Aikomiってなに?
初めまして。株式会社Aikomi(あいこみ)の共同創業者/取締役副社長の加藤潤一です。
この公式アカウントでは、Aikomiのことを皆さんに知ってもらうための記事を書こうかと思っています。ただ、つらつらと説明しても私の雑文では伝わる気がしませんので、会社活動の中での様々な事例を紹介する予定です。そこから皆さんに自由にAikomiの事を汲み取ってもらえればと考えています。
今回は初回ですので、私がこの会社を起業するまでの経緯について少しお話します。
もともと起業前、私は大手の製薬会社で新薬の研究開発を行っていた研究者でした。入社当時は癌の新薬研究に携わっていましたが、その後、認知症の新薬研究へと移りました。
この認知症というのは、誤解を恐れずに言えば、まさに癌の対極にあるようなものでした。
癌はどんどん増殖し、身体をむしばんでいきます。ですから、癌の薬の基本的な考え方としては、いかに正常な細胞へダメージを与えずに癌細胞だけを殺すかというものです。
一方、認知症というのは脳の細胞がどんどん死んでいくために、記憶障害などで日常生活が送れなくなっていきます。認知症の場合、薬の基本的な考え方としては、いかに死にゆく細胞を活かすかというものです。
これはとても難しい研究でした。人間は生ある物の命を奪うことは出来ますが、生き返らせることは出来ないからです。今ある認知症の薬も完治させるものはなく、進行を遅らせるものしかありません。
認知症の2025年問題が叫ばれる中で、薬での根本解決が難しい状況に焦燥感を当時感じていました。
そんな中こんな映画に出会いました。「パーソナルソング」。
認知症の方が好きな音楽を聴くことで、音楽の記憶と共にさまざまな思い出がよみがえってくる瞬間を映し出したドキュメンタリーです。
当時、”認知症の方自身の過去に基づき、適切なコンテンツを提供”すれば、薬では再現できないような変化を引き起こすことが出来ることに衝撃を受けました。いわゆる「非薬物療法」です。
この映画をきっかけに、「薬による認知症の完治実現はまだまだ先かもしれないが、現時点ではその人らしく最期まで生活することが出来れば、本人だけでなく、その周囲にいる人々にとっても幸せを提供することが出来るのではないか」と思い始めました。癌でいう緩和ケアの考え方に近いものです。
残念ながら製薬会社の本業とは方向性が異なる考え方でしたので、社内のプロジェクトとして、そのようなサービス検討がなされることはありませんでした。
Aikomiの代表取締役のニック ハードと出会ったのは、それから約一年後の事です。
ニックとは同じ会社の研究所にいましたが、それまで会話もしたこともありませんでした。しかし偶然にも、彼も認知症に対して薬以外のアプローチでソリューション提供をしたいと考えていることを聞き、意気投合しました。
その後会社を退職し、株式会社Aikomiを共同で創業しました。2018年の事です。
次回からは私がこれまで出会った、”認知症の方自身の過去に基づき、適切なコンテンツを提供”したことでのご本人の変化、または取り巻く方々の変化について紹介していきたいと考えています。
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