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なぜ『行動を変えるデザイン』を訳したのか

『行動を変えるデザイン』翻訳チームの相島です。

今日2020年6月11日は『行動を変えるデザイン 心理学と行動経済学をプロダクトデザインに活用する』の発売日です。

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そこで、相島の目線から、なぜ『行動を変えるデザイン』を訳したのか、訳すことができたのか、振り返ってみたいと思います。


わたし相島は、昔から、英語に苦手意識がありました。
About Face というインタラクションデザイン分野の分厚い本がありまして、

モバイル時代に対応している第4版に日本語訳がなく、新卒2年目くらいに、お風呂に入りながら防水kindleで読み通す、という経験をし、本に書かれていることがわかれば英語でも読めるんだなあ、と学びました。


英語の本が読めなかったのが読めるようになったのだから、次は訳せるんじゃないかなあ

と思っていたのですが、さしてたくさん英語の本を読んでるわけでもなく、「この本が日本語になってないのは日本語話者にとって悲しいことだなあ」と思えて、かつ、「身の回りの人にも読んでほしいなあ」と思える本にはなかなか出会わなかったのでした。

本との出会い


そんな中、監訳者である 武山政直 先生とお話していて原書 Designing for behavior change を知りました。また、良くしていただいている会社のデザイナーさんが、こんな本あるらしいとslackに貼っていたりと、私の周りで同時多発的なアテンションが発生していました(「キュー」)。先生との研究やその会社での勉強会も始まりました。

湧き上がる謎の使命感


そんな偶然から、いつしか「これは僕が訳さなくて誰が訳すんだろう」というなぞの使命感(「自己概念」)がむくむくと育ってきます。出版社にメールをして、訳させてください、と言いました。1ヶ月くらい返信がなかったんですが笑、不意に編集者の田村秀男さんから返信があり、「社内稟議通します」とのお返事。

後には引けません

さらに、「最近、翻訳してるんだよね..」と周囲にいいながら自分を追い込み、「訳す」という作業を習慣にしていきます。もちろん、本書で紹介されているCREATEアクションファネルが大活躍です。この習慣化の成果がこの本です。

でも、正直1人では、いつまで立っても、これを世に出すことができないなあ、というもどかしさがありました。

3人よれば文殊の知恵

そんな時、普段全く話題にも上らないAbout Face(はじめに出てきた英語の分厚いUX本)の話が、会社で出たんですよね。その相手が、訳者の反中望さんでした。実はこの反中さん、日本語学なるものを学んだ経験をお持ちで、反中さんの推敲前後では、滑らかさが全然違います。そして、反中さんが紹介してくれたのが松村草也さん。草也さんがまたいい感じに、翻訳チームのミーティングをファしります。反中さんに「今週、草也くんと飲むんだけど」と教えてもらった田町のイタリアン(今ではチームで「はじまりの地」と呼んでいます)に相島が乱入して出会いました。この3名の飲み会が、楽しいんです。「翻訳の会」と称して、ちょいちょいあってました。それで訳が進んだのかも。

3人よれば文殊の知恵とはよく言ったもので、相互レビューしたり、訳語相談したり、行動変容の話題持ち込みあったり、noteやってみようとかなったり。自分1人では生まれない相互作用というのが本当にあるんだなあと、しみじみ。

彼らに出会えた会社というものにも感謝しています。

また、当然なんですが、武山先生なしには、きっかけがそもそもなく、オライリー・ジャパンの田村さん、浅見有里さん、直接お話ししてませんが、デザイナーのwaonicaさんにも多大にお世話になってます。ほんと何回も修正依頼してしまったり、言葉の統一ができてないのを何度も叩いたり。ありがとうございます。田村さんのポジティブな雰囲気にも救われました。本書を紹介してくれたみなさま(深津さん!)や、なにより買ってくれたみなさんにも、ありがとうございます。

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推敲作業の風景。松村さんはガラスに映ってます。会議室を貸してくれた会社にも感謝しています。

英語はできるようになったんだっけ?

じゃあいま、初めの動機に戻って、「英語ができるようになったの?」と振り返ってみると、「そもそも最初読んだと思ったときに全然意味間違えてたし、さらに日本語が全然できてなくて読めたもんじゃなかった」のを、叔母や先生や共訳者にくそなおしてもらってまして、結局、なんか自分ひとりでできるようになってるわけじゃないんだなあ、でも、まあ本というかたちになって、本当にありがとうございます、というのが率直な振り返りです。


本当に皆様ありがとうございました。


動機と成果というのは、しばしばずれながらも振り返ってみれば、なんかいい感じに調和している、踊りのような音楽のようなものなのだなあ、としみじみ思います。

フェーズによって動機は変わりますし、だましだましやってる時もたしかにある。最初思っていたのとは違う学び(イラスト描いたりとか笑)もありつつも、やっぱり大事にしたいことをはじめに思い描くのはすごい大事です。振り返るところがあるから。

「翻訳終わったらXXしよう..!」みたいな煩悩あったんですが、それも半分以上忘れてしまいました。まあ、この習慣を活かしつつ、できなかったことをできるようになりながら、皆様の誰かとなにかを生んでいけたらと思ってます。

本書をよろしくお願いいたします。

どんな本なの?というと、いままでできなかったことができるようになるために、お手伝いするプロダクトのつくりかたです(詳しくは、訳者あとがき、というか本書を普通に読んでね。noteも読んでね)。そう、この本を読めば、あなたも翻訳できるようになるかも!!あなたのニューノーマルな習慣形成にも役立ちますよう。

このような感じで日本で訳された本書をよろしくお願いいたします。

書籍紹介ページはこちら:


Amazonで購入する:

Kindleないの?とよく言われるのですが、ないんです。PDFはオライリー・ジャパンから買えます。ePub化も予定されているとのこと。


まとめ

ごちゃごちゃかいたんですが、訳した経緯について、ひとことでいうと以下のような感じです。

まとめありがとうございました。


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