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ぐりとぐらのカステラを作る(絵本に忠実なレシピ)

美味しそうな食べ物が出てくる絵本って、最強だ。大人になった今でも、鮮明に記憶に残っている。

私にとってそれは「ぐりとぐら」に出てくるフライパンいっぱいの大きなカステラと、「しろくまちゃんのホットケーキ」に出てくるぷつぷつと焼き上がるホットケーキだ。

特に小さい頃憧れたのは、ぐりとぐらが作るカステラのほう。

カステラというと黄色くて四角くて、上は茶色・下はざらざらしたお砂糖がついているものだと思っていた(今も思っている)私には、ぐりとぐらが作る黄色一色のまぁるいカステラは「カステラ」と呼ぶにはどこか味気なくて、
でも森の動物たちが美味しそうに食べる姿は忘れられなくて、
不思議な魅力のある存在だった。

ここで「わかるわかる!」と思ってくれる人もいるだろうけど、子どもの頃にあまり絵本を読んでいない人にとって(私の夫もそうだった)は全くピンとこない話だろう。

少しだけ、「ぐりとぐら」を紹介したい。

青い服を着た野ねずみのぐり、
赤い服を着た野ねずみのぐら、
二人はどんぐりやくりを拾いに、森に出かける。
そこで見つけたのは自分たちのベッドよりも大きなたまご。
お料理好きの2匹はそのたまごでカステラを作ることにする。
だけど、家まで持って帰るには大きすぎる。
悩んだ結果、おなべや必要な食材をここへ持ってきて料理してしまおう、と決める。

カステラを作っていると森じゅうの動物たちがにおいにつられて集まってきて、
出来上がった大きくて綺麗な黄色いカステラを動物たちと一緒に食べる、というお話だ。
(森なのになぜかワニやゾウ、フラミンゴまでカステラを食べに来ている。)


美味しそうなカステラが登場するのはフライパンの蓋を開けるシーンと、その後森の動物たちと一緒に食べるシーンの2ページだけなのだが、その2ページのイラストがとても魅力的で、大人になった今でも忘れられないのだ。

少し前にM-1の3回戦あたりで滝音がぐりとぐらをネタにしていて、
「ぐりとぐらだったらみんなぐり推しだよな」というニュアンスのボケに対し、「ぐりぐらはみんな"箱推し"やねん!」と言っていたのが私は気に入っている。私はどちらかというと、カステラ推しなのかもしれないけれど。笑

そんな絵本の中のカステラを、作ってみたいと思った。

「ぼくらのなまえはぐりとぐら 絵本「ぐりとぐら」のすべて。」福音館書店

材料と作り方については、福音館書店が出版している上記の本に載っていたので、これをそのまま作ってみることにした。
(わざわざ絵本の出版社がレシピを載せた本を出すくらいだから、絵本を読んで「作ってみたい」と思った読者がたくさんいたのだろう。)

材料は絵本とまったく同じで、お砂糖、たまご、バター、牛乳と小麦粉だけ。

なんだか本当にシンプルで、「物足りないかも?」と作る前から余計な材料を足したくなってしまう。

だけど、シンプルな食べ物だからこそ子どもには想像しやすくて、時代の流行り廃りもなく、記憶に残ったのかもしれない。

ちょっぴり残念だったのは、ぐりとぐらのように、フライパンで焼き上げるのではなく、オーブンで焼くレシピになっていた。

たしかに、フライパンでケーキを焼くレシピなんて、見たことがない。

そして、出来上がったのがこちら。

ちょっとぺしゃんこ…なのは、べ、別に失敗したからじゃない。笑 このレシピがそもそも薄いフライパンに流し入れて、フライパンごとオーブンにいれて焼くレシピだからだ。ぐりとぐらが食べていたのは、きっと薄いカステラなのだ。

だから、普通のケーキの型に入れて焼くと、こうなる。とはいえ、倍量にして分厚く作ればよかったな…と少し反省した。
森じゅうの動物と一緒に食べるサイズ感ではない。

※後日倍量で作り直したのがこちら

ぺしゃんこのやつはやっぱり失敗だったのかも。笑
とはいえこちらも、絵本みたいにまぁるくはできず。

味は、すごく美味しかった。
たまごの風味がしっかり感じられて、甘いけど甘すぎない。
切ってみると断面はしっとりと重みがあって、スポンジケーキみたいな出来上がりを想像していたので「おぉ!これはちゃんとカステラだ!」と感心した。

いつの間にか集まってきていた夫と義父も、美味しそうに食べている。

「その、おいしかったこと!」という文章と、動物たちが美味しそうにカステラを食べている1ページが脳裏に浮かぶ。

ぐりとぐらも、みんなに美味しいって食べてもらえて嬉しかったんだろうなぁ。

私は子どもができたら、
たくさん絵本を読んであげようって決めている。

私が子どもの頃に、このカステラに憧れたように、自分の子どもにも、たくさんのわくわくする体験を絵本から得てほしい。

できるかわからないけど、こういう「絵本で見たものを実際に作って食べる」みたいなことも、どんどん一緒にやってみたいと思っている。

それは子どもにとっても、親にとっても、大切な思い出になって、心をキラキラと輝かせてくれるはずだから。

何より、兄・母・私で三人並んで布団に入り、寝る前に母に絵本を読んでもらった記憶は、物語の魅力と一緒に、今も心を温め、優しい気持ちにさせてくれている。








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