2023年新春、なぜ宇都宮は、今季に一気に輝きを失っているのか?(その2。「正PGと共に重要な2つの要補強ポイント」)【バスケ】【Bリーグ】
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まず、前回の記事、(その1)をリンク添付させて頂きます。
では、執筆を進めます。
今オフの移籍市場で、宇都宮の最大の要補強ターゲットは「新外国人の正PG」。これと共に必要な2つの要補強ポイント、それが「良質な日本人ビッグマンの正PF」及び「守備型の第2PG」。
最初に、今回のnote記事での(その2)のトップ画像の選手。
この選手、「Markquis Nowell」(マーキース・ノウェル)という、「カンザス州立大学4年生[実質は5年生。途中転校を経ているため]、PG」です。
最初に結論を述べますと、これはあくまでも「自分が宇都宮のGMならば」ではありますけど、「今オフの宇都宮の移籍市場での最大の要補強ターゲットは『正PGを務め得る新外国人』」ですけど、宇都宮に「最もドンピシャの選手」が、この「マーキース・ノウェル」である、これが今回のnote記事で「最も伝えたいこと」です。
後述で説明しますけど、NCAAでの成績を見ると、
「いや、『NBAのドラフト2巡目』があり得るかも?」
という、今季はすさまじい成績を挙げています。
「いや、NBAは難しくても『中国CBA』が手を挙げるでしょう?」
と考えるかもです、確かに「中国CBA」は、ノウェルのようなタイプのPGを活かす術を持っています。
ですけど、そういったことをも考慮しても、自分は
「ノウェルのような選手タイプのPGは『Bリーグでこそ最も輝ける』!」
そう強く考えています。
確かに、例えばBリーグが誕生したときでならば、ノウェルのようなレベルの選手が「新人としていきなりBリーグ入団があり得る」は、恐らくまず考えられなかったでしょう。
で、後で改めて説明させて頂きますけど、
「ディージェイ・ニュービル(大阪。PG/SG/SF)」。
2020年に大阪に入団して、今季で3年目です。「神」の愛称を持ち、大阪では説明不要の「絶対的エース」です。
そう、ニュービルのBリーグ入団は、Bリーグのレベル、ステータスを一気に引き上げました。ニュービルは「豪州NBLで3年間在籍」で、「豪州NBLで最優秀守備選手賞を受賞」の触れ込みでBリーグ入りしたのですけど、そこでの圧倒的(というかセンセーショナル)な活躍は勿論、それ以上に
「日本はいいぞ、Bリーグはいいぞ」
を本心として発信し続けてきました。しかもいまでは、
「1年でも長く大阪でプレーしたい、いずれは帰化も考えたい。」
との意志を示すまでになっています。
ニュービルの入団は、それまででだとBリーグを所属球団の候補として考えなかったであろうレベルの選手を「Bリーグでプレーしようかな」と現実的な選択肢として考えるほどになりました。
いま挙げた3人、いずれも「現時点でBリーグでプレーしている外国人選手」です。尤も野球にもいえますが、「いや、何か弱点があるから日本に来るんだよ。」という言葉がありますし、確かに「言い得て妙」ではありますけど、その一方で「できるプレーに特化させれば、とても質が高い選手」が集うようになったともいえます。
「クーリー(琉球)、スコット、サイズ(A東京)、エサトン(名古屋D)、ディアロ、ジャクソン(横浜BC)」といった「古典型ビッグマン」は、特にこの最たるものです。
そのような流れの中で、昨秋に衝撃的な入団劇がありました。
「コフィ・コーバーン」(Kofi Cockburn)。
コーバーンもあとで改めて説明させて頂くかなですけど、NCAAでは圧倒的な成績を示して、昨夏のNBAドラフトでは「2巡目で指名の可能性がある」といわれていました。
コーバーンのレベルの選手が、「プロ最初の球団としてBリーグを選んでくれた」ことに歓迎と驚きの声が多かったですし、それも入団先が「B1リーグで残留争いにどっぷりの球団」であることが、なおさら驚きでした。
あとで改めて説明させて頂きますけど、今回メインで取り上げる「マーキース・ノウェル」は、かなりかみ砕いて述べれば
と強く考えます。
ノウェルの具体的考察、あるいは「新外国人の正PGの他の補強候補」については、後述でより深く言及させて頂きます。
では、(その1)のラストで綴った、「自分がGMならば」の「今オフ及び来季の宇都宮のより望ましい選手編成のアウトライン」を、改めて示させて頂くことから考察を進めさせて頂きます。
そう、今オフの移籍市場での宇都宮の「要補強ターゲット」は3つです。
(その1)からずっと、「宇都宮がコンテンダーに返り咲きたいならば、正PGのグレードアップがマストである」と強調していますけど、これは「Bリーグの特有の傾向」が正直あります。
1月2日にアップさせて頂いた、この2023年の「新春大型企画」で取り組んだ「河村勇輝(横浜BC)の海外挑戦の可能性」で、「豪州NBL(全10球団)の特徴」に言及させて頂きました。
自分自身、調べて発見でしたけど、豪州NBLは、NBAのように「BIG3」や「スーパーデュオ」のポジションはとても多様です。
それに対してBリーグの場合は、勿論一部の例外チームはありますが、
これがとても顕著なんですよね。これは特に「EFF」に顕著に示されていて、Bリーグの場合、EFFは「チーム1位」は「CまたはPF」で、PGはほぼ「チーム3位」(スタメンの中では)なことが多い。その一方で、「ウィング/シューター」と呼ばれる傾向が強い「SG/SF」は、EFFが抑えめである傾向が強いのです。
勿論、正PGの能力とチーム成績は必ずしも明確な相関関係がある訳ではないですけど、ある程度の傾向は感じられるんですよね。
そう考えると、正PGが「BIG3」の一翼にいれば、「スコット」のインサイドプレイ、「比江島」の1on1や爆発力がより活きるのでは?と考えるのが、正PGのグレードアップが最重要命題であると考える理由です。
で、鵤の魅力って、「バスケIQ」と「守備技術」と思ってるんですよね。
そう考えると、「エースキラー役」によりウェイトを置く役割を与えた方が、より活きるのでは?ということ。そうなると「正SG」の方が、鵤の特徴がより活きると考える訳です。
それに、いまリンク添付させて頂きましたけど、ここ数年、特にNBAでは
「ハンドラー」「ウィング」「ビッグマン」
と、「3つの役割を5人でそれぞれ務める」という考え方へと変化してきていること。
実際、この流れはここ1年半ほどのBリーグにも持ち込まれてきている感があります。
いまでも主流は「ハンドラー=PG」ですけど、例えば今季の京都は「2ガード」が基本型になっています(基本、久保田が「1stハンドラー」だけど、ライトが「2ndハンドラー」を務めて、これが「戦術に幅を持たせたり」「相手に的を絞らせづらくしたり」の効力がある)。あるいは今季でだと、琉球、千葉Jは「ポジションレスバスケ」に取り組んでいます。
で、宇都宮の場合、いまは比江島が「2ndハンドラー」を務めています。ロシター在籍時はロシターもハンドラーを務めたり、昨季だとフィーラーのハンドラーの場面が少なからずありました。今季は、本来は「使われる型」であるスコットがハンドラーを務める場面がたまにですがあります。
そう考えると、鵤は「2ndハンドラー」というか「2ガードの一翼」、つまり「京都でいうライトの役割の宇都宮ver」が最も活きるのではが、感じていることの一つです。
(2)「『正PFを務める、良質の日本人ビッグマン』、具体的には『シェーファー(三河)』。」
「『正PGのグレードアップ』が『最重要の補強ポイント』である。」
と自分は今回繰り返し強調させて頂いてますけど、これがより機能的にできるには、
「『正PFを務め得る良質な日本人ビッグマンの補強』、具体的には『シェーファー』の1択。」
と自分は考えています。裏を返せば、
「シェーファーを今オフに獲れなければ、正PGのグレードアップに成功できても、効力は限定的なままである。なぜなら『強度の強い守備とシュートレンジを兼備の良質な日本人の正PF』は『シェーファーの事実上1択』。」
これが正直あります。
1月7日にアップの、今季の島根のことを綴らせて頂いたnote記事。
そこで、「今オフの移籍市場での島根の要補強ポイント」にも言及させて頂いて、そこでシェーファーにも言及させて頂いてます。ただし位置付け的には、「『3.5番寄り』の第4ビッグマン」です。
今オフの移籍市場で、恐らく高確率で「要注目選手」になると読んでいる「西野(SR渋谷)」。確かに今季は成績を大きく向上させてます。
いま、日本人ビッグマンに求められてるのは「『3.5番タイプ』、より深く述べれば『張本(名古屋D)タイプ』」であると考えてますけど、西野はまさしくこのタイプです、「速いバスケ」と特に相性が良くて、いわば「いくつかのB1球団のニーズにドンピシャ」なんですよね。
ただ、西野は地元に近い「大阪、京都」をはじめ、「第4ビッグマン」が要補強ポイントの「横浜BC」を含めて、いま挙げた3球団がよりポールポジションになりそうな感がと。正直宇都宮は、手を挙げる価値はあると思いますけど、「自分が西野の立場ならば」の意味では、「いま挙げた3球団と同等以上のメリットを宇都宮に見出しづらい感」があるんですよね。
それとシンプルに、「インサイドで体を張れる資質能力」の意味で、シェーファーは「日本人ビッグマンの中では特に良質」であると感じてます。
直近のオールスターで「22得点、3P『6/10』、5R、25EFF」と、まあこれは「上振れ感」を正直感じるとはいえ、「能力の高さを証明できている」ことが伝わるのです。
今季は「30分換算でのEFF『7.87』、eFG%『44.0%』」と苦しんでますが、昨季は「30分換算でのEFF『12.15』、eFG%『54.2%』」の好成績です。
で、長く宇都宮に在籍している(竹内)公輔の「30分換算でのEFF」。
「今季(9.67)、昨季(12.04)」です。
いま、(竹内)公輔は「この1月末で38歳」です。で、シェーファーは「この1月末で25歳」です。
「公輔が健在のうちに『若手no.1の日本人ビッグマン』を補強する。」
ことは、短期・中長期の両面で「大きなプラスの補強」といえます。
そう、どうしても「日本人ビッグマン」は、「帰化枠ビッグマン」に比してでも見劣りする傾向で、「竹内兄弟(公輔、譲次[大阪])はその意味でとても貴重」であり続けてきてます。大阪がニュービルを擁し続けられているのは、勿論「ニュービルの資質能力の稀有さ」もですけど、譲次(及び帰化枠のブラウン)の「良質さ」も大きいと考えるのです。
で、「竹内兄弟」、あるいはタイプが異なるけど「張本」、あるいは「永吉(福岡)」に続く若手の日本人ビッグマンがなかなか見当たらない。
ですけど、シェーファーは「若手の日本人ビッグマンでは、その良質さは唯一無二である」、そう強く考えるのです。
それに、シェーファーは
と、「ストレッチ4」の資質をより強めていることも、プラス要素です。
で、シェーファーは機動力があるので、「リムラン」ができることは勿論、「ビッグラインナップ時のSF」にも恐らく対応可能と考えます。
特に(パターンC)のように「オール190cm以上、うち200cm以上が3人」というオプションを「1つの方法として組み込める」ことは大きなプラスですし、ハンドラー的役割ができる比江島の存在はやはりとても大きいと映ります。
(3)「『SGにも対応可能である、エースキラー型(守備型)である第2PG』、具体的には『青木(広島)』。」
今季、宇都宮はとにかく「質量両面でPGに苦しんでいる」感があります。
鵤は「CSレベルでは攻撃面で怖さを与えられてない」、渡邉は「精神的支柱では必要だが、爆発力は減退傾向が否めない」、笠井は「申し訳ないけど、CSレベルではそもそも資質不足。ナイスガイだが」の感です。
昨オフのテーブスの放出自体は「やむなしであった」と考えてます。時間の経過につれて、「宇都宮のスタイルとの『乖離感』が大きくなる一方である」感は隠せなくなっていました。
ですので、「テーブスの放出自体が間違ってたとは思わない、問題は第2PGを確保できなかった同然であること」と考えてます。
で、昨オフは最終的には控えPGとして「笠井」を獲得しました。正直、「CSレベルの第2PGで、かつ守備力に優れるタイプ」自体が「いないに等しかった」ことに照らせば、「次善策の感は否めないけど、獲れなかったよりは意義はある」、裏を返せばそれ以上でも以下でもなかったと。
で、今オフの移籍市場での宇都宮。「正PGのグレードアップ」が最重要であると考えてますけど、「SGを兼務できて、かつエースキラー型になり得る守備型の第2PG」も「とても重要な要補強ポイント」であると考えてます。
「エースキラー型になり得る、守備力が魅力のPG」、例えば
「森井(横浜BC)、伊藤達(名古屋D)、小西(京都)」のような資質能力のタイプ、これをイメージしてます(勿論、いま挙げた3人はいずれも移籍市場に出ることが非現実的ですけど。小西は「1年でも長く京都でプレーしたい」と考えてると想像ですし)。
「エースキラー型のPGで、かつSGをも兼務できるサイズとスピードを持つ」資質能力を持つ、これに該当し得るのは、今オフの移籍市場に出る可能性がある意味では、現時点では実質1人のみです、これに該当する実質的に唯一の選手が「青木(広島)」です。
で、青木は今オフ、「ほぼ確実に移籍市場に出る」と読んでます。
理由は「広島の第2PGの優先順位で、大学4年生の中村拓人(大東文化大学→)より下回っているから」です。
「30分換算でのスティール数」は、「昨季0.93、今季0.35」です。
攻撃面では、特に「得点面は目を瞑る」感じで、「パス能力にほぼ特化」といえます。
で、出場時間は今季は「8分09秒」ですけど、昨季は「13分27秒」です。
「30分換算でのEFF」は、今季は「2.98」ですが、昨季は「7.04」です。
「第2PGとして『12分程度の出場時間を務め得る』」意味では、恐らく可能であると考えます。
正直、青木は攻撃面では多くは望めません。攻撃時は「パス能力」「スペーシング」が主たる役割でしょう。
むしろ青木が存在意義を持つのは「エースキラー型として」です。
宇都宮の最大の特徴は「組織的守備」ですけど、この機能のためには「エースキラーをコート上に1人置き続けられること」と考えてます。
そう、「4Qのクラッチタイム(90秒TO終了後のラスト5分)の突入時までの35分間」で「鵤、遠藤、青木のいずれか1人以上がコート上に常にいる」感じが望ましい、そう考えると青木が務める役割は小さくないと考えます。
で、「今オフの宇都宮の移籍市場」で、「隠れた重要ポイント」があります。それが「来季開幕時は11人でのスタート」です。これは「2つの理由でメリットを持つから」です。
そう、繰り返しになりますけど、いまの宇都宮は「年齢構成の高齢化の改善」が最重要命題です。そう考えると「選手編成に『柔軟性』と『余白』を持たせる」ことで、「若返りと再構築加速を同時並行できる可能性を高められる」のではと。
それと、「スコットの帰化がいつ実現するか」、結局は宇都宮はこれに向き合うことになると想像です。現実論として、「帰化枠/アジア枠の存在」が「チーム力向上への影響力」ではとても大きなウェイトですので。
理想は、スコットの帰化が来季中、それも来季の半ばごろには叶うことでしょう。ですけど少なくとも、恐らく来季開幕時は「スコットの帰化はまだ叶っていない、帰化枠がゼロの状態」での開幕を想定になる。
「正PGを務め得る新外国人の補強」は、「スコットがまだ帰化実現前でもコンテンダーに返り咲ける可能性の最大化」と「スコットの帰化実現後を見据えて」の両方の意味があるのです。
いずれにせよ、(ここまでで既に想像以上にとても長いですけど、)「正PGを務め得る新外国人の補強」こそ、今オフの宇都宮が「最重要で必要なこと」です。でもそれとセットで、「シェーファー」「青木」の補強も、それぞれ適任者が「事実上1択」であるので強い熱量が求められる(補強できなければ、たとえ正PGのグレードアップに成功できてもその効力は限定的になってしまう。特にシェーファーの補強はマスト)、ですので「リスク覚悟と思い切りが必要な難しい立ち回り」といえます。
…って、ここまで書き上げたところで、衝撃のニュースが入ってきました(シンプルに「書き替える時間がない」ですので、「書き替えずにニュースを追記する」感じで進めます。)
いま「要補強ポイントの(3)」で示させて頂いた「青木(広島)」。
1月16日付けで青木の「広島→仙台への完全移籍」(視点を変えれば「事実上の無償トレード」)が発表されました。
今季の青木の広島での起用法・立ち位置を考えると、「今オフの移籍は確実だろうし、青木の選手としての資質は『Bリーグでは意外と稀少なタイプ』ですので、『2月の代表活動休暇中での移籍』はあり得るかもなあ…」とは感じてましたけど、「3月半ばのトレードデッドラインどころか、1月半ばでの移籍」「レンタルではなくて、無償放出での移籍」であることに、正直「驚き」と「(広島の)球団としての誠意・親心」を感じたんですよね。
「レンタルでの放出」「今季はこのまま飼い殺す」などの方法もあり得たと思いますけど、
と、「win-win-winの電撃移籍劇」になったといえます。
正直、Bリーグの現行システムの弱点として、「契約への考え方がガバガバ(充分に整備されていない)」であると自分は感じていて、はっきり述べれば
「シーズン開幕時の選手編成の充実度でほぼシーズンの『現実的な目標ライン』が決まってしまうこと、特に『トレードデッドラインが(NBAとは異なり)ほとんど全く機能できていないこと。」
がありますが、特に広島目線でだと「やるじゃん。」とより好感ですし、他球団でも「飼い殺し状態に陥っている」選手が何人かいますので(特に葛原[FE名古屋]は明らかにそう、「守備力を補強したいB1他球団はいる」と思うけどなあ)、今回の青木のことを機に「Bリーグでもシーズン途中での移籍、トレードデッドラインを活用した移籍がより積極的になされて欲しいです」と、一バスケファンとして強く願うのです。
で、「今オフの宇都宮の移籍市場での最大の要補強ターゲットは『正PGを務め得る新外国人』である!」ことを、ここからより深く掘り下げたいのですけど、これを説明するだけで結構な文字数になると考えられますので、「どのようなタイプの正PGが特に必要であるのか」、及び「なぜ、『マーキース・ノウェル』を最大ターゲットに推すのか」を、(その3)で綴らせて頂きます。
【バスケットボール#22B】