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型月初心者が『空の境界』を読んだ話


タイトル通り、この度かの奈須きのこ先生作『空の境界』を一応制覇した人の感想備忘録です。あたりまえですがネタバレを含みます。


そもそもなんで今『空の境界』を読んだのか

今調べたら初出が2001年、1番新しい(かつ今回読んだ)文庫版が2007年〜2008年、連載が1998年〜とのこと。えっそんな前???藍鳩まだ◯学◯年生だが????(精一杯の伏字
ちなみに上記はWikipedia様からの引用でございます↓


んで、まぁ何がきっかけかというとこちらの記事に登場した信頼ワーでございます。実家の風呂の話に出てくるお方

というかそもそも『空の境界』を先におすすめされておりまして、某密林さんでぽちっとしたのが2023年1月2日でした。約1年寝かせてましたね???というかその時の正月って職場が修羅だった記憶があるんですがなんちゅータイミングでぽちっとるんやお前(※詳細は省きますが正月休みのない業界の命

一年寝かせてたものをなんで読み始めたのか。
二つほど理由がありまして、まぁ察しがつくとは思いますが一つ目については『Fate/SamuraiRemnant』ですね。
だってあれはちゃめちゃに良かったから……ちょっと他のも摂取したくて……んで信頼ワーの実家の風呂でもあるし……。
あともう一個が某TRPGシステムにて本作品に影響を受けたと明記されてる同人シナリオが出ているのを見かけたから。せっかくやし読むか、と。信頼ワーが回してくれるので楽しみです。ふふん

私の『空の境界』事前知識

・主人公の名前が「両儀式」
・ふじのって名前の人が曲がれ!って橋曲げる
・事件簿で見かけた人形師の人が出る

以上!!!!
なんと私は黒桐幹也の存在をほぼ知りませんでした。ていうか上に挙げた事前知識って『空の境界』全部じゃなくて、『痛覚残留』の知識なんよ。私は『痛覚残留』の話が空の境界本編ほぼ全部だと思っていた人です。全然そんなこと無かったねぇ????

以下感想文。

これは『痛覚残留』しか知らなかった人間の戯言だと思っていただければ幸いなのですけれども
思ったよりバトルものじゃないんだな
と思いました。
全然バトルしてるしバトルシーンが軽んじられてるとか足りないとかそういうのではなくてですね、私が知ってるのってまじで藤乃ちゃんが「曲がれ!!」ってドンパチやってることだけだったので
想像以上に推理パートが多い
予想以上に何が起こっているのか説明してもらえる
というのが正直な感想でした。

一応黒桐幹也が主人公の片割れであるおかげで彼が疑問を呈する→そのときの説明役(主に蒼崎橙子さん)が説明してくれる、という流れが非常にわかりやすかった。あとこれは今までFateシリーズの履修が多かったからだと思うのですが、今までは割と魔術についてはある程度知っていて当たり前。というのが割と前提条件になってる作品が多くて、完全な素人向け説明だとここまで噛み砕いてもらえるのか。と正直思いました。が、これは『空の境界』がいわゆる型月の中でも古い作品で説明が必要な時代の産物だからかもしれないなという気もします。特にFateシリーズは息が長いし……。

とはいえじゃあ「わかりました!」となれるかというとそんなことはなく……下巻の最後とか「これなんの話???誰??君誰???」となったりもしておりましたね。もう一周遊べるドンかな?

個人的な好きキャラは臙条巴。一番好きな話は『忘却録音』です。
せっかくだからひとまず上記二項目についてもうちょっと語ろう。感想なんてなんぼあってもいいでしょうから。きっと

特にスキ!の二項目

臙条巴
本当に申し訳ないことに、登場当初は「いわゆる当て馬キャラか?」と思っていました。大変すまないの顔をしている。
ちょうど上巻+αを読み終わって両義式と黒桐幹也のあれそれがわかりかけてきたところに「両義式を特別に思っている男の子」が出てきたからさあ……あっ空の境界ってそんな感じなんだって思っててぇ……。

ぜんっぜんそんな話じゃねぇでやんの!!!!!
ちげえでやんの!!!!!!!

特に好きなシーンは黒桐に連れられて家に帰るところと、荒耶に啖呵切るところですね。おそらく私の思想とリンクしてるからこそ好きなシーンなんだろうなと思っています。

帰りたかった家の話は「住居として帰る家」と「帰りたい場所」って違うよなというのを私自身としても思っているから。私はこうおおっぴらに騒いだりするほどのことはなにもなかったのですが、一人暮らしをして初めて「あの家は自分が帰りたかった家じゃなかった」ということに気付いた命なので。逆説的に「ここじゃない」というのはあり得るよなぁって。そして思い出として美化されていようがなんだろうが、そのとき帰りたい場所がそうじゃないもんはそうじゃないわけで。逆にどんなぼろ屋でも「帰りたい」と思った場所が帰る場所だと思うので、うんうん頷きながらそのあたりは読んでました。
それはそれとして全部見つけてくる黒桐幹也なんなん???と思っていたのはココだけの話(

啖呵を切るシーンもね、基本的には同様というか。私は個人的な趣味嗜好により「作られた命」の文脈でめちゃくちゃニコニコしてしまうタイプです。その上で「作られた命なのはいけないのか?」「『人間』である必要はどこにあるのか?」ということを延々こねこねしております。たまにそれですごい他者との乖離を生み出してしまったりもするのですがまあそれは一旦置いておくとして。
だから私は臙条巴の「物事に偽物なんてない」「本物も偽物もあとからくるものだ」というのがすごく心地よかった。「この心は本物だ」も最高だった。
うんそうだねぇ、私はうれしかったのかもしれない。
全く同一ではないけれど、私がずっと考えていたこと、受け入れられなかったことがあったこと、それに近しい概念がここにあったのが、うれしかったな。
そういうわけで個人的すきびと一人目は臙条巴君なのであります。

『忘却録音』
個人的に「この話どうやって風呂敷畳むんだろう?」って一番わくわくしたのが『忘却録音』でした。好み~~~~!!!
私はいわゆる同人CoCで最近遊んでいる民なんですけれど、すごい探索パートからの戦闘パートからの答え合わせ!お助けNPCアリ!!!みたいな気分になって楽しかった。
黒桐鮮花・黄路美沙夜・橘佳織の対比というか、関わり方というか、立ち位置の違いがよかったなとも思います。ところで黄路って黄泉路かけてるんですかね?どうしても黄泉というワードがちらついてしまうのよな。黄泉の話かといわれるとそんなこともないんだけど。
最初葉山がストレートに生徒をおてつきにしている話なんだと思ってたら「生徒を斡旋している」って話でなるほどな????となったりしました。からの橘佳織……私は彼女のような「敬虔な教徒」というものには縁遠いので「理解する」ということは出来ないのですが、なるほどなぁという気持ち。なおこれ書いてる人の専門はどちらかというと仏教ですこれはまじで蛇足。

記憶を奪う妖精の話が本質じゃないというのは素直に構成が上手い。比較的序盤かな?ってところで黄路先輩と妖精の情報あいたからまだもう一階層分ぐらいは話の余地ある?って思ってたら玄霧皐月の情報が出てきてはぁ~~~~~~~って声出た。記憶の話でありながらも言葉の話でもあるのねなるほど……。
言葉は殺せない、という話をした後に「それは死語だよ」って言葉が死ぬ話してるのオチとして本当に秀逸だなと思いました。
ウィットが効いてるってこういうことをいうんですかね。私の語彙力は地の底なので間違ってたら懺悔です。

総評:多分私はもう一回読んだ方がいい

すごく面白かった~~~~!という気持ちがとてもあるんですが、実は一番最後の「 」が出てくるあたりを読んでるときに「それどこの話だっけ?」「多分記述あるとおもうんだけどどのはなしだっけ??」と若干混乱してしまったというのがありまして。私の記憶力って……割とゴミカスで……。
ちょっともう一回読んで色々整理したいなの気持ちがあります。でも他にも読みかけの本しこたま詰んでるんだよな……どうしよう……せめて上巻だけでも読み直すか……???
とどったんばったんしています。
ボリューム的にあんまり触れられなかったけど『未来福音』の話も大変面白かったです。ただちょっと物理的な読みにくさが(文字の大きさとフォント)あったりなかったりはした。
いっちゃん最後に娘出てきて「あっここまで書き切っちゃう?すごいな?」となりました。結婚して、子供が生まれて……っていうところまでは「あえて描かない」という方も多い印象があるので……ああそうやってあの二人の人生は続いているんだなぁ。秋隆さん大変そう強く生きて。

なにはともあれ大変楽しかったです。
エルメロイの魔眼列車読み直すわかりやすいという話も聞いたし『Fate/Apocrypha』の小説版もまだ序盤だし『Fate/strange Fake』も読めてないし。持ってないけどフラグメンツ気になってきたし英霊剣豪の漫画もほしいしサムレム全エンド解放してないし……やること、多いな?仕事してる場合じゃねぇ。

なにはともあれ、『空の境界』
令和の世に読んだ私ですが大満足でございました。
勧めてくれた信頼ワー!ありがとう!!!

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