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魅力を上手に伝えられる人


何か面白い作品に出会ったとき、
心を揺さぶるような発見があったとき、
それを上手に伝えられる人って、すごい。


というのも最近読んだ小説が、
魅力をどう表現したら良いのかわからない、難解な作品だったからだ。

読んだのは、

筒井康隆さんの「残像に口紅を」。


「言葉が少しずつ消えていく」というルールの中で小説が書かれていて、

冒頭から既に「あ」が作中に使われていない。
(文章からも、物語の世界からも「あ」がつくものが消える。愛してる、とか言えない)

例えば「い」が消えると「犬」が消え、犬にまつわる記憶も次第に消えていくので、

使える文字が減っていくにつれてどんどん世界が曖昧になっていく。

少しネタバレになってしまうけど、
タイトルにもなっている「残像に口紅を」が使われているシーンと、その後につづく娘達に纏わるシーンがとても印象的だった。

私が一番好きなのはこの一節。

勝ち気で賢明でいちばん美しかった娘は今は消えてしまったその音を持ったその名前にいかに似つかわしい娘だったことか。その失われた音が失われた娘を示すためにいかにぴったりだったことか。そうした感慨もやがては消えていく。

娘の名前を表す文字が消えると、同時に目の前にいたはずの娘も消えてしまう。

主人公の前にあるのは「娘がいた」という朧気な記憶と、残像だけ。
(それも時間がたつと思い出せなくなってしまう)

使えなくなった言葉を、残された言葉でどうにか表現しようとする登場人物や作者の試行錯誤が見事で面白い。


と、あらすじを書いて説明してみたものの、
こういう作品の良さって、誰かに説明するのは難しいですよね。

この作品はアメトーークでカズレーザーさんが紹介して一度話題になったみたいだけど、

どんな言葉で、どんな風に紹介したのかなぁと気になった。

カズレーザーさんは、話の伝え方がとても上手な方だと思う。

たくさん本を読んで表現や語彙を学んでいるんだろうなぁ。

私も素敵だなぁと思うものに出会ったとき、
それをぴたりと表現できる言葉を身につけていきたい。


ヽ(o´3`o)ノ

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