魅力的なキャラクターを作るには? その3
前回、初級者向けと題して、
「キャラクターに厚みを持たせる方法」を2つ書きました。
どちらも、「キャラクターの生感」、「キャラが今そこに生きてる感じ」を
表現するための手法です。
プロの作家さんで、こういったことをあまり
意識していない方もいるかもしれませんが、
大多数のプロの方は、無意識にでも、キャラクターの背景を考え、
そして想像力を駆使して、似たようなことをしているんじゃないかと思います。
そして今回は、あと2つ、「キャラクターに厚みを持たせる方法」を
お伝えしていきたいと思います。
それは……キャラクターに、あえて真逆の設定や場面を入れる、です。
人間とは不思議なもので、ついつい、人物や物事の裏側を
見たいと思ってしまうものですよね。
また、「これはこういうもの」「この人はこういう人」
という思い込みが裏切られたときって……新鮮じゃないですか?
小説も人生と同じ、裏切られたときこそが「生きる」ときなのです。
普段は穏やかで優しい人の激昂したシーン、
いつも前向きでポジティブな人にある凄惨な過去、
どうしようもないクズのような人間の心温まるエピソード……。
そんな風に、あえて、「真逆」を入れてみてください。
とたんに物語が面白くなります。
しかしこれは、初級者というより、
中級者くらいのレベルですね。
若干、取り扱い注意です。
というのも、上手に取り入れていかないと、
人物に一貫性がない、つまり性格異常な人みたいに
見えてしまう恐れがあるからです。
それでは、元も子もないですよね。
ちゃんと一貫性のあるキャラクターとして
描いていて、ここぞという時に裏切るからこそ、
真逆の設定やシーンがいきてくるのです。
そしてもう一つは、脇キャラの話になりますが、
主人公キャラを動かすときでも、
「その時、その脇キャラは何をしていたか、どう考えているか」
をちゃんと考える、ということです。
話には出てこない脇キャラが何をしていたか……。
なかなか、そこまでは考えが至らない場合が
ほとんどかと思いますが、この世界は、小説は、
主人公だけが生きているわけではないのです。
脇キャラだって、ちゃんと息をして、
考えて、生きているのです。
だから、脇キャラの人生も、
一瞬一瞬を見逃さず、ちゃんと考えてあげてください。
もちろん、考えるだけでOKです。
脇キャラの人生までしっかり書き始めてしまうと、
それはそれで膨大な小説になってしまいますからね(笑)。
主人公がこんな行動をしたとき、あんなことを言ったとき、
脇キャラはこう考えていた、こういう行動をしていた……、
主人公と脇キャラは違う人間なので、当然、
考え方も違いますし、そこから派生する行動だって違うはずです。
それを全部とは言いませんが、ちらりとでも、
頭の片隅にでもおいて書いていくと、
さらに小説に深みが出てくると思います。
まるでこの世界のように、あなたの人生のように、
他人が、別のキャラが「生きて」見えてくるはずです。
そしてそれは、主人公を活かすことにもつながっていきます。
……さてさて。3回にわたって「キャラクターの描き方」を
書いていきましたが、いかがでしたでしょうか?
この手法はあくまでも私の考えであって、
他のやり方もあると思いますし、それはもしかしたら
無数にあるかもしれません。
小説の書き方はやはり、人それぞれなので。
なるほど、と思ったり、これは使えそうだ、
というものがあれば、ぜひ取り入れてみてくださいね。
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