしまっているのです。
 はっきり述べれば、「ジャクソン(京都)の下位互換」なんですよね。同等であればまだいいけど、下位互換ではなあ…と。勿論、攻撃面でもリムランやORへの全力姿勢が伝わるので、ではありますけど、「対パワー型のビッグマン」「対ポイントセンター」だと、数字ほどの怖さを正直感じない。

 この「漠然とした違和感」を覆して欲しい、が正直な本音です。特に、「FTをマジで猛特訓して欲しいです!」と。苦手ならば苦手なりに、「FT成功率を55%できるようにして欲しい!」、これを特に強く感じてます。
 いわば、「短所を補って余りある長所のある選手」であって欲しいのですけど、現況では「長所はとても伝わるけど、それ以上に『観ていてもどかしく映る』短所のある選手」であること。「批判を称賛に変える」の景色であって欲しい、そう強く感じてます。



 (4)長崎(スタイルを貫く姿勢を。その先にCSがあるはず)


 (5勝4敗。チームEFF[19位]、得失点差[15位]、ネットレーティング[15位]。)


 (←今季の長崎の選手個人成績。)


 「ヴェルカスタイル」。「常にフルエナジーで激しい高速バスケ」とのことだが、昨季はこれが理に適ってるを証明の一方で、「馬場個人軍」の面もあった(不在だと明らかに質が低下)。
 今季は、EFFが示すように、勝負の年といえるには選手層にまだ課題はある。第3外国人のフロイドが機能できてないことも気に掛かる。でも一方で、今季の序盤9試合のうち7試合が「9点差以内」であり、接戦の試合では「5勝2敗」と勝負強くなれてるのも確かだ。
 ただ、現時点での立ち位置はあくまでも挑戦者の立場であること。この姿勢を持ち続けられるかがまず重要といえるだろう。また今季は実は、「FG試投数、攻撃回数、速攻得点数」がいずれもリーグ平均未満であり、特にFG試投数は最下位。「貫きたいこと」を心掛け続けた先に、CSの景色があるはず。



 (5)京都(選手層は西地区でno.1。全員で束になれ)


 (4勝5敗。チームEFF[12位]、得失点差[17位]、ネットレーティング[17位]。)


 (←今季の京都の選手個人成績。)


 「今季の京都は『Xファクター』になり得る」。これは「群馬に2勝」「SR渋谷に競り勝ち1勝」で特に示されてる。実際、今オフは意欲的な補強により、選手タイプやポジションのバランスを満遍なく揃えることに成功。これで机上の選手層は「西地区でno.1」になり、勝負モードの素地を整えた。特に攻撃の爆発力は有数といえよう。
 ただ、課題は正直少なくない。昨季からずっと指摘の「偏りの強い起用法」が否めないこと。「FG試投数」「A/TO」「DFレーティング」の、昨季から課題の3つの指標は今季もリーグ平均未満。攻撃の爆発力は「カロイアロのバスケIQに多くを依存」であること。
 素材(机上の戦力値)をレシピ(チームケミストリー)にできれば、CSラインの36勝は不可能ではない。さあ、全員で束になろう!


 「信じられない『攻撃の爆発力でのラン創出力』」と「信じられない『まずい失点のされ方』」。いい意味でも悪い意味でも予測不可能な感じがありますけど、少なくとも、今季、生観戦を5試合させて頂いてますが、「プレーリズムが明らかに良化してる」ことは、はっきりといえます。


 「岡田-川嶋-前田-カロイアロ-ジャクソン」
 (ローテ要員[澁田、小西、古川、ヒース])


 帰化枠のモリスが全く機能できていない、一応のローテ要員の小野も衰えを隠せてない(正直、「カロイアロをSF起用での3ビッグ」のオプション要員で、なぜラシードをもっと活用しないの?という不満は、とても強くあります。まとまった出場機会を与えれば、一定の貢献ができることは、昨季で証明されたと思うのですが…)、そういうマイナス要素はありますが、計算できる9人のローテ要員(古川はいま、負傷離脱中ですが)は、質量の両面で、今季の京都の持ち味といえます。自分が「今季の京都は、机上の選手層だけでいえば、西地区のno.1といえる」といい続けてる根拠でもあります。

 直近2年の京都は、よくないときは「75得点の壁」と、ファンの間でもネタにされるほど、これが顕著でした。ですけど今季は、「ハイスコアゲームに持ち込めれば、こちらの望むところ」、これは「選手層に自信を持ててるからできること」です。
 客観的に見て、「33勝ライン」は現実圏の戦力値と映っている。ですけど、「あと3勝」は、「想像以上に、果てしない目標値」ともいえるだろう、これが現時点での正直な感覚でもあります。

 この「3勝差の壁」をなぜ感じるのか、理由はいくつかありますけど、特に「信じられない失点のされ方が目立つこと」と。特に目立つのが、
 「ジャクソンが簡単に外につり出されて、ペイントエリアをぶち抜かれての失点」
 「『なんちゃって2-3ゾーン』の癖を見抜かれて、パスコースを創出されての失点」
 この2つです。実は今季、京都は守備の仕方を変えていて、
 「場面・状況に応じて、オールコート守備をする。これにより前からのボール奪取がより可能になり、『ボールを奪ったら全員で一気に走る』場面をより多く創出したい。」
 これができてるときは、プレーリズムがよくなってる。でも一方で、「だめなときは、信じられない守備」が目立つこと。
 それと、京都の守備の傾向って、「ダブルチームがほとんどない」んですよね。特に「対CSレベル球団」での守備だと、ダブルチームが必要な場面がいくつかあると思われるのですけど、「いや、なぜそこでダブルチームしないの?」という場面が、ほんと目立つのです。


 そう、長所と短所が、よくも悪くもはっきりしている。でも長所である破壊力・爆発力は、CSライン(36勝)に届くのでは?と感じさせると。
 ただ、特に5試合の生観戦で感じるのは、特に攻撃面、細かく見ると、「カロイアロのバスケIQ、創造性に多くを依存している」、これが正直目立つのです(創造性自体は、バスケ独特の魅力でもありますが、カロイアロが万一離脱すると、攻撃の質がガタ落ちする不安感があります)。

 それと、「偏りの強い起用法」。とりわけ、「カロイアロ(32分45秒)」「岡田(30分21秒)」は、確かにこの2人は「戦術の生命線」ですので、出場時間が長くなること自体は仕方ないにせよ、カロイアロも岡田も、「2月の中断期間突入時」の時点では、カロイアロは30分台、岡田は29分台に収めて欲しいのが正直な感じです(「3月からのラスト23試合)では、どうしても出場時間がより長くなることが想像の意味でもと)。
 (「30分換算EFF」だと、カロイアロが「21.17」、岡田が「15.27」。)


 ですけど、京都が「CS出場、その先の『さらなる高み』」へと辿り着けるには、

 「岡田が『日本代表レベル』へと上り詰めること。はっきり述べれば『比江島、馬場の領域へと辿り着けること』。」

 いま、「比江島、馬場の領域」と述べましたが、岡田自身は「スコアリング型PG」を志向してますので、そう考えると「齋藤、安藤誓の領域へと辿り着けること」がより適切な表現かもです。
 このnote記事の執筆時点でだと「15.21」、数字上は「日本代表レベル」になろうとしています。ただ、

 「3P試投率(44.0%)、3P成功率(29.4%)、TS%(57.1%)、A/TO(2.00、40/20)」。

 「大エース」へと上り詰めるには、3P成功率を「33%前後」(理想はそれ以上だが、せめてこの程度は欲しい)、「A/TO」を「2.50程度」は求めたいんですよね。その意味で、「岡田はもっとできる」と感じているのです。


 それもですけど、今季の京都の、自分的な要注目点。
 「ジャクソンは、帰化に受かるのか」
 自分のnote記事では、何回か言及させて頂いてます。恐らく「帰化申請自体は、まず確実にするだろう」、だけど「帰化に実際に受かるかは、感覚的には『30%~50%』」。
 (ちなみに、ジャクソンの今季の「30分換算EFF」は「19.25」。いわゆる「できることの量は限りがあるが、できることの質が高い」タイプの、典型的な「古典型ビッグマン」ですけど、帰化がもし現実になれば、「A+ランクの帰化枠」[恐らく、「エドワーズ[宇都宮]と同等レベル」と解釈してよいかなと]として、大きな長所になることを意味します。まあ、外国人補強の際は「3P能力があること」の縛りが発生してきますが。)

 正直、現時点に照らせば、西地区の動向としては、「島根、琉球が先行」している感じはあるんですよね。琉球が選手層的に、今季はついに崩れるのではと読んでいたのですけど、「クーリーがいる限りは、大崩れしない」になりそうだなと。
 そうなると、最も現実圏は「ワイルドカードに滑り込めるか」です。それも恐らく、「名古屋D、群馬などとの争い」になる可能性が高いと。
 で、名古屋D、群馬が、いまのままで終わることは、正直想像しづらいんですよね。いずれも「正PG、正Cの質がとても高い」という、「B1を勝ち上がる球団に特に多い傾向」を満たしていることに照らしても。


 「岡田-前田-カロイアロ-(?)-ジャクソン」

 (?)に入るのは、つまり、「2月の中断期間で、ジャクソンの帰化が叶った場合での、『Bリーグの他球団』または『豪州NBL』からの、『ラストピース的な、PFの外国人』」になります。
 ここでは、「Bリーグの他球団から」で考えて話を進めますが、「欲しい選手の理想」は、「3P能力を含めた得点能力、スピード」。これに加えて、できれば「A/TOにより優れる」だとより理想といえるでしょう。
 さらに述べれば、今季は「降格がない」ですので、いままでに比してだと「移籍市場の流動性が見込める」ではありますが、とはいえ、「2月の中断期間でのラストピース的な補強」に応じられそうな球団がいるとすれば、それは「CS出場ラインが厳しいと判断の球団」に、おのずとなってきます。


 モータム[滋賀](攻撃の総合力、特に3P能力に優れる「オフェンスマシーン」。スピードを兼備であるが、守備力は苦手であるので、基本はPFでの起用を推奨。また、複数球団が興味を示す可能性にも留意が必要。
 補強が叶えば、「カロイアロ、岡田」に次ぐ「3rdオプション」として適任。ジャクソン、ヒースがいるので「PF起用にまず専念できる」こともメリットが。)

 ライスナー[秋田](「ストレッチ4」かつ「ポイントPF」。バスケIQとスピードを兼備で、守備意識も高い。攻守のバランスの面では、「カロイアロ、岡田」に次ぐ「3rdオプション」としてより信頼性が高い感が。
 ただ問題は、本人自身は「1年でも長く秋田で」をモチベーションにしてる節があること。補強が叶えば、京都のバスケスタイルに[フルエナジー、40分間戦い続けるを体現の意味でも]ドンピシャといえるが。)


 勿論これはあくまでも、「ジャクソンの帰化が叶えば」のことです。実際に受かるかどうかは、いまいえることは「可能性は高くない、でも今オフの動きは、はっきりと『ジャクソンの帰化申請を前提とした動き』に映ってる」であることです。
 尤もこの動きをしたのに、結局帰化が叶わなかった事例もあります、「ガードナー(三河)」「バーレル(当時は名古屋D、現B2福岡)」とか。バーレルは帰化が叶わなかったときのオフに、名古屋Dから放出される憂き目を経験してます。
 (ちなみにバーレル曰く、「名古屋Dを放出されて失意にいた自分を拾ってくれた仙台がいたから、いまの自分がいる」とも述べています。)

 ですので結局は、「どうなるか、観てみよう」ではあるのですけど、ジャクソンって、人間性が「日本人以上に日本人」って感じの「ナイスガイ」ですし、今季、トレードマークのドレッドヘアをバッサリ切ったのも、「帰化を見据えての動きでは?」と解釈できるんですよね。
 そう、「ジャクソンの帰化」「京都のCS出場」、これを正直観たいと感じてる自分がいるのです。



 (6)佐賀(ハレルソン負傷離脱の逆境。打開策を早急に)


 (4勝5敗。チームEFF[14位]、得失点差[12位]、ネットレーティング[12位]。)


 (←今季の佐賀の選手個人成績。)


 「まずは組織的な守備から」。昨季に29勝の「プチ旋風」を生み出せたのは、佐賀のこのスタイルが理に適っていたからだ。特にガルシアは明らかに「違い」を創出できてた。
 今季の序盤9試合、確かに負け越しだが、うち3敗は「6点差以内の接戦」。数字以上に勝負できてるのだ。
 しかし、突如に直面の逆境。帰化枠のハレルソンが足の骨折で、今季の残り試合の大半の欠場が確定。「戦術ガルシア」の生命線が故に、緊急補強がマストであるといえる。
 考え得る最善手は、京都から帰化枠のモリスを補強。これと共に、B2信州からドンリーを期限付きトレードで補強。いずれも現所属球団に符合できてないので恐らく障壁は小さい。最重要は「3月からのラスト23試合」。積み上げたスタイルを出し切るために最善手を。



佐賀のHC兼GMである、宮永雄太さんの著書。
『B.LEAGUE 新時代のリーダー論』。
今季の開幕直前に、選手名鑑と共に購入させて頂きました。
「HC兼GM」。わかりやすく述べれば「全権監督」です。
(野球ではよくいるけど、バスケでは実はあまりいません。
でも自分は、「全権監督」がいて全然いいと思ってます。
これは、表向きは全権ではないけど、事実上は全権に等しいHCも含めてです。
越谷の安齋竜三HC、秋田の前田顕蔵HCは、恐らくそうでしょう。
その一方で、社長が事実上のGMって球団もいますが。例えば仙台とか。)


この本を拝読させて頂いて強く感じるのが、
細かいところまで妥協しない、いい意味での「こだわりの強さ」です。
理想をどこまでも追い求める。資金力に限りはあるけどと。
漠然と「情熱」を感じて好感でしたけど、なおさら応援したくなります。
ただ、よくも悪くも「守備重視の色合いがどんどん強くなってる」で
今季は、FG試投数(23位)、攻撃回数(24位)は実はほぼ最下位。
だからといって、SR渋谷とかの「ゴリゴリのハーフコート」ではないですが
よくも悪くも「戦術ガルシア」である感じなんですよね。
尤も、ガルシア、好きな選手の1人でして、というかガルシアのような選手を擁してたら
味方目線だと、とても心強いよなあの感じですけど。
いつも情熱的で全力姿勢なところを含めて。フルエナジー、シンプルにかっこいい。
3P試投率の少ない選手ですけど、エゴイストではない意味でも、おつりがくるので。


そう、「こだわりの強さ」。「外国人PG」は、
佐賀のマーケットサイズだと「良質な日本人PGを確保できない」事情をも踏まえて
「観ていて楽しいバスケ」のためには、「外国人PGがより望ましい」、
で、佐賀の理想のバスケスタイルにドンピシャ、それが「ガルシア」であったと。
で、「戦術ガルシア」を機能させるためには、「帰化枠のビッグマン」が必要、
それ故に「ハレルソンはマスト」であった訳です。ですので、
「ハレルソンの長期離脱」は、スタイルの根底が崩れる。
故に「緊急補強やむなし」ですけど、「現実的に打てる手」を考えると、
日本人選手の枠にも併せてメスを入れざるを得ないと。
(救いは、昨季までとは異なり「降格がない」ので、
「移籍市場の流動性」が多少は生まれるのでは、という点です。
ただ、既存選手を泣く泣く差し出す[名目上は期限付きでも]、
これは正直、心が痛むことととても想像なんですよね。)



 うまく言葉に落とし込めないのが正直もどかしいですけど、秋田とは少なからずバスケスタイルが異なるかなだけど、「『信念』がとても伝わるチームづくり」が伝わることと共に、「携わる全員が、同じ方向を向けている、一緒に仕事をすると、とてもやりがいを持てそうなチーム」って感じ。
 これは、昨季に「大阪vs佐賀」「京都vs佐賀」を生観戦させて頂く機会を持って、とても強く感じることです。

 「まずは守備ありき」。これは、宮永HCの現役時代が影響してるのかなと想像の感じですが、確かに「The・ディフェンシブ」ですけど、例えば昨季の12月3日、舞洲での「大阪vs佐賀」第2戦。
 チャンスがあると判断したら、一気に畳み掛けるんですよね。気が付けば、3Q途中で勝負ありで、最終スコア「79-45」。大阪目線からすれば、「思い出したくもない試合」です。あとに残ったのは、「勝負ありなのは明らかだったけど、40分間最後まで戦い続けてた『BT』のみ」と(「BT」とは、大阪のチアリーディングチームのことです)。



 「ガルシアは、B1でどれほど勝負できるだろう?」。
 正直、懐疑的な声は、少なからず聞こえてきていました。
 でも自分は、そうは思わなかった。ガルシア自身は、恐らく勝負できる。むしろ問題は、周りの日本人選手がどれほど勝負できるのかの問題だと。

 あえて短所を挙げるならば、3Pが得意ではないこと。「試投率は20%強で、成功率は33%前後」、確かに3Pは明らかに苦手です。
 でも、それを補って余りある、「常にフルエナジーな姿勢」。特に「スティールの技術、そこからの一気の攻撃」は、観ていて惚れ惚れします。
 で、典型的な「スコアリング型PG」ですので、一見すると「ボールホグ」に思われがちですが、実はそうではない。実際、USG%は「28.0%→26.7%」と、適正数値に収まっています。つまり、ガルシアは「自分がシステム」の選手ではない、「システム・プレイヤー」であることがわかりますし、実際に生観戦していると、「チームの勝利のために、その時々でいま何が必要か」ができる、いわば「バスケIQに優れる」選手な訳です。ややTOが多いのは、「まあご愛嬌ってことで」と解釈してます。

 それに、「TS%」は、例年「55%を上回る」です。これはミドルレンジを含めての、「2P成功率が高い(例年、50%を安定して上回ってる)」からですが、TS%が高いので、「3P能力の不得手さを他で充分に補えてる」ので「充分にお釣りが来る」「観ていて楽しいからいいじゃん」な訳です。
 「一緒に仕事ができると、とても心強い」って存在ですし(プレーもですけど、「バスケに対する姿勢」が特にそうです)、正SGの角田も「日々成長中」って感じで、それに地元の佐賀でプレーし続けられてることへの誇りが伝わるので、これも含めて「とても素敵だな」と感じてます。
 (その角田も、今季は3P能力が大幅に向上で、名実共に「オールスターレベル」へと成長が伝わる。まだ「25歳、大卒3年目」と若いので、今後がなおさらとても楽しみといえます。)

 今季、ガルシアは「34歳、在籍5年目」。いつ衰えが始まっても仕方ない年齢ですが、少なくとも、今季の試合を観る限り、「普通に健在」です。
 佐賀自体も、「4勝5敗」ですけど、内容自体は少なくとも「勝利数ほど悪くはない」。今季、西地区の3番手の最有力といえる京都に比してだとやや押しが弱い感じはありますが、昨季のプチ旋風がまぐれではないことははっきりと伝わると。
 ですけど、「戦術ガルシア」(「ガルシア・システム」という訳ではないですが)の佐賀にとって、突如として大きな逆境が起こりました。




 「ハレルソン、右足関節脱臼骨折、全治4~5か月」
 (10月26日、A東京戦で負傷。額面通りならば、復帰は3月中旬、より現実的には恐らく4月上旬頃か。)


 ハレルソン。自分は大阪に住んでますので(いまもこれからも、大阪と京都は応援球団であり続ける感じですが)、「NBA経験者」であるのは存じていましたから(それも、「NBAで75試合出場」って、Bリーグの外国人でだとかなりの大物ってことです)、大阪時代は、とても頼れる存在として観ていました。ニュービルとの共演はわずか1年で終わり、もっと観たかったのが正直な本音です。
 これほどの大物が、日本バスケを、Bリーグをすっかり気に入って(それも、Bリーグ1年目からずっとです)、最終的には帰化をして、今季で9年目。佐々木クリスさんの言葉を借りますと「BIG感謝」です。

 帰化の2年前(2021-2022のSR渋谷時代)から、衰えの傾向は出てきてますし(その意味で、帰化が叶っていなければ、いまもB2であった可能性が恐らく高い)、今季の2月で36歳、引退は正直恐らくそう遠くない感じですけど(今季は「TS%が50%を切ってる」で、期待値的にはケネディ[B2富山。尤もB1でも勝負できると思ってるが]をも下回る感じになってます)、機動力やシュートレンジ、視野の広さとかの意味で、「戦術ガルシア」にはドンピシャの存在であった訳です。

 そう、いまの佐賀の選手編成で、1人いなくなるだけで根底から狂ってしまうリスクの選手が「ガルシア」「ハレルソン」です。いわば「全く別のチーム」になってしまう、それが起きてしまった感じなんですよね。


 ではいまのままだとどうなるのかというと、

 「ガルシア-角田-金丸-フィーラー-満原」
 (あるいは、「井上をSF、金丸をPF」で対応のケースも)

 恐らく当面は、こうならざるを得ません。勿論これは「応急処置」であって、「11月の代表中断期間」突入まで5試合も残っている訳で、「中断期間明けの12月1日までには、早急な緊急補強がマスト」であるといえます。

 では、考えられ得る緊急補強はというと、

 「モリス(京都)」、事実上この1択。
 (緊急補強でマストなのは、「ビッグマンができる帰化枠/アジア枠」。機動力とサイズの面で、モリス以外にはない。「ブラウン(広島)」は、もうB1レベルの能力を失っている。
 単純な能力面でいえば「ライト(川崎)」により分があるけど、これだと「極端なスモール布陣化」になってしまい、「金丸をほぼ常時PF起用」になる。これだと守備面でのデメリットが明らか。)



 なぜ、「モリス」かというと、「サイズ」「機動力」「3Pができるシュートレンジ」、この兼備を満たしているから。昨季途中に島根で22試合出場で、「まとまった出場機会を確実に確保させれば、少なくとも守備面ではB1で戦力といえるから」を証明できてるからです。勿論これは、「いくつかの短所に目を瞑ること」が前提になりますが。
 で、今季のモリスは「京都」に所属してますが、はっきり述べれば「全く戦力になれてない」です。「そんな起用法をするならば、最初から獲る必要はなかった。いまのままだとシンプルに『枠の無駄』でしかなく、京都、モリス、御互いにとって『Lose-Lose』でしかない」、そう強く感じてますけど、京都の試合、5試合を生観戦してますが、スポット的に出場機会を得ると、モリスが「相手から、完全に穴として狙われている」になってると。守備面では存在意義を示す場面もありますが、問題は攻撃面で「全然走れてない」、はっきり言えば「パワーにより乏しいスミス[B2福岡]」状態です。

 では、なぜ京都はモリスを獲ったのかというと、恐らくの背景は「今季の2月の中断期間で、ジャクソンの帰化申請が見込まれてるから(尤も、受かる可能性は感覚的には50%もない、つまり『運を天に任せる』)」。
 つまり、帰化枠の役割は「2月の中断期間までのつなぎ要員」。恐らく補強交渉の際に、これを説明した可能性があると。で、最初は「ケネディ」に接触したけど、恐らく断られた、「1年を通して完走したい」と。

 仮に帰化枠がケネディだったら、「選手タイプ・ポジションのバランスで、特に弱点がない」選手編成に恐らくできてた。特に「カロイアロのSF起用を多く設けられる」ので、攻撃面でのメリットがより大きくなってたと。
 要はモリスは、恐らく「次善策」であったと想像である訳です。尤もいまのモリスだと、「だったら、ラシードをより多く使ってよ」である訳で、つまりこれが、京都でのモリスの現況の立ち位置なんですよね。
 ですのでシンプルに、「2月まで」どころか、「もう既に、戦力としてはほぼ構想外状態」な訳です。ですけど、守備時のパワーや機動力自体は残せているので、「起用法次第ではまだB1で勝負できなくはない」と。
 はっきり正直に述べれば、「3連休明けに佐賀との話をさっさとまとめて頂いてどうぞです」な訳です。京都側からすれば、見返り的な交換要員を求める必要は(選手編成的には)ないので、その意味でもメリットです。


 で、モリスは、「『守備面での戦力』かつ『出場時間を15分限定』と割り切れば、B1戦力として見込むことは可能」、これが正直な解釈です。「出場時間の管理」を強調するのは、「40歳という年齢面」から。それと攻撃面では「汚れ仕事とOR以外はほぼ期待できない。ただ場面によっての3Pができる意味ではプラスではある」の感じなんですよね。
 ただ、京都で生観戦して感じるのは、「走るバスケには正直もうついていけてない」ことです。おかしいなあ、昨季の島根では、アップテンポでも対応できていた感じだけどなあ…と。
 ですので、起用するならば、「PFがフィーラーのとき」または「3ビッグ採用時」に事実上限定のイメージです。特に「PFがチャイルズのとき」は、プレーエリア重複のリスクを含めて、避けた方がよいですと。


 モリスの緊急補強により、

 「ガルシア-角田-金丸-フィーラー-モリス」
 (ローテ要員で「狩野、井上、チャイルズ」)

 にできます。ですけど、モリスは「長くて15分限定」の選手です。
 ハレルソンは「昨季が30分41秒、今季が32分19秒」でした。つまり、「あと15分」を埋める日本人選手がどうしても必要になります。
 現有戦力では、日本人ビッグマンで満原がいて、満原自身はB1レベルを堅持できてはいますが、それでもまだ足りません。しかも満原も「この12月で35歳」ですので、体力面で多くの期待ができないこともあります。

 今オフ、群馬が信州から「アキノ」を補強しました。実体的には「数合わせ」的な域を出ない感じではありますが、でもこれも意図は伝わるのです。
 そう、群馬の場合、恐らくは「パーカーが体力的に恐らく20分限定の感じになってくる」のリスクヘッジの意味から。それと「実戦練習の5対5を、より円滑にできるため」の意図もあったでしょう。実際これで、群馬は「PF/Cのビッグマンを5人」にできたので、アキノも存在意義がある訳です。

 そう、「あと10分~15分を埋められる日本人ビッグマン」、でも日本人ビッグマン自体が稀少ですので、なかなかハードルが高い訳です。ですけど、緊急補強に応じられそうではというビッグマンが、2人ですがいます。




 第1は「エリエット・ドンリー(B2信州)」。日本人枠では「貴重な3.5番」で、昨季は信州で「23分14秒、7.62(30分換算EFF)」と、実は高い数値を出していました。ですが、信州はB2降格になった。
 で、「日本人の良質な3.5番自体が枯渇傾向」であり、それでいて「選手編成の柔軟性の意味で、『3.5番タイプ』のニーズは上昇傾向」なこともあり、今オフ、ドンリーは「複数球団から興味を示されてる」と噂されてました(具体的にどこというのはないにせよ)。
 ですので、「残留」と発表されたときは、「へえ、残留なんだ、もったいないなあ」の声が、少なからずありました。

 で、今季。「13分16秒、9.55(30分換算EFF)」。能力自体は落ちていないのですが、出場機会は明らかに大きく減っています。しかも同ポジションには三ツ井、チェンバースがいることもあり、トレード移籍話が浮上すれば、恐らく「応じる」可能性は低くないと思われます。
 はっきり述べれば、「ドンリー⇔相原」。アスレチック差が魅力の相原は、信州のスタイルに恐らく符合といえますし、SG/SFに対応できます。その意味でも、成立の可能性は充分にあり得るのではと。

 いま述べたように、ドンリーは「3.5番タイプ」ですので、選手編成に一気に柔軟性をもたらせるメリットが生まれます。しかも「3ビッグに対応できる」ですので、島根、仙台のように「3ビッグを多用する」球団相手にも対応できますし、「フィーラー-ドンリー-モリス(チャイルズ)」と、特に「フィーラーをSF起用して、フィーラーを気持ちよく攻撃により専念させたい」ときにはとても重宝できる存在といえます。
 あるいは、「金丸のSF起用時」で、特に金丸を攻撃により専念させたい場面、つまり「金丸-ドンリー-チャイルズ」をしたいときにも、大きな存在意義が生まれます。

 しかもドンリーは、「この12月で28歳」。これから3年程度が全盛期の感じです、で、速いテンポのバスケに対応できることは、大阪時代で証明済みです(というか、「天日謙作HC時代の大阪」でのときが最も輝いてましたし)。その意味でもなおさらのドンピシャといえるでしょう。




 第2は「永吉(SR渋谷)」。京都時代は、Bリーグを代表する「日本人PF」あるいは「日本人3.5番」と評価されてました。明るくて、でも根は実直な人間性を含めて、京都時代、とても心強い存在に映ってました。
 ですけど、2022年オフ、京都が「再建モード」突入で、いまのロイ・ラナHCの招聘の際に構想外になり、B2福岡に移籍。当時、本人は京都残留を望んでいたといわれてますが(「出場機会が減っても構わない」であったともいわれている)、構想外はラナHCの意向であったとのこと。
 で、B2福岡に移籍でしたが、永吉は故郷が鹿児島、つまり「九州の人間」です。それもあってなのか、B2福岡では「恐らくキャリアで最も存在意義を求められてのプレー」であった感じで、特に3P能力の向上を示して、健在を猛アピールしました。

 で、昨季からSR渋谷でプレー。理由は「優勝争いできる球団から求められたことが嬉しかったから」と「母校である青山学院大学が本拠地であるので、『ご縁』を感じたから」とのこと。
 ですけど、実は昨季の2月から、「事実上の構想外状態」です。ですので今オフの残留は、ささやかな驚きでもありました。「たとえ出場機会が限定的でもいいから、優勝したい」からかもと想像ですが。

 ですけど現況では、「1選手としては、もう求められていない」(33歳ですので、年齢的にはまだ勝負できる)。で、佐賀は「九州の球団」です。トレード移籍話になれば、応じる可能性は「ドンリーよりも恐らく高い」といえます(想定は「永吉⇔相原」です)。
 (純粋な戦力的観点では、ドンリーの方が恐らくよりプラスだが、永吉は「最後は九州の球団で終わりたい」となれば応じる可能性が恐らく高いに加えて、「精神的支柱の1人」にもなり得ますから、チームの結束力の面ではドンリーよりプラスになり得るかもです。)


 いまの永吉は「3.5番タイプ」ですので、想定される起用法は、ドンリーとほぼ同じのイメージです。「体格の割にはスピードを兼備できる」ことが、特にメリットといえますし、攻守の両面で肉弾戦を厭わないことも特徴です。ポストアップもできますので、クラシカルな面もあるといえます。
 で、永吉は実は、キャリアのスタートは東芝(いまの川崎)でした。ですので、宮永HCと直接の接点自体はないのですが、宮永HCにとっては「東芝の後輩」になります。その意味でも、ドンリーよりも現実的といえるかもと映ってます。


 いま綴らせて頂いたことを総合して考えると、「2つの緊急補強」の実現が叶えば、

 「ガルシア-角田-金丸-フィーラー-モリス」
 (ローテ要員[チャイルズ、狩野、井上、永吉])

 オプション1「ガルシア-角田-金丸-永吉-チャイルズ」
 オプション2「角田-井上-フィーラー-永吉-チャイルズ」


 そう、「モリス」「永吉(またはドンリー)」の緊急補強が叶えば、「ある程度勝負できる戦力値を保つことは、理論上は可能」と読みますが、果たしての感じです。モリスも永吉も、現所属球団では「事実上の構想外状態」ですので、充分にあり得ることと読む感じですけど。



 (7)広島(起きたことは仕方ない。貫きたいを問い直して)


 (2勝7敗。チームEFF[24位]、得失点差[23位]、ネットレーティング[23位]。)


 (←今季の広島の選手個人成績。)


 「何かがおかしい」。この兆候は開幕前のPSGで既に顕著だった。開幕すると、それは壊れていくパズルだった。
 原因の多くは、負傷者の続出、それも外国人や帰化枠に集中であること。ただそれ以上に問題は、「日本人選手の軸が見当たらない」ことだ。負傷離脱中の寺嶋が復帰してトップフォームを取り戻すのを待つしかないかもと。EASLとの両立も、なおさらの逆風だ。
 負傷者、特に帰化枠の河田が復帰できれば、逆境は幾分かは改善できよう。とはいえ現況では、負傷者復帰で巻き返せても30勝が限界ラインだ(昨季の秋田がそう)。それなら、中長期を見据えた土台の再構築がより重要。
 今季の広島は、有望な若手を多く擁してる。だからこそ、「自分たち広島が貫きたいスタイル」を改めて問い直して再構築する、それが今後に直結のはず。


 「何かがおかしい」。この兆候は、今季のPSG「A東京vs広島」で、正直既にありました。尤もこのときは、「まあ、A東京はいつだってフルパワーの球団だから、格の違いを見せられたと思えば」と解釈でしたけど。
 ですけど、PSGでは、結局「修正し切れず」の雰囲気のままで、開幕に突入。で、開幕戦の「群馬vs広島」。
 相手の群馬は、確かに意欲的な大型補強に成功(今オフ、千葉Jと共に「最大の勝者」であったといってもよい)で、選手を質量ともに厚みを持たせたチームでした。ですけど、それを考慮しても、群馬に「高速バスケ」をとにかく炸裂されてしまってた。
 正直自分は、とても衝撃でした。で、広島目線でだと、「信じたくない」「天を仰ぐ」、そんな感じでした。



 「籠球徒然日記」。広島ファンならば、恐らく御存じの人間が多くいるかなといえる名物ブログですし、自分は、「宇都宮ファンのhiroさん、横浜BCファンのオニールさん」(この2人は、自分と同様にnoteを拠点としている)と共に、「Bリーグ界の名物インフルエンサー」と、いつも楽しみに拝読させて頂いてます。
 その中で、今季の広島への減給として、こんな記事がありました。



 「今の広島は寺嶋、エバンス、ブラックシアーによって攻守、特に攻撃は成り立っているチームなんだなと改めて感じると共に、河田の存在も結構大事なんだろうなと感じた。
 そうなると彼らが戻ってくるまでは・・・ということにはなるが、とはいえ彼ら以外の選手がもっと奮起できればチームの底上げに繋がると感じる。」


 まさしく、「激しく同意」です。というのも、昨季の広島も、プレーリズムが向上していったと感じるのは、帰化枠の河田が入団した(より厳密には、フィットしていった)ときからでしたので。
 エバンス、ブラックシアーが「B1でも最高レベルの優良外国人」なことは、これまで存分に証明されてることです。

 エバンス(26.02→24.16→23.26)
 ブラックシアー(26.09→25.98→24.94)
 2人の合計(52.11→50.14→48.20)


 多くの球団では、「30分換算EFF」で「20点超え」が1人、多くても2人です。2人いる場合でも、その多くは「もう1人はギリ20点台~21点台」です。
 ですけど広島は、(今季を含む)この3年間、いわば「スーパーエース級を2人常時擁している」であり続けてきました。昨季に優勝できたのは、「2人のスーパーエースの存在がいたから」、これは正直あるでしょう。


 【USG%】
 エバンス(26.4%→25.4%→29.2%)
 ブラックシアー(26.5%→26.3%→23.3%)

 【TS%】
 エバンス(60.9%→58.5%→47.3%)
 ブラックシアー(63.7%→61.7%→68.7%)

 【A/TO】
 エバンス(1.94→2.22→2.50)
 ブラックシアー(1.93→1.55→2.07)


 「視野が広い」「シュートセレクションが的確」「アンセルフィッシュ(システムプレイヤーとして振る舞えつつ、個を強烈に表現できる)」
 特にエバンスは、広島入団後、苦手の3P能力を向上させたことも、特筆であるといえます。
 この「スーパーデュオ」は、そうは止められない。しかもです。

 エバンス(今季の1月で33歳。将来の帰化志望を既に公言しており、実際に日本語も確実に向上中。来季の2月に帰化申請が可能だが、恐らく帰化が叶うと考えてよい、そうなると「Sランクの帰化選手」になる。)

 ブラックシアー(今季の1月で28歳。つまり「これから5年程度が全盛期」。それでいて6thマン起用を受容できることも特筆。今季でBリーグ3年目だが、理論上は3年後の「2027-2028の途中で、帰化申請が可能」。)


 ですけど、こうもいわれていました。
 「ブラックシアーは、確かに攻撃面では『スペシャルな4.5番』で、『NBA経験がゼロなのが不思議なほど』だが、守備面で『古典型の、特にゴリゴリのパワー型ビッグマンに弱い』傾向がある(はっきり言えば、特にクーリーとか。また確かに、京都戦でのジャクソンに対しても、嫌がっていた面は確かにあった)。」

 これは確かにそうかもなあ…と。実際、昨季の広島が「帰化枠の河田が入団してから、上昇曲線を描き出した」のは、「ブラックシアーの守備面での負担の減少」は、少なからず影響してるかなです。




 「何かがおかしい」、この最大の要因は、「帰化枠の河田に、復帰の目途が立ってないから」(一応は「11月の中断期間明けには」と述べられてはいるが、負傷部位がヘルニアであるので、「治し切ってからの復帰がマスト」な、厄介な負傷部位ではある)、恐らくこれは大きいと思います。
 河田は、昨季の「30分換算EFF」自体は「11.07」。正直、数字的には「並の帰化枠」です。リムランはできるが、アップテンポは得意ではない。しかも攻撃面での得点は、ゴール下に限定で、昨季のFTは「47.8%」でした。

 ですけど、「リムプロテクター」としては普通に良質といえる。例えば、「日本人ビッグマン」として恐らく現況でno.1といえる「渡邉飛勇(B2信州)」「シェーファー(三河)」よりは守備面で頼りになる。この時点で、「帰化枠のビッグマン」として求められる意味では及第点以上です。
 いわば、「求められる役割は果たせている」であると。


 そう、今季の広島。「勝負をさせてもらえなかった」、群馬、琉球との合計4試合。群馬は「ターズースキー」、琉球は「クーリー」、いずれも「最高レベルのパワー型&古典型のビッグマン」を擁してます。
 「対パワー型のビッグマン」相手には、河田がどうしても必要。これが、河田の不在によりはっきりと証明されたといえます。

 ちなみに、今季の2月に、メイヨが帰化申請が可能になります。で、恐らくほぼ受かると読んでます。そうすると、河田とメイヨが、理論上は帰化枠で2人いるになりますけど、恐らく今季、メイヨの帰化実現以降の残り試合は、「今季の開幕当初のまま」、つまり「メイヨは外国人枠扱いのまま。河田は帰化枠として完走」で行くと読んでいます。

 「ほんとうの勝負」は恐らく、来季の2月の、エバンスの帰化の実現のタイミングである、が自分の読みです。そう、来オフは、「エバンスの帰化の実現」を見据えて、恐らくですけど、


 【来オフの理想《来季の開幕当初》】
 「外国人枠(『エバンス』『ブラックシアー』『パワー型ビッグマンの新外国人(理想はコッツァー[横浜BC])』)」
 「帰化枠(不在orメイヨ[メイヨは残留の場合は『2月までの戦力。で、エバンスの帰化の実現の瞬間に他球団に放出』])」

 【エバンスの帰化実現後《来季のTDL前》】
 《TDL=トレードデッドライン》
 「外国人枠(『ブラックシアー』『パワー型ビッグマンの新外国人(理想はコッツァー[横浜BC])』『2月に補強の新外国人(豪州NBLとかから?)』」
 「帰化枠(エバンス)」


 はっきりしているのは、「パワー型ビッグマンで、できればポイントセンターにもなり得る選手」が最優先ターゲットでしょう。それ故に、「コッツァーが、移籍市場に出る可能性がゼロではない」と判断すれば、2022年オフのエバンスのときのように(あのときも、琉球を出る合理的な理由がないといわれてたが、最終的にいわば事実上の引き抜きに成功した)、手持ちの補強資金を一気にドンと注ぎ込むと想像です。
 現実論、コッツァーのような選手タイプ自体が稀少であり、コッツァーはしかも「この12月で28歳」、わりと若い上に「ブラックシアーと同学年」ですので、タイムライン的にドンピシャでもありますのでと。



 …と、そのような感じですけど、いまの広島の「何かがおかしい」、自分が最も深刻であると感じているのが、「日本人選手の軸が見当たらない」ことです。いわば現況では「(事実上の)全滅状態」なんですよね。
 これでは「どう戦えと」である訳で。現況でだと、現時点で負傷離脱中である「寺嶋(負傷前は不動の正PGであった)が、トップフォームを取り戻せてない場合」でも、寺嶋が「日本人選手の軸」で確定になります。

 いま、寺嶋がトップフォーム云々と述べましたが、負傷離脱が昨季の3月上旬です。で、現時点では、復帰目標は「年内には」とのこと(恐らく、12月の中旬or下旬というニュアンスでしょう)。だとすると、「9か月半ほど」の離脱期間になります。
 勿論ベストは、トップフォームを早い段階で取り戻せてることです。ですけど、離脱期間が半年を超えているが故に、トップフォーム云々を気にせざるを得なくなると。寺嶋は、負傷離脱以前は「オールスターレベル」の実力者でしたので、トップフォームを取り戻せれば、そりゃあとても心強い訳ですし、自分も1人のバスケファンとして、寺嶋の復活をとても願っている1人です。

 今季の広島は、有望な若手を何人も擁していることが持ち味といわれてました。実際に特に、「三谷」「渡部」は、大学時代の実績を考えると、いずれ「球団のフラッグシップの1人」になって欲しい存在といえます。それが現況では伸び悩んでいるから、これほどに苦しんでいると。
 (現況で、「中村拓、A/TO、19/22」「三谷、3P成功率、20%」「渡部、3P成功率、15%」です。)
 そう、「こんなものじゃないでしょう?」と伝えたいですし、なによりも本人自身が、とても悔しいと想像ですけど。


 こうなった以上、今季は「自分たちが『貫きたいこと』を問い直す」、「使える若手・中堅を見極める」、シンプルにこれに徹することがより望ましいと映ってます。
 いずれエバンス、河田とか負傷者が復帰してフルメンバーになれば、もとの地力自体はあるので、ある程度は巻き返すだろう(それこそ、昨季に序盤戦で大失敗したけど、1回目の中断期間明け以降はまるで別人のように猛烈な巻き返しをした秋田のようにです)とは思われますけど、今季の西地区は「滋賀を除けば、激戦といえる」の勢力図ですので、恐らく「よくて24勝前後」でしょう(自分が広島ファンの立場ならば、現況も、巻き返せてこのラインであることも、受け容れられないですけど)。


 自分は、広島の「勝利を追い求めつつ、『志向するバスケスタイル』『常に3年後をイメージし続けるチームづくり』」、これがとても大好きです。ですので、昨季の優勝は、これが正しかったが証明された意味をも含めて、とても嬉しかったのです。
 ですけど今季、想像以上の「反動」がきてしまった。来オフ、それなりの補強を目指すことは、恐らくのマストになるでしょう。

 ですけど、現実論として、「オールスターレベル」「CSレベル」に到達できてる中堅・若手で、来オフに移籍するであろう合理的な理由を持つ選手は、正直ほぼゼロに近いと読んでいます。
 理由は2つ。第1は、そのような選手はシンプルに「いまいる球団で絶対的な地位を築いている、または優勝できる・故郷に近いなど望んだ環境にいる」ので、移籍の合理的な理由がないから。第2は、「2026年に新B1の開幕になるので、来オフの移籍はその意味で合理的とはいえない」から、つまり「あと1年待とう」という心理からです。
 ですので、来オフに移籍市場に出る選手がいるとすれば、「移籍により、より出場機会を増やせる」場合のみ、そういっていいと思ってます。


 ですけど、来オフの移籍の可能性が少なからずあるのではという選手が、現時点でですが「2人」います。

 第1は「シェーファー(三河)」。説明不要の「ストレッチ4.5」で、3Pができるタイプの日本人ビッグマンでは恐らく日本人no.1であり、年齢も「今季の1月で27歳」と、キャリアのイメージの割には実はまだ若いです。2022年のオフ以降、毎オフのように移籍の噂が出てます(そしてそのたびに「残留」が発表、これを現時点で3回繰り返してます)。
 ですけど今季。出場時間は「11分47秒」に減少。ですけど、「30分換算EFF」は「9.90」と、ほぼ例年通りです。
 ですのでシンプルに、移籍市場に出る合理的な理由を持つ。これもあり、特に「3.5番タイプの優良外国人を擁する」に該当の複数球団の争奪戦が、容易に想像できます。


 宇都宮(来季途中にニュービルの帰化の可能性が大。竹内公輔はいつ引退を決断でも驚かないし、仮に公輔が健在でも、中長期的な観点で補強に動く合理的な理由が)

 群馬(帰化枠のパーカーがいよいよ限界感が。ジョーンズはできるだけSFで起用したい。年齢構成が地味に高齢化しつつある意味でも)

 千葉J(かつて「渡邊雄太と一緒にプレーしたい」と述べていたことがあり、「ムーニーの控え」に慢性的課題を抱えているので、これへの対応にドンピシャの存在。ただ出場時間の意味では、いまの三河と恐らくほとんど変わらない可能性が高そうだが)

 横浜BC(いわゆる3.5番タイプの外国人をSF起用の「3ビッグ」を多用できる意味で。年齢構成的に、現有戦力のタイムラインとも合致できるし、観客数の爆増で補強資金が見込める意味でも)

 京都(「優良3.5番」の象徴であるカロイアロのSF起用での「3ビッグ」を基本型にできるメリットが。ジャクソンの帰化が実現するかにもよるが、補強が叶えば選手編成に大きな柔軟性を生み出せるし、ジャクソンが帰化枠になっても存在意義を持たせられることは、宇都宮での「エドワーズと公輔」で証明済み。CS出場をより現実圏にできる意味では、むしろ最優先ターゲットになり得る)

 大阪(「優良3.5番」のボンズを擁しており、しかも譲次が引退間近[恐らく持って来季までだろう]。その意味で、「なんとしても欲しい」切実な理由を最も持つ球団といえる。よくも悪くも「コアメンバー」が確立されているので、補強資金をドンと注ぎ込むことが可能)

 島根(イメージ的には「エヴァンスとの使い分け、あるいは同時起用」、つまり宇都宮の「エドワーズと公輔」のイメージ。以前にも実際に移籍候補の噂が上がっていた。谷口がもう戦力になっておらずで、シンプルにアップグレードになることも根拠であり、本拠地の大声援が見込めるメリットも)


 出るわ出るわ、なんと「補強に乗り出す合理的理由を持つ」が、広島を含めて8球団。恐らく高確率で、来オフの移籍市場の要注目選手、ってことになります。
 そこで活きるのが、岡崎GMの「どこよりも早く動く」傾向という特徴です。「エバンスをほぼ常時SF起用したい」理由の意味でも、シェーファーにとっては移籍の合理的理由になりますし、
 「エバンス-ブラックシアー-シェーファー」
 これにより、「エバンス、ブラックシアーを気持ちよく攻撃により専念できる」特大のメリットを生み出せます。
 そして、シェーファーの補強は、来季の2月に見込まれる「エバンスの帰化実現後の『ラストピース的な外国人』の補強」で、欲しい選手タイプの選手タイプに柔軟性を生み出せるメリットをも持ちます。

 競争相手が多いので、補強のハードルが高いことになりますが、シェーファーを獲れれば、「自分たちの戦術・選手編成の柔軟性」は勿論、「他球団の構想にダメージを与えられる」ことをも含めて、メリットが大きいことが伝わるかなです。


 第2に「大浦(三遠)」。実は大浦は、故郷が広島です。ですので、移籍市場に出る可能性が「ゼロではない」と判断できた際に、補強へと猛アタックできれば、「移籍先として選ぶ可能性がより大きい」と想像できます。
 (というか、いま広島のU15のHCを務めている「大浦祐斗さん」、もしかして、大浦のお兄さんですかね?)

 何故、移籍市場に出る可能性がより高いと読むかというと、理由はシンプルです、「レギュラーとして出場できる球団に」。今季の三遠では「6thマン」であり、大浦が6thマンであることが他球団の脅威になってます。


 大浦(8.82→14.03→17.21)
 寺嶋(11.48→11.11→×)


 はっきり述べれば、直近2年の大浦の「30分換算EFF」は、6thマンの数値をとっくに超えています(もともと秋田時代から将来性を期待されてきた選手ですが、ここまで成長を遂げるとは感慨深い感じがあります)。
 勿論、寺嶋もトップフォームを取り戻せれば「オールスターレベル」です。で、寺嶋の立場からすれば、「やり残したことがある」、たとえ大浦を獲ってきても、それですぐに退団することは恐らくしないでしょう。

 それにです。寺嶋も大浦も、PG/SG、どちらにも対応できます。イメージ的には、川崎の「篠山と藤井」のイメージで、寺嶋と大浦の同時起用を基本型にすると。
 何よりも、大浦は「貴重な地元選手」です。こんなチャンスは、恐らくこれを逃すともうないこと。


 そう、2023年オフ、京都が岡田を電撃補強したときのように。この補強は、京都の「時計の針」を動かし始めたこともですし、岡田にとってもイメージアップに成功になりました(言いたくはないが、この直近にゴシップを起こしている。それもあり、2023年オフはもう1年信州に残留するのがより合理的だと自分は思っていたので)。
 結果、岡田は、「オールスターレベル」の座まで辿り着きました(勿論、岡田に求められるのは更なる高みであり、それなくして京都の優勝はあり得ない訳だが)。あのときのゴシップを、この1年強の結果で(勝利数は別として)、見返すことには成功したといえます。観客動員数の爆増に大きく貢献したことをも含めて。

 しかも、寺嶋と大浦は「共に27歳」。28歳のブラックシアーを含めて、「来オフの大浦の補強は、広島のタイムラインに完全に合致の補強」といえるのです。恐らくそうなると、「寺嶋が篠山、大浦が藤井のように振る舞う」イメージになりますが、「ドライブがより得意の寺嶋、3Pがより得意の大浦」で、この役割分担は理に適うといえます。
 勿論、大浦を獲ることは、「球団にとってのフラッグシップの補強」にもなります。地元球団で、優勝を現実的に目指せるとなれば、これ以上ない話といえますから。
 (これ、少なからずあり得ると読んでるのは、今オフの細川のことも正直あります、三遠での2年間で大きな成長を遂げて、さらなる高みを目指して、「ご縁」のある球団にして優勝を現実圏で目指せる球団へとステップアップを遂げた意味で。)


 というか、実現できるかは別として、来オフの大浦獲りに全身全霊を挙げる、それで実現に持ち込めるで、「それでようやく、島根・琉球と同等以上に勝負できる」になるかなと思ってます。裏を返せば、それほどに今季の広島の現有戦力の日本人選手は「とてもやばい」ともいえる訳です。
 大浦を獲ることで、「攻め手の形を確保」することで、手持ちの若手有望株の「三谷、渡部」の成長を「待てる」メリットも生まれますし。これで、

 「寺嶋-大浦-エバンス-メイヨ-コッツァー(ブラックシアー)」

 来季開幕布陣として、これが仮に叶えば、優勝をもう1度目指せる青写真にできます。
 でもまずは、起きたことは仕方がない、「自分たちが『貫きたいこと』を再構築していく」こと。せっかく「降格がない」訳ですし、「ただ勝てばいい」ではなくて、「自分たちのフィロソフィー」ですね(「フィロソフィーを見失う」のが、プロバスケ球団として最もして欲しくないことですので)、まずはこれを第一義にして欲しい、これが正直な想いです。

 いえることは、引退即HCに就任した、朝山正悟HC。朝山HCが、(野球の中日の)立浪和義前監督のように、「ボロクソにいわれて、失意の感じで去る」、そうなって欲しくないのです。
 確かに立浪監督は、「3年連続最下位」、これは事実です。ですけど現実論、「やるのは選手である」訳で、「なにもそこまでいわなくても…」と正直感じてたんですよね。
 「タッツ」「カントク」「残酷な立波レイのテーゼ」。確かにいずれの替え歌も、歌詞がよくできていることは認めざるを得ません。ですけどそれでも、一連のすさまじい批判、正直、人格否定といわれても仕方ないレベルな訳で、「普通の人間ならば心が折れるよ」の感じで。

 恐らく球団側は、朝山HCは「新B1開幕を、朝山HCで」を前提にしてると想像なんですよね。特に最大の懸案の「新アリーナ構想」、広島駅北口案で話し合いが動き出したと伺ってますけど、これこそ「朝山HC」という切り札の賜物であると。
 その意味でも、今季は「我慢の年」といわざるを得ないですけど、来季以降、改めて逆襲を叶えて、CS出場、そしてさらなる高みへ、これを叶えて、「あの我慢のとき、あの悔しいときがあったから、もう1度、ファイナル、優勝の景色を叶えた」、そう思える感じであって欲しいと強く思うのです。


 平和活動に純粋に励む、広島や長崎を中心とする高校生(「高校生平和大使」「高校生1万人署名活動」)。「微力だけど、無力じゃない」という名言は、この高校生(の先人)から生まれました。この高校生の(代が替わっても貫き続けてる)地道な活動や理念、1人の人間として、ずっと応援し続けてます。
 だからこそなおさら、「明けない夜はない」、いまはこれが、正直な想いです。



 (8)滋賀(「新B1への土台作り」。まずスタイルの構築を)


 (1勝8敗。チームEFF[17位]、得失点差[21位]、ネットレーティング[21位]。)


 (←今季の滋賀の選手個人成績。)


 1年でB1復帰を叶えたのに、今オフ、むしろ戦力値は下がった。「12勝に届くのか」と開幕前は囁かれてた。
 今季の序盤9試合。結果は確かに、全体最下位争い。ただその内容は、意外にも結構勝負できてる試合が多い。
 よくも悪くも「攻撃は最大の防御」に全振りの感だが、「FG試投数(7位)、A/TO(11位)、TS%(15位)」と、攻撃面では勝負できている。
 外国人、アジア枠への依存度が高いが(現況ではある程度仕方ない)、「新B1への土台作り」と位置付けてる今季、最重要課題である「日本人選手の軸の確立」では、野本、常田に一定の目途が立ち始めているは光明だ。
 今季の滋賀で最も重要は、「スタイルの構築」、特に「貫きたいことを明確にできる」こと。その上で「この1本を仕留める」試合を積み上げたい。



 …と、想像以上にとても長くなってしまいましたけど、でも、「NBA選手名鑑風に、B1の全24球団の展望をする」、いつか是非やりたかったですので、想像以上の時間を要する誤算はありましたけど、「やり切った」が正直な実感です。
 これからも、何卒よろしく御願い申し上げます。


 【バスケットボール#52B】

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