合気道の「受け」について、整理してみました。(5 / 5)
前回(4 / 5)は、
「良い受け」に求められる、具体的な要素を見ていきました。
[前回の記事はこちら]
今回(5 / 5)が最後です。
(5)稽古の半分は「受け」
私が初段になった頃、道場の指導を担当されている先輩が、私の「受け」をこそっと評価してくださいました。その時に、言ってくださったことをよく覚えています。
「受けが上手いやつは技もうまくなる」
その時点では初段になりたてで、まだまだ下手っぴでしたので、この言葉は私にとって大きな励みとなりました(もちろん今も修行中です)。
また、別の先輩からは、こんなことを言われました。
「「受け」が上手で「取り」も上手という人はいるが、その逆はない」(「受け」が下手だけど「取り」は上手、という人はいない)
前述の通り、「受け」とは本来、上級者(師匠・先生)が務めるものです。それは、下級者を導くために、稽古の形だけでなく、その意味や目的を理解している必要があるからです。「受けが上手」ということは、「稽古の意味や目的を理解している」ことと同義です。
そのため、「受けが下手なのに、取り(技)は上手」ということは、原理的にはありえないことになります。
ちなみに、合気道において、初級者が最初に習得しなければならないのは、「取り(技)」ではなく「受け」の動きです。なぜならば、上級者と技の稽古をするためには、自分が「受け」られなければ、始まらないからです。そして、上級者の技を「受け」ながら、自分の「取り(技)」を磨いていくのです。
合気道の初級者は、どうしても「取り(技)」に意識が引っ張られがちです。ですが、稽古の半分は「受け」なのです。これは初級者でも上級者でも変わりません。そして、稽古仲間の「受け」を取ることから得られる情報量は膨大です。
稽古において「取り(技)」だけにしか興味を示さないのは、稽古の半分を放棄していることにほかなりません。これは、大変にもったいないことだと思います。
当会では、「良い稽古」のために、「受け」「取り」のどちらも、大切にしています。
(6)終わり
以上、「受け」についてつらつらと書いてきました。
先述の通り、「受け」についての考え方は、合気道を稽古する方々によって、千差万別です。そして、それぞれの考え方に、正解・不正解などないはずです。
この記事では、私自身が「受け」について学んだこと、考えてきたことを書いてきました。「受けが大切」ということはよく語られますが、なぜ、どうして大切なのか、とういことが明確に語られることは、(滅多に)ありません。
私自身、「受け」の大切さを認識しながら、自分の中では「受け」についての知識・考えがバラバラに存在しているようで、モヤモヤしていました。
この記事を作成するにあたり、バラバラに散らばっていたものを整理できたような、スッキリしたような感覚があります。
また、今回の記事は、「合気道はヤラセ?」という疑問・感想に対する自分なりの回答でもあります。この問いに接するたびに、丁寧に「言葉」で回答する必要性を感じていました。
もちろん、「現時点の私」が書いた内容ですので、今後の稽古などを通して、細部の考え方などが変化する可能性はあります。ですが、核となる部分は変わらないはずです。
この記事を通して、合気道に興味を持ってくださる方が1人でも生まれたならば、それだけで作成した甲斐があるというものです。
こんなマニアックな記事、読んでくださる方は少ないでしょうが(笑)
読んでくださった方には、心よりの謝意をお伝えいたします。
(本文終わり)
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