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なぜ、「足袋」の着用をオススメするのか?〜合気道と畳との関係〜【前編】


(0)この記事の目的


「武道」=「裸足で行うもの」
というのが、一般的なイメージではないでしょうか?

私自身、中学校で柔道、高校では剣道を授業で習いましたが、冬期に裸足で行う武道は、寒くて痛くて、、嫌いでした。。

当会では「稽古における足袋の着用」を推奨しています。

なぜ「裸足」ではないのか?
なぜ「足袋」を履くのか?
それは、「より良い稽古を行うため」に他なりません。

この記事では、その理由を解説しています。

合気道は「足捌き」が肝心です。そのため、「足元」について考えることは、合気道の理解を深めることにつながります。そうした思いもあり、この記事を作成しました。

また、稽古の足元を支えてくれる、「畳」についても書いています。

「合気道」と「畳」は切っても切れない関係なので、意識するととても興味深いものです。また、記事の最後ではオススメの足袋についても紹介しています。

(1)合気道の「足捌き」


合気道では、「足捌き」が何よりも重要です。
そして、足捌きは畳の上を滑るように行います

なぜでしょうか?

床から足の裏を浮かして動くと、足がバタバタします。これでは、動くたびに身体は安定を欠き、隙(スキ)が生まれてしまいます。

反対に、足の裏を床にベッタリと付けた状態を考えてみます。この状態は確かに安定しています。ただし、動かなければ、です。。

日本の伝統的な武道では、自分の周囲8方向に敵がいると考えます。そのため、360度方向へ、遅滞なく対応できなければなりません。したがって、足の裏を床にベッタリと付けた状態は、たとえ安定していても、望ましくないのです。

足の裏を浮かすでもなく、ベッタリと床に付けるでもなく、360度方向へ自由自在に動く。そのために、足捌きは、畳の上を、すーっと滑るように行う必要があるのです。そして、滑るような足捌きをのためには、足裏(座技ならば膝)と床面との摩擦が、小さくなければなりません。

床面と足裏との摩擦を小さくする手段として、大きく2つのアプローチがあります。その1つが、「技術的なアプローチ(足捌きの工夫)」、もう1つが「素材によるアプローチ」です。

(2)滑るような足捌きのための、「技術的なアプローチ(足捌きの工夫)」


滑るような良い足捌きを行うためには、足裏と床面との摩擦を小さくする必要がある。そのための、1つ目の方法が「技術的なアプローチ(足捌きの工夫)」です。

そして、技術的なアプローチの代表が、「拇指球(足親指の付け根にある膨らみ)」を軸とする足捌きです(写真1)。

足裏全体をベタッと床に着けたままにするのではなく、「拇指球」を中心に動き、回転します。また、「拇指球」を意識するのと同時に、足裏全体に和紙を1枚挟むような気持ちで行います

拇指球を軸とした足捌きによって、360度方向へ、自由自在に、滑るような動きが可能となります。滑るような動きだからこそ、動きに「ノビ」が生まれるのです。

[写真1]
拇指球を軸とした「一重の半身」
(合気道の基本姿勢)

ちなみに、合気道の開祖・植芝盛平先生(以下「大先生」と表記)の「足袋」について、私の師匠である多田宏先生(以下「多田先生」と表記)は、度々お話されていました。

ここでは、多田先生のご著書『合気道に活きる』の一節を引用させていただきます(※ちょうどよく「足袋」の話が出てきましたが、私が足袋の着用をオススメする理由は、「大先生が履いていたから」ではありません。念のため)。

植芝盛平先生の足袋

 植芝盛平先生は稽古の時、常に足袋を履かれていた。合気道の稽古を足袋や靴下を履いて行うのは、琉球畳表の上では難しかった。滑るから転びやすいのだ。ところが先生が滑られたことは一度もない。それどころか、先生が片足の爪先だけで立たれているのを我々門人が数人で力いっぱい押しても、全く動かない。
 先生の足袋は、長い間使われているので破れていることがある。その破れているところは、左右の親指の根元の膨らんでいるところ、我々は「足の一点、拇指根」と言うが(今日では「拇指球」という言葉も使われる)、そこと親指の横だけである。後は幾年履かれても、真っ新であった。先生の足袋の破れ方は、合気道の足の踏み方、立ち方の基本を示している。

(筆者注:太字化は筆者による)

(多田宏(2018),『合気道に活きる』,日本武道館,pp235-236)

【前編】はここまで
↓ ↓ 【中編】に続きます ↓ ↓



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