「食」をつくる by 合気道至心会
(0)この取り組みについて
①「食」を取り巻く環境の変化
私たちの「食」を取り巻く状況は、急速な変化にさらされています。
例えば、気候変動に伴う作物の不作や漁獲量の減少、円安や燃料価格の高騰などに伴う食料価格の高騰など。こうした「食」に関わる(主に悪い)ニュースを、毎日のように目にします。
海外でも状況は同じです。例えば次のような変化が起きています。
異常気象に伴う大規模な不作…(例)ブラジルやアメリカでのオレンジ不作、カルフォルニア州での米不作、各地でのコーヒー豆やカカオ豆の不作
世界情勢の悪化による食糧供給の不安定化…(例)ウクライナ戦争による穀倉地帯からの穀物輸出の不安定化(小麦・トウモロコシ 等)
食料輸出国の輸出規制…(例)インドによる小麦の輸出規制
世界的に見ても圧倒的に食料自給率が低い日本は、世界中から食料を買うことで、自分たちが食べるものを調達してきました(*1)。ですが、上記のように、世界中の「食」を取り巻く環境は、悪化の一途をたどっています。また、急速な円安進行により、日本国外から安く食料を買うことが難しくなりつつあります。
世界のどこかで作られた「食」を、安く、不自由なく手に入れられる時代は終わりつつあるようです。
② 土に触れ、「食」をつくる
岐阜へUターンしてから、私は合気道と並行して、耕作放棄地の再活用を始めました。自分が食べるものを、少しでも自分の手で作りたいと思ったからです。自分にできる範囲で、コツコツと作業を続けています。
何よりも、季節の変化に合わせて動き、土に触れるという営みが、私にはたまらなく楽しく感じられるのです。
ひとりで(たまに父と)作業しながら、感じたことがあります。
それは、、
「自分が食べるものを自分の手で作ること」や「土に触れること」に興味を持つ人は、身近にたくさんいるのではないか、ということです。
幸い(?)、私が十分に活用しきれていない農地(耕作放棄地)はたくさんあります。この農地を活かして、当会に関わってくれる皆さんとともに、自分たちの手で「食」をつくりたいと思ったのでした。
(1)取り組みの概要
① 日時や開催場所、当日のスケジュール等についてはこちらをご覧ください。
②「農」以外の活動(ビオトープの造営 / 生き物観察 など)
河川や用水路のコンクリート護岸化などにより、水辺の生き物たちの棲家は減り続けています。特に、水生昆虫(例:タガメ・ゲンゴロウ・ミズカマキリ・マツモムシ)は絶滅の危機に瀕しています。
せっかく自由に使える農地があるので、農作業のかたわら、水辺の生き物たちの棲家(湿地帯ビオトープ)を少しずつ造営しています(私は「ビオトープ管理士」でもあります)。
個人で設置できる「小さな水溜り」のような水辺であっても、そこで生き延びる生き物がいるのです。私が昨年(2023年)設置した小さな人工池にも、さまざまな生き物が来てくれました(カエルとか水棲昆虫とか)。
※この取り組みでは、「生き物たちとの共生」を目指しています。
(2)取り組みの基本方針
① 無農薬
農薬は、水生昆虫をはじめとして、水辺の生き物が数を減らす、大きな要因となっています。そこで、この取り組みでは、「生き物たちと共に生きる」ために、「無農薬」を基本方針とします。
農薬(除草剤など)を使わないため、土中の微生物(「菌ちゃん」と呼びます)を殺さず、活かすことができます。畝以外の草刈りは必要ですが、ここで行う農法(菌ちゃん農法)では、刈った雑草が大活躍します。
② 化学肥料は(基本的に)不使用
化学肥料は使いません(有機肥料も使いません)。
先述の通り、日本は化学肥料の原料調達を、ほとんど輸入に頼っています。そのため、円安などによる化学肥料の高騰に、農家さんは大打撃を受けています。そして、化学肥料の高騰は、食料価格となって私たちの生活を直撃しています。
また、自然界が受け入れられる化学肥料には限界があります。これまで人類は、その限界量を遥かに超えた化学肥料を投入して、たくさんの食料を作ってきました。その結果、世界中の農地が弱り、やせ細っています。
③「菌ちゃん農法」によって野菜を育てます
この取り組みでは、無農薬・化学肥料不使用でも、強く・美味しい作物ができる農法(菌ちゃん農法)によって作物を育てます。「菌ちゃん農法」は、土中の微生物(糸状菌)の力を借りる、画期的な農法です。
無農薬・化学肥料不使用と聞くと、「作業が大変」とか「収穫量が落ちる」と考える方もおられるかもしれません。ですが、日本の各地で、この農法を実践する方たちが成果をあげています(ちなみに、俳優の山田孝之さん(日本各地)や柴咲コウさん(北海道)も、菌ちゃん農法による畑づくりを実践されています)。
気になる方は「菌ちゃん農法」で検索してください。また、こちらの書籍では、菌ちゃん農法について大変わかりやすくまとめられています(※菌ちゃん農法は家庭でのプランター栽培にも応用できます)。
④ 猿害に強い作物
山間の畑につきものの課題が「獣害(主にイノシシ・ニホンジカ・猿)」です。特に私の畑があるエリアでは、「猿害(ニホンザル)」がひどいです。
人間が食べて美味しいと感じるものは、猿にとってもごちそうです。そのため、このエリアでは「収穫してすぐに食べられるもの」は、猿に食べられてしまいます。そこで、「猿害に強い作物」を育てます。
【猿害に強い作物】
キウイフルーツ(とれたては非常に固くて酸っぱい)
梅
渋柿(干し柿を作りたい)
サトイモ
生姜
上記以外の候補:シソ / タカノツメ / クワイ / ピ-マン / シュンギク
(3)進め方(予定)
① 共同で農地を整える / 作物を育てる・収穫する
農地(畝)を整えることから始めます。ちなみに、「菌ちゃん農法」では土を耕しません(※土を耕すのは「菌ちゃん」のお仕事)。
2024年秋頃から、来年の作付に向けて、畝作りを開始
2025年春から、作付開始
② 野菜づくり以外の活動(こんなこともやりたい)
竹林の管理(古くなった竹の伐採・処理)
竹炭づくり(炭焼き)
タケノコ掘り
収穫物の活用(例:干し柿作り、梅仕事)
芋煮会(サトイモがたくさん採れたら…)
ビオトープ(人工池)の増設
③ 皆さんのお知恵が頼りです
この取り組みは、主宰者の思いつきから始まりました。私は農業の専門家でもありませんし、農作業の経験も浅い人間です。
2023年から農地の再活用を進めてきましたが、うまくいったことも、思うようにいかなかったことも、それぞれあります。
この取り組みでは、皆さんの知恵や知識をお借りしながら、何よりも、皆さんと楽しみながら、「食」をつくる活動を進めていきます。
【注釈・引用】
(*1)輸入しているのは食料そのものだけでなく、国産農業で用いる肥料も同様です。日本は農業肥料の主要な原料である尿素・リン酸アンモニウム・塩化カリウムのほぼ全量(!)を輸入しています。また、その輸入元も偏在しています(*2)。国際情勢の不安定化が進めば、肥料原料の輸入がストップして、日本の国産農業が立ち行かなくなる可能性もあります(※私が日本の敵対国の立場なら、ミサイルを撃つよりも、肥料原料の日本への輸出を止めます。国際的な非難を受けにくく、コストもかからないからです)。
(*2)肥料原料の主な輸入元(令和3年度):①尿素…マレーシア60%, 中国25%, サウジアラビア4% / ②リン酸アンモニウム…中国76%, モロッコ18%, アメリカ3% / ③塩化カリウム…カナダ80%, イスラエル9%, ベラルーシ3%, ロシア3%(参考:『肥料をめぐる情勢』(令和5年5月, 農林水産省 農産局 技術普及化による資料))
【合気道至心会のご案内】
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