比江島、優勝おめでとう!(その2)【#Bリーグ】【2022年CS決勝】
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まず、前回の記事、(その1)をリンク添付させて頂きます。
では、執筆を進めます。
CS決勝、宇都宮の勝因、琉球の敗因(比江島については後述で改めて)
CS決勝について、「今回の最大の主題」である比江島については、後述の節で改めて深く言及させて頂くとして、それ以外のことでも、「宇都宮の勝因」「琉球の敗因」はあると考えられますので、この節ではそういったことに光を当てようと思います。
「宇都宮の勝因」「琉球の敗因」の言及の前に、まずは「試合経過」から綴ります。
まず最初に、一バスケファンとして「驚いたこと」。
「宇都宮:琉球」のブースターが、「50:50」に近かったこと。
(これとは別に、10%程度「純粋なるバスケファン」の枠があったと思われることは、素直にとても嬉しいです。)
正直、「宇都宮ブースター」が、「60%~70%」は入るだろうと思ってましたので、これは驚きました。
「Bリーグ側が、うまく売ったなあ」と、「琉球ブースター、交通費を奮発したなあ」と。
「沖縄→東京」って、交通費と宿泊費を合算したら、恐らくかなりの予算になると思うんですよね。「人生で一度かもの貴重なチャンス」と理屈ではいえても、それを行動にしようとすると、結構ハードルがあるのではと。
だけど、「宇都宮ブースターの熱量」は、「50%」の感じでも、むしろ「いつも以上」の感じが映像越しに伝わってくる。
そう、「50%しかない」ではない、「50%もいるじゃん」と。
この「宇都宮ブースターの熱量」は、「宇都宮の勝因」の一つになったように映るんですよね。
第1戦の前夜に、琉球、宇都宮で各1人が、コロナ陽性で欠場になるとの発表がありました。
答えは、琉球は「並里」、宇都宮は「喜多川」でした。
これについて、「一スポーツファンとしての正直な気持ち」を綴ります。
野球の場合、コロナの「陽性」「擬陽性」「濃厚接触者」と判断されたら、選手名が球団HPで公表されて、それと同時に「選手登録公示」で「特例◎◎」(◎◎とは西暦年)として抹消手続きが公表されます。
これが、バスケの場合は、基本的に選手名が伏せられます。でも、試合本番になれば、誰が陽性になったかはおのずとわかってしまう訳です。
選手名を伏せることが、選手のためにも、何よりも見ている人間のためであるといえるのか?と。自分は、「とても激しく強い違和感」を抱きます。
(というか、「とても激しく強い違和感」という表現でも、「とても言葉を選んだ表現」のつもりです。もう少し踏み込んだ表現ができるならば、「意味わかんねえし!」です。)
ましてや、「CS決勝」という、バスケ人ならば誰もが目指す「最高の夢舞台」です。多くのバスケファンは勿論、スポーツファン(普段は他スポーツがメインの)、あるいは一般の視聴者だって見る訳です。
欠場者は誰なのか、それを公表する方が、選手にとっても、観客にとっても、そして自チームや相手チームが戦術を考える意味でも、「最高の夢舞台」なのだからこそ、公表する方がより望ましいのでは?と。そう考えるのは、自分だけでしょうか?
で、結果としては、この「欠場者が誰か」ということの「答え」は、特に「琉球の敗因」に大きく直結することになってしまった、一バスケファンとして、自分はそう思ってます(誰よりも並里自身が悔しいと想像しますし、並里に非がある訳ではない、いわばこの場合「不慮の事故」のようなもの。だからこそ、欠場者が誰かをそのときにすぐに公表せずに伏せることは、かえってむしろ並里をより傷つけることになってしまったのでは?と)。
そう、これは自分の「一スポーツファンとしての持論」ですけど、
「ファンあってのプロスポーツ」「相手あってのプロスポーツ」
と自分は思うのです。
来季からは、野球のように、選手名を公表した方がより望ましいと考えるのは、自分だけでしょうか(「5人以上の集団感染」でならば、試合開催自体が難しくなるので、その場合はいままで通り名前を伏せてもよいと考えますけど)?公表しても、「ほんとうのバスケファン」ならば、その選手を責めることはあり得ないと強く伝えたいですけど。
切ない話が長くなって、ごめんなさい。試合経過へと話を進めます。
尤も自分は、この第1戦も第2戦も、食事と重なってしまったので、前半は一部が、メモ書き断念の感じでしたけど。
「第1戦」。
2Q終了時点で「35-38」、宇都宮が3点差でリード。
「3Q、2:15」、「55-50」と琉球リードの展開。このままだと宇都宮にとっては「80失点ペース」のピンチ。
この「3Q、2:15」、宇都宮が後半1回目の「60秒TO」。
この「3Q、2:15」での安齋HCの「60秒TO」行使の判断が「宇都宮の大きな勝因」になった、その後の試合展開をも踏まえると、そう強く感じます。
TO明け。「56-54」で3Q終了でしたけど、TO明けでの失点は「今村の1FT」のみにとどめた(そもそもこの1FTは、60秒TO行使の時点での「バスカン」[「バスケットカウント」。「アンドワン」ともいいます]で献上が確定でしたので、失点はゼロに留めたと同義といえます)。この時点で既に、流れは「宇都宮ペース」でした。
「運命の4Q」。第1戦の最大の勝因は、比江島の4Qでの「比江島ステップ4連発」です。
(「9:04」[バスカン]「7:30」「6:19」[バスカン]「5:40」)
この「比江島ステップ4連発」だけで、一気に「10得点」(その後に「1FT」も入れて、4Qだけで「11得点」)。これについては、後述で節を別に設けて改めて言及させて頂きます。
「比江島ステップ4連発」の4回目の発動終了時点で、「4Q、5:40」。
スコアでは「58-67」。ここで琉球は、後半2回目の「60秒TO」を行使。
で、「60秒TO明け」である「4Q、5:40」。ここで琉球は、ゲイリー(小寺)を投入。
「岸本-今村-エバンス-ダーラム-ゲイリー」の、「ビッグラインナップ」という「琉球の勝負手」に出ます。
「琉球の『ビッグラインナップ』に、宇都宮はどう対応するのか?宇都宮は何かしらの『専用戦術』を用意できてるのか?」
(今季、琉球がRSでの勝率「.875」という圧倒的な勝率になった要素の一つとして「ビッグラインナップの効果的な活用」があったと映ります。
はっきり述べれば、「帰化枠であるゲイリーの活用」です。
ゲイリーの特徴は「リバウンド、スティール、アシストに特化」です。
絶対的なスピードはない、得点力はない[しかもシュートレンジは「ゴール下にほぼ限定」]、FTは「ハック戦術の餌食」レベル、ブロックもほとんどない。
だけど、「違い」になってる。それは「バスケIQの高さ」であり、自分ができることを[豊富な経験を通して]わかっているからではと。特にアシストの多さは、ビッグマンとしては稀有な特徴といえる。
それ故に、「エバンス(ダーラム)-ゲイリー-クーリー」でも、「エバンス-ダーラム-ゲイリー」でも、いずれの形でも機能できる。
では宇都宮ができる「専用戦術」はというと、恐らくは「2つ」。
第1の戦術は「(竹内)公輔の活用での『ビッグラインナップ』」。具体的には「フィーラー-公輔-スコット(フォトゥ)」。
第2の戦術は「(ゲイリーの弱点を突いての)スピード重視の戦術」。特に「フィーラーのPF起用を増やす」及び「鵤、渡邊、テーブスの中からの2ガード+比江島」の併用、である。つまり
「テーブス(鵤)-鵤(渡邊)-比江島-フィーラー-スコット(フォトゥ)」
を、「ビッグラインナップ対策での専用布陣」とする方法である。)
(2022年5月27日、「CS決勝(琉球vs宇都宮。2022年)、自分なりの展望(その2)」より抜粋。)
「4Q、5:40」、「58-67」、琉球が「9点差で負けている」展開で、切った「必殺の勝負手」といえる「ビッグラインナップ」。
しかし、宇都宮はこの琉球の「ビッグラインナップ」を「待っていた」と、試合を見ていて感じました。これは、特に「3Q、2:15」の宇都宮の「60秒TO」行使時からを改めて見返して強く感じたことです。
宇都宮が「vsビッグラインナップ」を踏まえて使った布陣。
「鵤-遠藤-比江島-フィーラー-スコット」。
そう、「フィーラーのPF起用」での対応でした。しかしそれは、宇都宮(安齋HC)にとっては「対応戦術のうちの一つ」にすぎなかった。
「4Q、4:45」。「58-67」のままで、「オフィシャル90秒TO」、つまり「クラッチタイム」突入になります。
TO明け。琉球は「ビッグラインナップ」のまま。
宇都宮は「テーブス-鵤-遠藤-フォトゥ-スコット」。
つまり「2PG+遠藤+2ビッグマン」できました。
「2PG+遠藤」は、安齋HCらしい戦術といえる。ただ「2ビッグマン」は正直、意外でしたけど、これが結論を述べると「成功」になります。
「4Q、4:14」。「遠藤→スコット」の連携2Pで「60-69」。
いわゆる「ハイローの合わせプレー」ですけど、ここ、「ゲイリーの棒立ち」を遠藤が瞬時に見抜いてのプレーなんですよね。つまり「宇都宮のゲイリー攻略(1)」。
「4Q、4:01」。宇都宮は「遠藤→比江島」。
つまり「テーブス-鵤-比江島-フォトゥ-スコット」。
直後の、スコットの2FT。「2本共に成功」で「60-71」。
「4Q、3:48~3:43」。宇都宮はこのとき、「ゲイリーにOR(オフェンスリバウンド)をさせない守備」をしています。つまり「宇都宮のゲイリー攻略(2)」。結果は「ダーラムのゴール下2Pの失敗」です。
で、「4Q、3:27」。スコットのポストアップ(パワードリブル)に対して、判定は「ゲイリーのフロッピングによる『テクニカルファウル』」。
(「フロッピング」とは、「わざと倒れて審判を欺く行為」です。)
正直、自分はこの判定は、結論自体は「まあ、納得ではあるかな」ですけど、
「ビデオ判定をして欲しかった。その方がより公正だった。CS決勝という大舞台で、多くの人間が見ているからこそ、その方が『より多くの納得を得らえる』と考えるから。」
が、一バスケファンとしての自分の解釈です。この「フロッピング」は、自分は納得できますが、映像を見ると「スコットが『肘打ち』をしてゲイリーを倒した」ようにも見えます。これは確かに、解釈が分かれる「納得が得づらい判定」だよなあ…、と。
ただ、「バスケットLIVE」では、ゲスト解説の田口成浩さん(秋田)が
「ゲイリーはこの試合だけで『フロッピング』が3回目ですので、『わざとらしさがあからさまでしたね』」
と仰ってるんですよね。ああ、そういうことなのかなと。
ともあれ、「フロッピング」と思われる動きをしたゲイリーが悪いとなる訳で、判定は比江島の1FT。これを成功させて、「61-72」。
その後、「4Q、3:00」。スコットが再びポストアップをして、これにゲイリーは対応できない。しかもその上、フォトゥがOR(セカンドチャンス)ができるポジショニングに既に入っている。
結果は「スコットのバスカン」(これで「61-76」。その後の1FTは失敗でしたが)。これも、フォトゥのポジショニングを含めて、「ゲイリーの機動力不足」を突いた連携プレーなんですよね。つまり「宇都宮のゲイリー攻略(3)」。
で、ゲイリーはベンチへ。この「4Q、3:00」の時点で「61-76」、宇都宮が「15点差」でリード、勝負あり。
「ゲイリーの起用時間である2分46秒間」で、宇都宮が「3-9」のラン。
つまり、宇都宮は「ゲイリーをスコア以上に完璧に攻略」したといえます。
そう、どういうことかというと、宇都宮は「ゲイリーの弱点」として
「一瞬の『機動力』、つまり『クイックネス』に弱い。横幅が長い割に、得点力やブロック力に乏しい。だから『一瞬の細かい動き』に反応できずに『棒立ちにさせる』『置き去りにする』状況を生み出せる」
と判断していたのではと。これ故に、宇都宮は「ゲイリーという勝負手」を事実上封じた。
最終スコアは「61-80」、宇都宮が「19点差」で完勝。
「3Q、2:15」の「60秒TO」行使後は、宇都宮の「6-30」のラン。
琉球としては、「東京という立地」「CS決勝での経験値」を考えると、「2連勝」で決めたかっただけに、第1戦で宇都宮が勝利したことは、それだけでも宇都宮にとって大きなアドバンテージになった。
しかも、「ゲイリーという勝負手」が、第2戦では「もう使えない」となる。この意味でも、宇都宮にとっては「スコア以上の完勝劇」といえます。
勿論、宇都宮にとっては、喜多川の不在は、ダメージは「ゼロではない」感じではあったでしょう。ですけど、荒谷の成長もあり、戦術的なダメージは「ほとんどない」といってよかった。
それに対して、琉球は、「並里の不在自体が大きなダメージ」といえる。
これに加えて、ゲイリーも「事実上は使えない」となってしまった。
(宇都宮は「帰化枠/アジア枠」不在。それ故に琉球は「vs宇都宮」を考えれば、ゲイリーは「帰化枠」の意味でも「大きな切り札」のはずだった。)
上述の要素が故に、機能できそうな選手が
「岸本、フリッピン、今村、小野寺、エバンス、ダーラム、クーリー」
と、琉球は事実上の「7人ローテ」に追い込まれてしまった。
琉球は、CS準決勝では、島根が「8人ローテ」という弱点をうまく突いて、これが決勝進出の大きな勝因の一つになりました。
(「8人ローテ」自体は、CSレベルになればよくある戦術です。ですけど島根は、RSでは「6人~7人ローテ」が少なからずあったので、これによる「無意識的な疲労の蓄積」が、CS準決勝で大きなダメージになってしまった感じなんですよね。)
しかし、琉球にとっては、自分たちが「CS準決勝の島根」と似た状況に追い込まれてしまった。
いわばこの時点で、琉球は「『詰み』の一歩手前」。
宇都宮は、「あと1勝」以上に、優勝に大きく近付く第1戦になった。
このことを、自分は「第1戦の終了時点」で、強く感じたんですよね。
そう、「比江島の『悲願成就』」は、見えるところにいる!と。
で、「第2戦」。
2Q終了時点で「30-38」、宇都宮が8点差でリード。
しかし3Qでは、琉球が激しく追い上げる。
「3Q、3:03」。エバンスが「バスカン」奪取、1FTも成功で「48-52」。
このプレーで、比江島が「3ファウル」、つまり「ファウルトラブル」に。琉球にとっては、「比江島のファウルトラブル」という「最も持ち込みたかった展開」になります。
しかし、3Q終了時点で「54-55」、宇都宮が1点差でリード。
そう、「比江島の不在時間である3分3秒間」で、宇都宮は「6-3」にとどめた。追い上げられたけど、6失点でとどめた。これが4Qに効くことになります。
「運命の4Q」。4Q開始と同時に、比江島がコートイン。
4Qは、まずは宇都宮ペースで進みます。
「4Q、4:50」、「オフィシャル90秒TO」、つまり「クラッチタイム」突入。この時点で「58-66」、宇都宮が8点差でリード。
この「90秒TO」の少し前に、琉球は岸本が右ハムストリング?を負傷で、ベンチに下がる苦しい展開でした。
「4Q、3:26」。「60-68」、宇都宮が8点差でリード。
ここで琉球の岸本。「気持ち」でのコートイン。会場が大きな拍手に。
「4Q、2:58」。岸本、左コーナーからの3P成功!「63-68」。
一人のバスケファンとして、この岸本の3Pは「とても心に響く一場面」でした。
で、「4Q、1:43」。この時点で「66-70」。
宇都宮がリードだけど、激しい接戦のまま、時間が過ぎる。
ここで、「鵤のビッグプレー」が2連発で出ます。
1回目、「4Q、1:32」。ポストアップからのフックシュート2P、これで「66-72」。ここで琉球が後半2回目の「60秒TO」。
2回目、「4Q、1:08」。リングアタック2P、これで「69-74」。
2回共に、鵤の独特のプレイヤー特性、つまり「PG/SGなのに、横幅を用いてのパワーを活かすプレースタイル」が活きたといえます。勿論、鵤の「バスケIQの高さ」の賜物ともいえます。
その後、「4Q、0:59」、今村が左コーナーからの3P成功で「72-74」。
琉球が逆転勝利の芽を残した状況で、宇都宮の攻撃です。
「4Q、0:46」。宇都宮の選択は、「比江島の1on1」、いわゆる「比江島ステップ」です。
きた、わかっている、しかし比江島が止めさせない!
「バスケットカウント」!「72-76」。
で、比江島が「雄叫びを上げる」。
その後の1FTも成功、「72-77」。
これが、「宇都宮の優勝を大きく引き寄せる一場面」になりました。
このプレーで、クーリーが「5ファウル、退場」。
クーリーは「涙で潤んでいる」ように、自分には映りました。
で、琉球は後半ラストの「60秒TO」行使。
その後に琉球は追い上げて、「4Q、0:22」で「75-77」。
ここで宇都宮が後半2回目の「60秒TO」。
宇都宮は「14秒」を選択、つまり「デザインプレー」の判断です。
デザインプレーは「比江島の1on1」。
琉球は、フリッピンがファウルをしてしまった。
結果、比江島に2FTを献上。2本共に決めて「75-79」。
これで「勝負あり」。その後にも比江島が2FT。うち1本成功で「75-80」。この時点で「残り6.5秒」。
しかし、ドラマはこれで終わりませんでした。
「残り5.6秒」。比江島がフリッピンの「一瞬の隙」を逃さずにスティール!そのまま速攻レイアップ2Pで「75-82」!
で、試合終了。最終スコアは「75-82」、宇都宮が「2勝0敗」で優勝。
比江島は試合終了のブザーと共に「号泣」。
一方の岸本は、悔しさを堪えながら、宇都宮の選手やスタッフに「おめでとう」の声掛け。
岸本は、恐らく悔しかったと想像します。ですけど、「誇り高く散った」、自分はこの姿勢が伝わってきました。
以上が、CS決勝、「第1戦」「第2戦」それぞれの試合経過です。
これを踏まえて、「宇都宮の勝因」「琉球の敗因」を、下記に自分なりに示させて頂きます。
【CS決勝(琉球vs宇都宮)、自分(愛球人)が考える「宇都宮の勝因」「琉球の敗因」。】
(「比江島の活躍」については、別途の節で改めて言及させて頂きます。)
(1)[勝因1]「宇都宮の選手の『守備戦術のレパートリー』『バスケIQの高さ』。」
(最大の勝因は恐らくこれ。独特で複雑な守備戦術[特に「マッチアップゾーン」]を巧みに使い分けたこと、その判断能力。そして、宇都宮の各選手から伝わる「バスケIQ」及び「遂行力」の高さ。特に第2戦で「比江島のファウルトラブル」という最大のピンチを乗り切ったことは、この「バスケIQ」及び「遂行力」の賜物といえる。
「個の力」という意味では、見た目のEFF等のスタッツでは、「比江島」「3外国人」に依存しているように映るけど、「スタッツに現れないチーム力」は確かに存在すること、だから「バスケは面白いし奥が深い」を学ばせてくれたともいえる。)
(2)[勝因2]「安齋HC(及びチームスタッフ)の『TO(タイムアウト)の的確な判断』と『スカウティング』。」
(特に秀逸なのが、第1戦での「3Q、2:15」の「60秒TO」行使の判断。少しでもタイミングが後ろにずれていたら「80失点ペース」に陥って「詰み」になっていた。
これに加えて、特に「ゲイリー対策」の的確性。ゲイリーを封じることで、琉球は「自分たちの大きな勝負手」を封じられて、「戦術クーリー」へと追い込まれた感がある。第2戦での「クーリーの5ファウル」は、第1戦で「ゲイリー対策」を完膚なきまでに徹底の帰結といえるのでは。)
(3)[勝因3]「『宇都宮ブースター』の圧倒的な熱量。」
(蓋を開ければ比率こそ「50%」であったけど、むしろ比率として「50%もいるじゃん」という感じに一瞬で持ち込んだこと。アニメオタクの世界での「訓練されている」という言葉がぴったりというか、宇都宮は「バスケが文化になっている」ことを存分に証明しているといえる、これは拍手や歓声のタイミングをも含めて。)
(4)[敗因1]「第1戦で『ゲイリー対策』を完膚なきまでにされたこと。」
((2)と密接にリンクするけど、琉球の「ゲイリーの活用」による「ビッグラインナップ」は、今季は「サイズ面での有利」でプラスに作用してきた。しかしこのCS決勝では「ゲイリーの活用」はむしろ「スピード、機動力、クイックネスの不足感」「リムプロテクターとしての不足感」という弱点を炙り出された感じになり、これで琉球は「自分たちの大きな勝負手の一つ」を封じられて、第2戦での「クーリーの5ファウル」に直結してしまった。)
(5)[敗因2]「並里の突然の強制欠場。これにより、『並里と岸本の【2人で1つ】』という『琉球の代名詞』自体を封じられた。」
(一バスケファンとしては、このCS決勝は「並里の突然の強制欠場」の時点で、琉球はとても苦しい戦いに追い込まれてしまった、いわば「最大の敗因」と思ってます。川崎がCS準決勝での「アギラールの強制欠場」が「最大の敗因」になってしまったように。
「これもバスケである」、確かにそうです。理屈としては、理解できなくはないです。ですけど、琉球はこの6年間ずっと、「並里と岸本、2人のPGが御互いを高め合って助け合って、ずっと地道に積み上げ続けてきた」、いわば「存在自体が戦術」いや「存在自体が代名詞」。
それが、突然にこのような形で、いわば「自分たちの生命線自体を否定された」。これは、「スタイル面」でも「起用法面」でも、そして特に「精神面」でも、想像以上に無意識的に大きなマイナスの影響になってしまい、4Qという勝負所でこれが顕著に現れてしまった感がとても強い。)
「『if』『たられば』はよくない」。
確かに、本来ならば、それが真理であると強く思います。
ですけど、このCS決勝。自分は、琉球目線でとらえると、
「あまりにも残酷な結末、残酷な2日間」
正直、そう強く感じてしまってます。
並里と岸本が、共にコートに立って、それで真っ向勝負をして欲しかった。
「真っ向勝負」をして、それで負けたら、「勝負した結果だから、仕方ない」と納得できたでしょう。
でも結果は、「真っ向勝負自体をさせてもらえなかった」。
そう、並里がコートに、いや会場(東京体育館)自体に立つことが叶わなかった時点で。
あのCS決勝の第2戦。宇都宮の優勝が決まったとき。
岸本は、最後まで「誇り高い姿勢」を貫いていた。
でもほんとうは、誰よりも悔しかったはずです。
「自分たちがずっと6年間積み上げてきたバスケ」を、ぶつけさせてもらえなかったことが。結果以上に、「自分たちらしさ」を表現する前提条件を奪われたこと自体が。
「『if』『たられば』はよくない」。
確かに、本来ならば、それが真理であると強く思います。
もし、並里と岸本が「共にコートに立つ」ことが叶っていたら。
たとえそうでも、宇都宮が有利に試合を進めていた可能性は高かっただろうと感じます。それほどに、特にこのCS決勝の比江島は、「キャリアハイ」を存分に示し続けていた。
それでも、琉球が勝機を引き寄せる可能性は、並里がいれば、恐らくより高まっていたと感じます。第1戦は「3Q、2:15」までは琉球ペースでの試合でしたし、第2戦でも激しい接戦で進み続けていましたから。
自分は、「一人のバスケファン」であることと共に、「一人の比江島ファン」です。ですので、今回のCS決勝で、宇都宮が、というか「比江島が優勝を叶えた」ことは、自分にとっては最高の結末です。
ですけど、それは琉球が、並里と岸本が共にコートに立つ状況でこその結末で、あって欲しかった。
切ない、悔しい、悲しい気持ちを、堪えられない自分がいます。
「これもバスケ」、そう言い聞かせた上で。
それと、これはあくまでも自分の解釈ですけど、
「宇都宮は、結果論だけど、RS最終戦でのA東京戦で敗戦(70-81)したことが、CSでの組み合わせや立地でむしろ有利に作用した感が。
CSを全試合で『関東圏での試合』ができたことで、『宇都宮ブースターが大挙して現地参戦』できて、事実上の『中立地化』に持ち込めた。
しかもCSの第1S、準決勝の4試合で『中立地での試合』の予行演習ができたことで、決勝で『50%』にとどまっても、むしろそれをプラスに変えることができた。」
そう強く思ってるんですよね。
もし、宇都宮がRS最終戦(5月8日日曜日、vsA東京)で勝利できていれば、CS第1Sの相手は、「vs島根、アウェー(松江での開催)」になっていました。
今季の「島根ブースターの熱量」を考えると、島根開催だと「よくて20%」で、事実上の「完全アウェー」に持ち込まれていた可能性が高い。
その場合、今回の現実のように、「CSで6戦全勝」という「完全制覇」は叶っていなかった可能性が高い(しかも、仮に「vs島根」で勝利できたとしても、準決勝が「vs琉球」、しかも「沖縄アリーナ」になっていた。しかも「並里がいる琉球」との試合になっていただろうことを考えると、「少なからず異なる結末」になっていた可能性は充分にあるだろうと。それが「2勝1敗で宇都宮の決勝進出」でも、「琉球の決勝進出」でも)。
それと、もう一つ。
今回の「CS決勝」。比江島の活躍もですけど、個人的に、一バスケファンとして「心に響く印象的な一場面」があって。
第1戦、「4Q、2:21」、「61-78」。
琉球、クーリーの2FTの2投目を投げる直前(結果は「2FT、いずれも失敗」)。
バスケットLIVEでの、「2:17:25~2:17:30」。
2人の若い女性(琉球ブースター)が、祈るような想いで見る姿。
(「祈るような想い」で観ているのは、右側の女性。ちなみに2人共に、マスク越しに長い髪が似合ってるのが特徴的。)
結果は「失敗」でしたけど、「想いよ、届いて!」というのが映像越しに伝わって、それがとても心に響いたんですよね。
それと、「スポーツの裾野を拡げる」「スポーツの魅力を伝える」には、「子ども」「若い女性」に訴え掛けるのがより説得力があることを、改めて強く感じます。
気が付けば、この時点で既に、かなりの文字数になっています。
では、「CS決勝での比江島」を、(その3)で綴らせて頂きます。
【バスケットボール#12B】